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   10・8三里塚全国集会に総決起を

       
市東さんの農地強制執行阻止

      日帝―安倍の戦争突撃打ち砕け




 反対同盟は今夏、北原事務局長の逝去という悲しみの中から、この遺志を引き継ぐ決意を固めてきた。
 決戦本部を軸にして強制執行阻止決戦の展望を大きく拓いてきた。周辺地域への一斉行動を不屈に取り組み、成田空港会社の「機能強化」なる空港被害拡大攻撃に憤る住民との結合を追求してきた。市東さんの農地強奪に対する怒り、市東さんをはじめとした反対同盟の五十一年にわたる闘争への共感は、今改めて青年、学生に広がりつつある。
 米帝―トランプ、日帝―安倍が朝鮮戦争重圧を強める中で、朝鮮戦争阻止の反戦闘争が問われている。革命的祖国敗北主義に貫かれた反戦闘争、反帝闘争に断固として立ち上がるときである。反戦の砦―三里塚闘争に決起することの現在的意義はますます強まっている。
 三里塚の現情勢、三里塚闘争の現段階をしっかりと確認し、10・8全国総決起集会にともに結集することを呼びかける。

 ●第1章 北原事務局長の闘いをさらに進めよう

 八月九日、三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長・北原鉱治さんが逝去された。九十五歳だった。
 一九六六年政府が突如として三里塚空港案を閣議決定して以降、暴力をもって強行されてきた空港建設に三里塚・芝山の農民が反対運動に立ち上がった。この農民闘争のリーダーとして先頭に立ったのが戸村一作委員長であり、北原鉱治事務局長だった。七九年に戸村さんが亡くなって以降は、北原事務局長が反対同盟の代表となってきた。
 七一年強制収用阻止決戦では北原さん自身が地下壕に入ってたたかった。そして、大木よねさんに対する強制収用では、ともに機動隊と対決してたたかい抜いた。七七年岩山大鉄塔撤去攻撃に対しては、その現場で機動隊と直接対峙した。七八年開港阻止決戦では、横堀要塞に篭城してたたかった。八九―九〇年成田治安法決戦では、天神峰現闘本部へのだまし討ち捜査に立ち会い、夜を徹してそのまま強行された運輸省の封鎖処分に対して最後までたたかった。
 農地死守―実力闘争の三里塚闘争史において、常に闘争現場の先頭に立ち、国家権力と直接対峙して闘争を指揮してきた。八三年3・8分裂においては、北原さん自身が原則を貫いたことこそが、話し合い路線を拒否する反対同盟組織を堅持する基盤となった。
 名実ともに三里塚闘争の中心軸であり、闘争の指導者であった北原さんの半生は、反戦の砦―三里塚をそのまま体現するものであった。
 理不尽かつ強引に進められてきた市東孝雄さんに対する農地強奪の攻撃を迎え撃ち、三里塚闘争の真の勝利に向けた攻防を進めてきた中での北原さんの逝去は辛く、悲しい。北原さんが目指した三里塚闘争の勝利を何としてもつかみ取らなくてはならない。北原さんのたたかいを引き継ぐ反対同盟をしっかり支えぬき、市東さんの農地強奪阻止の決戦を断固たたかい抜こうではないか。

 ●第2章 強制執行阻止決戦本部に結集して闘おう

 ▼2章―1節 決戦本部を軸にした農地強奪阻止の闘い

 昨年十月二十五日の最高裁の上告棄却以降、空港会社による強制執行攻撃が切迫する中、反対同盟は本年年頭一月九日の団結旗開きをもって、成田市天神峰の市東さん宅に「強制執行阻止決戦本部」を立ち上げた。反対同盟事務局員の太郎良陽一さんが決戦本部長となって現地攻防の先頭に立った。
 後述するように市東さんの農地をめぐる裁判闘争は重要な局面に入っており、反対同盟は裁判闘争の勝利をもぎ取るために、傍聴闘争、現地調査、署名運動などの活動に力を傾注している。その上で、反対同盟は法廷闘争だけではなく、その活動の幅を広げてきた。
 反対同盟は、市東さんの農地と農業施設を守るために全国から決戦本部に結集することを呼びかけている。反対同盟各氏が、全国の住民運動への働きかけを強め、自ら各地へ赴き、連携関係の強化を進めてきた。毎月「天神峰カフェ」が開催され、市東さんとの交流、援農、現地見学に人々が集まってきている。これまで支援してきた人々ばかりでなく、三里塚に初めて足を運ぶ青年・学生が出てきている。一三年に開始した一斉行動を、決戦本部を拠点にした周辺地域住民への働きかけとして位置付け直して継続し拡大している。
 空港会社が打ち出してきた「機能強化」とは、滑走路運用時間の深夜・早朝への拡張、第3滑走路建設計画である。現在でさえ耐え難い航空機騒音をはじめとした被害をさらに拡大し、周辺住民の生活、健康を破壊する攻撃である。
 市東さんの農地強奪を阻止するたたかいは、市東さんの問題でありながら、市東さんだけの問題ではなくなっている。昨年来空港会社は航空機騒音の時間的・地域的拡大を公然と主張するに至っている。その住民無視の収益増大方針に対して、周辺各地の住民が反対の意思表示を鮮明にし始めた。市東さんの農地強奪阻止の署名、反対同盟の不屈のたたかいが、あらためて周辺住民に受け入れられてきている。市東さんの農地をめぐる攻防における展望というだけではない。空港会社の攻撃がもたらす被害拡大を根底から批判し、周辺住民の支持を徐々に集めてきている。反対同盟と三里塚勢力は、新たなたたかいを開始する手がかりをつかみつつある。

 ▼1章―2節 最高裁判決と対決する請求異議裁判

 今春期、市東さんを先頭とした反対同盟と弁護団のたたかいは、空港会社の強制執行攻撃を一旦押し返した。
 一三年千葉地裁・多見谷、一五年東京高裁・小林が空港会社の土地明け渡し請求を認める不当判決を出し、最高裁が昨年十月二十五日、これを追認して上告棄却決定を出すという攻撃の中にあって、反対同盟と弁護団は強制執行に対する異議申し立てを行い、同時に執行停止を申し立てた。
 多見谷判決、小林判決の杜撰な内容ゆえに、そして、市東さんをはじめとした不屈のたたかいの大義ゆえに、千葉地裁民事第五部・高瀬裁判長は、請求異議を認めざるをえなくなった。そして、当然にもこの請求異議裁判の判決まで「強制執行を停止する」ことも決定された。
 請求異議裁判の核心点は、八九年に土地収用法に基づく事業認定期限切れとなった成田空港建設において強制収用はできないということである。いかに詭弁を積み重ねようとも、土地収用法、公共用地特措法と同等の強制手段による農地強奪をなすことはできないし、させてはならない。
 空港会社は土地収用法に基づいて収用委員会が決定する強制収用と、農地法に基づいて裁判所が判決する土地明け渡しは異なると主張し、千葉地裁も東京高裁も最高裁も国策にひれ伏す判決を出してきた。空港会社は当然のように強制執行=農地強奪に踏み込もうとしていた。
 しかし、空港会社そのものが、九〇年代のシンポジウムの過程で「二度と強制的な手段はとらない」と約束していた。一五年には、大木よねさんに対する代執行をめぐる「和解」の過程で、小泉英政さんに対して強制的手段の行使を謝罪している。空港会社幹部自身が行なった謝罪と「強制的な空港建設の放棄」は、事実としてはっきりと確認されなくてはならない。
 空港会社の責任者たちが明言した内容は、自らの非を認めて強制執行権を放棄するということである。いまさら、市東さんに対してだけ強制執行をなし、その耕作地=市東さんの生命と生活の源泉を暴力的に奪うことが、どうしてできるというのだ!
 市東さんと弁護団、傍聴団が圧倒する請求異議裁判の法廷において、空港会社側代理人弁護士は毎回押し黙っている。黙っていても国策だから、判決は必ず空港会社に有利なものになると決め込んでいるのか? 国策ということだけで無理を押し通すような不公平で不当な裁判を、絶対に繰り返させてはならない。それは、沖縄の基地問題にも、原発再稼働にも通ずる課題である。請求異議裁判闘争に結集し、市東さんの農地を守りぬこう。

 ▼2章―3節 耕作権裁判

 市東さんの農地をめぐるもう一方の裁判―耕作権裁判では、空港会社が「同意書」「境界確認書」を偽造した疑いが強まる中で、空港公団の文書を提出することが争われ、裁判所が空港会社に対して文書提出命令を出した。空港会社が一二年に提出した文書は、一九七〇年当時に市東さんら三軒の耕作地の状況を調査したものであるが、一部が墨塗りされていた。
 空港会社代理人は、「『同意書』『確認書』で市東(東市)さんが合意をして、そこが新たに賃借地になった」という主張を今になって行ない始めた。七〇年当時に農家同士で確認した耕作地よりも、空港会社が主張の根拠とし、かつ偽造文書であることが法廷で明らかになってきた「同意書」「確認書」の方が、市東東市さんが「合意」した「正しい」ものだと主張しているのだ。
 追い詰められた空港会社側の主張は偽造の上塗りである。そのような主張をするのであれば、真実をすべて明らかにしなければならない。墨塗りではなく、空港会社にすべての証拠を開示させなければならない。
 六月二十六日の法廷では、市東さん、弁護団、傍聴団が、空港会社の証拠隠し、偽造に基づく主張を徹底的に追及した。
 耕作権裁判で勝利をもぎ取り、真実を明らかにすることによって、農地法裁判―請求異議裁判の勝利をも引き寄せていくべく、裁判闘争に結集しよう。

 ●第3章 空港会社の横暴と腐敗に対する住民の怒り

 ▼3章―1節 空港会社―四者協議会がめざす「機能強化」


 昨年九月二十七日、成田空港会社、国、千葉県、空港周辺9市町による「成田空港に関する四者協議会」(以下、「四者協議会」)は、空港会社が提案した機能強化策をそのまま確認した。つまり「夜間飛行制限の緩和」、第3滑走路計画、B’滑走路の北延伸を、地元=県・市町を含めた「合意事項」にしたということだ。
 空港会社が機能強化に固執する根底には、羽田空港の国際化との競争がある。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催時には首都圏の航空需要がピークに達すると予想されている。一時的ではあれ、航空需要が急激に伸びるときに、二十四時間化していて余力のある羽田との競争では成田が不利だという論議が、成田空港会社とそこに利権を持つ人々の間でなされてきた。
 それは一四年四月に「成田第3滑走路実現する会」を立ち上げた地元ブルジョアジーであり、それと結託した「自民党成田国際空港推進議員連盟」であった。そして、彼らの主張を「地元の要望」としてくみ上げる形式をとって、一五年九月に四者協議会が開催され、そこにおいて機能強化策が協議されてきた。
 しかし、いくら急いだところで、需要増の根拠とされた東京オリンピックまでに第3滑走路が建設できるわけではない。当面の羽田との競争において、成田空港会社が実現しようとしているのは夜間・早朝の飛行制限の「緩和」である。国際化した羽田と伍していくために会社が企図しているのは「ナリタの二十四時間化」なのだ。
 この空港会社と地元ブルジョアジー、利権政治家たちに与して、「周辺住民のため」と称して成田空港機能強化の推進役となっているのが、かつて三里塚闘争を担いながら、闘争から脱落した石毛博道、実川治雄、相川勝重などが主導する「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」(以下、「有志の会」)だ。彼らは、第3滑走路計画が浮上する中で、この利権分配に積極的に参加することが地元のためだと公言して、機能強化策による空港被害の全面的拡大に荷担しようとしている。
 「有志の会」が一六年七月に発行した二冊目のパンフレット「よくわかる『成田第3滑走路』周辺住民のための用語解説」には、今巻き起こっている住民の憤激に真っ向から敵対し、住民の正当な主張を押し潰すことを企図した文章が書き連ねられている。
 飛行禁止時間を「カーフュー」と表記した上で、「カーフューを設定せずに運用されているのが『二十四時間空港』です。世界的には二十四時間空港が一般的です」とした上で、「成田も二十四時間空港にして、騒音対策を充実させたほうが良いという意見があります」などとしている。成田空港会社の主張する飛行制限時間の短縮を飛び越えて「二十四時間空港」を主張しているのだ。
 彼らがその主張の根拠としているのは、深夜から未明は公共交通機関が動いていないから、二十四時間空港化しても深夜の離着陸は貨物便程度で、それほど増えない、という勝手な見通しである。そして、第3滑走路建設推進と一体の根拠なのだが、現在の主流の航空機は「低騒音型機」で「騒音対策も充実してきた」などと、空港被害の過小かつ楽観的な評価を勝手に書き並べているのだ。
 「有志の会」は、まるで住民の利害を代表しているかのように偽って主張する。この飛行制限時間短縮問題だけを見ても、住民の立場どころか、完全に空港会社の立場で、事実を捻じ曲げて主張を行なっているのだ。次に見るように、昨年から本年前半期に空港周辺地域住民が、自らの生活を守るために真剣に考えて立ち上がってきている状況を見るならば、三里塚闘争と新たな住民運動に対する敵対―妨害活動であると断ずる以外にない。

 ▼3章―2節 周辺住民の怒りと「飛行制限緩和見直し案」のペテン

 この空港会社の機能強化攻撃は、空港周辺地域住民に対して、昨年十月からの「地元説明会」としてなされてきた。空港会社は、四者協議会での確認をもって「地元の合意」がとれたと捉え、形式的アリバイ的に「説明会」を実施すれば次の段階へ進めていけると想定していた。
 しかし、現在でも成田の航空機騒音は限界を超えている。これ以上、最低の睡眠時間すらも破壊する形で時間制限をなくしていこうとする会社に対して、各地で住民たちは大きく反発した。横芝光町の「地元説明会」では「四時間しか眠るなということか」「国の政策の犠牲になるのはまっぴらだ」と怒号がとんだ。
 住民の怒りは、各地の説明会で爆発しただけではない。芝山町、多古町、横芝光町など各地で、声明や要望書がまとめられ、千葉県、成田空港会社などに対して相次いで提出されている。また、横芝光町など各地で、反対の看板を立てる自主的な動きが始まっている。住民の憤りが行政を突き上げている。
 四月六日、「横芝光町航空機騒音等対策協議会」は千葉県知事・森田健作に対して「夜間飛行制限緩和反対」の要望書を提出した。この要望書には地域振興策を要求することが併記されており、最初から条件闘争ではあるのだが、反対を明記せざるをえなかったことが重要である。地元に充満する夜間飛行制限短縮反対の住民の意見が無視できないものになっているのだ。
 四月十九日には、四者協議会に参加している成田市長など「成田空港圏自治体連絡協議会」の9市町の首長が「飛行制限緩和の一部見直し」なる要求をまとめ、五月八日に知事に対して要望書として提出した。成田市長小泉は「夜間飛行制限の緩和についてはとても認められない」などと言い始めた。森田と周辺自治体首長らは五月十一日、国土交通大臣石井啓一に対して「夜間飛行制限緩和の一部見直し」なる要望を行なった。
 「地元説明会」での批判、怒号に恐れをなした地元首長どもは、県に対して、国に対して「要望」を出すポーズをとった。地元の反対の声は、「見直し」と改竄され、さらに「一部見直し」という要望に弱められた。森田はこの「要望」の後に「県としても騒音地域の設定、地域振興策はしっかりやっていきたい」などと白々しく記者会見した。
 六月十三日に開催された四者協議会で、国と成田空港会社は夜間飛行制限短縮の見直し案なるものを提示した。昨年確認した飛行時間の「三時間延長」を見直して、「一時間延長」にするというものである。
 しかし、これはトリックである。空港会社の計画は、現在の二本の滑走路のうち、A滑走路はオリンピックに向けて先行的に現行の「午前六時から午後十一時まで」を「午前六時から翌日午前〇時まで」とし、かつ、「やむを得ない事情がある場合は、午前〇時半まで」とする。その上で、B滑走路の再延伸、C滑走路の新設後には、滑走路ごとに午前五時から午後十一時、午前六時半から翌日午前〇時半とする「スライド運用」を行なうというものである。
 一本の滑走路について一時間ずつだが、「スライド運用」ゆえに空港としての運用時間は二時間半延長できるというものである。「滑走路ごとには六時間ずつの運用だ」という珍奇な論理である。こんなことが実施されれば、航空機騒音の止まる時間は〇時三十分から五時までの四時間半だけになるということではないか。「四時間しか眠るなということか」という住民の怒りが、こんなペテンで解決できる訳がない。

 ▼3章―3節 危険きわまりない暫定滑走路の運用を即刻停止せよ

 七月十五日、成田空港の暫定滑走路でオーバーラン寸前の危険な離陸がなされた。
 十五日午後十時四十分ころに暫定滑走路南側から離陸した航空機が、滑走路南端を過ぎても上昇できず、低空で離陸したため、空港のフェンス上の侵入防止用警報線を切断してしまい、警報音が鳴り響く事態になった。
 航空機がフェンスに接する事態であり、明らかに離陸の失敗である。数メートル、数センチメートル低ければフェンスに激突し、オーバーラン事故に至るような事態だったのである。そもそも、通常の離陸ができても農家の上空四十メートルを飛行するなどという殺人的な運用を日々強行しているのである。
 この離陸失敗がオーバーラン事故に至っていれば、東峰地域全体を悲惨な事態に巻き込むことになったであろう。こんな危険な暫定滑走路の運用をこれ以上続けてはならない。そもそも北総台地は、その地形、気象条件からダウンバーストが発生しやすく、空港用地として不適格なのである。成田空港建設の計画そのものが間違っていたのだ。
 成田空港会社は「第3滑走路建設計画」を主張しているが、現在の二本の滑走路そのものが「用地内」農民をはじめとした周辺住民の生命、生活と相容れないのである。とりわけ、B滑走路として運用している滑走路は、暫定滑走路を延伸させてむりやり運用し、さらなる延伸を主張しているのである。
 しかし、無謀な計画の下に運用を強行し続けている暫定滑走路は、天神峰・東峰の住宅・農地に接近しすぎて危険極まりない。市東さんの農地の強制執行など本末転倒である。北原事務局長が断言してきたとおり、空港は廃港にしなければならない。それが唯一の解決の道である。
 まずもって、暫定滑走路の運用を即刻停止せよ。

 ▼3章―4節 成田空港会社の本質をあらわにした汚職事件

 七月五日、成田空港会社の上席執行役員で保安警備部長だった栗田好幸が、収賄の容疑で警視庁に逮捕された。
 成田空港会社は民営化されたことになっているが、100%国が出資している会社である。そうでありながら、二百万円未満の物品購入に関しては随意契約ということになっており、栗田はこの制度を悪用して、契約会社を恣意的に選定して賄賂を受け続けていたのだ。
 空港公団―成田空港会社は、成田空港建設を国策として進めてきた。その実態は、農地の強制収用をはじめ、札束と暴力で農民の生活を奪い去るものだった。用地買収、警備対策に莫大な税金をつぎ込み、公団職員―空港会社社員は、それを勝手な判断で浪費し続けてきている。そのような空港会社の体質こそが、この収賄事件を生み出したのだ。
 栗田は、物品購入で事件を起こしたのだが、保安警備部長として警察、警備会社との連絡調整役のトップであった。空港会社は行政権力、警察と一体となって、農地強奪を行ない、警備と称した弾圧を続けてきた。農民、住民に対する暴力的で尊大な対応を続けてきた空港会社は、その経営体質そのものが腐りきっているのである。
 成田空港廃港のたたかいは、このような腐敗した国策会社を解体することでもあるのだ。

 ●第4章 反基地闘争、反戦闘争と結合して三里塚の勝利をかちとろう

 ▼4章―1節 朝鮮戦争阻止の今秋期攻防を断固たたかおう

 米帝―トランプの排外主義的で短絡的好戦的なツイッター政治によって、朝鮮戦争危機がますます強められている。
 八月二十一日から三十一日、朝鮮民主主義人民共和国の中止要求を踏みにじって米韓合同軍事演習乙支(ウルチ)・フリーダム・ガーディアンが強行された。そしてこれと連動して、八月十日から二十八日、北海道では日米共同実動演習ノーザンヴァイパーが強行された。東アジアの軍事的緊張は一挙に高められた。米帝は、戦略爆撃機B1Bによる朝鮮民主主義人民共和国空爆―金正恩殺害を準備し、戦争重圧をかけ続けている。
 安倍政権は、この朝鮮戦争重圧を終らせるための方策をとろうとするのではなく、軍事的緊張に乗じて米帝との軍事同盟関係強化を確認することに躍起となった。防衛相小野寺は、戦争法発動をもって集団的自衛権行使に踏み込むことを準備している。米帝への追随などではない。朝鮮侵略反革命戦争に、同盟国として主体的主導的に参戦することを狙っているのだ。
 日米帝の重圧に対して、金正恩政権は弾道ミサイル発射実験、核実験をもって対抗している。われわれは、反核―被爆者解放の立場から、帝国主義の核武装と同時に、防衛的であろうとも共和国の核実験に断固反対する。
 しかし、現前で生起している事態に対して、日本労働者階級人民が問われていることは何かということが重要である。
 朝鮮戦争阻止の反戦闘争こそが、日本労働者階級人民の歴史的血債をかけた第一級の任務である。
 戦争―他民族殺戮を拒否し、阻止するために、あらゆる手段をもって反戦闘争に立ち上がることが厳しく問われている。現在の朝鮮戦争重圧激化の情勢下で、戦争動員攻撃を打ち破る反帝闘争拠点―三里塚から、今一度日本の反戦闘争を切り拓くことが重要である。
 三里塚闘争は、その運動の開始時点から、軍事空港反対をはっきりと掲げたベトナム戦争反対の農民闘争であった。当時の航空需要の急増はベトナムへのチャーター便によるものだった。それは現在でも変わらない。一旦戦争となれば、米軍基地、自衛隊基地ばかりでなく、空港、港湾は軍事的要衝となる。現代の戦争が総力戦となる以上、国内資源・施設は軍事優先で使用されることは必至である。
 北原さんをはじめ反対同盟農民は、自らの戦争体験にもとづき反戦闘争として空港反対闘争をたたかい抜いている。この反戦の砦としてのたたかいが今こそ問われている。三里塚の反戦勢力が総結集している状況こそが、安倍政権のめざす国内戦争総動員体制を打ち破ることになる。10・8三里塚への総決起を、反戦闘争―安倍政権打倒闘争としてたたかおう。

 ▼4章―2節 三里塚全国決起から日帝打倒へ

 生前元気であった北原事務局長は「まず三里塚で勝利しようじゃないか」と提起し、三里塚のたたかいが反戦闘争、反基地闘争、反差別闘争などさまざまなたたかいに波及することを語った。そこには、三里塚のたたかいは三里塚だけで終るのではなく、現在の社会の矛盾総体に対してたたかうのだという決意も込められていた。
 昨年十月二十五日の農地法裁判最高裁上告棄却決定以降、市東さんに対する強制執行攻撃を押し返した反対同盟は、強制執行阻止決戦情勢の中にあって、天神峰の決戦本部を軸にして大衆運動の再興へと踏み出してきた。反基地運動、反原発運動を始めとした全国の住民運動の結合を強め、全国から三里塚に結集する運動が徐々に始まっている。
 市東さんを先頭にした反対同盟の不屈のたたかいが、成田空港「機能強化」という名の空港被害拡大攻撃に憤る周辺住民の立ち上がりと結びつきつつある。
 上述した空港会社の腐敗どころではない。安倍政権、安倍晋三自身が権限を私物化する腐敗しきった姿をあらわにし、労働者人民の批判は大きく高まっている。戦争法、共謀罪、そしてさらに改憲に突き進もうとする安倍右翼反動政権に対して、人民の怒りを集中できるのかということが問われる状況にある。
 三里塚闘争が直面する市東さんの農地強奪阻止をめぐる決戦を、われわれは反対同盟とともに断固たたかいぬく。そして同時に、このたたかいが、反戦闘争、反基地闘争、反原発闘争、反差別共同闘争に直結していることをはっきりと確認しておかなくてはならない。
 辺野古新基地建設工事の差し止め訴訟を提訴した翁長知事を先頭にした「オール沖縄」のたたかい。岩国基地への移駐が集中する米軍再編攻撃と対決する岩国市民のたたかい。原発再稼働阻止のたたかい。朝鮮戦争重圧と一体に強まる民族排外主義、差別排外主義との対決。戦争法、共謀罪法の発動攻撃と対決し、反動法を廃止に追い込むたたかいが問われている。
 北原事務局長追悼、市東さんの農地強奪阻止を掲げて10・8三里塚集会に全国から結集し、この反帝決起から安倍政権打倒へと、今秋期攻防をたたかい抜いていこうではないか。


 

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