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   ■反基地闘争の前進で菅政権打倒

   2020岩国行動に全国から結集し
    アジアから米軍基地を総撤収させよう

   
         政治運動指導委員会
         
                          


  

 九月一六日に菅内閣が発足した。菅は「安倍政権が進めてきた取り組みを、しっかり継承して前に進めていく」と決意を語っている。つまり、安倍政権を継承し、軍事大国化と戦争国家化を独裁的に推し進めるのが菅政権だ。反戦・反基地闘争の爆発で菅政権を打倒しよう。
 本年六月一五日、防衛大臣河野(当時)はイージス・アショア配備計画中止を発表した。まさに秋田・山口県民をはじめとする地元住民の粘り強い闘いの成果である。安倍政権によるイージス・アショア配備計画は住民の闘いの前にその計画の杜撰さが暴露され、計画が破産に追い込まれたのだ。
 しかし一方、安倍政権は「敵基地攻撃能力」なるものを持ち出し、日帝の軍事大国化路線を強化しようとした。また沖縄辺野古の新基地建設は何があろうとも強行してきた。「敵基地攻撃」を許すな!
 われわれは一一月岩国行動を全力で支持、支援し、沖縄―岩国―築城―京丹後―神奈川―横田等を貫いた反基地闘争の前進を勝ち取っていこう。安保粉砕! 反戦・反基地闘争の大衆的高揚で菅政権を追い詰めていこう!
 「アジアからの米軍総撤収」を掲げるアジア共同行動(AWC)―日本連の仲間とともに、プロレタリア国際主義に貫かれた反戦・反帝闘争の前進を闘いとり、日帝の軍事大国化路線と日米軍事一体化を粉砕していこう!

 ●1章 陸上イージス配備中止の勝利うけ辺野古新基地建設を阻止しよう

 六月一五日、安倍は秋田県・自衛隊新屋演習場と山口県・自衛隊むつみ演習場に配備予定のイージス・アショア・システムの中止を発表した。配備断念の理由はブースター(推進補助装置)の制御問題ということである。
 イージスミサイルは、ブースターによって短時間で目的の高度に達しなければならない。十分な高度に達したらブースターを切りはなし、目標にむけて飛行する。こうした機能について、住民説明会で落下するブースターが民家に落ちる可能性について質問がだされた。当初、防衛省は切りはなしたブースターを演習場内もしくは人家に被害の出ない場所に落下するように制御する、という説明をしていた。しかし防衛省はこの説明を一転させ、落下するブースターの制御は現段階では不可能であり、開発・研究費用を考えると費用対効果でイージス・アショア配備は中止と判断せざるをえない、と発表した。
 そもそも、イージスシステムは米本土を防衛する目的で開発されたものであり、海上からのミサイル発射を想定しているシステムである。ブースターの落下問題など想定していない。それを制御することなど土台無理な話なのだ。すなわち、防衛省はイージス・アショア配備を性急に進めんとして、住民に適当な誤魔化し話をでっち上げただけなのである。地域住民の闘いがなければ、防衛省はこの適当な誤魔化しで押し切ろうとしたのは間違いない。
 さらに、イージス・アショアに搭載予定であったレーダーは実績のないロッキード・マーチン社製SPY7型であった。防衛省は日本企業(富士通)製品が使用予定にあるということでSPY7型購入を決めたが、実はこのレーダーでは米海軍と自衛隊のイージス艦に搭載予定のSPY6型(レイセオン社)との間で相互互換性がないことが明らかになった。その上、SPY7型のミサイル迎撃能力が疑問視されているのだ。しかも日本企業(富士通)製品はロッキード・マーチン社から不採用になるという、おまけ付である。
 要するに防衛省は、イージス・アショアにとって最も基本的なレーダーの問題でさえ、まったく杜撰な対応をしてきたのだ。
 ブースターにせよ、レーダーにせよ、お粗末極まりない防衛省の対応は、同省がイージス・アショア配備ありきの結論で強引にことを進めたことに原因がある。防衛省は、米大統領との会談を受けた安倍政権―官邸主導のイージス・アショア購入・配備ありきの結論に合わせて無理やり動いてきた。デタラメな政治判断とこれに無批判的に追随してきた防衛省の拙速な対応が事態の混乱を導いたのだ。
 しかし、われわれが本当に批判しなければならないのは、今回の防衛省による計画撤回の目的が住民の安全ではく、あくまでも日帝の東アジア軍事情勢の変化に対応して、より効率的かつ攻撃的軍事体制への転換を図るための「一旦配備撤回」でしかないということだ。
 二〇一八年一〇月の萩市議会に出席した防衛省企画課長は、ブースターの落下問題に関して「絶対に陸上に落ちないとは言えないが、弾道ミサイルがわが国領域に直撃することと比較すると、被害は比べものにならない」と発言している。これが防衛省の本音だ。安倍政権と防衛省が住民に向き合うことはなかった。事実、撤回決定以降、防衛省は首長には謝罪するものの、周辺地域住民への謝罪はまったくしていない。安倍政権と防衛省にとって住民の安全など二の次でしかない。
 そしてイージス・アショア配備撤回の直後にも防衛省は、イージス護衛艦の増隻、人口浮島(メガフロート)、地上と艦艇への分離案からなる新たなイージス・システムを提案しているのである。
 イージス・アショア配備撤回はあくまでも政権の内部都合の問題であり、住民のことを真剣に考えたものではないということだ。そして、安倍政権と防衛省のデタラメな対応は、地域住民の闘いがなければ、けっして明らかにはならなかった。
 イージス・アショア配備撤回に導いた力は地域住民の闘いに他ならない。地域住民の闘いが、政府と防衛省の断念までに追い込んだのだ。秋田県民、山口県民の生活・産業活動、そして平和的生存権を求めた闘いこそ、陸上イージス・システムの前のめり配備強行を阻止した主要因である。
 かかる闘いの地平は「本土」のみではなく、沖縄の反基地闘争へも影響してくる。配備撤回が発表されるやいなや、沖縄の辺野古新基地建設をストップしないのは沖縄差別だ、という声が沖縄をはじめとする全国の反戦・反基地を闘う人々から上がっている。当然の主張である。辺野古での新基地建設はイージスア・ショア配備よりも、もっと時間と費用がかかり、なおかつより危険な代物に他ならない。
 辺野古新基地予定地の大浦湾側にはマヨネーズ並みの軟弱地盤が広がっていることが明らかになった。大規模な地盤改良工事を実施しなければ辺野古新基地建設は不可能である。そこで沖縄防衛局は沖縄「県」に対して辺野古埋め立ての「地盤改良」のための設計変更承認申請書を提出した。しかし、軟弱地盤改良工事には様々な技術的困難があり、改良工事そのものの根拠が喪失している。しかも防衛局の改良工事作業計画のままでは、地震による護岸崩壊の危険性があることが指摘されている。また地盤改良工事による環境破壊の影響は計り知れない。
 そもそもが、辺野古沖に新基地をつくるという命題だけに固執した政府―沖縄防衛局の問題である。つまり、辺野古に新基地をつくること自体が無理なのだ。それでも強行されている埋め立て工事を阻止しなければならない。
 この辺野古新基地建設における国の設計変更に対して、約二万件に及ぶ意見書が提出されている。沖縄に米軍基地はいらないのだ。辺野古新基地建設反対の闘いを沖縄―「本土」を貫く闘いとして闘おう!
 イージス・アショア配備阻止の地平をもって、辺野古新基地建設を阻止し、反基地闘争の前進を勝ち取ろう。
 配備阻止を勝ち取った住民の闘いは「安保体制への屈服・戦争動員を拒否することができるのだ」という闘いの指針を示した。われわれはかかる地平を「2020岩国行動」であらためて確認し、地域住民と結合した反基地闘争の前進を勝ち取っていこう!

 ●2章 「敵基地攻撃能力」弾劾 菅政権の軍事大国化を許すな

 イージス・アショア配備撤回に追い込まれた日帝―安倍首相は、配備撤回発表直後の六月一八日、「敵基地攻撃能力」を含む新たな戦略の検討を表明した。そして退任直前の九月一一日「談話」を発表。「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民……を守り抜くことが出来るのか。そういった問題意識の下、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討」する、という文言で事実上の「敵基地攻撃能力」への転換を表明した。
 この「談話」は退任直前の首相としては異例の行動であり、次期政権の政策にしばりをかける狙いであることは明らかだ。しかし「談話」は「閣議決定」ではない。辞意を表明した段階で安倍政権は「職務執行内閣」であり、新たな政策を提案できる立場にはない。そういった慣例を無視し、憲法上の規定に抵触する恐れがあるにもかかわらず、「談話」として安保法制上の大転換を指示するところに、安倍の軍事大国化に向けた執念が表現されている。
 八月に自民党が政府に提言した内容では、「敵基地攻撃能力」という言葉を使わずに「相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力」と表現されている。つまり、「敵」とされる領域(領土、領空、領海)でミサイル基地等を攻撃できる能力のことである。ちなみに、「相手領域内」とは基地以外の施設も入る概念である。これが「敵基地攻撃能力」なるものの基本的考え方である。攻撃される前に「敵」を攻撃することで「防衛」を強固にする、という考え方だ。
 第二次大戦敗北以降、日本の安保・防衛政策の建前は「専守防衛」である。「敵基地攻撃能力」と憲法の関係については、一九五六年の鳩山内閣の答弁が踏襲されてきた。すなわち、日本が攻撃された時に「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」ので、「他に手段がない」場合に限ってミサイル基地を攻撃するのは「法理的には自衛の範囲」という理屈である。
つまり、歴代日本政府は「個別的自衛権」は有するという憲法解釈を前提にしたうえで、日本に現実に被害が発生していない時点であっても攻撃できるという、「敵基地攻撃能力」の保持は可能とする主張であった。しかし、それは「専守防衛」との関係から政策としては採用しない、という立場であった。
 自衛隊の存在が憲法違反であり、上述した政府見解を認めることはできない。五六年当時における「専守防衛」という用語の内容が変化してきている。当初の自国を守るだけの範囲で武装するという用語の中身から、現在は自国を守るために相手国を武力で脅すという「抑止力」論として用語内容が変化してきているのだ。現在的に使用されている「抑止力」論の帰結として先制攻撃能力―すなわち「敵基地攻撃能力」が主張されるのだ。日帝の論理として、「敵基地攻撃能力」は「防衛」の枠からはみ出すものではないという論理だが、これは全くのペテンである。
 安倍が主張し、菅が実現しようという「敵基地攻撃能力」は、日帝の安保―軍事体系を根底から変えようという攻撃であることは間違いない。
 「敵基地攻撃」とは武力―兵器だけの問題ではない。「敵基地」の場所、そして武力の内容、または部隊配置にいたるまでの膨大な情報を必要とする。でなければ、移動するミサイル基地を攻撃することは不可能である。軍事衛星はもちろんのこと、「敵地」にスパイを送り込んでの情報収集が必要になってくる。すなわち、「敵基地攻撃能力」とは、日帝の軍事体系を根底的に「防衛」から「攻撃」に転換することなのだ。
 故に、「敵基地攻撃能力」の保持は日米安保―軍事同盟関係の再編と強化をもたらす。「敵基地攻撃」態勢は情報の共有化も含めて米軍と連動しなければ機能しない。「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)との連携は必要不可欠になる。まさに、日米軍事一体化の画歴史的進行をもたらす態勢が「敵基地攻撃」能力なのだ。
 そして何よりも「敵基地攻撃能力」は、国際法上禁止されている先制攻撃を容認する考え方である。「敵」なるものが攻撃してくるという判断は、あくまでも自国政府の主観であり、あいまいだ。「敵基地攻撃」を可能とする相手国の攻撃の着手とは何をもって判断するのか。ミサイルの配備段階なのか? ミサイルへの燃料注入段階なのか? またはミサイルが点火した段階なのか? 「敵基地」を攻撃するタイミングは明確に規定されていない。つまり、日帝―国家権力の思惑ひとつで「敵基地」を攻撃する理屈付けはなんとでも可能となるのである。
 「敵基地攻撃」とは防衛という名を冠した「宣戦布告」なき侵略戦争策動である。それは明確に憲法破壊である。現憲法では、陸・海・空の戦力すなわち「軍隊」を持たないことから「交戦権」も「宣戦布告」の規定も当然にない。すなわち憲法の戦争放棄原則を実態において突破する攻撃が「敵基地攻撃能力」である。

 ●3章 日帝の改憲攻撃粉砕 インド太平洋構想弾劾

 菅政権下で自民党の改憲攻撃が進められている。安倍ほど露骨な動きではないが、菅は水面下では着々と改憲にむけた体制を固めつつある。
 自民党改憲推進本部長に衛藤征士郎・元衆院副議長が起用され、同本部長だった細田博之・元幹事長は衆院憲法審査会長に就く。党役員では、改憲に熱心な下村博文政調会長と佐藤勉総務会長がすでに就任している。
 細田は安倍前首相の出身派閥の領袖だ。衛藤も同じ派閥で、党改憲推進本部顧問をつとめていた。細田は二〇一八年に同本部長として、安倍が提起した自衛隊を九条に明記する案など四項目を党の改憲案としてまとめている。二人の人選について佐藤総務会長は、「改憲にまい進するという(菅首相の)意思表示だ」「不退転の決意の表れ」と語っている。自民党改憲推進本部は、「挙党態勢」で「改憲実現に向け強い意欲をアピールする狙い」と報道されているように、異例ともいえる体制の強化を行っている。
 そもそもが改憲を掲げた「安倍政治」を政権の要の官房長官として支え、推進してきたのが菅である。日本学術会議人事での菅による任命拒否は、憲法が保障する学問の自由を脅かす違憲行為である。その強権的な手法はまさに安倍政治の継承であり、より悪質な独裁政治そのものだ。
 自民党は一〇月二六日召集予定の臨時国会で、改憲のための国民投票法改定案の審議を突破口に、改憲論議を本格化させる思惑だといわれている。改憲策動を許すな。「敵基地攻撃能力」は改憲の実体化―先取りとしてあるのだ。
 また日帝―菅政権はインド太平洋における侵略反革命体制構築を目論んでいる。すなわちインド太平洋構想である。
 九月二六日、菅はビデオ収録の形で国連総会演説を行った。このなかで中国の台頭を念頭に「法の支配への挑戦を許してはならない」「自由で開かれたインド太平洋を推進していく」と表明している。
 このインド太平洋構想とは、太平洋とインド洋を結ぶ地域で、中国を念頭においた法の支配や市場経済を重視する国が協力する戦略であり、安倍前首相が二〇一六年のアフリカ開発会議(TICAD)で打ち出した路線である。
 日本や米国、オーストラリア、インドが中核となって経済と安全保障の両面で連携をめざす。経済面では中国の広域経済圏構想「一帯一路」拡大に対抗する。安保分野では中国の海洋進出を念頭にアジアと中東を結ぶシーレーン(海上交通路)を守る狙いがある。日米豪印の防衛協力は近年活発で、日本も三ヶ国と海上での共同訓練を重ねている。地域内の国の能力構築支援としてフィリピン、インドネシアなどで巡視艇供与や人材育成も手がける、とされる。日本の海上自衛隊とアメリカ海軍、それにインド海軍が毎年行っている共同訓練「マラバール」に今年はオーストラリア海軍が参加する。
 日帝は対中国を意識しつつ、東アジアのみならずインド太平洋での軍事展開を行おうとしているのだ。ここで明らかになるのは自衛隊―「軍事力」の際限なき拡大であり、日帝の飽くことなき海外での軍事展開―武力制圧に向けたむき出しの野心である。
 一〇月一九日、豪国防相と岸信夫(安倍の弟)防衛相が防衛省で会談した。ここで自衛隊が豪軍艦艇・航空機を守る「武器等防護」の実施に向けた調整をはじめることが合意された。同合意は米軍以外でははじめてである。「防護」する具体的状況として、第一に弾道ミサイル発射を含む情報収集・警戒監視活動、第二に安全に影響を及ぼす事態に直面した場合の補給輸送、第三に共同訓練を想定している。明らかに中国そして朝鮮民主主義人民共和国を想定した内容であり、同時に「敵基地攻撃能力」と連動した中身である。また会談では「南・東中国海」における中国の台頭を「力による現状変更の試み」として批判し反対すること、共和国の弾道ミサイルの廃棄に協力することが確認されている。
 日帝はインド太平洋構想にもとづき、自衛隊の「南中国海」展開を強行しようとしている。事実上の改憲と明文改憲を並行的に進めながら、際限なき軍拡路線を歩もうとしているのだ。それは間違いなく、アジアの平和的安定を破壊し、軍拡競争を誘発し、侵略反革命戦争に向けて動いていく。
 アジアの平和は武力では成し遂げられない。それには日本が中国や共和国そして韓国との政治的友好関係、正常な国交を樹立していくという政治・外交上の展開こそが必要なのである。武力で解決することはできない。軍事的緊張の先にあるのは先制的武力攻撃、すなわち侵略反革命戦争があるだけだ。
 中国ないしは共和国の軍事的脅威なるものは、軍事大国化と日米軍事一体化を強力に推進する日帝自身の姿の裏返しにすぎない。自らの影を中国や共和国に投影し軍事拡大を狙うのが、中国・共和国に対する「軍事的脅威論」である。それはまさしく戦争遂行国家に向けたデマゴギーそのものだ。そして、そのデマゴギーの根底には差別・排外主義イデオロギーがある。
 われわれは「2020岩国行動」を日帝―菅政権の改憲と軍拡路線との全面的対決として位置づける。AWCが主張する「武力ではアジアの平和は守れない」というスローガンを実現しなければならない。アジアの平和のためにAWCの仲間とともに、岩国行動の大成功を勝ち取っていこう!

 ●4章 国際連帯を掲げ、反戦・反帝闘争の前進を

 以上の内容を確認し、われわれは「2020岩国行動」を徹底した国際連帯の闘いとして位置付けていく。プロレタリア国際主義を実践しよう。
 八月一八日、二週間の日程で米韓合同軍事演習が強行された。コロナ禍の影響でその規模は縮小されたが、内容的には斬首作戦を含む共和国への侵略―先制攻撃計画「作戦計画五〇一五」に基づいたものだと言われている。米軍は演習開始の前日一七日に、B1B戦略爆撃機四機とB2ステルス爆撃機二機の計六機を韓国の南部海域と日本付近上空に展開させている。
 また同時期にハワイ沖で実施された米国主導の環太平洋合同軍事演習(リムパック)には韓国軍や自衛隊が参加し、朝鮮半島の緊張を意識的に高めている。
 そして合同軍事演習に先立つ五月二九日未明、星州(ソンジュ)ソソン里のTHAAD基地に迎撃用ミサイルを含む軍事装備搬入が強行された。住民の同意もなく、環境影響評価関連の法律も踏みにじり、大量の警察を動員して住民と支援の抵抗を封殺した上の暴挙だ。これに関する韓国政府の説明は一切ない。
 これら合同軍事演習とTHAADミサイル配備に重なるものとして、日帝の「敵機基地攻撃能力」はある。先制的に共和国を壊滅させようという意図において同質だ。これら一連の軍事的緊張の導入は二〇一八年四月の南北首脳会談、一九年の南北米首脳会談の地平を反故にするものであり、朝鮮半島の安定的平和体制に敵対する行為に他ならない。断固として弾劾されなければならない。
 米韓合同軍事演習に対して、ピョントンサ呼びかけの抗議行動が青瓦台で闘われている。ここで韓国AWC委員会が、同日同時刻日本で闘われた米大使館抗議行動(呼びかけAWCと反戦実)の抗議声明の代読を行った。また八月一五日韓国民主労総主導の二〇〇を超える団体が結集する集会において、米韓合同軍事演習弾劾の抗議声明が出されている。
 フィリピンではトランスジェンダー女性を殺害し有罪判決を受けた米海兵隊員に、一〇月七日ドゥテルテ大統領が恩赦を与えた。この事態をうけて反米闘争が大きく高揚している。
 フィリピン北部で行われていた軍事演習後の休暇中、米兵がバーで知り合ったフィリピン人を殺害した。この米兵は裁判で禁錮一〇年の判決を言い渡され、収監されていた。しかしドゥテルテはこの米兵に恩赦を与えることを自らの意思で決めたと、テレビ演説で説明した。法相も参加した閣僚会議後、ドゥテルテは米兵について「公正な扱いを受けていなかったので、私が恩赦で釈放することにした」と述べている。遺族の代理を務める弁護士は、今回の決定はフィリピンの司法制度を「侮辱している」とし、強く非難している。
 バヤン(新民族主義者同盟)のレナート・レイエスは、「もしフィリピン人が恩赦を受けたかったら……長期にわたる手続きが必要となる。フィリピン人を殺害したあの米兵には、急行レーンが与えられた」とツイッターに投稿し恩赦を批判している。
 この恩赦を契機にフィリピンでは反米の闘いが再燃し、米軍基地撤去を求める闘いが高揚している。
 アジア―全世界で高揚する反米・米軍基地撤去の闘いに連帯し、岩国基地強化反対―基地撤去を闘い抜こう。「2020岩国行動」の成功から国際主義の具体的実践的に前進させていこうではないか!

 ●5章 二〇二〇年岩国行動を成功させよう

 われわれはコロナ情勢下であっても地域住民と結合した反基地闘争を断固闘っていく。各地域の闘いの地平と内容を岩国現地行動として成功させていこう。
 本年は朝鮮戦争開始から七〇年にあたる。岩国、横田、沖縄の嘉手納等が米軍の朝鮮半島への出撃拠点であった。そして現在、岩国基地は東アジア最大の米軍航空基地へと再編強化されている。
 今秋、岩国基地に米海兵隊のF35ステルス戦闘機一六機の追加配備が発表された。このF35ステルス戦闘機は九月に米国内の訓練中に空中給油機との接触墜落事故を起こしている。米軍は事故の原因について「調査中」というだけで明らかにしていない。F35ステルス戦闘機の空中給油は高度な操縦技術が必要とされるが、一方で米監査院は同機種に関して安全性や技術的問題が九六六件見つかったと報告している。つまり、F35ステルス戦闘機そのものが欠陥機である可能性が高い。さらに、岩国に配備されているF18が那覇市沖での墜落、高知県沖での空中給油機との接触事故を起こしている。
 東アジア最大の米軍航空基地とは、東アジアで最大の軍用機事故の可能性を秘めている危険な基地であるということだ。
 岩国基地にはこのF35ステルス戦闘機三二機を配備する予定である。これは周辺住民に更なる爆音を強制するものであり、軍用機事故の危険性が飛躍的に増大するということである。なによりも、岩国基地への戦闘機配備増強は、共和国や中国に対する戦争挑発の拡大に他ならない。
 米軍はコロナ感染の緊急事態宣言の解除に伴う日本の学校の再開に際して、岩国基地で働く労働者の子どもたちの通学を禁止した。基地内への感染防止が理由である。しかし、これは明らかに教育権への不当な介入である。子どもたちの教育を受ける権利よりも、米軍―戦争挑発の保障を優先させたのである。さらに、岩国基地所属パイロットの規律低下が問題になっている。戦闘機を操縦しながらの読書、酒気帯び運転などが明らかになっている。その結果として戦闘機の事故が多発しているのだ。
 しかし岩国市民は基地大強化反対を闘い抜いている。米軍再編関連施設に転用されるのに反対し、跡地周辺住民が続けてきた「愛宕山見守りの集い」が、八月二一日に一〇周年を迎えた。参加者は延べにして一万七〇〇〇人以上になる。また、基地をめぐる各種裁判闘争やオスプレイ陸揚げ抗議行動も果敢に闘われている。瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワークなどが市にF35追加配備計画容認撤回を申し入れている。また岩国市民は福田市政の「基地との共存」路線との闘いを、福田市長を相手にした裁判(岩国市長沖縄出張公費選挙応援公費返還請求裁判)として闘っている。
 アジア共同行動日本連は、AWC山口の仲間を先頭にこのような岩国市民の闘いと連帯すると共に、三月AWC日本連第二五回総会から九月反戦夏季合宿にかけて今年の岩国行動をどのように闘うのかの議論と準備を全国的に推進してきた。「朝鮮戦争七〇年、侵略戦争拠点=米軍基地をアジアから総撤収させよう! 軍用機の爆音による生活破壊を許すな! 岩国基地撤去のために『2020岩国行動』に集まろう!」と呼びかけている。一一月二八日・二九日両日の岩国・労働者反戦交流集会、反基地交流会、岩国国際連帯集会と屋外アピール集会&岩国基地正門に向かうデモを、闘う岩国市民と共に全国からの結集で成功させていこう!
 全国の同志諸君。友人の皆さん。地域住民と結合した反戦・反基地闘争として岩国闘争を闘おう! 「アジアからの米軍総撤収」を掲げるAWCとともに国際連帯で闘おう! 沖縄―岩国―築城―京丹後―神奈川―横田の反基地闘争の前進で菅政権を打倒しよう! 菅政権によるインド太平洋構想を粉砕しよう! 全国各地から「2020岩国行動」に参加しよう! 全国で反基地を闘う人々は岩国行動に結集しよう!



 



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