共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

  
   11・25―26岩国現地に結集しよう

     
東アジアの平和を開くために岩国基地強化と闘おう!


 
 緊迫する朝鮮半島情勢の中、岩国基地は東アジア最大の航空基地として中心的な位置に押しあげられようとしている。米軍再編ロードマップの当初計画からははるかに遅れているが、岩国基地再編は二〇一八年春までに厚木基地からの艦載機移転を終了し、一応の完成をみようとしている。しかし、それは、岩国基地が本格的な戦争拠点として稼働し始めるスタートともいえる。
 朝鮮戦争は一九五三年の休戦協定以来六十四年間休戦状態のまま経過している。公式には戦争は終わっていない。その中で、アメリカは韓国と日本に大規模な米軍の駐留を継続し、朝鮮半島をとりまく軍事演習を切れ目なく続けている。これ自体強烈な軍事恫喝である。さらに、経済制裁で朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)の国力を疲弊させ、今年三月からの米韓合同軍事演習では「斬首作戦」と名付けた上陸演習で、敵国の首長を暗殺する訓練を繰り返し実施している。日本政府はこのような軍事緊張を米軍と共に一層強めようとしている。
 労働者・市民は戦争の発動を決して許さず、国際連帯と対話による平和協定の締結へと歩みを進めるよう、反戦・国際連帯の運動を強めよう。民衆の力で朝鮮半島の平和を実現しよう。
 岩国住民の粘り強い米軍基地強化反対のたたかいと、全国の基地反対闘争を固く結合し、米軍基地をアジアから総撤去させるたたかいをつくろう。十一月二十五日・二十六日の二〇一七岩国行動に結集しよう。

 ●1章 始まった米空母艦載機の移駐

 福田岩国市長は六月二十三日、岩国基地への米空母艦載機の移転容認を表明した。八月九日には、E2D早期警戒機五機が第一陣として移転した。いよいよ米空母艦載機移転が始まった。
 今年十一月には第二陣としてFA18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機、EA18Gグラウラー電子戦機などが順次移駐すると言われている。移駐するのは、横須賀基地(神奈川県)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンに艦載され、厚木基地に駐留する部隊が運用する計六十一機。内訳は戦闘攻撃機FA18四十八機、電子戦機EA18G六機、早期警戒機E2Dアドバンスドホークアイ五機、輸送機C2グレイハウンド二機。岩国の航空機は計約百二十機となり、米軍関係者の総数は一万人を超え嘉手納基地と並ぶ東アジア最大級の拠点基地となる。
 艦載機の移転とともに、飛行訓練の移転も重大な問題になっている。
 米軍は、空母艦載機が陸上滑走路を空母の飛行甲板に見立てて、タッチアンドゴーを繰り返すFCLP(陸上空母離着陸訓練)を原則、硫黄島で実施しており、国は七月、「艦載機移転後は硫黄島へ岩国から直接向かい、厚木は利用しない」と地元へ伝えている。しかし、八月九日に移転したはずのE2Dが何度も厚木基地に再飛来し、八月末までの間に離着陸訓練を繰り返し行っていたことが確認されている。「負担軽減」に逆行するもので、結局、米軍の都合次第で厚木基地でも訓練が行われることにされている。
 岩国市でも艦載機受け入れの条件で「FCLPを実施しない」ことになっている。国は恒常的なFCLP施設の候補地に馬毛島(鹿児島県)の購入方針を示し、施設整備まで「米軍が引き続き硫黄島で訓練すると確認できた」と説明した。だが、硫黄島の悪天候時に使う予備施設として岩国基地も指定されている。岩国では、第一陣移転直後、岩国日米協議会の確認事項である、盆期間の飛行禁止の約束を破り、E2DやFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機が岩国基地を離着陸し、住民からの苦情が岩国市に殺到した。七月には五時間に及ぶ夜間の市街地上空での訓練も強行されており、まさに米軍のやりたい放題の訓練が基地周辺の住民を不安と苦しみの中に突き落としている。
 日本政府は、米軍機の運用について「米軍の運用に関わる」として自治体側に情報提供していない。

 ●2章 事故が相次ぐ岩国基地

 岩国基地の所属機、飛来機の事故が続いている。この一年だけでも二〇一六年十二月七日高知沖でホーネット墜落、十二月十七日名護市安部でオスプレイ墜落、二〇一七年八月五日オーストラリアでオスプレイ墜落。この事故の直後、防衛省も飛行自粛を求めていたが、すぐ容認に一変し、八月十一日から十二日には岩国基地にオスプレイ計十機が飛来した後、八機が三沢基地へ移動し北海道での日米共同訓練に参加した。残った二機のうち一機は二十九日に白煙を上げて大分空港へ緊急着陸した。同機は前日岩国基地でエンジントラブルを起こし白煙を上げていたにもかかわらず飛行を強行した。また六月六日にも沖縄県伊江村の米軍伊江島補助飛行場に緊急着陸していたことが分かっている。修理後の九月八日に岩国に移動し、九月九日には普天間基地へと戻った。もう一機は岩国基地にとどまり、一カ月以上にわたり整備・点検・試験飛行を繰り返した。さらに九月六日KC130空中給油機が、四つあるプロペラのうち一つが止まった状態で岩国基地に着陸。九月十五日F16戦闘機が緊急着陸し、消防車や救急車が出動する騒ぎになっている。
 また、八月十七日に岩国基地で滑走路を共同で使用する海上自衛隊機CH101が荷物をつり下げて運ぶ訓練中に横転し乗員四人が軽傷を負った。

 ●3章 米軍機の危険と騒音にさらされている日本の空

 事故の多発に抗議し、飛行の停止を求める市民の声や、自治体の要請にもかかわらず、米軍は好き勝手に日本の空を飛行し続けている。はげしい騒音への訴えも被害の賠償はしても飛行を制限するには至らない。いつ米軍機が上空を飛行し、騒音に襲われるか判らないなかで、生活が脅かされている。
 米軍機の飛行について政府から自治体へ情報提供する制度はない。そもそも、日米地位協定では、航空特例法で国土交通省への飛行計画の通報義務も適用除外となっており、日本政府も米軍機の運用に関する情報を提供されていない。日米地位協定では、日本側にオスプレイを含む米軍機の飛行を制限する権限はなく、基地や民間空港への米軍機の出入りを認めており、国内の飛行場を自由に行き来できる。事故が続くオスプレイについては国内配備前から事故が相次いだため、各地の防衛局職員が米軍基地での運用状況を目視で確認するなどし、関係自治体へ情報提供しているのが実態だ。飛行目的や訓練内容については不明である。このような状況では、事故が起きても安全は優先されず、またすぐに飛び始める。
 朝鮮半島の軍事緊張が強まる中で、米韓・日米の軍事演習は規模も頻度も強まり、米軍の訓練も増えている。これに応じて米軍基地を離発着する米軍機の頻度も増加している。日本の上空は極めて危険な状態に置かれている。
 日米地位協定のただちの改定と、米軍基地の総撤退を求めてたたかおう。

 ●4章 異議あり!「基地との共存」

 六月二十三日、福田市長が艦載機受け入れ容認を表明するや、岩国現地では、すぐさま市庁舎前公園で緊急抗議行動が開催された。
 移駐反対の議員連盟七人は、福田市長不信任緊急動議へと至る議会での攻防の報告を行い、容認を許してしまった謝罪を行った。これに応え、「異議あり!『基地との共存』市民行動実行委員会(岡村寛代表)」に参加する各団体は、福田市長の移駐容認を弾劾し、「たたかいはこれからだ」「黙って再編を通すことはない」と、二〇一七年米軍再編攻撃に対する新たなスタートを誓いあった。
 平坦な道ではないが「基地との共存」政策をあらゆる面から批判し、再度岩国市民の総決起を実現していく第一歩である。
 これから始まる岩国基地機能強化によって激化する訓練・演習による基地被害への抗議闘争。そして、基地被害の原因である基地機能を拡大し、侵略と虐殺の最前線基地へと変貌する基地の存在そのものを許さない取り組みを、岩国市民、愛宕山地区住民ともに、先進的労働者は、その全体の攻撃とのたたかいを担うことが求められる。
 しかし、これまで、「本土」での反戦・反基地・反安保闘争は、地元住民決起に応え、連携した共同闘争を十年・二十年のスパンで継続することができていなかった経過がある。地元と繋がり、軍事演習阻止、基地撤去、安保粉砕闘争を継続して取り組んだ経験の歴史は浅いと言える。
 戦後、米軍砲弾射爆場建設・訓練阻止をたたかった内灘闘争、砂川基地拡張反対闘争など、連綿とたたかわれてきた反基地・反安保闘争をも継承し、継続した地域ぐるみの攻防に結びつき、かつ、反基地、反安保を掲げた全国的闘争へと発展させる共同行動を粘り強く組織していくことが問われている。
 「基地との共存」拒否のたたかいと侵略拠点化阻止のたたかいを、地元と全国の労働組合、社会団体が連携して共同行動へと高めていく課題は共通である。この脈絡の中で、岩国の十二年に及ぶ、米軍再編阻止・艦載機移駐阻止、「基地との共存」NO! の共同行動の意義を捉え返していくことが必要である。
 「これ以上の基地強化は許さない」「子孫のために平和な未来を残したい。創ろう」「基地に依存しない自立した経済を求めよう」を内容として、岩国市民・愛宕山地区住民は十二年間の取り組みを継続してきた。
 岩国住民は、二〇〇六年の3・12住民投票で民意を示し、それ以降も議会内外の連続した取り組みや市民大集会を組織してきた。また、その攻防の一環として四つの裁判をたたかってきた。二〇一六年一月姫野選挙では自立した街づくり政策を訴えるなど、常に市民全体に訴えて地域ぐるみの取り組みが追求されてきた。地域で平和に生きる生活、生存権をかけて、巨大な日米同盟とたたかってきたのである。それ故、いま、二〇一七年再編攻撃との攻防過程で、再度、地域ぐるみの取り組みとつながる全国各地の反基地・反安保闘争との目に見えるほどの共同行動が何よりも求められている。
 朝鮮半島をにらむ航空攻撃基地の巨大さに対峙して、平和的生存権や国際連帯を決してあきらめない。日米両政府による基地拡張と機能強化に反対し、そして、基地そのものを取り除く希望を捨てない。そんな地域ぐるみの取り組みと全国的共同の道を歩むものとして二〇一七年の攻防は存在している。決して平坦な道ではないが、次の十年に向けて訴え続け、「岩国で勝つ」取り組みを大きく前進させよう。
 そのための現地でのベースは、「愛宕山を見守る集い」である。情報を共有し、様々なたたかいを知り、互いに励ましあい、どんなに大変な時でも継続されてきた。これを、共同の力で、二〇一〇年のスタート当時を上回る参加へと広げよう。
 「辺野古に土砂を送らせない!」と九州や瀬戸内でたたかう仲間たちの声や、「愛宕山を見守る集い」で訴える人々の姿は、沖縄の辺野古現地で反戦・反基地を訴えるおじい、おばぁと同じ姿だ。
 このベースの上に、新しい共闘への踏み出しも始まっている。愛宕山を守る会代表の岡村寛さんは、上関原発建設撤回を求める県民大集会において、岩国地区からの参加者を代表して「岩国と上関の共闘」を呼びかけた。また各地の反基地運動に参加し、精力的なアピールを続けている。
 たたかう労働者・労働組合によって構成されている岩国・労働者反戦交流集会実行委員会は、現地とのエール交換やのぼり旗基金の創設など、年間を通して岩国住民の地道なたたかいを支援し続けるとともに、現地攻防や岩国行動には全国各地から結集し、参加を組織してきた。二〇一七年は、いっそう岩国反基地五団体や個人との連携を強め、沖縄や神奈川、横田、京都Xバンドレーダーなどの反基地闘争と結びつき、安倍自民党を先頭とする戦争・改憲勢力と対決するより大きな流れへと前進することが問われている。

 ●5章 今こそ労働者反戦闘争が重要だ!

 いま安倍政権が進めている戦争国家化は、政府・資本に対抗する民衆運動や労働者・労働組合の力が弱まり、また相対的下層が拡大し失業と貧困の恐怖にさらされている土台の上に、民衆を巻き込んで進められようとしている。社会的不満や閉塞感は他国や弱者に向かい、反戦平和運動の弱体化・民衆とのかい離が問題になっている。
 そんな中、朝鮮半島の戦争情勢を奇貨として、政府、右派、マスコミまでが一体となって排外主義キャンペーンが打たれている。スペースシャトルや国際宇宙ステーションのはるか上を飛んでいるものを「日本上空」といい、発射地点よりも遠くの海に落ちたものを「襟裳岬沖」という。ミサイルが飛んだといえば役にも立たない「空襲警報」(Jアラート)で大騒ぎをする。ところがパニックが起きるからと首都圏では一切鳴らさないという無意味ぶりをさらけ出した。いや、意味はある。日本人民に「共和国は怖い。共和国が全部悪い」という排外主義を刷り込むことが最大の眼目だ。そしてそれは確実に成功しつつある。冷静な議論は煽られた不安に対抗できず、まともな意見は大手メディアに居場所がない。いわゆるリベラル派はもちろん、社民、共産に至るまで冒頭に示したようなアメリカ帝国主義による核恫喝、経済制裁、米韓軍事演習や「斬首作戦」計画・訓練といった共和国に対する戦争挑発には意図的に口をつぐみ、共和国の核実験・ミサイル開発という共和国による戦争挑発ばかりを語っているという体たらくとなっている。
 自ら排外主義を煽りながら安倍は森友・加計の疑惑隠しと憲法改悪の一挙両得を狙って、解散総選挙に打って出てきた。対抗して躍り出た小池百合子も日本会議メンバーで改憲論者、名うての極右である。最悪の場合、極右二大政党制が実現しかねない情勢となっている。
 一旦、解散総選挙となったので、臨時国会で狙われていた反階級的な諸法案、労働基本法改悪(高度プロフェッショナル法=いわゆる残業代ゼロ法など)、精神保健福祉法改悪(本人の意思によらない精神障害者の強制入院の強化・警察の関与=保安処分)などは水入りとなった。しかし、安倍―小池―右翼反動勢力が主導する厳しい選挙情勢が推移する以上、通常国会では改めて攻撃が進められるだろう。
 行政施策、単に企業の非正規差別の抜け道指南に過ぎない「同一労働同一賃金」などは官僚たちによって「粛々」と進められている。既定路線の介護保険改悪も同様だ。すでに要支援一、二の新総合事業への移行(国から財政が厳しい地方自治体への責任移管、当然多くの自治体で報酬カット)は実施された。すでに事業所の倒産や閉鎖、これに伴う介護難民のさらなる拡大が起きている。一定所得以上の受給者に対する自己負担割合の増額も進められている。
 司法においても、非正規差別を問う労働契約法二〇条裁判がたたかわれている。今のところ、画期的勝利を勝ち取った郵政二〇条裁判(東京)以外は地裁全敗である。原発関係の裁判も大津と福井で運転差し止めの仮処分が認められた以外は全敗。朝鮮学校の高校無償化裁判では、大阪地裁では勝訴したものの、広島と東京では敗訴という状況である。辺野古裁判、三里塚裁判は言うに及ばず(ご存じ多見谷!)。このように階級的課題が問題となった裁判では一部の裁判官が法律の文言に基づいて良心に従った判決を書いた以外は、どいつもこいつも「忖度」判事ばかりというありさまである。
 以上のように安倍を前面に立てた資本家階級は排外主義と戦争国家化(国外的には戦争法、国内的には共謀罪)、反階級政策を三権一体で攻撃をかけてきている。これに対して、わが労働者階級側はどう対抗しているであろうか。
 そもそも二〇一六年時点で日本の労働組合組織率は17・3%、とても多数の労働者を組織しているとは言えない。また最大勢力の連合は、原発再稼働や輸出賛成という反階級的政策の片棒を担いでいるありさまだ。今年三月には残業上限規制を百時間未満(過労死ラインよりも上!)で容認し、七月には高度プロフェッショナル制度(=残業代ゼロ法)をほとんど意味のない条件を付けて受け入れようとした。これはさすがに連合内部からも突き上げがあり撤回されたが、このような連合主流派並びに上層部の状態では多くの労働者から労働組合への信頼が失われるのも致し方ない面もある。
 だが、本来労働組合は小さくは仲間の職場での権利を守り、大きくは労働者階級全体の利益を掲げて資本家階級に対抗する階級形成と団結の核である。そして、今は多数派であるとは言えなくても原則的な組合の旗を守る仲間たちは全国にいるのだ。前記した階級攻撃の最前線で旗を掲げているのはこうしたたたかう労働組合である。そしてこれらの組合こそが岩国のたたかいに結集している岩国・労働者反戦交流集会実行委員会の仲間たちなのだ。職場闘争と階級闘争、反戦平和のたたかいを結合して資本家階級の攻撃に対抗できるのは今のところこの部分しかない。排外主義言説が吹き荒れる中で「それは違う。まず共和国への挑発をやめろ。お前たち(資本家階級)の戦争には参加しないぞ!」と公然と街頭に旗を掲げることができるのはこの部分しかない。本当は労働者階級の大部分は安倍の後ろについて行ったってろくなことがないことはわかっているのだ。労働者階級の希望は、安倍にはもちろん、ファシスト小池百合子のもとにはない。原則的にたたかう労働組合への結集と成長にこそある。
 また、こうした質のたたかいはすでに全国で展開されている。佐世保、神奈川、横田などの反基地のたたかいはたたかう労働組合がけん引している。全港湾、全日建などの産別組合は戦争法反対闘争の中でスト権を行使したし、ここに全国一般全国協議会を加えた三単産共闘は現地と地元を貫いて沖縄闘争をたたかっている。北九州の全港湾は辺野古埋め立て土砂搬出阻止のたたかいを担っている。全国一般全国協は被曝労働者支援のたたかいを担っている。介護関係の労働組合は高齢者・障害者との共生共闘を掲げ、ナショナルセンターの垣根を乗り越えるのはもちろん、高齢者も障害者も中小の事業者まで巻き込んで福祉分野の階級要求を打ち出している。最低賃金を上げさせる運動、改憲反対のたたかい、反原発のたたかいなど。階級闘争の最前線には常にたたかう労働組合の旗がある。
 岩国のたたかいはこうした仲間たちの結集の場としても、したがって労働者階級の反転攻勢の拠点としてもまた存在しているのだ。

 ●6章 11月25日―26日、2017岩国行動へ

 岩国基地の騒音や戦闘機の墜落の危険性に苦しめられ続けた岩国住民の悲願であった滑走路の沖合移転計画を逆手にとって、日本政府と米軍は、米軍再編計画で米軍基地の拡大・強化にすり替えた。
 この計画は、愛宕山を削り、基地の沖合いを埋め立てて、滑走路を一キロメートル沖に移設するというもので、愛宕山の地権者も基地周辺住民の被害が減るものと信じて買収に応じた。県や市が策定した愛宕山跡地の開発計画(病院・教育機関・住宅などのニュータウン計画)は市を活性化する希望として宣伝された。しかし、愛宕山からの土砂運搬が終わった後、二〇〇九年に都市計画は白紙撤回され、県と市には二百五十億円もの負債が残された。さらに、県と市は莫大な負債を口実に愛宕山跡地を国に売却し、厚木基地から米軍空母艦載機の移転とそれに伴って移転する米兵・軍属と家族のための米軍住宅・スポーツ施設に転用した。
 いまや、市内の中心に位置する愛宕山跡地には、米軍住宅「あたごヒルズ」が完成し、周囲を鉄条網で囲った新たな米軍基地が誕生した。岩国米軍基地は沖合への埋め立て拡張に加えて愛宕山跡地の広大な基地敷地を加え、一万人以上の米軍人、軍属とその家族が住む一大軍事都市へと変貌した。
 海外で初めて配備されたF35B垂直離着陸可能なステルス戦闘機等の出撃基地、MV22オスプレイ垂直離着陸輸送機の運用基地機能を高め、米軍再編の軸として強化が進められている。
 岩国市民はこの計画が明るみに出て以降、これ以上の基地負担を拒絶すると反対運動をたたかってきた。二〇〇六年には艦載機移転の是非を問う住民投票を実施し、過半数の市民が反対の意思を表示し、今でも粘り強い反対運動が続いている。毎月三回、「愛宕山見守りの集い」を行い、家々には反対ののぼり旗を上げ続け、米軍機の配備や事故のたびに抗議の声を上げている。
 岩国行動は岩国住民のたたかいに連帯し、毎年岩国で米軍基地撤去と国際連帯で戦争に反対するたたかいを続けている。十二回目を数える本年の集会は、とりわけ重大な意味を持っている。
 衆院選挙が迫っている中、戦争へと向かう動きに対する徹底したたたかいが求められている。秘密法・戦争法・共謀罪と戦争に向けた法整備をなし、日米軍事一体化を強引に進めてきた安倍政権を打倒することはもちろん、戦争・改憲勢力である希望の党もうち倒していかななくてはならない。
 民衆同士を殺し合わせる戦争を、労働者人民は決して望んではいない。戦争国家化はむしろ深刻な生活の苦しさを拡大し、労働強化をもたらすものだ。いつの時代も為政者は外に敵を作ることで、国内の人民を統合し、戦争に駆り立ててきた。マスコミも含めた全権力が戦争政策、排外主義、反階級政策を進めている中で、日々の運動と結合した反戦・国際連帯のたたかいが、その真価を問われている。沖縄をはじめ、横田、神奈川、京丹後、呉、佐世保など各地の反基地のたたかいを固く結合し、排外主義扇動を乗り越えて労働者の反戦・平和、国際連帯を実現するために、岩国現地に集まろう。戦争を止めるのは労働者・民衆の力だということをたたかいをもって示そうではないか!


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.