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   AWC第四回総会の成功を!

   
アジア太平洋地域における反帝国際共同闘争の前進を!

 

 米国を先頭とする帝国主義諸国は現在、シリアにおける空爆・軍事作戦の拡大など、「対テロ」・「対IS」を口実にして、互いに競い合うかのように侵略戦争を激化させている。日帝―安倍政権は、昨年九月の戦争法の強行制定をもって、拡大する「対テロ」戦争への直接参戦の機会を虎視眈々と狙っている。同時に、継続される新自由主義政策が全世界で労働者人民をますます強まる搾取と収奪、貧困と抑圧にさらしている。
 アジア太平洋地域においては日米帝国主義が、米軍基地と米軍展開態勢の強化、日米軍事同盟の画歴史的強化、TPP締結策動などを通して、この地域における支配と労働者人民に対する抑圧をいっそう強めていこうとしている。そのなかで、戦争法を成立させた日帝―安倍政権はかつての日本の侵略戦争・植民地支配の正当化と被害者を切り捨てた戦争責任・戦後補償問題の「最終決着」を狙いつつ、「集団的自衛権の行使」=直接軍事出動の道にいよいよ本格的に踏み出した。
 このような情勢のなかで、アジア太平洋地域の労働者階級人民が団結を強め、世界各地の労働者階級人民の抵抗と連帯して、帝国主義の侵略戦争と軍事介入、搾取と収奪、貧困と抑圧の強化に対して共同の反撃を創りだし発展させていくことは、ますます切実な課題になっている。まさにこの課題に正面から挑戦していくものとして、「日米のアジア侵略・支配に反対するアジア・キャンペーン」(AWC)がきたる二月二十七日・二十八日に日本で第四回国際総会を開催する。
 アジア太平洋地域のたたかう人民運動が一堂に会し、各地の労働者人民のたたかいの現段階を共有し、日米帝国主義の侵略・支配と対決する共同闘争の方針を討議し確立していく重要な機会だ。AWC第四回国際総会の成功を全力で支え、アジア太平洋地域の労働者人民の反帝国際共同闘争のさらなる前進をかちとろう! そして、日本階級闘争の国際主義的発展を切り拓こう!

 ●1章 帝国主義の侵略戦争、新自由主義、排外主義との対決を

 帝国主義と独占資本が推進する新自由主義グローバリゼーションは、国際的にも一国内のレベルでも貧富の格差を拡大しつつ、ますます多くの労働者人民に貧困と権利はく奪を強制し、人民を生活と生存の危機に追いやってきた。二〇〇八年の「リーマン・ショック」を契機とした米国発の世界金融恐慌の勃発は、新自由主義の破たんを意味するものであった。その破たんを糊塗するための巨額の財政出動はさまざまな国で国家財政危機を招来した。公務員削減、公共部門の民営化、医療・福祉・年金の引き下げなど新自由主義にもとづく緊縮財政政策は、各地で労働者人民の困窮を増大させるとともに、ギリシャ人民のたたかいをはじめ労働者人民の側の抵抗をも拡大させた。
 今日に至るまで帝国主義をはじめとする主要な資本主義国は、構造的で慢性的な不況から脱しえていない。中国のバブル崩壊とそれに伴って発生した世界同時株安は世界的な経済危機に新たな様相を付け加えた。帝国主義と独占資本は他にとって代わるべき資本蓄積戦略をもたないゆえに今日もなお新自由主義政策を推進し、「資本の自由」=「搾取の自由」の制約となるあらゆる障壁を取り払うことを追求し、グローバルな舞台で新たな市場の確保・開拓と略奪のために互いに激烈な抗争を繰り広げている。
 しかし、破綻を刻印された新自由主義の「延命」は新たな、さらに大きな矛盾の爆発を準備するものでしかない。その下での労働者人民の貧困からの脱却と解放の展望はありえない。
 そのような意味で現代資本主義の危機は鮮明であり、その命脈は尽き果てている。
 同時に、二十一世紀の開始とともに「テロとの戦い」を錦の御旗として、アフガニスタンやイラクなどへの侵略戦争を繰り広げてきた米国を先頭とする帝国主義諸国は今日、「対テロ」・「対IS」を口実として侵略戦争を新たに激化させている。
 二〇一四年六月のIS勢力によるイラクの主要都市・モスルの陥落を契機とし、米国は同年八月にIS掃討を名目として三年前のイラクからの米軍主要部隊の撤退以来初となるイラクでの空爆へと踏み出し、翌九月にはシリア領内へと空爆を拡大した。
 フランス・オランド政権もこれに続いた。昨二〇一五年十一月のパリでの同時攻撃を受けて、帝国主義諸国による侵略戦争はさらにエスカレートした。フランスは「戦争状態への突入」を宣言し、シリア沖に原子力空母シャルル・ドゴールを派遣して、シリアへの空爆を激化させた。
 EUによる集団的自衛権の発動の下、イギリスもシリア空爆に踏み出し、ドイツはシリアでの軍事作戦への直接参加を決定した。米国は地上部隊の派兵に向かおうとしている。
 他方、アサド政権を庇護する立場から米・欧州のシリア軍事介入を批判してきたロシアも、昨年十月のロシア機撃墜事件を受けて、前月から開始していたシリアのIS支配地域への空爆を激化させた。
 これら帝国主義諸国およびロシアなどの大国によるシリア・イラクへの軍事介入は、トルコとロシアの対立、サウジアラビアとイランの対立などを顕在化させ、周辺諸国を巻き込んで錯綜した状況を生み出しつつ、いっそう泥沼化する様相を呈している。
 中東の資源の分割と再分割、そのための中東での覇権の確立をめぐる激しい抗争がその背景にある。「テロリスト」の攻撃がまずあって、それに対する「報復」が行われている、というのではない。帝国主義やロシアなどによる侵略戦争がまず第一にはっきりと批判されねばならない。実際、フランスもロシアもパリでの同時攻撃やロシア機撃墜事件の以前からシリアを空爆している。ISによるものとされるこれらの攻撃を恰好の材料として、それを口実に侵略戦争を拡大させているのだ。こうしたなかで、日帝―安倍政権は、対ISの有志連合の一角を形成するとともに、戦争法=新安保法制の制定をもって、「集団的自衛権の行使」を口実とした中東への自衛隊の直接参戦の機会を伺っている。
 「対テロ」・「対IS」を名目としてますます激化する帝国主義諸国などによる侵略戦争、内戦への軍事介入は、現地の労働者人民の死傷者を拡大し、膨大な難民を生み出しつつ、世界各地に戦乱を拡大している。パリでの同時攻撃を受けて、長期にわたる非常事態宣言を発したフランスのように、各国はおしなべて「テロ対策」を名目にした治安管理体制の強化をおし進めている。日本においては安倍政権が共謀罪の早期の成立に向けた動きを強めている。同時に、移民や難民の排斥を掲げる差別・排外主義勢力、極右政党がこの状況のなかで勢力を拡大している。
 帝国主義による「対テロ」を掲げた侵略戦争の激化は、確かに世界の戦場化とでもいうべき状況を生み出しつつある。しかし、その原因が帝国主義とその侵略戦争にあることは明らかだ。それに対する批判を鮮明にして、これと連動する国内治安体制の強化、排外主義攻撃と断固として対決していかねばならない。
 今日の激化する侵略戦争と激しさを増す経済抗争は、帝国主義とその世界支配秩序の危機の現れである。米帝を中心としたこれまでの帝国主義の世界支配秩序、世界資本主義体制がその根底から動揺しているということだ。米帝の歴史的没落のすう勢のなかで、資源と市場の分割と再分割、勢力圏の再編成をめぐる帝国主義諸国など大国間の経済的・軍事的抗争が、世界各地で労働者人民を犠牲にしながらおし進められている。労働者人民の分断を狙う差別・排外主義攻撃を打ち破り、労働者人民の国際連帯を築きあげ、帝国主義の侵略戦争と新自由主義攻撃に対して断固たるたたかいを推進していかねばならない。そして、帝国主義・資本主義の危機の深まりのなかで、それを根底から打倒し、プロレタリア革命の前進に転化していくために、各国・地域の階級闘争を結合し、帝国主義・資本主義とたたかう国際的な共同闘争を創りだし発展させていかねばならない。

 ●2章 アジア太平洋地域を巡る情勢と日米帝国主義

 アジア太平洋地域をめぐっては、日米帝国主義による支配強化の策動にともなって、この間、地域の諸国間での緊張と対立が拡大し、情勢の不安定化が進行してきた。
 その第一の要因は、米帝による「再均衡戦略」の発表以来のアジア太平洋地域における軍事プレゼンスの拡大である。二〇一二年初頭に米帝―オバマ政権が打ち出した「再均衡戦略」は、とりわけ資本主義化を進め地域的・世界的な大国として台頭してきた中国への軍事的な包囲と対抗を軸とし、朝鮮民主主義人民共和国をけん制しつつ、アジア太平洋地域における軍事プレゼンスの増強を図ることを米国の世界支配の維持のための戦略的軸心に明確に据えるという点で、きわめて大きな戦略的転換であった。
 それは日米軍事同盟の画歴史的強化をはじめ、韓国、オーストラリア、フィリピンなどとの軍事同盟の強化および日韓、日比、日豪などの同盟国間の軍事協力の促進・加速を伴うものであった。この間進められてきた沖縄、日本「本土」での米軍基地の新設・強化、フィリピンでの米軍駐留の強化、韓国での平澤米軍基地の強化や済州海軍基地建設も、この米帝のアジア基軸化戦略のなかに再編され位置づけられている。
 このような米国の軍事的動向は、中国からの警戒と対抗的軍拡を呼び起こしつつ、地域における軍事緊張を拡大させている。とりわけ南沙諸島をめぐる領有権問題をめぐっては、米国は「航行の自由」作戦を展開して具体的に介入し、中国を強くけん制した。米国は中国との間で、一方では経済的な相互依存関係を維持しつつも、他方では対中国の軍事的包囲網を拡大・強化しており、それが地域の軍事緊張の拡大と不安定化の大きな要因となっている。
 第二に、新自由主義的地域統合の推進とそのヘゲモニーをめぐる抗争の進行である。アジア太平洋地域という巨大な市場の争奪をめぐる抗争は現在、「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の創設に向けた主導権の争いとして進行している。
 米日帝国主義は環太平洋パートナーシップ(TPP)の締結交渉を推進し、昨年十月に「大筋妥結」を発表した。それは、「例外なき関税障壁の撤廃」をうたいつつ、米国の基準を「グローバル・スタンダード」として各国に押し付け、あらゆる分野において独占資本・多国籍資本の利害を貫徹しようとするものだ。米日はTPPの加盟国をさらに拡大させようとしている。
 他方において中国は、米国が加盟しない東アジア経済連携(RCEP)交渉の中に自らの位置を確保し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立をもって、アジア太平洋地域における経済的大国としての姿を押し出している。
 昨年十一月のマニラAPECでは、米日中が共に参加国になっているが故に、「我々は、環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉の大筋合意を含む地域における自由貿易協定の最近の進展、及びFTAAPへのあり得べき道筋の進捗に留意し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の早期妥結を慫慂(しょうよう)する」という首脳宣言が出されたが、新自由主義にもとづく地域経済統合に向けた動きは、この地域の労働者人民にさらなる貧困と抑圧、権利はく奪をもたらすものであることは明らかだ。
 第三に、日帝―安倍政権の動向である。そのひとつはいうまでもなく、戦争法の制定である。これは日米軍事同盟と日本の戦争国家化を画歴史的な段階へと飛躍的に押し上げた。経済支配のみならず、「集団的自衛権の行使」を口実にして、自衛隊が米軍などの同盟国とともに、アジア太平洋および全世界へと軍事出動せんとする新たな時代への突入を意味する。安倍政権は原発再稼働を推進することで、戦争国家化に対応した独自エネルギーの確保を狙い、日本の独自核武装の野望をあらわにしている。安倍政権はまた、中国や朝鮮民主主義人民共和国の「脅威」を喧伝し、その排外主義煽動を強めている。
 また、この動きと一体に安倍政権が推進しているのが、かつての日本帝国主義によるアジア太平洋地域における侵略戦争・植民地支配の美化・正当化、日本の戦争責任・戦後補償問題の欺瞞的な清算あるいは欺瞞的な「最終決着」の策動である。
 昨年末の日本軍「慰安婦」制度問題に関する日韓「合意」は、被害当事者の要求を無視し、日本政府としての公式な謝罪もなく、その法的責任も不問に付したまま日本軍性奴隷制度問題の幕引きを図ろうとするものであり、断じて認められない。安倍政権はさらに、この「合意」をもって他のアジア諸国・地域の戦争被害者の声と要求を封殺しようとしているのだ。このような安倍政権の動向は、アジア諸国・地域の労働者階級人民の大きな怒りと懸念を呼び起こしており、それに対する批判とたたかいが拡大していくことは避けられない。
 第四に、アジア太平洋地域、とりわけ東アジアはいわゆる「冷戦構造」が今日まで残存している地域でもあり、それが地域の不安定化の要因となっていることである。先の朝鮮民主主義人民共和国による核実験と、これに対して戦略核爆撃機B52を朝鮮半島に派遣して恫喝をしてみせた米国の対応は、朝鮮半島の分断、朝鮮戦争がいまだ休戦状態のままに置かれていることをあらためて思い起させた。
 われわれは被爆者、被爆二世・三世の解放闘争に連帯し、また、核と人類は共存できないという確信から、核兵器であれ原発であれ、すべての核開発・核実験に反対してきた。それ故われわれは共和国の核実験に抗議する。しかし、米帝国主義をはじめとする他のすべての核保有国、その核の傘の下で安全保障体制を構築している日帝を含む諸国のあり方を免罪するものでは決してない。
 また、米日韓の軍事的包囲と経済制裁を含む共和国敵視政策こそが東アジア地域の軍事的緊張を強め、それが共和国核開発・核実験を生み出してきた主要因のひとつであることを指摘しなければならない。それゆえ不断に軍事緊張を生み出す根拠となっている朝鮮戦争の休戦状態を転換する平和協定の締結、米朝・日朝の国交正常化、これと並行する対話による朝鮮半島非核化の道へと踏み出すことが求められているのである。
 また、米国は、中国大陸と台湾との関係においても、台湾関係法にもとづいて台湾への武器売却を今日まで続けることで、台湾海峡両岸の緊張と情勢の不安定化をつくりだしてきており、この点も批判せねばならない。

 ●3章 AWC運動を支持し、反帝国際共同闘争の発展を

 アジア太平洋地域および世界を取り巻く情勢のなかで、労働者階級人民が分断支配を打ち破り、国際連帯と国際共同闘争を前進させていくことは、帝国主義の世界支配秩序の根底からの動揺、それゆえの侵略戦争策動と新自由主義攻撃の深まりという情勢のなかで、いまあらためて強く求められている。直接の交流を通して互いの経験を学びあい、共通の課題に対して共同のたたかいを具体的に前進させてくことは各国・地域の人民運動の強化および国際的なレベルでの人民運動の発展にとって不可欠のものである。また、重要なことはそれを反帝国主義・反資本主義の共同のたたかいへとしっかりと結びつけ、牽引していくことである。
 同時に、たたかうアジア人民との反帝国際共同闘争を推進するということは、日本の労働者階級人民のたたかいの歴史的な総括をかけた実践である。すなわち、かつて日本の労働者人民が日帝のアジア侵略戦争・植民地支配に動員され、それに加担し、アジア人民に銃を向けていったこと、かつ、戦後も日本が帝国主義として復活し、米帝とともにアジア侵略・支配を強めていくなかでアジア人民の苦闘に十分に結合しえてこなかったことの歴史的な総括に踏まえ、反帝国主義と国際主義に立脚し、アジア人民のたたかいとの具体的な連帯と共同闘争をつくりあげていかねばならず、そのようなたたかいの国際主義的な発展のなかにこそ日本階級闘争の展望もあるのだ。
 そのような確信のもと、われわれはアジア太平洋地域のたたかう人民運動の共同闘争と相互支援のための国際ネットワークとしての「日米のアジア侵略・支配に反対するアジア・キャンペーン」(AWC)を支持し、その運動を推進してきた。
 AWCは一九九二年、「日米軍事同盟と自衛隊の海外派兵に反対するアジア・キャンペーン」(略称・AWC)として設立された。それは、ソ連・東欧スターリン主義の崩壊と米帝の「新世界秩序」形成を掲げた一極的世界支配に向けた策動、そしてアジアにおける日帝の位置の増大と国連PKOへの参加を口実にした自衛隊の海外派兵策動の開始というアジアと世界を取り巻く大きな情勢の変化のなかで、それに立ち向かうアジア人民の共同の反撃の宣言であった。
 AWCはその後、一九九五年には「米日帝国主義のアジア支配・侵略に反対するアジア・キャンペーン」と改称し、政治・経済・軍事にわたる帝国主義のアジア支配・侵略と全面的に対決し、反帝国主義を基軸としてアジアの人民運動間の共同闘争と相互支援を推進してきた。
 以降、米帝本国の人民運動との結合をも切り拓きつつ、二十年を超えて、アジア太平洋地域の労働者人民による反戦、反基地、反新自由主義の具体的な国際共同闘争を積み重ねてきた。会議と決議の確認一般ではなく、相互理解を深めながら、反帝国主義にもとづいて共同闘争と相互支援を具体的に組織し推進してきたのである。
 実際、AWCとそこに参加する諸団体はこの間、様々な領域で共同闘争に取り組み、相互に連携して、たたかいを推進してきた。
 そのひとつは、サミット首脳会合、WTO、APEC会合など、侵略戦争と新自由主義グローバリゼーションを推進する国際会議・国際機関に対する現地共同闘争である。二〇〇〇年沖縄サミット反対闘争、二〇〇五年の釜山APEC―香港WTO反対の連続闘争、二〇〇八年北海道・洞爺湖サミット反対闘争、二〇一〇年横浜APEC反対闘争、二〇一五年マニラAPEC反対闘争などいくつもの現地共同闘争を組織し参加してきた。
 AWCに参加する諸団体は、米帝国主義を先頭としたアフガニスタンやイラク、シリアへの侵略戦争に対して、抵抗する民衆に連帯し、互いに連携して、各国・地域で米大使館等に対する抗議行動や街頭デモンストレーションを組織し、また米帝国主義の侵略戦争を支持する自国政府を弾劾してたたかってきた。二〇一四年の米大統領オバマのアジア歴訪に対しては、関係する諸国での連携した抗議行動が組織された。また、昨年には日本の戦争法案反対闘争に連帯する抗議行動が組織されてきた。
 AWCは、アジア太平洋地域からの米軍総撤収を実現するための共同闘争を推進してきた。AWCはこの領域のたたかいを一貫して重視してきた。米軍基地と米軍のプレゼンスは、米帝国主義によるアジア太平洋支配の柱であり、また、米国との同盟関係が各国・地域政府の存立基盤と深く結びついているからだ。AWCの参加諸団体は、この間フィリピンにおける米軍再駐留、韓国での平澤米軍基地拡張や済州海軍基地建設、沖縄・岩国・神奈川をはじめとした在日米軍再編・基地強化に反対する現地での闘いに結集してきた。
 このような現地闘争、共同闘争の推進とともに、AWCは、インドネシア人民のスハルト独裁政権打倒闘争への連帯行動やフィリピン・アロヨ政権による「政治的殺害」への抗議行動、あるいは各国・地域での労働争議に対する支援・連帯行動など、人民運動間の相互支援・連帯を推進してきた。
 これらの共同闘争と相互支援の積み重ねを通して、AWCに参加する諸団体は相互の理解と信頼を深め、その国際的な団結を発展させてきた。こうして発足以来二十年を超えるに至ったAWCとその運動の意義は次のようにまとめることができるだろう。
 第一に、AWCが反帝国主義の政治路線で一致したアジア太平洋地域の労働者・民衆の国際ネットワーク、国際的な団結組織として存在し続けてきたということである。このことは、資本のグローバリゼーションを背景にして様々にあらわれる国際組織、国際ネットワーク一般とAWCとを基礎的に区別するところの政治的性格である。帝国主義の支配と抑圧が続く限り、それに対する共同の闘いを求める民衆の声は決して絶えることはない。AWCはこの民衆の要求に立脚することで、その政治的、国際的な意義を獲得してきたのである。
 第二に、その実践性である。すでにあげたさまざまな取り組みが示すように、AWCは、帝国主義の侵略・支配および民衆抑圧に抗して二十年を超えて共同闘争と相互支援を現場での闘争として続けてきた。つまり、闘う組織だということだ。このような実践的性格がAWCの存在意義を大きく際立たせてきたのである。
 第三に、AWC運動が各国・地域の労働者階級人民を基盤にした階級的運動として組織されてきたということである。AWCに参加する諸団体は、大小の違いはあれ、労働者・農民あるいは都市貧民に根ざした大衆組織として、それぞれの国・地域における社会変革運動を推進してきた。そうした諸団体の共同の努力によって、AWC運動は一定の安定した基盤を獲得すると同時に、この運動がどのような階級の利益を代表しようとするものなのか、その階級的性格を鮮明にしてきたのである。
 第四に、AWC運動は、アジア太平洋地域の民衆の帝国主義に対する連綿たる抵抗闘争の歴史を継承しようとするものであるということだ。AWCは、各国・地域の諸団体の努力を通して、アジア各地の民衆の抵抗闘争の歴史を復権することで、帝国主義に対する実際の共同闘争のなかで、自ら歴史的性格を打ち立ててきたのである。
 このようなAWC運動の政治的、実践的、階級的、歴史的な性格と意義をしっかりと確認し、帝国主義とたたかう実践的な国際組織としてのAWCとそのたたかいのさらなる発展を全力で支えていこう。

 ●4章 AWC第四回総会の成功に向けた支援を

 AWCはきたる二月二十七日・二十八日に日本で第四回国際総会を開催する。この総会には、韓国、フィリピン、台湾、インドネシア、米国、日本など各地でたたかいの先頭に立ってきたアジア太平洋地域のたたかう人民運動が一堂に会する。二〇〇九年の第三回総会以来のAWCの活動を振り返るとともに、各国・地域で労働者・民衆が直面している政治的・経済的・軍事的な情況およびそれに対する闘いを共有し、共通の課題を明らかにして、それにもとづく共同闘争と相互支援の包括的な計画を討議・確立するために開催される。
 直面する情勢のなかで、共通の敵に対する共同の闘いを前進させるためにAWCは第四回総会の課題を次のように明らかにしている。
 第一に、「対テロ」・「対IS」を名目とした帝国主義の侵略戦争の激化に対し、アジア太平洋地域の労働者人民の断固とした反撃をつくりだしていくことだ。
 第二に、米帝のアジア基軸化戦略のなかで進行する米国主導の軍事同盟、とりわけ画歴史的段階を迎えた日米軍事同盟との闘争、各地で新設・強化される米軍基地と米軍展開との闘争、拡大する軍事演習に対する闘争、これらをアジア太平洋地域の労働者人民の共同闘争として推進していくことである。
 第三に、TPPなどアジア太平洋レベルで進行する自由貿易協定の締結策動と闘い、各国・地域での労働争議などへの相互支援を通して、各国・地域での新自由主義政策とのたたかいを結びつけ、帝国主義と独占資本による新自由主義攻撃に対する共同の反撃をさらに前進させていくことである。
 第四に、日本帝国主義による戦争国家化の推進、戦争責任・戦後補償問題の欺瞞的な「決着」を許さず、これと対決するアジア太平洋レベルでの共同のたたかいを発展させていくことである。この点での日本の労働者階級人民の任務はきわめて重大である。
 最後に、当面する実践的な共同闘争として五月伊勢志摩サミットに反対する国際共同闘争に向かうものとして、このAWC第四回総会を成功させることである。
 われわれは自国帝国主義との対決を鮮明にしてたたかい、アジア太平洋地域の労働者人民の反帝国際共同闘争の前進に向けて全力をあげていかねばならない。そのためにAWCの第四回総会の成功に向けた取り組みを全面的に支持し支援していく。反帝国際共同闘争のさらなる前進をかちとろう!


 

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