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   ■労働者の反戦闘争で安倍政権を倒そう

  2018岩国労働者反戦交流集会に結集を

                                     中央労働運動指導委員会




 

 一一月二四~二五日、二〇一八岩国行動が取り組まれる。二四日一六時三〇分からは全国反基地交流会と並行して岩国労働者反戦交流集会が開催される。一二回目を迎えるこの集会は原則的に階級闘争を闘い、これを労働者反戦闘争につなげて闘う労働組合の結合の場所として成長してきた。全国の闘う労働者同志に本集会への結集を呼び掛ける。

 ●1章 戦後階級闘争を振り返る

 歴史は階級対立の表現として現れる。戦後日本の歴史にもそれは当てはまる。戦争により生産が壊滅し、資本家階級の力が極端に弱まった時、戦後労働運動は産声を上げた。それは敗戦直後の徴用工たちの決起に始まった。資本家が生産サボタージュをしていた間、労働者は生産点を自主管理し、雨後の筍のように労働組合が結成された(組織化率のピークは一九四九年の55・8%:厚労省労働組合基礎調査より)。
 だが、生産の復興、高度経済成長に伴って資本家階級は力を徐々に回復し、労働者が獲得した陣地を奪い返していった。公務労働者からのスト権はく奪、再軍備、日米安保条約の締結などいわゆる逆コースは国内的にはこうした階級闘争の反映だった。
 五〇年代から七〇年代初頭にかけて戦後日本の階級闘争は一つのピークを迎える。六〇年と七〇年の安保闘争、日韓条約、大学闘争、大幅賃上げを実現した春闘、反合理化闘争など、いわば労働者階級と資本家階級の激突が繰り返された時代だった。上の図で見てもこの時代の組織率は35%ほどを維持していることが見て取れる。だが高度経済成長の終焉とともに、この状況は終わりを告げる。
 低成長の時代にあっては利潤の拡大は生産の拡大には求められなくなる。資本の運動はこの問題の突破を必要とする。回答は海外への資本輸出と国内外を貫く労働者への搾取強化だ。だがこの回答はそれが自身の激烈な貧困化を意味するがゆえに、労働者階級にとっては受け入れがたいものだ。当然抵抗が予期される。
 資本家階級はこの抵抗を抑え込むため、古くは占領期から労使協調の労働組合や非組合員の上層労働者を育成し、労働者階級の分断を進めた。雇用管理においては流動的な期間工やパートタイムなどを導入し、労働組合(本工中心)の生産点に対する規定力を低下させるとともに、組合員自身の階級意識を解体していった。一九八五年には男女雇用機会均等法と抱き合わせで、労働者派遣法を成立させ、その後時間をかけて対象職種を拡大し、規制を解体していった。また、総評の主力を担った公営企業の労働組合への解体攻撃としての意味を併せ持つ民営化が行われた。特に国鉄の分割民営化は当時の中曽根康弘首相が「総評・社会党をつぶすためにやった」とのちに露骨に白状している。一九九五年には日経連より「新時代の日本的経営」が発表された。それは労働者の大半を不安定雇用でよいと宣言し、言葉通り今日まで貫かれた結果、二〇一四年時点で非正規雇用の割合は37・4%(女性では56・7%)にまで拡大している。
 回答のもう一方である資本輸出では二〇一七年末時点で海外資産一〇一二兆円、負債を差し引いた純資産では世界一の三二八兆四千億円になっている。日本の資本家階級はこの膨大な海外資産・投資を守るため、自らの軍事力を海外で行使・恫喝できることを望んでいる。だが、その妨げになるのが紛争解決の手段としての軍事力の行使を禁じる日本国憲法第九条だ。解釈改憲の繰り返しで本来ならば違憲であるはずの戦後日本の軍隊=自衛隊は、それでも憲法との関係から規模、装備、活動範囲、活動内容などを制約されてきた。
 こちらでも資本家階級の攻撃は朝鮮戦争への参戦を画策する秘密研究や、日米合同軍事演習の拡大強化、日米軍事一体化、一九九二年カンボジアPKOを嚆矢とする海外派兵(二〇〇一年のアフガニスタン戦争ではインド洋における有志連合艦艇への給油活動を行い、「国連平和維持活動の枠からはみ出した。さらに二〇〇三年のイラク戦争では戦後の復旧名目とはいえ地上部隊を派兵した)。など確実に資本家の権益を守れる軍隊=帝国主義的軍隊として自衛隊を増強してきた。

 ●2章 階級闘争の画期、第二次安倍政権との対決

 こうして経済・軍事を貫いてこの国の形を変えようとし続けてきた資本家階級の攻撃の到達点として戦争できる国を完成させようとしている。これまでの政府憲法解釈では自衛隊は集団的自衛権を行使できないものとされてきた。これは①米軍との共同作戦②自衛隊を海外派兵するうえで大きな足かせとなってきた。個別的自衛権の範囲にあたる日本国の領域内(接続区域の公海上を含む)においてしか軍事行動をとることができないからである。このため、海外での米軍との共同戦闘行動(給油・輸送など後方支援活動はすでに強行されているが)はもちろん、海外では武器の使用は自衛目的に限られ、これに伴って小火器の携帯しか許されないのが二〇一四年六月三〇日以前の自衛隊の状態であった。
 安倍政権は従来の解釈を崩さない内閣法制局長官の首をすげ替え、二〇一四年七月一日限定的な集団的自衛権の行使は合憲であると政府解釈を変えてきた。翌二〇一五年九月一九日には前年の解釈改憲をベースに戦争法を成立させた。自衛隊は海外派兵時に戦闘できる範囲が拡大した。
 二〇一七年六月一五日には共謀罪(改正組織的犯罪処罰法)を成立させた。「対テロ」と銘打っているが、その対象犯罪は保安林でのキノコ狩りなどまで入っており、捜査当局が恣意的に弾圧対象に発動するのが容易な構成となっている。この法律はさっそく労働組合相手に使われることになる(後述)。さらに安倍晋三は九条改憲を悲願として進めている。
 米軍と自衛隊の強化、さらにその一体化を含んだ再編も大きく進められた。二〇一四年一〇月二二日深夜に経ヶ岬の新設米軍基地にXバンドレーダーが配備された。二〇〇六年配備の青森県車力と合わせ、二〇一八年一〇月、相模原補給廠への両レーダーの指揮部隊が配備された。山口県萩市・阿武町(住民の反対のもとに町長が受け入れを拒否)と秋田県秋田市へはイージス・アショアの配備が進められようとしている。日本版海兵隊として陸上自衛隊に水陸機動団が創設、長崎県佐世保市の相浦駐屯地に配備された(二〇一八年三月)。南西諸島の要塞化も進められている。与那国島への沿岸監視部隊(二〇一六年配備)、宮古島・石垣島・奄美大島への地対艦ミサイル部隊(現在準備中。いずれの地域でも反対運動が続いている)、沖縄島の自衛隊も人員が増強されている。
 そして労働者への攻撃も熾烈である。安倍政権は世界一企業が活躍しやすい国(すなわち世界一労働者が搾取される国)を標榜し、規制のさらなる緩和、労働法制の解体を進めてきた。二〇一五年には派遣法が改悪された(企業は人を入れ替えて永遠に派遣が使え、派遣労働者は三年でその職場を追い出される)。二〇一八年六月二九日「働き方改革一括法」が成立した。労働者の雇用の安定を目的とした法律を労働生産性の向上に置き換える、一定の職種・年収の労働者を労働時間規制の対象外とする高度プロフェッショナル制度、過労死認定基準以上の残業が可能になる労働基準法改悪など問題は多岐にわたる。一方で同一労働同一賃金は審議過程で喧伝したものの、実際の法律では経営による逃げ道の指南法となっており、差別待遇の是正のためのハードルは大きくなった。この上、虚偽データの提出で審議が紛糾し、一旦取り下げた裁量労働制の拡大はすでに再上程を目指した動きが始まっている。
 以上のような階級的攻撃が全面化した第二次安倍政権のもう一つの特徴は、権力犯罪と腐敗である。国有財産が不当に払い下げられた森友問題、友人のために規制を解除した加計問題など首相自身の疑惑を筆頭に、財務省のセクハラ、文科省の収賄、防衛省の虚偽報告など過去の内閣なら一件だけでも総辞職必至の問題が目白押しだ。それでも政権は居直りと与党の数の力で押し切ってきた。安倍晋三とその取り巻きの腐敗はもちろんだが、階級的攻撃の先兵としてこの腐敗分子が資本家階級に信任されているのだというふうに理解しておくべきだろう。それは九月二〇日の日本経団連会長コメント「安倍三選を大いに歓迎する」に表れている。
 以上みてきたように、労働者への強搾取化・団結破壊攻撃と軍事強化による海外権益の擁護は資本の利益に貫かれて表裏一体のものとして進められている。敵の攻撃に対して我々の反撃が個別バラバラでは対抗できない。資本家階級の攻撃にさらされる仲間と国際的に連帯し、経済闘争と反戦闘争を結合して闘う根拠がここにある。

 ●3章 闘う労働組合の反転攻勢を

 前述したように資本家階級は戦後七〇年かけて労働者の分断を作り上げてきた。「同じ釜の飯を食う仲間」(それは男性正社員に限定されていたのだが)という感覚は多くの職場でなくなって久しい。命を奪われ、人格までもが否定される現代日本の労働現場を貫く新たな団結感覚をわれわれはいまだ創り出せていない。労働者が団結しないように正規、非正規に分断され、資本にすり寄ることでしか生きられないという観念を植え付けられて過労死・精神疾患へと追い立てられる。
 われわれが団結の再構築を進められない隙に天皇制と差別排外主義が入り込む。天皇は分断された社会を「神聖なものとして統合」する。安倍をはじめとする政権中枢の悪質さと対比してアキヒトの「良心」を持ち上げる向きもあるが、ことは彼個人の性格の問題ではないのだ。天皇制は特別な人間を前提とする。貴あれば賤あり。天皇を頂点とする社会は被差別部落民を、女性を、LGBTを、障害者を底辺に追いやり差別する社会だ。実のところ一見ソフトに見える分だけヘイトスピーチ集団よりもたちが悪い。こうして「統合」された「よき日本人」によって戦争への道が舗装される。
 二〇一九年メーデーには新天皇即位行事がぶつけられた。既に最大多数のナショナルセンターは五月一日の中央メーデーをやらなくなって久しいなど、メーデーの形骸化を見越した攻撃だ。天皇を奉祝する労働者・労働組合はあらゆる政治権力と資本に従順で、ただひれ伏してお恵みを求めるだけの存在に転落する。労働者階級は社会の主人公にはなれず、資本制の奴隷として固く鎖につながれるだろう。二〇一九年メーデーは新天皇奉祝への対抗を鮮明にして断固五月一日に闘わなければならない。
 抵抗するものには鉄槌が下される。闘う労働組合、抵抗勢力つぶしの象徴的な事態として、全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部(以下関生支部)への不当な弾圧が繰り返されている。
 関生支部は中小生コン会社を協同組合に組織化し、セメント会社や大手ゼネコンなど大資本に対抗して生コン価格を維持し、業界全体で労働者の待遇改善を勝ち取ってきた。また、反サミット闘争や沖縄闘争、各地の反基地闘争など労働者反戦闘争を先頭で切り拓いてきた労働組合の一つである。
 最初の攻撃は大阪広域生コン協同組合(関生支部の運動によって成長し、利益が出るようになったにもかかわらず)と差別排外主義者の結合から始まった。ヘイトスピーチ集団からの組合活動自体への攻撃(二〇一〇年の徳島県教組書記局襲撃は組合の街頭募金活動が口実)は画歴史的である。ファシスト集団の資本家階級の手先としての姿がよく表れている。協同組合理事も排外主義者も暴言はもちろん、暴力まで振るったが、それは警察の黙認(目の前で見ていた)のもとで行われた。また、組合と関係を維持している企業には生コンの割り当てをなくすといった形の兵糧攻めが行われた。こうした攻撃を組合が跳ね返し始めたところで弾圧の本隊が襲い掛かってきた。
 一一月一日現在、延べ二〇名以上の組合員が逮捕された。容疑はといえば、協同組合の生コンを使うようにゼネコンに要請したことが「強要未遂」、ストライキに伴うピケットが「威力業務妨害」。いずれも通常の組合活動で、これが違法になるなら、労働組合は親睦サークルくらいしかできることはない。労働組合の正当な活動は憲法二八条で違法性が阻却されるというのが本来であって、今回の弾圧は違憲行為である。さらに、今回の弾圧では組織犯罪対策法が適用され個別の行為以上に組織そのものをつぶそうとするものになっている。この事態を共有するとともに、反撃を全階級的な闘いに発展させよう。闘う労働組合の真価が問われている。
 敵の攻勢は激しく、われわれの闘いの課題は大きい。分断を乗り越える階級建設と反戦反基地闘争を一体のものとして繋げよう。今や労働組合が果たすべき役割は表面に現れる諸反動政策に抗するだけでは足りない。共生・協働・共闘で自ら社会の連帯を結びなおすことが必要である。その内容は労働運動の枠を乗り越える。さまざまな社会運動につながり、つなげていく。われわれは階級闘争構造建設を掲げ、各地の労働組合ですでにそのような実践を進めている。原則的な労働運動を進めながらの福祉・介護総がかり行動や、労働組合主体の平和街宣、反基地・反原発運動への組合からの人的乗り入れなど。これを結合し、一つの勢力へと成長させよう。東アジアの労働者民衆と連帯し、共に闘おう。
 沖縄の「県」知事選挙では政府・与党の巨大な組織力をはねのけ、玉城デニーさんが過去最多得票で勝利した。翁長前知事の弔い合戦、沖縄の若者たちのSNSでの組織化など勝因の分析はさまざまあるが、根本的には翁長前知事の埋め立て承認撤回と憤死が辺野古新基地を拒否する沖縄民衆の意志を再確認させ、一つにまとまったということだろう。それは七万人結集の「県民大会」や一〇万人を集めた「県民投票署名」などに表れている。そして何よりキャンプシュワブゲート前や本部港の座り込み、海上行動などの粘り強い闘いがなければ、この民衆決起は実現しなかった。
 政府は三年前と同様に本来私人の権利擁護のための制度である行政不服審査を用いて一〇月三〇日承認撤回の効力を停止した(発効は翌三一日)。政府機関の一員である防衛省が私人と強弁して申請し、これまた政府機関の一つである国土交通相がこれを「審査」するという茶番もいいところである。これにより土砂投入の準備工事が再開され、早ければ一一月中にも土砂投入が開始されるという決戦情勢に入った。二〇一八岩国行動とも重なるが、阻止行動への派遣を全国から実現しよう。
 全国各地の闘う労働組合がこの沖縄の闘いとつながってきたが、とりわけ自らの職場に根差し、自分たちの働く港から軍事基地埋め立てのための土砂は一粒たりとも搬出させないと決議を上げて闘っている全国港湾の土砂搬出阻止闘争は特筆できる。こうしたことを共有し、さらに組織化を進めよう。
 以上のような質をもって労働者反戦闘争を闘おう。日本の労働運動総体の後退の中で、階級闘争の原則を踏み外さない労働者・労働組合はそれぞれに模索を続けてきた。こうした条件のもとでこの一二年間、われわれは闘う労働者を結合する場所の一つとして岩国の闘いを成長させてきたと自負できる。以下に岩国労働者反戦交流集会の歴史を振り返りながら、これを見ていきたい。

 ●4章 岩国労働者反戦交流集会の軌跡

 岩国基地は旧日本海軍の飛行場を接収し、朝鮮戦争では出撃拠点として活用された。一九五八年アメリカ海兵隊に移管。市街地上空が滑走路延長線上にあるため、岩国市民は騒音に苦しみ、また高さ制限による産業の空洞化も起こった(高い煙突を立てられないため、工場が市外に移転した)。さらに基地があることによる事故や犯罪にも悩まされてきた。
 これらのことから岩国では滑走路の沖合移設による騒音被害等の軽減が「市民の悲願」とされてきた。一九九七年長年の要望が通り沖合移設が着工する。ところが二〇〇五年米軍再編計画の中に空母艦載機が厚木から岩国に移転する計画が盛り込まれた。さらに沖合移設のための土砂を搬出した愛宕山地区(当初はニュータウン建設の名目だった)には米軍住宅が建設されるという。実現すれば騒音緩和どころか被害が拡大する。岩国市民はそんなことのために沖合移設を推進したのではない。
 二〇〇六年岩国市は住民投票を実施し、艦載機移転を拒否した。しかし、国はあの手この手で民意を押しつぶしてきた。市役所新庁舎建設の基地交付金の支払いを止める(艦載機移転と名目は異なるので全く正当性がない)など。最終的には艦載機移転拒否の市長を落選させ、「基地との共存」を掲げる現市長の体制を作り上げた。
 労働者実と岩国基地問題の出会いは二〇〇六年にさかのぼる。住民投票で民意を示したにもかかわらず、国は市に圧力をかけ艦載機移設を推進していた。市内愛宕山地区ではニュータウン建設が中止され、用地が県から国に売却されようとしていた。「市民の悲願」のためと土砂搬出に伴う振動や土埃に耐えてきた住民が「米軍住宅建設では話が違う!」と反対運動に決起した。この時アジア共同行動の企画で愛宕山地区を訪れた労働組合の活動家たちが、こうした住民たちと出会い「これを全国に伝え、住民を支えなければ! 労働組合が闘いの先頭に立とう!」(『愛宕山の誓い』)と各組合に戻り、他の闘う労働組合にも呼び掛けて実行委員会を結成し、翌二〇〇七年第一回の岩国労働者反戦交流集会を実現した。以来、毎年秋に岩国に集って今回で一二年目となる。
 この間、住民による一の日座り込みの開始、普天間基地に配備されるオスプレイの揚陸反対闘争、姫野市議を擁しての市長選挙への挑戦、軍用機の配備や事故の際の抗議行動など節目節目で住民とともに闘ってきた。住民を力づけようと音楽イベント「岩国希望の祭り」を二〇一四年から二〇一六年にわたって三回開催した。また、労働運動の世界で岩国の問題を訴え続け、全国課題へと押し上げてきた。労働者実自体も賛同者が増えてきた。当初わずか一〇人前後の呼びかけからスタートしたが、今や一〇〇人を超える仲間が呼びかけ人に加わった。現在の資本家階級の攻撃に抗する闘う労働組合の結集体の一つとして成長してきた。

 ●5章 東アジアの平和に岩国基地はいらない

 岩国基地は米軍再編の要である。日本国内に配置している米軍航空基地としては、朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)に最も近い。事実、二〇一七年の米日韓による戦争挑発と朝鮮によるミサイル発射実験・訓練の応酬により、東アジアが戦争の危機に頻していた時、岩国所属のF35B戦闘機はたびたび挑発演習に従事していた。平時においては沖縄の基地と日本全国の訓練ルートをつなぐハブとして機能しており、岩国基地を監視する市民からは沖縄や三沢、横田など日本各地の所属機はもちろん、韓国やグアム、果てはアメリカ本土の機体まで飛来していることが確認されている。
 今年三月末の艦載機移転完了以降、岩国基地には空母艦載機(FA18E/Fスーパーホーネット戦闘機、FA18Gグラウラー電子戦機、C2輸送機、E2Dホークアイ早期警戒機など)が六〇機、さらに海兵隊の航空機(FA18、F35B、KC130空中給油機など)、海上自衛隊の航空機(P3C哨戒機、US2救難飛行艇など)、合わせて一二〇機を超える軍用機が所属し、極東最大級の航空基地になっている。
 事故も頻発している。近年の所属機に限っても、US2(海上自衛隊所属機)沈没(二〇一五年四月二八日)、AV8BハリアーⅡ(海兵隊所属機)墜落(二〇一六年九月二二日)、FA18Cホーネット(海兵隊所属機)墜落(二〇一六年一二月七日)、CH101ヘリコプター(海上自衛隊所属機)横転(二〇一七年八月一七日)、C2輸送機(空母艦載機)墜落(二〇一七年一一月二二日)、ほかに普天間基地所属で墜落した二機や、たびたび緊急着陸しているオスプレイも岩国に飛来している。
 今年はついに艦載機移転が完了した。春から岩国と山口県南東部、広島県西部、島根県南西部は艦載機倍増で騒音が激化している。今年四月の岩国市における騒音苦情件数は六七〇件と昨年同期の倍以上、同じ四月、基地周辺の尾津五丁目の騒音測定回数は一三一一回と滑走路沖合移設後初めて一〇〇〇回を超えた。
 空母艦載機は狭い飛行甲板に離着陸するために、空母出港前に集中的に訓練(FCLP)を行う。この訓練は人の住まない硫黄島で行うことになっているが、ここへの行き来のための離着陸だけでも、すでに岩国とその周辺に耐えがたい爆音被害をもたらしている。この上、天候等で硫黄島が使えないときはこの訓練は岩国で実施するのだ。さらにこの訓練を夜間に行うNLPという訓練もある。これが岩国で実施されたらどうなるのか……。さらに空母艦載機の出航前訓練が終わって沖に去ったら静かになるのかといえばそれは違う。その間自衛隊機や海兵隊機が猛訓練を始めるのである。かくて、岩国とその周辺は爆音から解放されないのだ。
 愛宕山旧開発地には住民の思い出や闘いを踏みにじって米軍住宅「アタゴヒルズ」が完成、入居を開始した。しかし、米軍人・軍属とその家族は規制の多い基地内を嫌い、入居率は低迷している。すでに岩国中が基地化しているのだ。どこで米軍関係事故に巻き込まれるのかはもはやわからない。
 岩国で根気強く基地に反対してきた住民たちは、今、岩国市民に訴えている。爆音はごめんだと。共に彼らを支え、爆音反対三万人署名を成功させよう。一二回目の岩国労働者反戦交流集会に結集し、闘う労働組合の反転攻勢を切り拓こう。今年の集会は労働者反戦闘争の実践をテーマとして各組合からの報告と討論を組織する予定だ。有益な議論となるよう、実践と課題を持ち寄ってほしい。
 今年に入り朝鮮半島和平の流れが切り拓かれ、三度の南北首脳会談と史上初の米朝首脳会談が実現した。日米の反動派の妨害も含みつつ、今歴史は着実に朝鮮戦争の終結に向かって進んでいる。韓国の「ろうそく革命」が示したようにこうした歴史を切り拓くのは民衆の力をおいてない。声をそろえて訴えよう。軍事基地はいらない。岩国にも、どこにも。


 

 

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