共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

  
   共産主義者同盟(統一委員会)

      2016年政治集会基調報告


 
 

 
本年四月に開催された共産主義者同盟(統一委員会)政治集会の基調報告を、全文掲載する。



 政治集会に結集したすべての同志・友人のみなさん。戦争法を強行成立させた安倍政権は、反動的攻勢を強めている。辺野古新基地建設、岩国基地大強化、自衛隊の軍事出動拡大、緊急事態条項新設―九条改悪、かかる反動攻勢を強める安倍政権に対して、昨年の戦争法に対する全人民政治闘争を上回る人民の決起をたたきつけよう。全人民政治闘争で安倍政権を実力で打倒しよう。そして、その内部に左派勢力の大胆な登場を前進させよう。左派勢力を前進させ、戦争、貧困を根本から一掃することができる共産主義運動の大衆的再生をともに推し進めよう。

  ●第1章 情勢

  ▼第1章―第1節 国際情勢

  ◆第1章―第1節―第1項 戦争と貧困を拡大する新自由主義―現代資本主義の破綻

 新自由主義・帝国主義グローバリゼーションによって、世界中で戦争と貧困がはてしなく拡大している。世界経済は、〇八年世界恐慌から脱却しえていない。〇八年恐慌は新自由主義の結果であり、その破綻であった。以降も、慢性的な不況状態が世界を被っている。米帝の景気回復は見せかけである。連邦準備基金制度理事会の利上げは、アメリカへの資金流入と他国経済への打撃をもたらし、しかも、利上げによって引き起こされるドル高が米経済の次の危機を準備するという悪循環を結果する。すでに、日本を含むいくつかの国は、マイナス金利政策をとらざるをえないほど危機的である。BRICSの成長も頭打ちとなった。中国バブルも崩壊しつつある。ギリシャなどでは国家財政破綻にいきついた。世界経済は、またもや後退期を迎えた。新自由主義を全面化させてきた現代資本主義は完全に破綻している。
 だが、資本家階級は他に道を見いだせない。破綻した新自由主義のさらなる推進にしか道をみいだせず、ヨーロッパ、米国、日本など、主要な資本主義諸国では階級対立が一層拡大し、階級闘争が激化している。また、帝国主義の支配にさらされるシリアやイラクでは、帝国主義の侵略戦争とこれと結合した内戦が激化している。いまや、新たな戦争と貧困が現代世界を覆っている。新自由主義は、全世界で戦争と貧困を拡大した。帝国主義と植民地化攻撃にさらされる諸国との矛盾を拡大した。階級対立と階級闘争の激化をもたらした。現代資本主義に未来はない。

  ◆第1章―第1節―第2項 変化する帝国主義間相互関係と激化する勢力圏抗争

 こうしたなかで、主要資本主義諸国や中国によるグローバルな勢力圏形成をめぐる新たな抗争が激化している。現代世界は、米帝の歴史的後退という趨勢と、中国などの大国としての登場という大きな歴史的変貌の過渡にある。中国などを含む大国間の相互関係の変化は、EU、米帝、日帝、中国やロシアなどによる激烈な抗争として進行している。アジア太平洋地域でも同様である。アジア太平洋地域全域では、この地域をめぐる自由貿易圏の形成にむけたヘゲモニー争いが激化している。米帝や日帝は「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」を主導し、 他方で、中国が加盟する「東アジア包括的経済連携協定(RCEP)」には米国は参加していない。また、中国は、EUの主要資本主義国を参加させた「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」を創設したが、日米はこれに加盟することを拒否した。アジア太平洋地域は、日米が主導するTPP、中国が参加するRCEP、このどちらを基盤にこの地域全域の自由貿易圏を確立していくのかという日米と中国のヘゲモニー争いが熾烈なものになっている。いずれにしても、その利益は、グローバルな多国籍企業を中心とする資本の利益であり、労働者階級、農民漁民は、生活破壊を一層強いられていかざるをえない。現代資本主義、新自由主義の本性は、徹底して剰余価値率(利潤率に転化する)を高め、資本蓄積を推進していくことにあり、それを国家権力をもちいて推進することである。米帝のアジア回帰、日帝の軍事大国化と新たな軍事出動策動、中国のスプラトリー諸島をめぐる領土領海拡張策動、これらは、すべて、経済権益の拡大に根ざしている。

  ◆第1章―第1節―第3項 新たな軍拡競争と激化する侵略戦争

 いまや、新たな軍拡競争と帝国主義の侵略戦争が激化する一時代に入った。昨年のISによるパリ攻撃、本年三月のベルギー攻撃は、帝国主義諸国を震撼させている。帝国主義諸国は、「対テロ」戦争のための「有志連合」を形成し、競ってシリア、イラクへの空爆を激化させた。さらに、三月のベルギー攻撃を受けて、「対テロ」戦争という名の侵略戦争は世界中で一層激化している。帝国主義は「対テロ」戦争で結束し、新たな戦争同盟をいたるところで形成しだした。
 だが、それは、資本主義・帝国主義国どうしの抗争を内包しつつ進んでいる。シリア空爆をめぐるロシアと米、EU諸帝、トルコとの対立は、それをまざまざと示した。また、ウクライナをめぐるEUとロシアの対立で、ロシアは核戦争を恫喝するまでに至った。激化する侵略戦争、その内部における帝国主義間対立の激化は、新たな軍拡競争と軍事的緊張を世界中で生み出している。
 アジア太平洋においては、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の連続する核実験、これに対する日米韓を中心とした共和国包囲と戦争策動が高まっている。また、中国の覇権主義に対応した日米による軍事的対峙の強化、オーストラリア、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどとの多国間軍事協力体制の強化が進んでいる。特に、米帝のフィリピン軍基地使用、韓国へのTHAADミサイル配備、また、日帝によるオーストラリアへの潜水艦輸出、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどとの新たな軍事協力が飛躍的に進んでいる。アジア太平洋地域は、中国や共和国を睨んだ軍拡、軍事協力、戦争遂行態勢の強化が顕著に進んでいる。われわれは、共和国の核実験に反対しなければならない。だが、共和国を追い込む米帝をはじめとした核独占体制と、日米両帝国主義と韓国による共和国解体策動、戦争策動こそが、こうした軍事的緊張の根源であることを明確にし、これに対してこそたたかわなければならない。

  ◆第1章―第1節―第4項 世界中で決起する人民―現代資本主義の危機をプロレタリア革命の前進へ

 新自由主義のもとで、各国地域の労働者階級人民は、新たなたたかいに立ち上がっている。EU、アメリカ、日本など主要な資本主義諸国では、おしなべて階級対立が拡大し、階級闘争が激化している。貧富の格差は拡大し、資本家階級が莫大な冨を蓄積する一方で、労働者階級人民は貧困と生活苦を強いられている。また、「対テロ」戦争は、イラクやシリアなどで、国民国家の崩壊と莫大な難民を生み出している。
 こうしたなかで、EU諸国やアメリカなどでは、排外主義者や極右が台頭しだしている。アメリカのトランプはその象徴である。他方、その対極には、相対的な意味での左派が増大している。イギリスの労働党党首コービン、あるいは、アメリカの自称「民主社会主義者」サンダースが大きな支持を集めている。こうした動きは主要な資本主義国における一つの趨勢となった。新自由主義・現代資本主義の行き詰まりと破綻のなかで、一方には、これを突破しようとする極右や排外主義者が台頭し、その対極には、現代資本主義を告発するたたかいを背景に相対的な意味での「左派」が明らかに台頭している。だが、こうした部分は、決して、資本主義がもたらす矛盾を根本的に解決しようとすることには向かわない。意味するものは資本主義の改良でしかなく、政治的には社会民主主義に他ならない。
 日本においても同様の予兆を示しつつある。極右を有力な支持基盤とする安倍政権のもとで戦争策動と労働者階級人民の貧困化が深まっている。これを背景に、一方で差別・排外主義勢力が台頭するとともに、他方では、労働者階級人民の不満が増大し、たたかいが拡大しつつある。昨年の戦争法をめぐるたたかいはそれを示した。
 帝国主義の侵略戦争にさらされる諸国人民のたたかいも拡大している。イラクやシリア、アフガニスタンなどの地域では、さまざまなイスラム勢力がその主流におどりでている。だが、ISなどの勢力が新たな抑圧と隷属を生み出すものでしかないこともまた明白である。さらに、中国などでも激しい貧富の格差が生み出され、労働者階級人民のたたかいが激化している。民族矛盾の激化も同様である。
 現代世界において問われているのは、激化する帝国主義の侵略戦争、拡大する階級対立と階級闘争を、プロレタリア革命の前進へと転化していくことである。そして、われわれは、この闘争の国際的な一翼として、日本における階級闘争と左派勢力の前進、共産主義運動の再生のために、ともに奮闘していかなければならない。

  ▼第1章―第2節 国内情勢

  ◆第1章―第2節―第1項 破綻した安倍政権の経済政策


 金融緩和、財政出動、「成長戦略」というアベノミクスは破綻した。金融緩和は、株価を乱高下させただけであった。大量の資金は投資へとはむかわず、金融市場での投機へと吸い上げられ続けている。2%インフレという目標達成は、幾度も先延ばしとなった。そして、とうとう日銀は、マイナス金利に踏み込んだ。財政出動は赤字を増大させた。頼みの綱である「成長戦略」の中心は、労働法制をめぐる規制緩和であり、剰余価値率(利潤率に転化する)を引き上げることにあった。加えて、原発輸出や高速鉄道輸出のセールス外交であった。しかも、これらも、他国との競争に打ち勝つことができない。インドネシアへの高速鉄道輸出は、中国に敗れた。
 日本資本主義はデフレから一向に脱却できない。日本資本主義は長期の低迷から抜け出せる道を見いだせない。そうだからこそ、安倍政権は、多国籍資本の利益を貫徹するTPP合意や、新たな活路を切り開くための戦争法を必要としたのである。米帝とともに世界中へ軍事出動する道を開くことによって、侵略戦争の分け前にあずかる道を拡大しようというのだ。これが日本の多国籍企業の利益であり、巨大な規模に達した軍需産業の利益なのである。
 アベノミクスのもとで、労働者階級人民の生活はますます過酷なものとなった。トリクルダウンも、一部の上層労働者のみが対象であり、それさえ、今春闘で、ベアは昨年のほぼ半分となった。実際は、実質賃金は一貫して低下しており、社会保障制度の解体などと結合し、労働者階級人民の生活は苦しくなる一方である。また、TPPは、農漁業のみならず、さまざまな分野での規制緩和を国際的に推し進めることで、中小零細の農漁民を切り捨て、労働者の生活を一層破壊していく。安倍政権のもとで、新自由主義政策は、より全面化し、労働者階級人民の生活は破壊され続ける。

  ◆第1章―第2節―第2項 アベノミクスの破綻を隠蔽する「新三本の矢」

 安倍政権が新たに打ち出した「新三本の矢」は、アベノミクスの破綻を隠蔽し、ごまかすためのものである。「新三本の矢」とは、@「希望を生み出す強い経済」=二〇二〇年GDP六百兆の実現、A「夢を紡ぐ子育て支援」=出生率1・8、B「安心につながる社会保障」=介護離職ゼロの実現だと言う。そして、「一億総活躍社会」の実現などと、低所得高齢者への現金支給まで打ち出した。また、世界経済の低迷を理由に、消費税10%への値上げ延期も策動しだした。これらはすべて夏の選挙対策に他ならない。同時に、消費税をあげれば、一層需要は落ち込み、安倍政権の経済政策の完全破綻をごまかしようがなくなるからである。消費税値上げを公約してきた張本人が、それを延期することで逆に支持を集めようなどということは、人民を愚弄するにもほどがある。また、「一億総活躍社会」とは、青年、女性、老人に至るまで、労働力としてフルに活用し強搾取を実現しようとする政策なのである。かつ、戦争への「国民総動員」に通底するものに他ならない。「新三本の矢」は、アベノミクスの破綻を隠ぺいし、戦争法をめぐって一部離反した人民の支持をとりもどすための空約束でしかない。そもそも、安倍政権こそが、新自由主義政策を推進し、社会保障、医療、介護などを、資本の利益追求の草刈り場としてきた。そこで働く労働者は、長時間労働と低賃金に追いやられてきた。
 介護職の離職率は圧倒的に高い。生活が苦しく、望んだとしても結婚もできないからである。こうした低賃金と長時間労働ゆえに、高齢化社会を前に逆に介護労働者が不足するのである。そして、介護制度が社会制度として不十分であるから、介護離職が増大せざるをえない、これが現実なのである。また、青年層においては、非正規雇用が蔓延し、将来の生活の見通しさえ立たない。だから出生率も下がってきたのである。こうした新自由主義政策を推進しているのは安倍政権なのであり、それをさらに推進する土台の上で、「介護離職ゼロ」とか「出生率1・8」などの言辞だけを並べ立てるのは、完全なまやかしである。

  ◆第1章―2節―第3項 反動攻勢を強める安倍政権―軍事出動と緊急事態条項新設・九条改悪策動

 安倍政権は、新自由主義攻撃とともに戦争策動を一層強めている。安倍政権は、戦争法の強行成立(三月施行)によって、自衛隊を米軍とともに世界中に軍事出動させていくことを虎視眈々と狙っている。それは、「対テロ」戦争という名の侵略戦争への参戦、PKO派兵部隊の駆けつけ警護の任務化、スプラトリ―諸島海域への対中国軍事出動、共和国に対する戦争策動などを想定している。また、夏の参議院選挙(衆参同日選挙)をもって、改憲に必要な三分の二議席確保を狙っている。安倍政権は、緊急事態条項の新設を手始めに、九条改悪に突き進もうとしている。安倍政権は、特定秘密保護法の制定、戦争司令部としての安全保障会議の創設、集団的自衛権行使容認―戦争法強行成立を進めてきた。これらは、統治機構の再編として進められている。安倍政権が狙う改憲―緊急事態条項もそのためであり、ナチスの全権委任法と同様のものに他ならない。戦争法、自衛隊の軍事出動の拡大、緊急事態条項の新設、九条改悪へと突き進む安倍政権をなんとしても打倒しなければならない。
 同時に、今夏の参議院選挙からは十八歳以上が選挙権を行使することになる。これに伴って高校生などの政治活動が「解禁」される。そもそも、高校生の政治活動が「禁止」されたのは、六〇年代後半の学生運動の高揚が反政府闘争として高揚したことに対する反動的措置であった。これを「解禁」するというのは、現代資本主義のもとで不満を増大させる若年層を、逆に体制内化させようとする先制攻撃でもある。高校生の政治活動の「解禁」を、「暴力行為の禁止」などのさまざまな制約と条件をつけて体制内化しようというのである。愛媛などでは、高校生の政治活動の事前届出制さえ実施しようとしている。戦争のできる統治機構への再編、治安管理体制の全般的な強化が進んでいる。

  ◆第1章―第2節―第4項 戦争のための基地強化・新設、原発再稼働へと突き進む安倍政権

 戦争策動と結合して、日米安保の再編強化が進んでいる。全国の米軍基地強化・新設、日米共同基地化、日米両軍の一体化が進んでいる。その最大の焦点こそ辺野古新基地建設である。沖縄人民は、一丸となって普天間基地を閉鎖させ辺野古新基地建設を阻止するためにたたかっている。オール沖縄のたたかいは、日米両政府に真っ向から立ちふさがっている。「和解」による工事中断は、政府が追い詰められてきたことの結果であるとともに、一方で、政府による基地建設強行にむけた巻き返しを意味している。本年は、辺野古新基地建設を最後的に葬り去るのか否か、まさに決戦の年である。政府も、全体重をかけて沖縄の反基地闘争の解体、辺野古新基地建設強行にむかってくる。総力で粉砕しなければならない。
 また、辺野古新基地建設と並ぶ日米安保の再編強化の重要な環である岩国基地強化も強行されようとしている。岩国は2017年、戦闘攻撃機百三十機前後がひしめく極東最大の海兵隊基地を強いられようとしている。米兵・米軍関係者1万人の街となる。岩国基地は、海上自衛隊との日米共同基地であり、戦争法のもとで、特に朝鮮半島への出撃拠点、最前線基地へと変貌させられる。戦争法のもとで、日米安保の強化、基地強化・新設策動が一層強まっている。京丹後における米軍Xバンドレーダー基地、二〇一七年オスプレイの横田配備など、全国で基地強化が進められている。米兵による性暴力事件もやむことがない。
 原発をめぐっても安倍政権は、反動的な攻勢を強めている。昨年の川内原発再稼動、本年の高浜原発再稼動に続いて、早ければ七月には伊方原発再稼動が策動されている。玄海原発も再稼動策動が迫っている。こうしたなかで、大津地裁は、原子力規制委員会の基準が「新たな安全神話」であるとして、避難計画さえ確立していない再稼動を批判し、運転停止を命じた。関電は、訴訟に対する賠償請求さえ公言し、住民による原発運転停止を求める訴訟の動きに公然と恫喝を開始した。政府と電力独占資本の巻き返しは一層激化する。そもそも、福島第一原発事故の原因さえ分からないばかりか、福島第一原発は日々、莫大な放射能汚染水を発生させ垂れ流している。いまだ十万人近くの被害者が故郷に帰ることもできない。補償もまったく不十分なままである。にもかかわらず、安倍政権は、次々と原発再稼動を後押しし、そればかりか、世界中で原発輸出のための原子力協定締結を進めている。
 三里塚闘争は重要な局面を迎えている。東京高裁は、昨年六月、市東さんの農地明け渡しの反動的判決を出した。市東さんの農地裁判は最高裁段階に入っており、農地強奪攻撃が強まっている。空港拡張による新たな「強制収用」とのたたかいがいよいよ正念場をむかえようとしている。

  ◆第1章―第2節―第5項 反動的な伊勢志摩サミットの狙い

 安倍政権は五月二十六日・二十七日、G7伊勢志摩サミットを議長国として開催する。伊勢志摩サミットで、主要帝国主義諸国は、〇八年恐慌以降全世界を襲う慢性的不況のなかで、再び、景気後退を深刻化させている現状をどう打開するか、絶望的な協議に時間を費やさざるをえない。同時に、ISによるパリ攻撃、ベルギー攻撃を受けて、伊勢志摩サミットを、「対テロ」戦争という名の侵略戦争を帝国主義諸国が結束して推進していく場にしようとしている。安倍政権は、戦争法のもとでこれに参戦しようと虎視眈々と狙っている。さらに、帝国主義諸国は、共和国の核実験に対応して、共和国包囲、戦争策動を推し進めようとしている。朝鮮戦争策動が高まっている。また、中国のスプラトリ―諸島海域での人工島建設やその軍事拠点化に対応して、日米を中心とする軍事的包囲網形成の跳躍点にしようとしている。加えて、伊勢志摩で開催すること自体に、安倍政権の反動的な野望が示されている。すなわち、伊勢神宮の近くで開催し、天皇制を国内外に強烈に認知させていく絶好の機会にしようというのだ。そして、こうした目的とあわせて、「反テロ」、天皇制護持の治安弾圧体制を一挙に強化していこうとしている。絶対に許すな。

  ◆第1章―第2節―第6項 激化する差別・排外主義攻撃

 戦争国家化にむかって差別・排外主義攻撃が全社会的に強まっている。安倍政権は、中国や共和国脅威論を扇動し、戦争法成立を強行した。領土領海問題をめぐる排外主義扇動を組織してきた。文科省は、国立大学の卒入学式に「日の丸・君が代」を強制しようとしている。教育現場での「日の丸・君が代」強制は強まっている。道徳教育の科目化などによって愛国心教育を強化し、政府見解にそった教科書を作成させている。戦争への動員攻撃が激化している。安倍首相、および政権の閣僚の大半は、かつてのアジア侵略戦争と植民地支配を認めることを「自虐史観」として否定し、先頭に立って煽動してきた連中である。昨年の「安倍談話」も侵略を認めはしなかった。
 こうしたことの延長に、昨年末の日本軍「慰安婦」制度問題をめぐる「日韓合意」がある。戦時性奴隷とされた被害者に対する国家謝罪と賠償をぬきに、十億を拠出し韓国政府に反対運動を封じ込めさせようとする傲慢なものである。在韓日本大使館前の「少女像」の撤去を要求するという許しがたいものである。欺瞞的で反動的な「日韓合意」は、米帝の主導によって、共和国に対する日米韓軍事体制を確立するためになされた。差別・排外主義勢力による在日朝鮮・韓国人に対する襲撃もやむことなく続いている。

  ◆第1章―第2節―第7項 労働者階級人民の苦しみ

 階級の現状はどうか。戦争と貧困化が労働者階級人民を襲っている。新自由主義と戦争国家化を進める安倍政権のもとで、生活は本当に苦しくなった。新自由主義の下で、階級対立は劇的に拡大した。正規雇用は非正規雇用にかえられ、非正規雇用労働者の割合は四割を超えた。社会保障制度は解体されつつある。ワーキングプアが生み出され、世代を継いで固定化されはじめた。若年層では非正規雇用は五割となった。また、大学を卒業しても、一生涯、不安定雇用で生きていかざるをえない状態も一般化した。高齢化社会の到来とともに、死ぬまで生活苦・労働苦にさいなまれる。「働いても働いても暮らしは楽にならない」社会が到来した。「中流意識」は完全に崩壊した。かつての高度経済成長の「まじめに働けば明日はもっと良くなる」という共通の意識は跡形もなくなった。新自由主義は、世界中で、そして日本でも、「新たな階級社会」を到来させた。それは「明日はもっと悪くなる」という共通意識を生み出した。それはまた、このわれわれが生きる資本主義社会の変革にしか希望がないという広範な共通意識を生み出す根拠となっている。新自由主義は、ほんの一握りの労働貴族と貧困化を強いられる圧倒的多数の労働者へと分裂を拡大させ続けている。階級の苦悩に立脚し、相対的下層労働者の生活と権利を守るための階級的労働運動を組織する革命的労働者党の建設がますます求められる時代が到来している。

  ●第2章 2016年方針

  ▼第2章―第1節 政治方針


 では、いかにたたかうのか。
 第一に、戦争と貧困・生活破壊を強いる安倍政権を打倒しなければならない。安倍政権を打倒する全人民政治闘争を再度爆発させよう。
 新自由主義粉砕、生活破壊を許すな、戦争法の廃止、自衛隊の海外軍事出動阻止、戦争への出撃拠点=すべての基地撤去、日米安保粉砕、緊急事態条項新設阻止、九条改悪阻止。すべてを、戦争と貧困・生活破壊を強いる安倍政権を倒す全人民政治闘争へと発展させよう。強まる朝鮮戦争策動を阻止しよう。
 昨年の戦争法をめぐる攻防は、あらゆる階級階層を巻き込んだ全人民的政治闘争の一定の高揚を実現させた。だが安倍政権はこれを乗り切り、戦争法を強行成立させ、すでに見たようにさらなる反動攻勢を全面化させている。生活苦を強いられる労働者階級、被差別大衆・被抑圧人民の抵抗闘争を大衆的に激化せしめよ。戦争策動、憲法改悪、基地強化・新設、原発再稼働、被災者・被曝者の切り捨て、こうしたすべてに対する総反抗を組織しよう。そしてこれらを、安倍政権打倒の全人民政治闘争・実力闘争として爆発させていかねばならない。
 昨年の戦争法をめぐるたたかいは、民主主義を右から解体しようとする安倍政権に対して、立憲主義と民主主義の防衛をそのベースとするものであった。その結果、このたたかいは、安倍政権に対して夏の参議院選挙(同日選挙)での野党選挙協力という議会選挙での勝利に一切を収斂させるものとなりつつある。だが、ブルジョア民主主義の防衛と議会内での多数派獲得に真の展望はない。新自由主義・現代資本主義を根本から打倒し変革する道、資本主義・帝国主義を打倒し、労働者階級、被差別大衆・被抑圧人民の解放をめざしてたたかうことでしか、本当の展望は切り拓けない。安倍政権を打倒する全人民政治闘争の再度の爆発を、資本主義・帝国主義の打倒をめざす階級闘争の前進として推し進めねばならない。そのために、反帝国際主義を旗印にたたかわなければならない。
 われわれは、こうしたたたかいを、アジア共同行動運動を支持し、反戦闘争実を堅持し、さらに、新たな時代に対応した新たな左派勢力の復権、左派共闘の建設をめざしてたたかう。「戦争法廃止・ 安倍たおせ!反戦実行委員会」に結集してたたかおう。
 第二に、辺野古新基地建設を阻止し、岩国基地強化に反対する、戦争法のもとでの反基地闘争を全国で推進することである。
 辺野古新基地建設をめぐる沖縄のたたかいは、歴史的な決戦局面に入った。オール沖縄のたたかいに「本土」各地から総力で連帯しなければならない。全国から辺野古現地へ結集しよう。「工事中断」から白紙撤回へ! 全国で沖縄に連帯するたたかいを強化しよう。「本土」各地における反基地闘争を、沖縄のたたかいに連帯したたたかいとして総力で前進させよう。
 同時に、基地大強化を来年に控えた岩国基地問題を全国的な闘争課題へと押し上げていかねばならない。辺野古新基地建設、岩国基地強化、京丹後米軍Xバンドレーダー基地強化、横須賀原子力空母母港化、オスプレイ横田配備、こうした攻撃とたたかう全国各地の反基地闘争を結合したたかおう。また、沖縄で、岩国で、神奈川で、全国で止むことのない米兵による性暴力事件を弾劾したたかおう。
 いまや、戦争法のもとで自衛隊が世界中への軍事出動を開始しようとするなかで、反基地闘争を欠落させた反戦争法のたたかいでは、まったく不十分なのである。全国で、反基地闘争を戦争国家化に抗する闘争拠点へとうち固めていこう。反帝国際主義で反基地闘争をたたかおう。
 第三に、高浜原発再稼動、七月伊方原発再稼動、玄海原発再稼動を阻止することである。
 安倍政権は、次々と原発再稼動に踏みきることで、反原発闘争を解体させ、何事も無かったかのように、原発を主要電力に位置づけ原発輸出を拡大している。原発を維持し続けることで将来の核武装の条件を保持し続けようとしている。反原発闘争は、政府と各電力会社に対するたたかいを全国で継続している。経産省前テントを防衛しよう。福島をはじめとした被災者・被曝労働者を含むすべての被曝者の健康と生活補償を求めてたたかおう。全原発の即時廃炉と原発に依存しないエネルギー政策への転換をかちとろう。伊方、高浜、玄海原発の再稼動を阻止する現地闘争を全国闘争としてたたかおう。
 第四に、五月伊勢志摩サミットに対するたたかいに総決起することである。伊勢志摩サミット反対闘争を、国際的な反帝共同闘争としてたたかおう。
 五月伊勢志摩サミット首脳会談に反対して断固として決起しよう。このたたかいを、戦争と貧困を強いる新自由主義グローバリゼーション反対闘争としてたたかうことである。「対テロ」戦争という名の帝国主義の侵略戦争に対する闘争として、また、安倍政権の参戦策動に対する闘争として決起しよう。共和国に対する包囲・戦争重圧、対中国包囲網形成・スプラトリ―諸島海域への日米の軍事行動を阻止する闘争としてたたかおう。朝鮮戦争を絶対に阻止しよう。「対テロ」と天皇制擁護の治安弾圧に抗するたたかいとして決起しよう。
 五月二十六日・二十七日、全国から現地闘争に決起しよう。同時に、伊勢志摩サミット反対闘争を、国際的な反グローバリゼーション闘争、国際的な反帝共同闘争としてたたかうことである。全国各地での閣僚会議反対闘争、首都圏、関西、名古屋における反サミット集会・デモ、そして、二十六日・二十七日の現地闘争決起を国際共同闘争としてたたかおう。
 AWC(日米のアジア支配に反対し、アジア民衆の連帯を推進するアジア・キャンペーン)は、さる二月末、米国、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、沖縄、「本土」各地からの結集で、第四回国際総会を開催した。そこで、伊勢志摩サミットに対する国際共同闘争をたたかうことを宣言した。AWCのよびかけに応え、五月伊勢志摩サミット反対闘争に決起しよう。首都圏や関西などで、サミットに抗する実行委員会が形成されている。首都圏集会、関西集会、さらに名古屋でのたたかいなど、各地の反サミット闘争をともに進め、首脳会談に対する現地闘争に決起しよう。
 第五に、激化する差別・排外主義を粉砕することである。
 在特会(行動する保守運動)などをはじめとした在日朝鮮人・韓国人に対する差別・排外主義襲撃を粉砕しよう。強化される戦争動員攻撃とあらゆる領域で対決していこう。「日の丸・君が代」強制、教科書問題、領土領海問題をめぐる排外主義扇動、歴史修正主義との闘争、天皇制・天皇制イデオロギーとの闘争、そして、日本軍「慰安婦」問題をめぐる欺瞞的「日韓合意」を破棄させ、すべての国・地域の元日本軍「慰安婦」への国家謝罪と賠償を実現させるためにたたかっていこう。
 第六に、三里塚芝山連合空港反対同盟に固く連帯し、三里塚闘争を反帝闘争の拠点として全力で防衛しぬくことである。市東さんの農地強奪攻撃が強まっている。第三滑走路粉砕、最高裁による「強制収用」を許すな。東京高裁による農地明け渡し判決を最高裁でくつがえすために緊急五万人署名が呼びかけられている。全国で署名を推進しよう。三里塚闘争は、政府と真っ向から対決し抜いてきた反帝闘争と実力闘争の拠点であり続けている。三里塚五十年のたたかいを引き継ぎ、農地死守、実力闘争でたたかおう。7・3集会に結集しよう。反対同盟に固く連帯し、農地強奪攻撃―新たな「強制収用」策動を粉砕しよう。
 最後に、強まる弾圧に抗して闘おう。沖縄辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとする大衆闘争に対する弾圧の強化、伊勢志摩サミット反対闘争に対する弾圧策動など、戦争国家化のなかで、治安弾圧が一層強化されつつある。「対テロ」戦争の一環として治安弾圧が全社会を覆いつつある。われわれも、国際共同闘争や反基地闘争で、ここ数年、全国で不当な弾圧を受けてきた。あらゆる弾圧に抗し、たたかいを前進させていこう。
 同時に、入管闘争を推進しよう。戦争国家化のなかで、治安弾圧が強化され、入管体制が反動的に強化されつつある。許すな。

  ▼第2章―第2節 潮流建設 階級闘争拠点建設

 安倍政権と対決し、労働者階級と被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を推し進め、階級闘争の拠点建設を推し進めていかねばならない。

  ◆第2章―第2節―第1項 階級的労働運動の前進を

 その基軸は、階級的労働運動を全国で前進させていくことである。新自由主義は、労働法制の規制緩和を進め、労働者に対する強搾取と権利剥奪を強いている。一握りの労働貴族、上層労働者を除けば、大半の労働者が、生活苦、生活破壊を強いられている。正規雇用労働者であっても、長時間労働と無権利に苦しめられ、非正規労働者にあっては、低賃金と無権利、不安定雇用に苦しめられている。失業、半失業に苦しめられている。労働者階級の不満は増大している。怒りは深く広く沈殿している。階級的労働運動を全国で前進させることが急務である。安倍政権は、昨年の非正規雇用を拡大する派遣法改悪に続いて、「高度プロフェッショナル制度」を新設する労基法改悪など、さらなる労働法制の改悪を策動している。「ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代ゼロ法案)の焼き直しである。賃金の根拠である労働時間が消えてなくなる。際限なき長時間労働、強搾取に他ならない。安倍政権の反労働者政策と対決しよう。労基法改悪を阻止しよう。最低賃金の大幅アップを実現しよう。中小未組織労働者の組織化を推し進めよう。倒産・解雇攻撃と実力でたたかおう。ストライキを組織しよう。そして、戦争と貧困を強いる安倍政権を打倒する全人民政治闘争の牽引部隊として労働者階級のたたかいを前進させていこう。階級的労働運動の全国における前進を総力で推し進めよう。

  ◆第2章―第2節―第2項 青年運動、学生運動の前進を

 青年運動、学生運動を全国で前進させなければならない。今日の青年、若者は、ある意味で現代資本主義の犠牲を集中的に強いられている世代とも言える。だからこそ、若き世代を階級闘争の主人公へと登場させていくことは特に重視されなければならない。階級的労働運動の内部における青年組織化の重視、若者自身によるユニオン運動、さらに、若者の政治的組織化を総力で前進させよう。また、全人民政治闘争の先頭にたつとともに、帝国主義とたたかう国際主義派学生運動の建設を全国で推し進めていこう。青年労働運動と学生運動を貫いて、若き世代のたたかいを総力で前進させていこう。

  ◆第2章―第2節―第3項 被抑圧人民・被差別大衆のたたかいの前進を

 安倍政権と対決し、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を前進させよう。
 辺野古新基地建設を阻止するオール沖縄のたたかいの中で、沖縄解放闘争を前進させていこう。
 安倍政権のいう「女性の活躍」は、女性労働者をとことん搾取する環境と条件をいかに整備するかということでしかない。安倍政権と対決し、女性解放闘争を前進させよう。労働運動のなかにおける女性労働者のたたかい、軍隊による性暴力とのたたかい、「日韓合意」を破棄させ、すべての日本軍「慰安婦」への国家謝罪と賠償を求めるたたかい、こうしたたたかいをともに前進させ、女性解放闘争の前進をかちとろう。
 戦争と福祉切り捨て攻撃、保安処分攻撃は一体である。帝国主義の戦時政策としての障害者隔離抹殺攻撃と対決し、障害者・精神障害者の自己解放闘争を前進させよう。障害者解放闘争に連帯しよう。
 被爆二世三世のたたかいを前進させよう。被爆者解放闘争に連帯しよう。日韓共同闘争で、8・6広島闘争を、反戦反核反原発闘争としてたたかおう。福島第一原発事故によって、広範な被曝者が生み出されている。被爆者解放・被曝者解放を前進させよう。
 無実の石川一雄さんに連帯し、狭山闘争の勝利に向けたたかおう。部落解放闘争の前進をかちとろう。

  ◆第2章―第2節―第4項 国際連帯戦線の前進を

 国際連帯戦線の前進をともに推し進めていこう。新自由主義・帝国主義グローバリゼーションが強まるなかで、階級闘争の国際的結合が要求されている。先進的な労働者・学生諸団体・個人によって形成されている国際的な反帝共同闘争組織であるAWC、および、その日本側運動であるアジア共同行動日本連絡会議のたたかいを支持し、その発展のためにともに奮闘しよう。労働運動をはじめ、あらゆるたたかいでの国際連帯を強め、資本主義・帝国主義と闘争する国際共同闘争を前進させていこう。プロレタリア国際主義こそ、常にわれわれの原則であり旗印である。

  ◆第2章―第2節―第5項 左派の復権 左派勢力の前進 左派共闘の建設

 以上のすべてのたたかいを貫いて、われわれは、日本階級闘争の内部に、新たな左派共闘を建設し、左派勢力の復権を推し進めていかねばならない。
 新自由主義・現代資本主義は、主要資本主義諸国において、階級対立を拡大し、階級闘争の激化を生み出した。帝国主義の「対テロ」戦争は、侵略戦争の新たな激化をもたらした。資本主義のいきづまりのなかで、米国で、EU諸国で、激しい排外主義勢力の台頭と、他方における「相対的な左派」の台頭という顕著な特徴が生み出されている。日本においても同様な社会的状況があらわれつつある。右翼・排外主義勢力を有力な支持基盤とする安倍政権の長期化と連動して激化する差別・排外主義勢力、他方で、昨年の戦争法をめぐるたたかいが垣間見せた大衆闘争の激化、これらは、日本でも、新自由主義のいきづまりのなかで、極右・排外主義勢力の台頭と、他方における「相対的な左派」の増大という事態が生まれつつあることを示している。その基礎には、現代資本主義がもたらす矛盾に対する広範な大衆の不満がその基礎にある。
 われわれは、二〇一四年に「新たな時代を切り拓く左派勢力の結集をともに進めよう」と呼びかけを発し、新たな左派共闘の建設のために、全力で奮闘してきた。各地における階級闘争構造の相違によって、この共闘はさまざまな形態をとっていくであろう。われわれが目指すのは、そうしたさまざまな形態を貫いて、日本階級闘争における左派勢力の増大と左派の復権を一貫して推し進めることである。そのために、首都圏において、たたかう諸団体個人とともに形成された左派共闘「戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委員会」を責任もって推進し、こうしたたたかいを全国へと波及させていくことである。
 だが、いま、主要な資本主義諸国で台頭する「相対的な左派」の主流傾向は、社会民主主義である。そこにあるのは、「格差社会」を是正する、あくまでも資本主義の改良の道である。日本において、日本共産党が「よりよき資本主義」をめざすのと同じである。そうだからこそ、われわれは、「相対的な左派」の増大という趨勢のなかで、資本主義の改良ではなく、資本主義そのものの根本的変革へとむかう左派勢力の拡大、左派勢力の復権、左派共闘を意識的に建設していかなくてはならない。
 こうした方向は、EU諸国や米国においても同様であり、「相対的な左派」の台頭のなかで、資本主義そのものの打倒をめざす流れもまた明らかに増大しているのである。われわれがめざす左派勢力の復権、左派共闘の形成・前進は、「よりよき資本主義」を目指すようなものではなく、資本主義・帝国主義の打倒へとむかうラディカルな流れとして前進させなければならない。また、資本主義・帝国主義の打倒をめざすプロレタリア国際主義に貫かれたものでなければならない。「戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委員会」をはじめとした左派共闘のたたかいの前進のために、全国で奮闘していこう。

  ▼第2章―第3節 共産主義党建設への結集を

 左派勢力の増大・復権を推し進めつつ、これと結合して、共産主義運動の再生をこそ展望していかねばならない。現代資本主義の破綻は明らかである。全世界で労働者階級の不満と怒りは増大している。これに応えねばならない。
 共産主義は、長期のスターリン主義支配によって大きな後退を歴史的に強いられた。共産主義は、かつて、資本主義・帝国主義のもたらすあらゆる災禍とたたかう人民の希望であった。だが、革命ロシアは、スターリン主義へと変質することで、新たな人民抑圧体制へと結果した。生産力主義、一国社会主義建設可能論、世界革命の放棄、二段階革命論によるプロレタリア永続革命への敵対、大ロシア排外主義への屈服、党・階級組織の変質、一党独裁、党と国家機構の融合・一体化、ソビエトの否定と破壊、個人崇拝の導入、あらゆる領域でその誤りを全面開花させ、そして、それゆえにこそ歴史的に崩壊した。
 だが、ソ連邦・東欧圏の崩壊と、現代資本主義がもたらす新たな階級対立の拡大、階級闘争の激化は、スターリン主義と決別した新たな共産主義の現代的再生を求めている。われわれは、それに全力で応えていかねばならない。左派勢力の復権、左派共闘の前進、こうしたたたかいを基礎に、共産主義の復権をこそ推し進めていかなくてはならない。共産主義を再度、人民の希望へ復権し再生させなければならない。それが実現できる根拠、それを実現できる主体的根拠は、やむことのない現実の労働者階級のたたかいであり、被抑圧人民・被差別大衆のたたかいである。そして、左派勢力による共同の努力である。
 革命的労働者党の建設、日本資本主義・帝国主義を打倒する革命党の建設、国家権力とたたかい弾圧を打ち破る党の建設、そして、スターリン主義と決別した新たな共産主義を再生する共同の努力を推進する党の建設をもって、日本階級闘争の内部に、共産主義の希望を復権していこう。こうした共産主義党建設に結集し、ともにたたかうことを最後に訴えたい。


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.