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■ 戦争法案粉砕! 辺野古新基地建設阻止! 原発再稼働阻止!全人民の力で安倍政権を打ち倒せ 安倍右翼反動政権は七月十五日衆院特別委員会、十六日本会議で、戦争法案を強行採決した。 国会を包囲した六万の人民、また、沖縄、広島など全国各地で戦争法案反対! 安倍打倒! の抗議行動に立ち上がった人民の意思を踏みにじる蛮行である。 安倍政権は最大の課題として位置づけたこの戦争法制攻撃、そして、辺野古新基地建設、原発再稼働、労働法制改悪、刑事司法改悪―弾圧強化という労働者人民に対する反動攻勢を、今夏一挙に強めてきた。さらに、安倍は今夏、七十年反動談話を発する機会を狙っている。一方では、年金情報の大規模な漏出、利権がからんだ国立競技場の巨額工費問題という反動ゆえの問題が噴出している、労働者人民の安倍批判は大きく高まっている。多くの世論調査で、安倍政権の支持・不支持が逆転している。とくに、戦争法案の採決を強行した十六日以降、支持率は急落している。自公が衆院議席数の三分の二を占めるということとは、大きく乖離している。 労働者人民を騙し、労働者人民から搾り取り、果ては侵略戦争に動員し死を強制しようとする安倍政権に、人民の憤怒は沸騰しつつある。戦争体制に突き進む安倍政権を打倒するたたかいに断固立ち上がろう。 ●第1章 戦争法案は違憲だ 安倍政権は、集団的自衛権を「合憲」化する戦争法案を強引に成立させようと突き進んでいる。七月十五日衆院特別委員会で与党単独採決を強行し、翌十六日の衆院本会議で採決を強行した。 安倍政権はこの戦争法案を今通常国会の最大の課題だと位置づけた上で、最初から強行突破を企図してきた。 安倍政権は、戦争法制十一法案において、「存立危機事態」(武力攻撃事態法改悪案)、「重要影響事態」(周辺事態法改悪案)という新しい概念をもって、集団的自衛権行使の立法を強弁しようとしてきた。国会論戦は、そういう概念や例示に関する質疑で始まった。安倍政権は思いついたさまざまな事例をもって軍事的危機感を煽ろうとした。しかし、今、この十一法案の本質的な論議に戻っている。集団的自衛権行使の立法が憲法に違反しているという冷厳な事実についての論議である。 六月四日の衆議院憲法審査会で、自民党推薦の憲法学者を含め参考人全員が、安全保障関連法案を違憲だとした。報道機関の調査でも憲法学者のほとんどが違憲だとし、元最高裁判事や弁護士も違憲だと明言している。自民党議員からは、言論封殺、報道機関弾圧、沖縄差別の暴言が飛び出し、琉球新報、沖縄タイムスをはじめとしたジャーナリズムからの抗議、批判が相次いだ。安倍は、大阪府民に否を突きつけられた橋下を篭絡したつもりだったが、人民の反対の声が沸き起こる中では、維新の会すら安倍政権の戦争立法に与することはできず、採決には加われなかった。 ▼1章―1節 論理的に破綻した安倍政権 戦争法案の違憲が明らかになった六月段階で、安倍政権はすでに危機感をもって、九月二十七日まで超長期の国会延長を決めた。七月中旬に衆院裁決を強行すれば、「六十日ルール」で戦争法案成立にこぎつけられるという計算である。昨年末のだまし討ち総選挙で自公が衆院の三分の二を占めたことをもって、このような独裁的議会運営を計算しているのだ。 しかし、そうであろうか。「衆議院での審議が尽くされた」という状況ではない。国会での審議が進むに連れて、世論調査で反対の声が増え、とくに「安倍首相の説明は、丁寧ではない」という声が増大している。 安倍自身は、国会での質疑において、法案が憲法違反であることについて論理的に答えることが全くできていない。安倍は法理論として「合憲」だと語ろうとはしないし、語ることもできない。これは学者か政治家かの問題ではない。法律を決定する立法府での議論において、合憲か違憲かの論議が論理的に成立しないということは、本質的に与党の敗北ということだ。 安倍は何を語ったか? 「合憲だと絶対的確信をもっている」と繰り返しただけだ。国会中継を視聴している人民のだれも、安倍の主観的確信を繰り返し聞いても意味はない。 安倍自身が「国民の理解が進んでいない」などと語っているが、当たり前だ。「百十六時間」の審議と言いながら、安倍や中谷がこのように主観的確信や決意を語ることで時間を稼いだだけだからだ。 確かに、安全保障関連法案が「必要」という理解は進んではいない。しかし、労働者人民は、この戦争法案を拙速に成立させようとする安倍の意図については、むしろ、その理解を深めてきた。安倍政権が憲法論議を軽んじ、日米軍事同盟強化を優先し、この戦争法案がどうにでも拡大解釈できる危険な法であることを、理解してきた。 一方で、明らかになったのは、安倍政権の憲法に対する無理解だ。中谷防衛相は六月五日の衆議院特別委員会で、「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばよいのかという議論を踏まえて、閣議決定を行なった」と答弁している。政権中枢の閣僚が、法案そのものをめぐる国会論議の中でこのような発言をすることが驚きであるが、これは中谷個人の資質の問題ではない。中谷は閣議の内容を正直に答えたのであろう。つまり、安倍首相を含めて現閣僚たちが、集団的自衛権行使の戦争法案をとにかく作り、現憲法をどうにかして「この法案に適用させる」という論議を行なったということなのである。 民主主義も立憲主義も理解できない輩が、戦争をする目的だけを優先させて、憲法を下位において論議をしてきたということだ。 そして、この「憲法適用」論議の末に、安倍政権は一九五九年の砂川事件最高裁判決を集団的自衛権「合憲」化の「根拠」だと強弁する奇妙奇天烈な論理を思いついた。 しかし、この判決は、駐留米軍と刑事特別法の違憲性に関する判決であって、日本の集団的自衛権を論じているものではない。そして、一審無罪判決=伊達判決が違憲としたものを、最高裁は合憲とした訳ではない。最高裁は、憲法判断を回避した上で伊達判決を破棄するという政治的判決を出したのだ。しかも、高裁を飛び越えた最高裁への跳躍上告については、当時の駐日米国大使マッカーサーが藤山外相に指示したものであった事実が、〇八年になって米公文書から明らかになっている。それゆえに、当時の被告たちは現在再審請求を行なっている。このような最高裁判決は決して集団的自衛権「合憲」化の「根拠」になるものではない。 ▼1章―2節 弾圧と沖縄差別が安倍政権の本性 安倍は、自らの拙劣な法案論議、憲法論議への人民の批判が高まる中で、身内から批判が飛び出すことを恐れ、自民党内に言論統制をしいた。この言論統制の結果、自民党内で認められた勉強会は、安倍直系の国会議員たちが六月二十五日に行なった「文化芸術懇話会」だけであった。そこでは、戦争法案批判のマスコミを「懲らしめろ」、「沖縄の二つの新聞社を潰せ」、「米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方がはりかに率が高い」という言論封殺、沖縄差別が噴出した。この会での発言を主導した自民党国会議員・大西は、党から「厳重注意」を受けつつも、自身の暴言を反省することなく記者会見では「正当性」を主張して居直り続けた。 国会で追及された安倍は、自民党内の暴言を「言論の自由」だと防衛し、この問題の深刻さを即座に感じ取ることができなかった。安倍のこの感性こそ、この暴言事件が自民党の一部議員の問題ではなく、安倍晋三自身と安倍政権そのものの本性を顕わにした事件だということを物語っているではないか。 ●第2章 日米軍事同盟と戦争法案 ▼2章―1節 日米ガイドライン改定と戦争法案 安倍政権は、改憲の手続きを経ることなく、戦争法案をもって憲法を実質的に破壊する攻撃を強めている。この拙速な法案審議―戦争体制突進の本当の意図は何なのか。 安倍政権は十一の戦争法案を五月十四日に閣議決定し、翌十五日に国会に提出したが、その直前の四月二十七日に日米安全保障協議委員会(2+2)を開催して、日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)改定を合意している。この新たな日米ガイドライン(以下、「二〇一五年ガイドライン」)は、集団的自衛権行使を可能とする日本の戦争法制成立を前提としている。 日帝の軍事力の強化と参戦は、日米軍事同盟の強化と連動してなされてきた。とりわけ、七〇年代後半以降は、日米ガイドラインを基準としてなされてきている。 一九七五年のベトナム民族解放革命戦争の勝利、米帝の敗北の後、東アジアにおいては軍事的焦点が「ベトナムの次は朝鮮半島」へと移る中で、在日米軍と自衛隊が朝鮮半島で起こる事態にいかに対処するのかということを企図して、七八年十一月に最初の「日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)」を、日米間で合意した。 この七八年ガイドラインに基づいて、日米間の「共同作戦研究」が行なわれ、「共同演習」「共同訓練」が平時の軍事協力として行なわれるようになった。同時に、日本政府は七八年ガイドラインに基づいて、八〇年代に有事法制研究を進めた。 八九年のベルリンの壁崩壊、八九年米ソ首脳会談(マルタ会談)での「冷戦終結宣言」、九一年のソ連邦崩壊という事態の中で、北大西洋条約機構(NATO)も日米安保もその位置付けが大きく揺らいだ。 米帝は九四年、軍事的重圧をもって朝鮮戦争危機を作り出した。一方で九五年、沖縄において米海兵隊員による少女暴行事件から反基地闘争が急激に高まった。 日米帝国主義は九六年、「日米安保共同宣言」を発表し、同時に「普天間基地の返還」なる一大ペテンを行なった。この「新安保」体制の下で、辺野古新基地建設が強行され、九七年九月に日米ガイドライン改定がなされた。九七年ガイドラインで詳細に計画された通りに、朝鮮戦争への後方支援を具体的に想定した周辺事態法(九九年成立)、そして、日本有事に対する自衛隊主導の戦争作戦を定めた武力攻撃事態法(〇三年成立)が法制化されてきた。 七八年ガイドラインでも、九七年ガイドラインでも、日帝―自民党政権は米帝との安保協議の中で、条約改定を行なわないまま閣僚同士の合意で軍事同盟の内容変更を決定し、日帝はこれに沿って戦争法制策定など戦争準備を進めてきた。 二〇一五年ガイドラインは、日米間において、A平時からの軍事的協力、B「周辺事態」を「重要影響事態」に改編した上で日米間相互の後方支援、C日本に対する武力攻撃事態への共同作戦、D日本以外の国に対する武力攻撃事態(存立危機事態)への対処行動、E日本における大規模災害への対処の五類型に対応した相互支援、共同作戦を行なうことを合意している。 この二〇一五年ガイドラインの合意内容に沿って、安倍の戦争法案は策定されている。しかも、九七年ガイドラインのように数年かけてではない。この二〇一五年ガイドラインと戦争法案の本質が暴露され周知されることを恐れ、一挙に法案化して国会で押し通し、労働者人民を騙し通そうとしている。 憲法も日米安保も踏み外した日米ガイドラインに基づいて閣議決定された戦争法案が憲法九条に違反していることは当然である。米帝の朝鮮戦争計画を共同で遂行しようとした周辺事態法や、これまで時限立法で強行されたイラク特措法とて、自衛隊が対外戦争に参戦していく法規であり、違憲だったのだ。「周辺」という範囲を取り払い、武器使用や後方支援を全面改悪して明確に参戦する戦争法案、集団的自衛権を行使することを明白にした戦争法案が、憲法九条違反であることは疑いようがない。 二〇一五年ガイドラインの内容は違憲どころではない。日米安保条約の内容をも大きく踏み外している。日米安保条約自体が、その第四条と第六条において、範囲を「日本」と「極東」に限定している。日米ガイドラインと戦争法案がこの範囲を公然と乗り越え、世界中で自衛隊と米軍が共同作戦を展開するというのだ。国会での批准が必要な条約改定を行なわないで、日米の外務・防衛のたった四人の閣僚の「合意」によるガイドラインで、条約同様の同盟関係強化を主張すること自体が、異常な事態である。こんなことを絶対に許してはならない。 ▼2章―2節 安倍の情勢認識とアジア外交 七月十六日、強行採決直後に安倍は記者会見で、いつもの言い訳を繰り返した。「日本をとりまく安全保障環境は厳しさを増しています」として、これに対応した安保法制が必要だという論議だ。安倍は「安全保障環境の厳しさ」と繰り返すだけで、国際情勢あるいはアジア情勢に関して、具体的本質的に議論を尽くしたことなど一度もない。中国がスプラトリー諸島を埋め立てているということ以上には何も出てこない。こんな「根拠」で、憲法を破壊する戦争法制を作るという結論にはならない。 安倍晋三は、その個人としての極右思想によって、政権発足以来アジア外交に失敗してきた。安倍自身の靖国参拝によって、中国、韓国をはじめとするアジア諸国からの批判の的となり、まともな首脳会談を行なうことはできなくなっている。 安倍政権は、アジア太平洋地域に食指をのばす米オバマ政権が掲げる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に全面的に参加し、TPPを成立させればアジア太平洋地域の権益を確保できると思い込んでいる。 しかし、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導し、アジア、欧州など五十七カ国がAIIB創立に参加することになっている。一方、中国、ロシアが主導してBRICS銀行も設立されている。資本主義化を進める中国は、米帝が抵抗するIMF改革を進めることを視野に入れ、米帝主導のTPPに対抗する意図をもってAIIBを進めてきているのである。 しかし、米帝と中国が軍事的に衝突し、世界戦争に踏み込む流れになっている訳ではない。中国は米国債の最大の保有国であり、一方で、中国はIMF、WTOを軸とし、ドルを「基軸通貨」とする現在の資本主義世界体制を認めた上で、米帝と戦略的に競い合っているのである。 米帝は、米帝の利害を貫徹する侵略反革命戦争に、日米ガイドラインに基づいて日帝の参戦を促すであろう。が、日米安保に基づいて中国と戦争を行なおうなどと考えてはいない。 日米軍事同盟とTPPだけでアジア外交を進められると思い込んでいる安倍晋三が、その本性たる極右思想のままに「七十年談話」を発すれば、ますますアジアでの孤立を深めることになるだろう。 ●第3章 新自由主義―労働法制改悪攻撃 ▼3章―1節 異次元緩和の階級的本質 日帝―安倍政権は、アベノミクスなる経済政策をもって日帝ブルジョアジーから支持をとりつけてきた。安倍政権の下で一貫して行われてきたのは、まずもって日銀―黒田の異次元緩和である。その量的緩和政策の実態は、日銀が銀行から国債を買って資金を流すことである。結果として、最大の収益をあげているのは金融機関(銀行、保険業)である。 かつ、自公政権は、消費税を増税した一方で、法人税の実効税率引き下げを強行しており、企業総体が税制上で優遇されている。さらに、安倍政権は金融機関の資産運用、投機での収益に対する課税に極めて消極的であり、金融機関への課税は緩められている。 日銀が国債を「安定的に」買い入れることによって、金融機関は何もしなくても収益が増えるというのは、異次元緩和の直接的結果であり、「景気回復」とは関係のない話だ。本来の黒田の主張にもどって考えるならば、異次元緩和によって、金融機関の貸し出しを増やし、製造業など企業の設備投資を増やし、民間需要を増やす。物価が上がり、国内総生産(GDP)が伸びる。金融機関(銀行)と企業への資金の流れを増大すれば、必ず物価が上がり、景気は回復する、という説明だったはずだ。2%というインフレ目標を設定し、この目標まで物価が上昇すれば、需要は回復し、生産も拡大するはずだった。それはどうなったのか? 金融機関からの貸し出しは二〇一二年度十一兆円、一三年度十二兆円、十四年度は六兆円でしかなかった。 物価上昇に関しては、企業の物価見通し調査でも「1%程度」という回答が最多となっており、「インフレ期待」などはない。黒田が期待した「マインドの変化」など起こってはいないのだ。 資金供給量拡大 → インフレ・円安 → 株価上昇 → 需要拡大 → 景気回復 → 賃金上昇 という黒田や浜田宏一の考え方は、原因と結果を逆転して捉えているのである。 資本主義の景気循環の過程において、不況から好況へと転換する景気回復期においては、不況期を通して賃金が低下しており、新たな生産技術によって資本の有機的構成の高度化が起こるとともに、生産の新たな拡大が始まる。そこに労働力を動員し、生産が拡大する。生産拡大に伴って、徐々に賃金は上昇し、結果として需要は拡大する。一方で、賃金上昇が商品価格を押し上げることになり、物価は徐々に上昇する。 物価上昇は、好況期の結果として起こってくることなのである。資金供給量を過剰にして物価を引き上げれば景気が回復するなどという考え方が間違っているのである。かつ、中央銀行が量的緩和を行なっても、資金が流れなければインフレ自体が起こらないし、たとえ、それを起こせたとしても、その「結果」として必ず生産が拡大するということにはならないのである。 黒田の異次元緩和によって、投機資金は増大し一時的に株価は上昇した。このミニバブルによって資産家の資産は増大した。しかし、株式に投機する金融投機資本や資産家たちは、増大した資産で次の投機先を探すだけだ。一部は消費に回るかもしれないが、それは高額商品の消費がわずかに増えるだけだ。資金供給量の操作によって株価が上がることは、労働者人民の生活を向上させるものでは決してない。 現実に、日本の労働者人民にとって起こっていることは何か? 実質賃金が低下し、消費増税によって家計支出は増大しており、生活が苦しくなった実感しかない。 ▼3章―2節 「成長戦略」の実態は労働法制改悪 この一方で、安倍政権は、そのアベノミクスの「成長戦略」の最重要環として労働法制の改悪を強行しようとしている。 「岩盤のような規制を打ち砕く」という安倍の意図は、労働者階級が歴史的にかちとってきた労働基準法など労働関係法によって保障されてきた労働者の権利を破壊するということである。 安倍は日本を「世界で一番企業が活動しやすい国にする」と主張してきた。 安倍政権の金融政策も財政政策も、金融投機を含めた企業活動を優遇するために進められている。そして、税制においても、消費税増税を強行する一方で、法人税減税を進めてきた。減税前の日本の法人税はフランスとほぼ同じであり、米国よりも低かったのだ。そういう水準であったのに、安倍政権は法人税率が高すぎると強弁して、引き下げに突き進んだ。 そして、安倍政権が「規制緩和」として着手したのが、労働法制の改悪である。一つは、労働者派遣法の改悪であり、さらに、労働基準法の改悪による労働時間規制の破壊を狙っている。 安倍政権は六月十九日、労働者派遣法の衆院での採決を強行した。派遣労働の業務の限定をはずし、また、派遣労働が三年を超えた場合の直接雇用への切り替えをなくすという法案である。徹底的に企業側が有利になり、派遣労働者の権利を奪い、「生涯派遣」を強制し、派遣労働の比率を増大させていくものである。 労働基準法改悪による「残業代ゼロ」法案は、「年収一千七十五万円以上」の労働者に限定などとしているが、日本経団連は「四百万円以上」の労働者に適用すべきと提言している。塩崎厚労相は、経営者に対して「まあとりあえずこれで通すということで合意していただけるとありがたい」と発言している。年収要件を付けて法案を通しておいて、後で要件緩和の法改定をくり返して対象労働者を拡大する意図は明白ではないか。 安倍政権の政策は、階級的意図が鮮明になっている。 アベノミクスとは、金融、財政、税制、そして労働政策とあらゆる政策において、企業、金融投機資本、富裕層の利害に立脚し、労働者人民の権利を根こそぎに奪いとることを企図したものである。 安倍政権とたたかう労働者階級は、安倍の攻撃の意図を見抜き、怒りをたぎらせている。 たたかい取るべきは、労働者、低所得者に有利な税制に転換させ、労働者の権利を拡大し、最低賃金を上げ、社会保障を充実させることだ。アベノミクスと正反対の政策こそが、民生を充実させ、労働者人民総体の需要を喚起することになるだろう。 今や、安倍打倒こそ、労働者階級人民の利害に立脚した闘いである。 ●第4章 戦争国家と反動攻勢 安倍政権は、戦争法案と同時に反動攻勢を強めている。とりわけ、米軍基地建設と原発再稼働については、弾圧態勢を強め労働者人民の闘いを押し潰して強行しようとしている。反動攻勢を打ち破るたたかいを全国あらゆる戦線で強化し、結合し、安倍政権打倒に向けて、ともにたたかい抜こう。 ▼4章―1節 沖縄―「本土」貫き、辺野古新基地建設阻止 日米軍事同盟の強化を進める安倍政権にとって、二〇一五年ガイドラインに基づく戦争法案と、辺野古新基地建設は一体の攻撃である。安倍晋三は四月下旬の日米ガイドライン改定、日米首脳会談をもって、日米同盟の強化に踏み込んだと誇っている。沖縄の軍事基地は、この軍事同盟の根幹である。戦争法案と同時に、辺野古新基地建設をもって、安倍はその野望を貫徹しようとしているのだ。 一九九六年日米両政府が辺野古海上基地建設を決定し、名護市民が反対運動を開始し、九七年の市民投票、ヘリ基地反対協結成から十八年余にわたる闘いの上に、本年、辺野古は決戦状況にある。辺野古現地での一貫したたたかいと、基地反対を鮮明にした稲嶺市長―市議会与党をかちとるまでに至った名護市民の圧倒的多数のたたかい。これを軸にして、昨年沖縄知事選では、島ぐるみの辺野古新基地建設反対運動を基盤にして翁長知事が圧勝した。 このオール沖縄の辺野古新基地建設反対運動に対して、日帝―安倍政権は当初数ヵ月にわたって翁長知事との面談すら拒絶し、沖縄人民の意思を踏みにじって辺野古ボーリング調査を強行し続けてきた。海上行動に対する海上保安庁の暴行・拘束と、キャンプ・シュワブゲート前での米軍警備員、機動隊による暴行・逮捕という一大弾圧をもっての攻撃である。 沖縄人民は島ぐるみの支援体制で、辺野古現地の連日の攻防をたたかっている。われわれは沖縄労共闘を先頭に、全国からの辺野古現地派遣をもってたたかい抜く。統一委員会として責任をもって現地攻防の一端を担っていく。同時に、あらゆる形態をもって全国各地から辺野古派遣運動を創出していく。 辺野古新基地建設阻止は、名護市民―沖縄人民が生命と生活を守る全く正当な権利としてのたたかいである。同時に、日米帝国主義の侵略反革命戦争の重要な根拠を打ち砕くたたかいである。沖縄人民の自己決定権に基づき、沖縄―「本土」を貫くたたかいで、辺野古決戦に勝利しよう。 安倍政権の反動攻勢の一環として、大阪府警公安第三課は六月、米軍Xバンドレーダー基地反対運動に対して「道路運送法違反」をデッチあげて三名を不当逮捕し、二十ヶ所におよぶ家宅捜索を強行した。京丹後米軍基地建設を強行し、関西における反基地運動を破壊しようとする一大弾圧である。逮捕された被弾圧者は完黙非転向でデッチあげ攻撃を粉砕し、米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会、近畿連絡会は、大阪府警に対する大衆的な抗議行動をたたかった。6・18京丹後現地闘争は、この弾圧を打ち破って断固たる結集でたたかい抜かれている。 ▼4章―2節 原発再稼働阻止! 川内現地闘争へ 安倍政権は、原発再稼働・原発輸出を方針として掲げ、九州電力・川内原発から再稼動を開始しようとしている。安倍政権の意を受けた原子力規制委員会は、川内原発が新規制基準を満たしたとする審査書を決定した。そして、「原発立地自治体」として原発利権を握らされた薩摩川内市、鹿児島県が再稼働に同意した。九州電力は再稼動に向けた手続きを進め、七月には燃料棒搬入を強行した。 しかし、全てが安倍の意のままに進んでいるわけではない。四月十四日、高浜原発三・四号機運転差し止め仮処分訴訟において、福井地裁・樋口裁判長は「三号機及び四号機の原子炉を運転してはならない」という仮処分決定を出した。この決定は、高浜原発の個別の理由によるものではなく、原子力規制委員会の新規制基準そのものに対して「合理性を欠く」として全面批判し、住民の人格権侵害を第一の根拠にして判断したものであった。この内容は、日本のすべての原発にあてはまる。すべての原発を運転してはならないのだ。 樋口裁判長によってなされた昨年の大飯原発三・四号機運転差し止め判決に次ぐ画期的な決定である。この判決および仮処分決定の大きな根拠となったのは、3・11福島原発事故で被曝し避難を余儀なくされた福島の人々の闘いであり、それと連帯し、全国で巻き起こった反原発闘争である。反原発闘争の中で、東京電力をはじめとする電力会社の安全を軽視した経営実態が明らかにされてきた。そして、電力会社、電機産業資本、銀行資本、それらを防衛し擁護する政府―経産省を弾劾してきた。全人民的運動となった反原発運動こそが、良識をもった裁判長を揺り動かしたというべきであろう。 だが、直後の四月二十二日に出された鹿児島地裁・前田裁判長の決定は、川内原発一・二号機差し止め仮処分請求を却下するものであった。司法権力に幻想を持つことはできない。安倍政権の再稼働突進を阻止するたたかいを今こそ強めなければならない。 「6・7ストップ再稼働! 福岡大集会」には全国から一万五千人が結集して、再稼働阻止が確認された。 八月、安倍政権―経産省、九州電力との再稼動をめぐる決戦となる。川内原発再稼働攻撃を断固阻止しなくてはならない。再稼働阻止全国ネットワークを軸にして、久見崎海岸の川内原発再稼働阻止テントを現地拠点としながら、川内現地攻防に全国から結集しよう。 撤去が策動される経産省前テントの防衛をたたかいつつ、川内原発再稼働阻止決戦をたたかいぬこう。 ●第5章 戦争法案粉砕から安倍打倒へ 「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動」が呼びかける国会デモは二万五千、六万と拡大し、巨万の労働者人民、市民、青年、学生が国会を包囲し、戦争法案反対! 安倍たおせ! の怒りの声が轟き渡る中で、安倍政権は戦争法案の衆議院採決を強行した。 集団的自衛権に基づく戦争法案は明確に違憲である。憲法学者も、報道機関も、戦争法案が違憲であることを明らかにしている。戦争法案を押し通す「論理」はすでに破綻している。大義は労働者階級人民の側にある。問われていることは、この戦争法案を現実に阻止できるのか、ということである。 「総がかり行動」が開催した5・3集会に三万人が結集し、同行動が呼びかけた6・14行動には二万五千人が、そして6・24行動には三万人が結集して、国会を包囲した。 われわれは昨年夏、『戦旗』第一四四三号(八月五日付)において「戦争へと突き進む安倍右翼反動政権を打倒しよう/新たな時代を切り拓く左派勢力の結集を」と呼びかけた。われわれは、全人民政治闘争としての勢いをもって発展する行動の中で、労働者階級人民の利害に立って反帝国主義、プロレタリア国際主義の質をもったたたかいを構築すべく、多くの団体・個人とともに「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ! 反戦実行委員会」を立ち上げてきた。3・21新宿デモに四百名が結集し、五月・六月・七月の国会行動を担い抜き、6・21全国総決起集会・デモを三百五十名の結集でたたかってきた。 拙速審議で人民を欺いて法成立を強行しようとしてきた安倍の狡猾な政治手法は、危うくなっている。戦争法案反対の人民の意識はますます高まっている。安倍政権批判から、安倍政権打倒へと世論は進みつつある。違憲立法を何とか合憲といいくるめようとする国会での安倍の姿はすでに滑稽なものになっている。こんな「論議」が日本の未来を決定するのかと、人民の怒りは高まっている。 安倍は九月二十七日までの国会会期延長で戦争法案を成立できると目論んでいる。日数と議席数の計算だけで違憲立法が強行できるというのは、労働者人民をなめきった安倍の皮算用である。戦争法案審議が長期化することは、安倍にとってこそ危険な賭けなのだ。自民党、公明党の腐りきった答弁が長引くほど、人民の怒りは高まり、沸騰することは必至である。 戦争法案粉砕! 安倍打倒の集会・デモ、国会行動をさらに高めていかなくてはならない。「安倍たおせ! 反戦実」は、この攻防の中でこそ、その正しさが鮮明になるだろう。われわれは責任をもって、このたたかいを推し進めていく。 今夏、安倍政権は戦争法案、辺野古新基地建設、川内原発再稼動の攻撃を、全体重をかけて進めてくる。今夏の攻防にかち抜くことで、安倍右翼反動政権を窮地に追い込んでいこうではないか。戦争法案粉砕の攻防をより拡大していかなくてはならない。同時に、沖縄人民と結びついて辺野古決戦をたたかい抜くことである。そして、全国で再稼働阻止の反原発闘争を押し上げ、今夏、まずもって川内原発再稼働阻止を断固たたかうことである。 安倍政権は敗戦七十年に際して、「安倍談話」を発表することを策動している。侵略戦争に対する反省を覆し、歴史を改竄して、新たな戦争国家への端緒となる文書を発しようというのだ。 被爆二世解放委員会は、被爆七十年として、今夏の8・6広島青空式典を準備している。 安倍の構想する「七十年談話」―反動攻勢と断固対決して、これを打ち破っていこうではないか。それは、安倍右翼反動の下で蔓延する排外主義との対決でもある。日本軍性奴隷制度の歴史的事実を歪曲し、在日朝鮮人民をはじめアジア人民に対する差別排外主義を激化させる、極右排外主義襲撃集団の攻撃を粉砕していかなくてはならない。 安倍は戦争法案を強行可決した上で、来年参院選をもって改憲攻撃に踏み込もうとしている。天皇制―天皇制イデオロギーを前面に出して二〇一六年「伊勢志摩サミット」を開催することを構想している。 今夏のたたかいで安倍政権を窮地に叩き込んでいこう。同時に、この攻防の中でこそ左派共闘を拡大強化していこうではないか。 |
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