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■2016岩国行動に全国から結集を 安倍政権の戦争攻撃と対決する反戦反基地闘争の高揚を 十二月十日、十一日の二日間、今年の岩国行動が開催される。 いま、安倍政権のもとで、新たな基地建設・強化が全国で急ピッチに推し進められている。辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設、岩国基地強化の来年二〇一七年完成策動、京丹後米軍Xバンドレーダー基地拡張、来年からの横田へのオスプレイ配備開始など、全国で基地新設・強化が進められている。来年、二〇一七年は、全国で基地強化の大きな節目の年となる。そして、米軍基地新設・強化と戦争法にもとづく自衛隊の海外派兵が一体のものとして進んでいる。沖縄を始め全国で、反米基地闘争と日米軍事同盟の強化とのたたかいは切迫した課題となっている。 この情勢のなかで、アジア共同行動日本連絡会議、一六岩国・労働者反戦交流集会実行委員会、「岩国☆希望の祭」実行委員会が取り組む「二〇一六岩国行動」に全国から結集し、ともに反戦反基地闘争の高揚を切り拓いていくことを訴えたい。 ●1章 二〇一七年岩国基地強化の全貌 海兵隊基地である岩国米軍基地がいよいよ来年、大幅に強化されようとしている。では、岩国米軍基地はいったいどのようなものとなろうとしているのだろうか。 その最大の問題のひとつは、厚木基地からの空母艦載機五十九機(ホーネット、スーパーホーネットなどの戦闘攻撃機部隊で構成される第五空母航空団)の岩国移駐である。厚木基地も日米共同基地である。厚木基地は、横須賀基地を母港とする米第七艦隊の艦載機の陸上基地である。この空母艦載機を岩国に移駐するということは、当然にも、空母そのものが岩国に寄港することも必要になってくる。日米両政府は明らかにはしていないが、将来岩国への空母寄港が常態化していく可能性がある。現に、拡張された岩国基地は空母が接岸できる水深と構造をもったものとして作られた。また、艦載機の離発着訓練場も近辺に建設される可能性が高く、そのための候補地もこれまで幾度か取りざたされてきた。 艦載機の岩国移駐という問題は、それによって、さらなる新たな基地強化を生み出していくのである。日米両政府は、そのことを充分に承知しており、来年の岩国基地強化が実はさらなる基地強化への新たな出発点となることを見越しているのである。 その意味では、日米両政府は、一貫して岩国市民をだましているといってよい。それを端的に示すのが、さる八月末に米海軍によって公表された岩国基地への米海軍オスプレイの二機配備である。米海軍オスプレイの岩国配備は二〇二一年から二六年だと発表された。これは、横須賀を母港とする米第七艦隊の原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機として配備されるのであり、岩国基地への五十九機艦載機移駐とセットなのである。このオスプレイ岩国配備は、今夏に初めて明らかにされた。 このように、基地の強化がまた新たな強化を強いてくるという歯止めない基地強化の悪循環が生み出されていかざるをえないのである。 岩国基地強化は、これらにとどまらない。すでに、二〇一五年には、普天間基地から空中給油機KC―130部隊十五機が岩国に移っている。また、最新鋭戦闘攻撃機であるF35Bの岩国配備(十六機)は、来年から開始されようとしている。 岩国に配備されるF35Bは、海兵隊仕様のステルス戦闘機、垂直離着陸機である。このF35の米本土以外への配備は、米軍にとって岩国が初めてとなる。ステルス戦闘攻撃機は、レーダーにとらえられずに敵地深くまで進入し攻撃するためのものであり、なかでもF35は最新鋭機として国際的にも位置している。 加えて、岩国基地は、すでに普天間基地に配備されているオスプレイの「本土」低空飛行訓練の拠点基地として機能させられている。 すでに配備されている航空機群に加えて、こうした新たな配備が進むことで、岩国米軍基地は、常時百三十機前後がひしめく巨大な航空基地へと変貌していこうとしている。すなわち、岩国基地は、米海兵隊、米海軍の戦闘攻撃機を中心とする航空戦力が集中する基地となるのである。 岩国基地強化は、こうした直接的な配備強化にとどまらない。艦載機移駐に伴って、岩国市に巨大な米軍街が建設されることにある。 岩国市内の愛宕山地域には、二百七十戸の米軍住宅が建設されつつあり、運動場などの施設と併せて、一帯に広大な米兵の居住地域が準備されつつある。将校などが優先される基地外の愛宕山米軍住宅のほかに、現岩国基地内には一般兵士を対象にした七百九十戸の米兵住宅も建設される。岩国市は、米兵・米兵家族、軍属など一万人以上が住む、まさに米兵の街へと変貌させられる。この計画どおりに進めば、岩国市民は、絶え間ない騒音、頭上を飛ぶ戦闘機、そして、米兵による交通事故、犯罪、とくに女性に対する性暴力に脅かされ続けていくのである。 しかも、岩国基地は、米海兵隊の航空基地であるとともに、米海兵隊管理下におかれた海上自衛隊の航空基地でもある。海上自衛隊岩国基地には、電子戦データー収集機などの航空部隊が配備されている。日米共同基地である岩国基地は、戦争法のもとで特に重要で危険な役割をおびていく。 それは、沖縄の米空軍航空基地である嘉手納基地に次ぐ米海兵隊の巨大な航空基地として、かつ、海上自衛隊航空部隊との共同基地として、朝鮮半島有事に備え、かつ、中国との軍事的対峙の最前線基地、出撃拠点基地として巨大な役割を帯びていくということなのである。辺野古新基地建設と一体であり、新基地建設と基地機能強化を許せば、嘉手納、辺野古、岩国は、朝鮮半島有事に備え、中国との軍事対決の最前線ラインへと変貌し、かつ、領土領海問題で紛争地へと急浮上した東南アジア、さらには、中東、北アフリカなど、世界中に展開する日米両軍の一大軍事拠点になってしまうのである。 ●2章 広島湾一帯の軍事化 岩国基地強化を要に、いま、広島湾一帯は、基地が集中する一大軍事拠点が作られようとしている。かつて、日本軍の軍都であった広島、原爆によって壊滅的破壊を受けた広島、その広島湾一帯が再び日米両軍の一大軍事拠点にされていくといって過言ではない。では、その全貌はいかなるものであろうか。 まず、広島湾一帯は、岩国の海兵隊戦闘攻撃機基地を中心に、岩国対岸の呉市を中心に在日米軍が五カ所の専用施設を運用している。それは、海上自衛隊呉基地の周辺に配置されている三つの弾薬庫とその関連施設である。東広島市の川上弾薬庫、江田島市の秋月弾薬庫、呉市の広弾薬庫である。これらは米陸軍管理下で合わせて秋月弾薬廠と呼ばれており、岩国基地と密接に連携している。 川上弾薬庫には、最新式の弾薬整備システムや補修工場も備えられている。弾薬備蓄量は七万トン。秋月弾薬庫の弾薬備蓄量は三万トン。広弾薬庫は一・五万トン。合計で十一万五千トンの弾薬備蓄量を有する。これは、第二次帝国主義間戦争で、日本「本土」に落とされた爆弾総量一六万トンの七割にあたる莫大な量なのである。 一九九一年のイラク侵略戦争のときは、広弾薬庫からペルシャ湾の米艦船に弾薬が大量に運ばれた。米軍は、市街地を公然とトラックで弾薬を輸送し、市民に大きな不安を与えた。 この秋月弾薬廠は、米陸軍第八十三兵器大隊管理下にあり、その司令部は海上自衛隊呉基地に隣接する米軍専用港湾施設「呉第六突堤」にある。第八十三兵器大隊は、この他に、呉市内に灰ヶ峰通信施設を持つ。 このように、広島湾一帯は、岩国基地強化によって、ますます巨大な軍事拠点の道を強いられようとしているのである。 でたらめなことに、中国電力と日本政府は、この近辺に、上関原発を新たに建設しようとしてきた。すでに対岸には、伊方原発が存在している。広島湾を含むこの一帯は、巨大な米軍基地と原発立地地帯を強いられてしまうのである。 しかも、広島湾一帯の軍事化は、米海軍の兵站を支える一大拠点である佐世保基地につながっている。佐世保基地は、朝鮮半島を睨む米海軍の前方基地であり、戦場に急派される揚陸艦、掃海艦、救難艦の出撃拠点なのである。しかも、佐世保基地も一部は自衛隊との共同基地である。 米海軍の出撃拠点としての佐世保、海兵隊戦闘攻撃機を主力とする岩国、巨大な弾薬庫をかかえる広島、さらに、米軍も使用する板付空港や自衛隊オスプレイ配備(十七機)と普天間基地から米軍オスプレイの移設配備が策動されている佐賀空港を含めて、この地域一帯が、巨大な軍事化を強いられていくのである。そして、これらは、中国を睨んだ沖縄における自衛隊配備の強化、日米両軍の最前線基地化と結合していくのである。広島、山口(岩国)、九州、沖縄と、この一帯の軍事化はすべて密接に関連している。 ●3章 岩国市民のたたかい では、こうした広島湾一帯の軍事化、強化される岩国基地をまえに、岩国市民はどのようにたたかってきたのか。 そもそも、岩国市民は、決して、岩国基地を容認してきたわけではなかった。だが、そのたたかいは、あまりにも孤立させられ、政府と一体となった基地容認派のまえに封じ込められてきた。 山口県は、保守大国の一つであり、安倍のお膝元でもある。かつて、朝鮮戦争のさなか、劣勢になった韓国の亡命政権を山口にもってくるということが検討された歴史的経緯のある地域である。 しかも、基地強化は常に市民をだますかたちで推進されてきた。現在の岩国基地にしても、危険性除去や騒音対策を含め市街地から少しでも基地を離したいという市民の切実な願いを逆手にとり、沖合移設の名の下に基地の新たな拡張・強化に結果させたものであった。愛宕山地域の米軍住宅建設にしても、最初、市が、米軍住宅とは無縁な地域開発として計画したものであった。それが、途中で、米軍住宅建設にすり替えられ、国に売却された。政府と基地容認派のやり方は、常に、岩国市民をだまし、力で屈服させるという手法であった。 だが、二〇〇六年、米軍再編の一環として、厚木基地からの空母艦載機移駐が明らかになると、岩国市民は、艦載機受け入れの是非を問う住民投票を行い、圧倒的多数の意志で、艦載機受け入れを拒否した。それは画期的であった。岩国市民は、公然と、市民の圧倒的多数の意志として、これ以上の基地強化は認めないことを明確にしたのである。 にもかかわらず、政府と基地容認派の反動的な巻き返しはすさまじいものであった。予定されていた市庁舎建設の補助金を露骨にカットすることをはじめ、岩国市政を締め上げた。岩国市民は、だまされ、そして、政府と基地容認派一体となった反動攻勢にさらされてきたのである。 また、全国からの岩国市民への支援と連帯も決しておおきなものではなかった。これだけ巨大な海兵隊基地を強いられる岩国基地問題は、全国闘争化されることもなく、結果、岩国市民のたたかいを孤立させることになってきたといえる。 だが、岩国市民のたたかいは一貫して続いている。山、海、空、テーブルの四裁判をたたかってきた。海の裁判は沖合埋め立ての取り消しを求めた裁判である。空の裁判は岩国爆音訴訟である。山の裁判は愛宕山開発をめぐる違法を訴えた裁判である。テーブルの裁判は愛宕山米軍住宅をめぐる市の情報公開を求めた裁判である。 そして愛宕山地域住民による一の日(毎月一日、十一日、二十一日)の座り込み集会(愛宕山見守りの集い)が休むことなく続けられている。 裁判のなかでも、特に爆音訴訟第一審の山口地裁岩国支部判決は、原告六百五十四人に対して、これまでの騒音被害は認めつつ、飛行差し止め、艦載機移駐差し止め、オスプレイ飛行差し止めはすべて認めず、今後の爆音被害に対しては何の補償も認めないとう欺瞞的な決定であった。 空母艦載機移駐によって、爆音は比較にならぬほどますます増大することがわかりきっているにもかかわらず、こうした判決を出すことは許し難い。それは、原告と岩国市民に、基地強化を受け入れ騒音を受け入れよというに等しい。 現在、米軍機や自衛隊機に対する爆音訴訟は、岩国以外に、横田(東京)、小松(石川)、厚木(神奈川)、嘉手納、普天間(ともに沖縄)でたたかわれている。岩国爆音訴訟もこうした各地のたたかいと連帯したたたかいである。原告団は、広島高裁に控訴し、たたかっている。全国から支援を集中しなければならない。 岩国では、米兵による性暴力事件も、歴史的に一貫してやむことがなかった。戦後、米兵によって多くの女性が性暴力の被害にあい、しかも幾人も殺されてきた(岩国における米兵による性暴力の歴史は、藤目ゆき著「女性史からみた岩国米軍基地」に詳しい)。 二〇〇七年には、広島市で岩国基地の米兵四名による集団レイプ事件が発生し、被害女性は、孤立のなかで、米軍法会議に出廷し自ら被害を訴えたが、四名の米兵に対してはきわめて軽微な判決にとどまった。 岩国市民も、沖縄や「本土」各地の基地周辺住民と同様に、騒音や米兵犯罪などに生活を常に脅かされ続けてきたのである。岩国市民の苦悩とそのたたかいに連帯し、岩国基地問題を全国の反基地闘争の課題へ大きく押し上げていかなければならない。辺野古新基地建設を阻止するたたかい、高江ヘリパッド建設阻止闘争、さらに、京丹後米軍Xバンドレーダー基地反対運動、神奈川における反米軍基地闘争、横田における反基地闘争をはじめ、全国の反基地闘争が合流し結合する流れをより強力なものに作り上げていく必要がある。 ●4章 強化される日米安保と反基地闘争 現在、こうしたたたかいを強化することがきわめて切実なものとなっている。安倍政権によって、集団的自衛権行使を行使する戦争法が成立させられ、日米安保(日米軍事同盟)が大きく変化しようとしている今日、全国の反戦反基地闘争の総合流したたたかいが反戦闘争の一大拠点へと確立されていかねばならないからである。 戦争法の成立によって、自衛隊は米軍とともに世界中に軍事出動することが可能となった。安倍政権は、まず、戦争法にもとづく「駆けつけ警護」の任務化を、南スーダン派兵として実現しようとしている。国会答弁で「戦闘ではなく衝突」だから派兵は問題ないなどと、どこまでも詭弁を弄して、民衆を戦争へと引きずり込んでいこうとしている。 だが、こうしたことはほんの始まりにすぎない。安倍政権は、米軍とともに世界中に軍事出動することを切望している。資本主義のいきづまりのなかで、長期不況から脱却できず低迷し続ける日本資本主義・帝国主義が、中国などとのアフリカや東南アジア、世界中における市場争奪戦を自らの活路を切り拓く道として突き進んでいくためには、これに照応した軍事力、軍事展開力が不可欠である。安倍政権は、世界中に軍事出動する道に突入したのである。 だからこそ、日米安保は、すでに、「専守防衛」などかなぐり捨てて、「対テロ」などを口実とした世界中に出動できる攻撃的な軍事同盟へと変貌させられてきたのである。米軍再編もこうした目的に基づいている。そして、強化される各地の基地、基地新設、日米両軍の一体的基地使用、これらは、すべて、攻撃的な日米軍事同盟の実体そのものなのである。 だから、現在、安倍政権のもとで、全国で米軍基地新設・強化が急速に進んでいる。 政府はこの間、選挙で幾度となく示されてきた「辺野古に基地はいらない」という沖縄の民意を踏みにじり、辺野古新基地建設にむけて裁判を含むありとあらゆる手段で沖縄への攻撃を強めている。オスプレイが使用する高江ヘリパッド建設(六カ所。すでに二カ所は建設されており、さらに四カ所の建設を強行している)を全国から機動隊を動員し強行している。 沖縄以外ではどうだろうか。岩国の来年二〇一七年空母艦載機移駐と広大な米軍住宅建設の完成、京丹後では、米軍Xバンドレーダー基地を新たに建設した。しかも、基地の拡張や、さらには、米兵の射撃訓練場を福知山で始めることを策動している。京丹後基地と青森の車力基地にある米軍Xバンドレーダー基地は、朝鮮民主主義人民共和国からの米本土へのミサイル攻撃を迎撃するためのものであり、韓国に配備されるTHAADと連動し、日米韓のミサイル防衛体制として確立されつつある。神奈川では、ジョージ・ワシントンにかわり、同じく原子力空母ロナルド・レーガンが横須賀基地に配備された。横田にも、来年から米空軍オスプレイの配備が開始される。沖縄、「本土」各地の米軍基地は新たに強化される一方なのである。 連動して、自衛隊もますます巨大化しつつある。自衛隊も、すでにみたF35Aを次期主力戦闘機として決定し、三沢基地(米軍と航空自衛隊の共同基地)への配備が決まっている。これについて、沖縄方面まで遠いので、もっと西日本、九州、沖縄方面に配備する必要があるという声もでている。オスプレイも購入配備が決定され、政府はその全機(十七機)を佐賀空港に配備すると決定した。普天間基地の米軍オスプレイも佐賀空港に移転配備することが策動されている。沖縄周辺には、自衛隊配備が増強され、西日本から九州、沖縄での軍事化は、中国を睨んで一層露骨になっている。 こうした日米一体となった基地強化のなかでも、岩国は特別の位置を強制させられている。五月、オバマ米大統領が、伊勢志摩サミット終了後、岩国基地に降り立ち、岩国基地こそ「日米同盟の要」だと演説した。オバマは、東アジア最大の海兵隊戦闘攻撃機基地、海上自衛隊航空基地、これが共同基地として一体化した岩国基地こそ、日米同盟の要だといっているのである。 同時に、それは、沖縄に比して米軍基地に対する抵抗が小さいことへの賛美をも意味していた。だが、これは、岩国市民への最大限の侮辱でもあった。艦載機受け入れを圧倒的多数の意志で拒否した岩国市民のたたかいは決して消滅したわけではない。それは、巨大基地へと変貌する岩国基地をまえに、新たな怒りのマグマを地下深く蓄えているのである。 戦争法によって、これまでとは一変する日米軍事同盟、すなわち、自衛隊が米軍とともに世界中に軍事出動する一時代のはじまりのなかで、反戦闘争のなかにおける反基地闘争の決定的重要性が改めて確認されなければならない。基地に反対する住民のたたかいを反戦闘争の一大拠点へと発展させていくことが何よりも必要なのである。岩国市民のたたかいを孤立させてはならず、岩国基地問題の全国的重要性、したがってまた、そのたたかいの全国的重要性を改めて明確にしなければならない。 戦争法が成立したなかで、反基地闘争と結合しない反戦闘争ではもはや決定的に不十分だといわざるをえない。岩国市民のたたかいに、全国から支援と連帯を集中し、沖縄、佐世保、岩国、京丹後、神奈川、横田、三沢など、各地の反米軍基地闘争の結合とその勢力化を一層進めていかねばならない。 同時に、このたたかいは、韓国やフィリピンなど東アジア、東南アジアにおける反米軍基地闘争、日米軍事同盟、日米韓軍事協力体制、オーストラリアなどを含むアジア太平洋地域の多国間軍事協力体制に対する国際的な反基地勢力の総結集としても勢力化されていかなければならないのである。 現在行われている日米安保の強化は、そもそも二〇〇六年、日米両政府が合意した普天間基地返還・新基地建設や岩国基地強化を含む「(米軍)再編実施のための日米ロードマップ」として、その完成時期を二〇一四年としていた。しかし、それらは大幅に遅れ続けてきた。それを阻んできたのは、沖縄をはじめとした住民たちの反基地闘争であった。岩国市民による艦載機受け入れ拒否の住民投票もこうしたたたかいの一環に位置した。こうしたたたかいは、二〇〇九年、民主党政権をして普天間移設の県外移設をも主張せざるをえない地点まで事態を規定した。 だが、これに対する反動として成立した安倍政権は、猛然と辺野古新基地建設、岩国基地大強化などの政策を強引に推し進めてきた。これに対する沖縄の反基地闘争は、日米両政府に立ちはだかる一大拠点であり続けている。いま、高江ヘリパッド建設をめぐる攻防、そして辺野古新基地建設阻止の沖縄総力のたたかいに、「本土」から結集しともにたたかうこと、同時に、沖縄のたたかいに連帯し、「本土」各地での反基地闘争をまた総力で推し進めること、この二つが一つのたたかいとして推進されねばならない。それは、沖縄をはじめ、岩国、京丹後、神奈川、横田、さらに佐世保、三沢など、全国の反米軍基地闘争が総結集したたたかいとして前進させねばならない。 ●5章 2016岩国行動の意義 アジア共同行動日本連絡会議、岩国・労働者反戦交流集会実行委員会、「岩国☆希望の祭」実行委員会などの諸団体は、毎年、岩国で国際連帯集会などを「岩国行動」として開催してきた。「岩国行動」は、岩国市民に連帯し、岩国基地問題を全国的な闘争課題へとおしあげること、さらに、沖縄、岩国、京丹後、神奈川、横田などの反米軍基地闘争の交流と結合を目指して、かつ、韓国、米国、フィリピン、オーストラリアなど、アジア太平洋地域の反基地運動との合流を目指して開催されてきた。アジアのみにとどまらず、スコットランドの反基地闘争との交流なども行われてきた。われわれは、こうした努力を支持し、その発展のためにともに奮闘してきた。 主催団体によれば、今年の「岩国行動」は、十二月十日(土)に「岩国☆希望の祭」実行委員会によるコンサート(午後一時開場、シンフォニア岩国)が開催される。まーちゃんバンドなどが出演するこのコンサートは、岩国市民とともに、基地の街・岩国から逆に平和を発信することを目指して開催される。 続いて、アジア共同行動日本連絡会議と一六岩国・労働者反戦交流集会実行委員会の共催によるアジアから米軍の総撤収を求める国際連帯集会(午後五時、岩国福祉会館)が開催される。国際連帯集会では、韓国やフィリピンからの報告、岩国からの報告、沖縄からの報告、さらに、京丹後、神奈川、横田など各地からの反基地運動の報告と交流などが予定されている。 十一日(日)には、現地見学に続き、一六岩国労働者反戦交流集会実行委員会主催による労働者集会(午前九時半、岩国福祉会館)が開催される。ここには、労働運動の中に反戦反基地運動を再生させようとするたたかう労働組合が結集する。 同時に、愛宕山を守る会主催の愛宕山見守りの集いへの参加(午前十時、愛宕神社前公園)が呼びかけられている。 最後に、岩国基地への抗議デモ(午後一時、岩国福祉会館前出発)などが予定されている。 「岩国行動」には、沖縄、京丹後、神奈川、横田などからも参加し、海外からは韓国、フィリピンなどから参加予定だという。 今年の「岩国行動」は、来年の岩国基地強化を前に行われるものとなる。今年の「岩国行動」の成功を通して、いよいよ、岩国基地強化の年である二〇一七年、岩国市民とともに、沖縄と連帯し、岩国基地強化を弾劾し、米海兵隊、米海軍の航空勢力が集結する岩国基地に対して、全国の力を結集することが問われる。より大きなたたかいを反基地勢力の全国的闘争の新たな一歩を踏み出していかねばならない。同時に、そのたたかいを、韓国やフィリピン、米国やオーストラリアなど、アジア太平洋地域で反米軍闘争をたたかうすべての人々との国際共同のたたかいへ発展させていくスタートとしていく必要があろう。 この間、東アジア、東南アジアでは、ますます軍事的緊張が高まっている。スプラトリー諸島をめぐる中国と東南アジア諸国との領土領海問題をめぐる対立、およびこれをめぐる中国と日米両帝国主義の対立と東南アジア諸国との軍事協力体制の強化、釣魚諸島(尖閣列島)をめぐる日中の領土領海問題、そして、朝鮮民主主義人民共和国の核武装化と日米韓軍事協力体制の強化、すなわち、日米両帝国主義の侵略戦争策動の激化、こうした軍事的対峙と緊張がかつてなく高まっている。 その背景には、日米両帝国主義と中国などとのアジア太平洋地域をめぐる全般的な市場争奪戦の激化がある。 日米両帝国主義の軍事同盟が一層強化され、オーストラリアなどを含むこの地域における多国間軍事協力体制が日々強化されている。米帝、日帝それぞれと韓国や東南アジア諸国との二国間軍事協力も飛躍的に進んでいる。アジア太平洋地域は、新たな軍事的紛争の国際的な火種となりつつある。安倍政権の戦争国家化もこうした中で加速している。そして、沖縄、岩国など「本土」各地における日米両軍基地の全世界への出撃拠点としての犯罪的役割はますます許し難いものとなっていこうとしている。 アジア太平洋地域における反戦闘争、反基地闘争は、ますます重要となっており、国際的な反戦反基地闘争の連帯と結合、国際的な勢力化が求められている。韓国では、THAAD配備に反対して住民が新たに立ち上がった。フィリピンでは、再度、米軍を撤退させるたたかいが再熱している。 フィリピンには、かつて、スービック海軍基地、クラーク空軍基地というアジアで最大規模であった二つの巨大な米軍基地が存在した。フィリピン人民は、大衆闘争でこの米軍基地撤去を一九九一年に実現するという偉大なたたかいの経験を持っている。だが、時を経て、いままた、フィリピンには米軍が舞い戻り、フィリピン軍の基地を自らの基地として使うようになっている。ミンダナオではイスラム武装勢力を掃討するために米軍が関与している。フィリピンでも、米軍を一掃するたたかいは再び大衆闘争の大きな課題となっている。 こうした各国地域の反基地闘争を国際的に勢力化していくことが重要なのである。フィリピンから米軍基地を撤去させた一九九一年のたたかいには日本からも多くの人が参加した。米軍基地撤去が決まった日、マニラは歓喜する民衆で埋め尽くされた。国際主義とはこういうことである。たたかいは国境を越える。 そうだからこそ、アジア共同行動日本連絡会議の仲間は、フィリピンや韓国で次々と入国拒否の弾圧を集中して受けてきた。また、海外の仲間も同じように日本での入国拒否を幾度も強いられてきた。こうした国境をこえた国際共同闘争を分断する国際的な弾圧をはねのけ、米軍基地撤去の大闘争を実現していくことが求められている。アジア共同行動日本連絡会議などが推進してきたアジア太平洋地域における反戦反基地闘争の国際共同闘争の意義は、ますます重要なものとなりつつある。「岩国行動」もこうしたたたかいの一環である。その意義は大きい。国内的にも国際的にも、岩国基地がいかに危険で巨大な日米両軍の拠点基地になりつつあるか、その実態と位置が充分認識されていないなかで、アジア共同行動日本連絡会議が呼びかけてきた毎年八月二十一日の「岩国国際DAY」は、いまだささやかではあるが、日本各地、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、米国で、岩国基地問題を訴え、岩国市民に連帯しようとするさまざまな行動を各国地域で生み出しつつある。 「岩国☆希望の祭」実行委員会は、岩国市民とともに基地の街から逆に平和を発信する取り組みを目指してきた。岩国労働者反戦交流集会実行委員会に参加する労働者・労働組合は、安倍政権による戦争国家化が進行するなかで、労働運動のなかに反戦反基地闘争を再生させようと努力してきた。こうしたすべての努力とたたかいを支持し、その発展をともに切り拓いていこう。二〇一六岩国行動に全国から結集することを訴えたい。 |
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