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   ■国境封鎖を越える国際連帯で

      六月アジア共同行動の成功を
    

         
                          


 本年も、アジア共同(AWC)日本連絡会議は六月各地集会の準備を進めている。
 新型コロナウイルスの世界的感染拡大が未だ収束しない中、安倍政権の救いようのない腐敗と無策ぶりと同時に、改憲発言や検察官定年延長問題などコロナ危機を悪用した火事場泥棒ともいうべき振る舞いに、労働者民衆の怒りが高まっている。コロナ自粛期間に賭けマージャンをした黒川検事長は懲戒免職されるべきだが、何よりやるべき感染対策をせずに感染拡大を招き、緊急事態宣言から「改憲」と自己保身を目論んだ安倍晋三こそが政権の座から追放されねばならない。
 六月アジア共同行動は、一九九六年からほぼ毎年、韓国やフィリピン、台湾、米国、インドネシアなどアジア・太平洋の民衆団体から活動家や市民を招請して各地で行われてきた。今年は海外からの招請は困難となっているが、各地で工夫をもって取り組まれようとしている。安倍政権と対決する大衆運動をともに闘い、差別と排外主義に抗して在日・滞日外国人労働者と連帯し、国内外でアジア民衆連帯の国際主義を強め、反帝国主義の共同闘争を進めていくことが今こそ問われている。ともに六月アジア共同行動の成功に向け、AWCを支持し支援していこう。

 ●1章 人命無視と排外主義、コロナ対策糾弾

 新型コロナウイルスによる感染が大きく拡大した三月以降、安倍政権のコロナ対策は、税金の無駄遣いそのものの「アベノマスク」のお粗末さは言うまでもなく、混乱ばかりを生む単発の特別定額給付金一〇万円は困窮する人々の手元に届かず、実質のない休業対策によって中小零細企業や自営業者・社会的弱者は切り捨てられている。多くの労働者民衆の失望と怒りを引き出し、今や安倍政権の支持率は30%台前半まで落ち込んでいる。生存権を掲げて、即時の生活補償を求める抗議の直接行動も、国会前や各地の市役所前などで始まっている。コロナ禍による失業・廃業はますます拡大していき、先が見通せないほどだ。私たちは、このようなコロナ事態の下での生存権闘争をともに闘うと同時に、これを安倍政権の戦争国家づくりと差別・排外主義との闘いとしっかり結合させ、反帝・国際主義の旗をその中にしっかりと打ち立てていかなくてはならない。そのために、国際主義の立場から安倍政権のコロナ対策を改めて三点ほど批判しておきたい。
 第一には、安倍政権のコロナ対策が、徹頭徹尾、中国・韓国への差別・排外主義に貫かれていることを徹底して批判しなければならない。すでに経路不明の感染が拡大していた時期にまったく恣意的な中国・韓国のみを対象とした入国制限を行ない、麻生財務大臣兼副総理が「武漢ウイルス」発言を行なったことは、コロナ感染の不安にかられた人々を韓国や中国民衆への排外主義に駆り立てた。麻生発言をただちに撤回・謝罪せよ! 休業補償もしないくせに、緊急事態宣言下でパチンコ店(経営者は在日朝鮮人が多い)が自粛要請を無視して営業を続けたとして店名公表という人権無視の攻撃をしたことも同様の脈絡上にあるだろう。
 このような差別・排外主義は、命と暮らしを守ることと真っ向から対立する。文在寅政権によるコロナ感染防止対策はおおむね成功を収め、特に早期に導入されたドライブスルー方式のPCR検査や、訪問しやすく医療関係者への感染を減らすコロナ検査用外来などは、あれほど韓国バッシングを繰り返していた日本のマスコミさえ羨ましがる状況である。だが、文在寅政権がPCR検査に関する支援を申し出たにもかかわらず、安倍政権はこれを無視している。まさに人命よりも、排外主義を煽って政権を維持してきた安倍政権の既定路線そのものだ。
 このような日本社会を覆う差別・排外主義の雰囲気は、入管体制下の日本で生活するすべての外国ルーツの人々の生活を圧迫する。AWC―Youthや梅田解放区、在日青年団体など青年層は「コロナを口実とした差別排外主義の強化反対! 外国人労働者・市民に保障と権利を! 緊急声明」を発し、オンライン・オフラインで賛同署名を募っている。安倍政権の排外主義に貫かれた監視社会に抗し、近くにいる外国ルーツの人々と連帯し、その生活と権利を勝ち取るために共に闘おう!
 第二に、日本政府は、在日米軍内でのコロナ感染拡大を包み隠さず公表させなくてはならない。しかし安倍政権は何一つしようとしていない。三月下旬から、米軍基地内において兵士、家族の新型コロナウイルス感染が報告されている。具体的に明らかになっているだけでも、横須賀基地で五人、嘉手納基地で三人、佐世保基地で一人が感染している。また原子力空母セオドア・ルーズベルトの中で集団感染が発生し、四八〇〇名の乗組員のうち六〇〇名近くが感染し、四月一三日には死者が出ている。乗務員の下船と隔離を訴えた艦長は情報を流したかどで解任され、米国防総省は、新型コロナウイルスの米軍内における基地別、部隊別の感染者数、詳細について、今後はすべて非公開にする方針を発表した。一〇〇年前のいわゆるスペイン風邪の感染源は米軍であった。今も、米本国やその同盟国の米軍基地の間を移動し、世界中で軍事展開を続ける米軍は、今や国境を越えて新型コロナウイルスを転送する脅威となっているのだ。アジア共同行動日本連絡会議は四月六日、日本政府宛てに「在沖・在日米軍基地を封鎖し、米軍の移動を禁止せよ」との申し入れを行った。
 さらに、報道によれば、岩国米軍基地では、新型コロナウイルス感染対策として、基地に出入りする日本人従業員や契約業者らに、子どもたちを市内の公立小中学校に登校させないよう要請しており、これを受けて休んでいる児童・生徒は一〇〇人以上と見られるという。米軍が子どもたちの学習の権利を侵害しているのだ。
 日本政府は、危険極まりない米軍基地を即刻封鎖し、米軍に対して強制力をもって感染実態を報告させるべきだ。米軍の自由な航行、自由な出入国を禁止すべきだ。従わなければ、米軍を国外に退去させるべきだ。
 第三に、日米軍事同盟のもとで増大する軍事費を今こそ全面的に医療と福祉、労働者民衆の生活補償に回すべきことである。米国は昨年から二〇二一年以降の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を現在の四・五倍の年八六四〇億円に増額せよとの要求を日本政府に対して繰り返している。
 同様に五倍以上の増額を要求されてきた韓国では、韓国政府の抵抗によって二〇二〇年以降の駐韓米軍駐留経費負担(韓国では防衛費分担金と呼ぶ)に関する特別協定(SMA)本来の期限である昨年末までに妥結できず、トランプ大統領は駐韓米軍基地で働く韓国人労働者のうち約四〇〇〇人を違法な無給休職に追いやった。米国でのコロナ感染爆発を背景に、韓国が米国に新型コロナウイルスの診断キットを支援することと引き換えに米国が当初の要求を引き下げたと言われているが、そうして米韓実務交渉チームが暫定合意した防衛費分担金13%引き上げ案(九・六億ドル)をトランプ大統領が拒否し、53%引き上げ案(一三億ドル)を強要しているという。日本では思いやり予算増額をめぐる交渉がどのような経緯をたどっているか、まだ報道はない。一歩先を行っている韓国では、コロナ問題の中でも闘いが続けられている。
 五月一一日、AWC韓国委員会や「平和と統一を開く人々(ピョントンサ)」をはじめとした四三の市民社会団体が記者会見を開き、現在、防衛費分担金は二年分にあたる未執行金があるので引き上げする根拠はなく、防衛費分担金交渉の中止と防衛費分担金特別協定の破棄を強く求めると声明した。同声明書によると、トランプの要求する一三億ドルは、非正規職労働者三一万八五〇〇人に月一〇〇万ウォン(一〇万円)ずつ五カ月間支給できる大金である。あるいは小規模自営業者一五万九二五〇人に一〇〇〇万ウォン(一〇〇万円)ずつ支給して破産を防ぎ、その自営業者が五人ずつ計八〇万人を雇用できる金額だという。韓国政府案の九・六億ドルであっても、米国にくれてやる理由はない。未執行金を取り戻し、現在米軍がタダで使っている米軍基地使用料一兆ウォンを米国に支払わせてコロナ対策に使え。そのために防衛費分担金交渉を打ち切り、同協定を破棄しようと韓国政府に要求している。韓国民衆と連帯し、在日米軍と安倍政権下で侵略の軍隊として強化される自衛隊に費やされる軍事費をコロナ対策に使え! の要求をより多くの労働者・民衆と共有し、ともに声を上げて行こう!

 ●2章 コロナ禍にあっても前進する各国労働者・民衆の闘いに連帯を

 アジア共同行動日本連絡会議が三月に行った第二五回総会に寄せられた動画メッセージの中でAWC韓国委員会代表のホ・ヨングさんは次のように訴えた。
 「今、コロナ事態により全世界が大混乱に陥っています。コロナ事態が拡大するにつれて、ただでさえ世界資本主義が恐慌的な状況に陥っていたのに、それに加えてこのような大災害が重なって資本主義体制は破局へと突き進んでいます。(中略)
 このような状況において、全世界の労働者民衆の反戦平和・脱核・反核運動が、コロナ事態のせいで委縮させられている状況です。しかしコロナ事態という大きな災害、大きな伝染病を克服していくと同時に、帝国主義者たちがこのような危機状況を通じて全世界の労働者民衆の闘争を弱化させ、コロナ危機を口実にして支配体制を強固にしようとする陰謀と意図を、私たちがしっかりと見抜き、私たちの闘争を組織し、私たちの意志を固めていかねばなりません」。
 アジア太平洋の労働者・民衆は、コロナ禍の下でどのような状態に置かれ、どのように闘おうとしているのか。六月アジア共同行動を取り組むにあたって、韓国、フィリピン、米国の状況について、少し具体的に見てみよう。現在のような状況であるからこそ、そこから学び、励まされることは多いはずだ。

 ▼2章―1節 〈韓国〉

 ホ・ヨングさんは、二〇二〇京都地域メーデーへの連帯メッセージの中で、「労働者の雇用が縮小し、売上高の減少で廃業する自営業者が増え、貧困層の暮らしはますます疲弊しています。 政府は議論の末、総額一三兆ウォン、四人家族一〇〇万ウォン(約一〇万円)の支援を決定しました。しかし、企業には約一〇〇兆ウォンを支援する予定であり、各種規制を緩和する構えです。同時に都心での集会を禁止しています。コロナ事態で職を失う労働者が増えていますが、その反面、働く労働者は低賃金と雇用不安、そして劣悪な労働条件に追いやられています」と言及している。同じメッセージの中で、 四月二八日世界労災労働者追悼の日の翌日、残念なことに京畿道(キョンキド)の利川(イチョン)で工事中の物流倉庫の火災により、下請け会社の非正規職日雇労働者三八人が命を失ったとも報告している。
 集会やデモが禁止され、民主労総のメーデー集会も、例年の大衆集会ではなく幹部や各界代表のみが参加する街頭記者会見として開かれた。その場で発表されたメーデー宣言では、「三月には飲食業をはじめ二二万人以上が仕事を失くす『雇用大乱』が現実となっており、これが全産業に拡大するのは時間の問題」だと述べ、コロナ危機を口実に自由な解雇を許容せよと要求する韓国経営者総協会(経総)の主張を糾弾し、また財閥企業に対して一〇〇〇兆ウォンの供出、財閥総帥の私財持ち出し、解雇禁止宣言をせよと要求している。
 しかしこれらの要求は、ただ政府や資本と対話して要求したからといって財閥が譲歩するようなものではない。もっとも犠牲を集中される非正規職労働者の立ち上がりと闘いなしには一歩の前進もあり得ない。だから例年のメーデー集会が行われなくとも、非正規職労働者はメーデーの各種行動を「社会的距離」を取って実施しようと立ち上がった。このような非正規労働者のメーデー計画は警察当局によって全面禁止されたが、それでも多くの非正規職労働者自身がさまざまな創意工夫をもってメーデー闘争を闘い抜いたという。四月三〇日にソウル支庁前で開かれた「集会禁止を糾弾し撤回を求める緊急記者会見」のプレスリリースは、このように言う。「口を塞いだら、それで終わりと思っているのか。非正規職は解雇や無給休職で崖っぷちに立たされている。ソウル市と警察庁は、五月一日非正規職メーデー集会を禁止すると通告してきた。マスクを着け、防塵服まで着用して一定の間隔を空けて集会を行うと言っているのにそれでも禁止通告だ。企業は危機を労働者に転嫁し、政府は非正規職にとって実効性ある対策よりも企業のための支援に比重を置いている。このまま黙ってやられるわけにはいかない。基本的権利を要求する闘いを本格的に開始する。誰が何と言おうと、非正規職の当事者たちは街頭に出る」と。このような非正規職当事者の一歩も引くことのできない闘いこそが、局面を切り開いているのだ。
 今もソウルの江南(カンナン)駅前鉄塔の上でサムスン解雇労働者キム・ヨンヒさんの高空ろう城闘争がすでに一年近く続けられている。「サムスン解雇労働者高空ろう城共同対策委」の声明によれば、コロナ危機のもとで最も被害を受けるのは、大量解雇に苦しめられる非正規職労働者と社会的弱者である。にもかかわらず、政府は企業には数百兆ウォンの支援金を与えながら大量解雇で苦しむ労働者に対しては何らの対策もないくせに、コロナを口実に集会とデモを禁止し、座り込みテントを撤去するなど非正規職労働者への弾圧を行っていると糾弾している。五月一八日には、アシアナ非正規職清掃労働者が整理解雇撤回闘争のために鍾路(ジョンノ)のアシアナ航空社屋に設置した座り込みテントが、警察と撤去業者の合同作戦により、わずか五分で無残に撤去されたという。ここだけではない。この間、労働者民衆の座り込みテントの撤去が相次いでいる。同声明では、「刑務所に入っているべき犯罪者イ・ジェヨン(サムスン経営トップ)とビジネス協議をする文在寅政権の、非正規職労働者に対する弾圧を目撃して、私たちはサムスン解雇労働者の闘争と非正規職労働者の闘争がともに連帯して、非正規職の量産と大量解雇の温床にもなる財閥企業の積弊を清算する闘争に立たねばならないことを直視する」と表明している。コロナ禍の下でも解雇労働者と非正規職労働者の連帯が前進している。

 ▼2章―2節 〈フィリピン〉

 フィリピンでは、コロナ危機に便乗してドゥテルテ政権が人民の権利と自由をいっそう抑圧している。フィリピンの革命勢力であるフィリピン民族民主戦線(NDF)が共産同(統一委員会)政治集会に送った連帯メッセージ(今号六面に掲載)の中で、パンデミックは、コロナ問題が起こる以前から資本主義・新自由主義の危機によってフィリピン民衆が受けてきた被害を更に悪化させ、新自由主義が公衆衛生や労働条件、食糧供給にもたらした惨状をさらけ出した。また以前から移民や有色人種が不当な非難にさらされている多くの国々でレイシズムと外国人嫌悪をさらに強めていると告発している。まさに日本の状況もそのように見抜くことが必要だろう。
 ドゥテルテ大統領は、感染者がまだそれほど多くない三月中旬の段階でマニラ首都圏のロックダウン(封鎖)を断行し、ルソン島全域でのコミュニティ検疫体制を敷くと同時に、大統領権限強化法案を通過させた。しかし、強化された大統領権限のもとで行われたのは、コロナ封じ込めではなく、生きるために食糧支援を求めてデモをした都市貧民団体のメンバーの大量逮捕であり、ドゥテルテ大統領の「隔離違反なら射殺せよ」との命令下で実行された外出規制違反者への射殺であった。ミンダナオでは酔ってマスクを着用しなかった住民まで射殺している。それだけではない。ロックダウンの一ヶ月間で摘発された違反者が一三万三〇〇〇人、このうち約三万人が逮捕・起訴されている。五月一日のメーデーでは七六人が逮捕された。これは食糧支援のための活動をしていた人々や、屋内でSNSで情報を発信していた人々、労組活動をしていた人々、さらにドゥテルテ政権下でも継続している政治的殺人による犠牲者の追悼に集まった人々などであったという。五月五日には、ドゥテルテ政権の麻薬戦争に批判的な報道をしたフィリピン最大手の放送局ABS―CBNに対して放送停止命令が下され、コロナ禍の中で人々が最も情報を必要とする時期に放送が停止された。
 フィリピン民衆団体が中心的役割を果たす国際民衆闘争同盟(ILPS)は、その声明「COVID―19(新型コロナウイルス)パンデミックのただなかで人民の健康を守るために闘おう」の中で、ドゥテルテ大統領下のフィリピン政府が実施した一ヶ月間のロックダウンは事実上の戒厳令であり、フレキシブル労働の調整が押し付けられ、集会の自由その他の市民的権利が制限されていると批判した。ILPSは、コロナ事態によって影響を受けている労働者に収入を保障すること、検査や治療が無料で受けられるようにすることを要求し、各国・地域の政府は、脆弱なコミュニティを優先すべきであり、権力者たちは健康危機に対して責任を負うべきだ。人民は団結し、保健のための集団的行動を実践しなければならない。企業の貪欲さと帝国主義的政策に反対して、全住民の健康を主張しよう。勤労人民による生産手段と富の社会主義的所有だけが、そして、利潤のための生産とサービスを除去し、人民のための医療その他のサービスをコミュニティの統制の下に置くことだけが、資本主義によってつくりだされたあれこれの問題を解決することができると主張している。まったくもってその通りではないか。

 ▼2章―3節 〈米国〉

 また、米国ではどうだろうか。新型コロナウイルス感染が拡大する以前でも、インフルエンザの流行により死者が一万数千人を超えていて、貧乏人は医療を受けられない米国の現状が改めてクローズアップされた。それに続くトランプ政権の無責任な対応の中で、三月以降、新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大しつづけ、現在感染者数は一五〇万人超、死者数は五月中旬の一週間でさらに一万人増加して九万人を超え、世界最多の感染者数・死者数を更新し続けている。そしてこのような中、米国全土で失業者が爆発的に発生している。前号の戦旗三面掲載の四月五日付の米国の社会主義解放党(PSL)の機関紙翻訳を参考にしていただきたいが、労働局の統計によれば三月に工場や店舗の操業・営業停止によって三三〇万人が失業給付を申請したが、それはさらに拡大し次の週には六六〇万人が失業給付を申請したという。マクドナルド、フード・ライオン、ウォルマート、アマゾン、ホールフーズ、インスタカート、パーデューを含むいくつかの企業がストライキに見舞われている。ピッツバーグの衛生労働者たちは、危険な労働条件に抗議するためにストライキに立ち上がっている。それが政府・資本への圧力となって、失業給付の増額や受給資格の拡大につながっているのだ。
 また今年のメーデーを報じるレイバーネットの記事「『賃金なくして家賃なし』怒りはピーク! アメリカ史上に残るメーデー」によれば、五月一日、アマゾンやウォルマートなど大企業労働者がゼネラルストライキを行ない、ここに家賃の支払い停止を求めるストや経済補償を求める行動も合流したという。この時点で失業手当を申請した人はすでに三〇〇〇万人に達し、家賃を払えない人々の家賃不払い運動「レントストライキ」も全米に拡大している。車のボディに大きなスローガンを貼り付け、ゆっくりと街中を行進する「キャラバン」が組織され、レントストライキを呼びかける行動が取り組まれている。コロナ事態が始まる以前から、米国では資本主義そのものへのイデオロギー的な反対と社会主義への支持が、とりわけ若者の間でますます顕著になっているという。大いに注目すべきことだ。

 ●3章 アジアの労働者民衆と連帯し六月アジア共同行動の成功を

 新型コロナウイルス感染が全国に拡大しはじめても辺野古埋め立て工事や石垣島での陸上自衛隊ミサイル基地建設工事は止まらなかった。基地建設だけは感染防止対策とは無関係だという態度は許されないという批判を受けても、国は「受注業者から工事中止の要望はない」と、受注業者に責任をおしつけ、工事継続を強行してきた。結局、四月一六日に、工事にたずさわっていた作業員の感染が明らかになって翌日から工事が一時中断されているが、その一方で石垣島での工事は止まっていない。労働者民衆の生存権・労働権を無視して補償なき自粛を強制している中で、軍事基地建設だけは聖域だとすることを決して許してはならない。防衛省は四月二一日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事の設計変更を「県」に申請したが、不要不急どころか実現不可能な工事はさっさと中止して、コロナ危機の中で医療と福祉・介護現場で休めない労働に就いている人々のために使うべきだ。
 また五月六日には、防衛省がイージスアショアの配備候補地としていた秋田県新屋演習場への配備を事実上断念すると報じた。しかし、秋田県内に新たな候補地を検討するという。日本防衛のためと偽って配備を強行しようとするイージスアショアが米国の対中国ミサイル防衛網の一部をなすものであることは、この間の反対運動の中で住民たちが見抜き反対してきたことだ。米中貿易戦争のなか強まる米中対立をますます煽る危険なイージスアショアの配備は、山口県萩・阿武への配備計画とともに全面白紙撤回されねばならない。そして二基で一兆円ともいわれるイージスアショア配備・維持費用のすべてを、コロナ対策と民衆の福祉のために使え。
 安倍政権はまた、関西電力高浜一・二号機、美浜三号機という四〇年をはるかに超えた老朽原発の再稼働をこの秋にも強行しようとしている。コロナ感染の第二波、第三波が十分に予測される中で、事故の可能性の極めて高い老朽原発を再稼働させて一体誰が責任を取れるというのか。老朽原発はもちろん全原発の即時停止こそが唯一の選択肢だ。
 この文章で紹介したアジア民衆の闘いはほんの一部に過ぎないが、実践的な国際連帯こそが私たちの闘いを強く鼓舞してくれる。安倍政権を任期いっぱい延命させてはならない。安倍政権打倒のために、全国各地でアジア共同行動の取り組みを支え、国際連帯集会を成功させよう。


 

 

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