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■第二回大会以降の労働運動指導の総括と 第三回大会以降の方針 中央労働運動指導委員会 ●1 第二回大会までの簡単な経過 @この間における基本的な討論は、統合以前からおこなわれていた労働運動活動家交流集会における、労働運動の基調的な路線をベースに、統合党としての労働運動指導基調をつくりだしていくことであった。それは、戦後の労働運動の総括と、労働運動と労働者の現状をふまえ、とりわけ新自由主義グローバリゼーション攻撃のなかで、混迷する現状を打破していく実践的な内容をつくりだすことであった。 それは、(イ)階級的労働運動の復権の推進を、プロレタリア下層、民間中小・零細、非正規の労働者に依拠した運動によって実現していくこと。(ロ)労働運動の全国的な展開に責任を果たしつつ、左派労組をはじめとした先進的な活動家の結合構造を形成していくこと。(ハ)このために、中小労働者の全国結集の運動を支え、先進的な活動家のネットワークづくりを推進していくこと。運動的には、「同一価値労働同一賃金」や最低賃金、均等待遇等の課題を実践的なものとしていく。(ニ)地域合同労組づくりを中心として、われわれの労組づくりを推進していくこと、同時に、公務員労組等をふくめた全国的な体系については維持していくこと。(ホ)階級的労働運動の復権の内容として、国際連帯、反戦・平和闘争を重要な路線的内容として実践化していくことが中心であった。同時に、労働運動指導においては、現実の労働者と運動にあくまで立脚していくこと、労対建設についても労働運動の現場の問題意識にもとづくものとすることを中心としていくことである。 Aにこれらのことを全体的な共通の問題意識としつつも、いくつかの点での相違と論争は当然にも存在した。それは基本的には、全国的な構造から問題をたてていくのか、現実のわれわれの力量から見て、労組づくりを中心にして地域から問題をたてていくのか。また経済要求・経済闘争の重要性の強調によって労組づくりの基礎としていくのか、政治要求・政治闘争もふくめた労組運動の経験のうえに問題をたてるのか等である。これは活動家ネットの建設と労組づくりをめぐる論争をふくめて存在した。 また、労組、大衆組織の中から問題をたてるのか、党派的な利害から問題をたてるのか等も発想的な相違としてでてきた。これらの問題はわれわれの現在の課題にとどまらず党建設において歴史的に存在してきた問題である。革命的労働者党をめざすかぎり普遍的、現実的に発生する問題である。この解決を組織的におこない、かつ実践的に解決していくことが革命的労働者党建設といっても過言ではない。しかし、それはあくまで実践的に解決されなければ、小ブルの観念的な空論におわり、主観主義しかうまない。また、現実に普遍的に存在する労働者サークルに対して、われわれが領導することはできない。 Bかかる課題をもって第二回大会以降中央労働運動指導委員会の建設と実践が開始されてきたのである。 ●2 第二回大会以降における労働運動指導の地平 @階級的労働運動の復権という路線にもとづく労働運動の体系の推進 労働運動の九〇年代以降の課題は、崩壊した戦後労働運動の構造(総評)に代わる労働運動の構造を、新自由主義の攻撃(新時代の日本的経営に代表される)という新たな階級支配に対抗しつつ建設していくことができるのかという点につきるといえる。 この点については、連合や全労連に反対し、階級的な観点にたって労働運動を推進せんとする部分の共通の認識であると言える。もちろん、その内容は異なる基本的に総評型の復権を展望する部分もある。民間中小のみを根拠とする部分は、そもそも総評運動のなかで位置づけられておらず、また新自由主義攻撃のなかで流動化の影響と矛盾を直接にうけるが故に、総評とは異なる労働運動をもとめざるをえない。 戦後労働運動は、強制連行された在日の中国、朝鮮の労働者の決起を突破口として開始された、戦後革命期における闘いに対するGHQと政府・資本の攻撃のなかで、戦前の労働運動の最大の弱点としての企業主義(企業内労組)の克服を掲げた労組の再建が解体されてゆく中で(全自日産分会の解体等、長論文を参照)、戦後復興と反共産主義の方向にねじ曲げられた結果である。「にわとりからアヒル」といわれる総評の転換も、結局資本の範囲内にとどまるものである。「企業内本工労組、年功序列型賃金、終身雇用」といわれる日本型の定着と高度成長、反共民同支配によって総評は成立してきたのである(もちろん、総評のもとに闘われた闘争のすべてを否定するものではない。そこにあらわされた労働者階級の階級的な怒りと要求、団結こそ継承されなければならない)。現在的に、階級的労働運動の復権とは、戦後の労働運動の総体を総括し、現在の攻撃の内容をとらえ、労働者階級の利益を明確にした労働運動を創造していくことである。 (イ)その根拠は、プロレタリアの相対的下層、中小・零細の労働者、非正規の労働者という最も抑圧された、しかも多数をしめる労働者層であり、そこに立脚し、その要求に依拠した労働運動を創造していくことが問われる。 戦後総評労働運動は結局のところ、企業内の本工(それも社員を中心とする)労組、しかも基幹産業、公務員の大手の組合の運動であった。全金や全国一般という少数の労組によってしか中小・零細の労働者の組織化はなされなかった(地区労のいくつかにおいての支援はおこなわれた)。このことが最大の弱点であったといえる。当初あった、「炭ほる仲間」や「鉄路の仲間」等の職業意識による団結意識は、結局企業意識に解体されていく。このことが、「会社あっての労働者」「労働条件の上昇には会社の利益があがることが必要」として生産性向上運動に解体されていくこととなるのである。 基幹産業におけるIMF・JCの育成のなかで、基幹産業、民間大手では資本の支配する御用組合となっていく。これは、総評解体―連合結成となる。新左翼も含めて、労働者・労働組合に関する分析や革命論の根拠とした「近代制大工場」の労働者は、基本的にプロレタリア上層として組織され、資本の支配が貫徹された。 したがって、総評労働運動を総括し、階級闘争―労働運動を再建するためには、この構造に代わる階級的な構造を創造するしかない。その根拠は中小・未組織の労働者に存在する。労働者のなかで最も抑圧された層を組織し、階級として統一し、そこから、大工場の労働者の組織化に進むという路線が必要である。われわれは、この道を選択したのである。そして、その根拠を一般運動の歴史的な蓄積のうえに、産別的な結合と、地域的な結合を統一した労働運動として実践化してきたのである。 (ロ)前記したことは、八〇年代末以降、連合や全労連に抗して階級的な労働運動を模索してきた、いわゆる左派の活動家にとってはある意味自明のことである。だが、このことを実現していくことは、現在の情勢のなかでは極めて困難である。このなかで自らの労組を維持することにのみ集中せざるをえなくなったりしている(それでも、労働運動それ自体を放棄していく傾向に比しては良質といえるが)。 個人の活動家であったり、実質的に労働者サークルとなった「党派」においては、階級闘争総体の総括と路線をもちえず、実践的な根拠からのみ問題をたてざるをえなくなっている。 われわれは、「戦後階級闘争構造の崩壊」を総括しながら「新たな階級闘争構造の創造」という観点にたって、多くの先進的な活動家や労組、労働者サークルのなかで実践的に闘うことをめざしてきた。これは、日本の階級闘争の最大の弱点ともいえる主観的なセクト主義、党のもとでの系列化によって、不断に階級闘争の構造が分断されてきたことによって労働者階級の要求と運動が統一されてこなかったことの痛苦な反省によると同時に、階級闘争の総体を対象化し、そのなかで労働者階級の階級的な起ちあがりをどんな細流であっても組織していくうえで必要だからである。同時に、「新左翼」の左翼反対派的限界を突破し、階級闘争の全体的領導をめざす政党へと自己形成するためである。また、そもそも労組運動は労働者階級の自主的な運動であり、かつ大衆的な運動である。要求の実現のためには開かれた運動が必要であり、少数派である階級的な運動においては、可能な限り大衆的な構造をつくりだすことが必要であり、大衆的な労働運動という原則が貫徹されねばならない。以下略。 (ハ)二回大会以降において、より意識的に推進していたものとして、労働運動の活動家のネットワーク、統一戦線の形成がある。 これは、活動家交流集会の時から課題となっていたことである。それは、一つに階級的労働運動の復権において、先進的な労組指導部や活動家の間に、労組をとおしてという形態しかなく、恒常的に今後の労働運動をどうしていくのかを討論する場がなく、左派の労働運動の方向についての分散が存在していること。二つに全体として少数である左派において全国的な労働運動を形成していくためには、指導部の結集が必要なこと。三つに、われわれの現在的な力量と経線においては前記の課題を直ちに党派的に推進しえないことによる。以下略 (b)岩国労働者実について。以下略 (ニ)労働運動における国際連帯を推進してきた。フィリピンのISAへの系統的な派遣や韓国労働運動との結合にむけた交流を推進してきた。新自由主義にたいする連帯した闘いや各国の闘いの共有をとおしてプロレタリア国際主義をスローガンや立場ではなく、実践的な課題としてきた。これらの闘いに労組活動家や労組レベルの参加を組織してきた。この地平は労働運動において確実に蓄積されている。 (ホ)われわれの労組づくりの地平 (a)全国的な合同労組(ユニオン)の組織化による中小・零細、非正規の組織化 労組づくりの中心は、中小・零細・非正規の組織化である。相対的多数で下層の労働者の組織化こそが、現在最もとわれている。戦前には、渡政の南葛合同労組等の戦闘的な労働運動があった。だが、戦後総評下では、全金や全国一般や一部の地区労をのぞいて、この層の組織化はおこなわれず、膨大な未組織の層となっている。 新左翼系はこの層を問題として労活運動や争議団運動をおこなってきた。だが、労組として拡大、定着するものとはならず、従来の一般運動と個人加盟も可能とする合同労組(ユニオン)の結合した労組づくりによって、この層の組織化が前進してきている(したがって、いわゆるコミュニティーユニオンとは発生を異にする)。 合同労組の組織化は極めて困難なものである。まず、第一に、この層は歴史的に労働運動において切り捨てられてきた。したがって、労組の存在や、自らの権利等についての知識と経験をあたえられなかった層である。また、中小・零細では企業主との独特な関係があり、労働組合の成立を困難にしていた。また、サービス産業等では流動性が高く、組織化を困難にしていたといえる。低賃金をはじめとして労働条件は劣悪な状態におかれていた。この層が多数をしめるのである。 第二は組織化する上での困難である。地域を根拠とする合同労組は、不特定の労働者を対象とし、また個人を組織化するので定着させるのが困難である。争議はおこなっても解決したら居なくなるというのが多数である。争議のなかで、面倒をみてくれる労組や自分(自分達)のために手弁当で闘ってくれる支援の労組、経営者の不当な仕打ち等という経験のなかで労働者としての権利や労組の役割を一から経験させていくことは、重要でかつ困難な闘いである。時に複数労働者の分会作りの成功があって労組としての定着が進むのである。 第三は、中小労組としての困難である。まず、組合費が安く組合としの財政基盤をつくるのが困難であり、専従をやしなうことが極めて困難である。どの労組も手弁当や解決金の組合への納入によってかろうじて運営しているのが実情である。合同労組においては、争議等でうごきまわる専従なしには運営は極めて困難である。 第四は、分会として定着したところにおいても、また特にひとり分会において、労働者の生活全般にわたる指導が問われる。相対的に低賃金のなかでローン等の借金問題等をかかえた労働者が多く、その面倒もふくめておこなうことが必要となる。もじどおり労働者の生活一般の組織化が問われる。したがって、二十四時間の活動が要求されるのである。ある意味では大労組に比して手工業的ともいえる活動によってこそ合同労組は成立していくのである。したがって、可能なところに分会をつくり、独自の組合の運営ができるようにしていくことが必要である。 このような困難のなかで、同志の日々の闘いによって合同労組づくりは確実に前進しているといえる。争議や労働相談だけではなく、組合のニュースをだしての教宣、また地域のほかの労組との交流等の活動をおこない、地域における中小労働者の結合とヘゲモニーの前進を確実に前進させている。 中国人研修生・実修生の闘いも重要である。文字どおりの奴隷労働を強いられている研修生・実習生の争議を実践的にとりくんできた。滞日の期間がきめられており、労組の長期的な安定的な組合員となることはないが、労働運動にとっては重要な課題である。また、滞日の中南米の労働者の労組への参加の実現と闘いの支援を行ってきた。労働者の国際的な結合という点、資本の強搾取と収奪のもとにある労働者の利益のために活動するという労組としての本来的な位置からとりくんできたのである。労組の労働者をこの観点から不断に組織していくことは、労組としての内容的な階級性をしめすものである。実際上、国際的な問題としてあり、さまざまな困難が存在しているが、献身的な努力によって実際的な利益を獲得してきている。 今後の合同労組づくりの課題としては、第一に労組自体の拡大である。現状のわれわれの力量では、活動家の配置や財政的な面で厳しいといえるが、地域的な他労組との結合や、現在ある根拠では、部門的な横の結合等によって拡大を展望していかなければならない。しかし、活動家の配置は緊急の課題である。第二に、地域的な結合と同時に、同じ業種の横の結合が必要である。中小・零細、非正規においては、個別資本においては、大幅な前進はむつかしい。元請企業や業界団体への闘いが必要である。このためにも労組の産別的・業種的な横の結合が必要である。サービス部門においても同様のことが言える。第三は、労働者の階級形成の問題である。これは、なによりも実践的にしか実現しえない。政治闘争を提起と動員、学習会の地道な組織化も必要であるが、重要なのはなによりも労働者自身が労組の活動の全体のなかから自らの階級としての自覚と労働者としての団結を不断に運動と組織としての労組の活動のなかから自覚していく回路を確実にしていくことが必要であり、なにかしらのマニュアルがあるわけではない。情勢のなかで地区反戦青年委に中小の労働者が決起することは実証されている。日々の闘いの蓄積による。このなかで、戦後的な大工場の労働者を根拠にした、新左翼をはじめとした階級規定や形成論の現在的な空論性と思弁性をこえる実践的な階級形成をつくりだしていくことが必要である。 (b)郵政労働者、介護労働者の組織化。略 (c)公務員労組の闘い 現在の公務員労働運動の指導部は、公務員としての身分の防衛のみであり、当局の合理化に対してのみだけであり、ごく一部をのぞいて、みずからの役員としての地位の防衛と退職後の利権に汲々としているだけである。組合員に対して、事実をあきらかにし、討論を組織するなどということは一切せず、組合活動と組織の空洞化をみちびいているだけである。 これに対して、階級的な活動家は、労働組合として組合員の利益をまもるという原点にたって、当局の批判の内容、組合活動の原則的展開の内容、教宣の組織化、活動家間の討論の組織化等についての方向をだす位置をつくろうとしている。この間、当局の「赤字」を理由とした外注化や賃金のカットに対する批判(実は黒字)、外注化先の労働者との結合と利益の拡大、公務員身分の防衛に対して労働条件の防衛という観点、反戦闘争の取り組み等をとうして、つくるべき労働組合の内容について実践的な確認をおこなってきた。この闘いの地平を拡大していくことである。 具体的な職場での闘い。略 (d)教労について。以下、略 (e)○に関して。以下、略。 (f)非正規労働者の組織化について 非正規労働者は既に労働者人口の三割をこえている。この層の組織化は必須の課題であり、連合ですらその重要性を否定していない。しかしそれは実質的には口先だけのものであり、傘下の労組では、本工の「防衛」のために同じ職場で働く非正規雇用労働者をきりすてているのが現実である。 われわれは、反貧困等の運動に参加すると同時に、関西や九州での非正規の青年の運動等に結合した闘いを進めると同時に、各労組でも非正規の労働者の組織化を可能な方法でおこなっている。 派遣労働者への雇い止めとの闘い、工場閉鎖におけるパート労働者への保障の実現、介護の登録ヘルパーの組織化、郵政におけるユウメイトの組織化などである。また、公務員では、現業の外注化に対する闘いと、外注化先の非正規労働者の労働条件についての本工労組内での結合の闘いをおこなっている。とりわけ、自分達の身分の防衛のために非正規労働者をきりすてるという、労働組合の腐敗に対する闘いは絶対的な課題である。「外注費をあげると自分達の賃金がさがる」「自分の組合のことだけをやれ」という排外的な意識は労働組合自体を腐敗させる。非正規労働者の労働条件と権利をめぐる闘いは、すぐれて労組の階級的な性質にかかわる課題である。また、「正規職員」にせよという要求以外は非正規の地位の固定化になるので誤りというのは空論である。そのような主張は、実質的に非正規雇用労働者の闘いへの支援を放棄するものであり、正規と非正規の労働者の結合を阻害するものである。「正規化」の要求は非正規労働者の要求のなかに当然ふくまれる。だが、雇い止めや低賃金、権利等の問題に対して現実的に闘っていくことこそが非正規労働者の団結と組織化の前進を促進するのであり、非正規を労働者としてはとらえられない労働者観そのものが間違いなのである。 各労組における非正規労働者との結合と組織化にさらに力をいれると同時に、とくに青年層の非正規労働者の層としての闘いの組織化を本格的に開始することが必要である。この闘いは階級的な労働運動を推進せんとする部分の普遍的な課題である。この層の運動にはある意味独特の価値観や結合内容が必要であり、自らが労働者であるという自覚の形成もふくめて、系統的な運動が必要であり、ある意味、党派の能力がためされるともいえる。今後、力量をさく意味があると考える。 (g)この他にもさまざまな職場で活動するメンバーがいる。われわれの労働運動における党員同志は、現在のわれわれの組織力量をうわまわる成果を実現しているといえる。これは、他党派や先進的な労働運動の活動家に対して、われわれの党派的な路線、階級闘争・労働運動に対する指導内容や実践的な内容をしめしているといえる。実際にわれわれの位置は、その力量に比して大きなものとして評価されていると確信しうる。問われているのは、これを実際的な階級闘争・労働運動の高揚へとむすびつける力であり、党員への先進的な活動家の組織化による労働者政党としての進化である。 (へ)中央労対建設の現段階と課題 (a)(b)略 (c)現在的に確認される内容 内部の論争については、継続的になされるべきであり、それぞれの見解にもとづく内容はあくまで、組織的に蓄積されねばならない。その普遍性について党組織的に、階級闘争・労働運動的に確認できるものでなければならない。思弁的な空中戦では意味はない。われわれは、そこをこえなければならない。われわれの共通の出発点は現実の労働者階級と労働運動の歴史的な段階と実践的な課題である。この点で、歴史的な、とりわけ戦後の総括にもとづく内容と、左翼反対派としての総括のうえに、階級闘争の総体の転換と、労働運動の階級的な再生という戦略的な闘いに挑んでいるのであるから。 現在的に共通して確認しうる内容の第一は、「新たな階級闘争構造」のなかの中心として労働運動の階級的再生を実現していくということである。階級闘争の総体に対する指導力を獲得するなかで、左翼反対派としてあった戦後的な位置の克服を実現していくことである。 実際に、社会党―総評の解体、五十五年体制の崩壊以降の実践はこのこととして進行せざるをえず、自覚的かどうかは別にして新たな構造建設にむけた独自の努力が開始されているのである。だが階級闘争・労働運動も戦後的な内容から脱却しえないが故に、現在的な停滞をみちびいているといえる。この突破こそが課題である。 第二は、その具体的なものとして、プロレタリア下層・中小・未組織・非正規を中心とする労働運動を全国的に構築することのなかに実践的な根拠を形成していくことである。われわれの労組拠点づくりも、この全国的な体系のなかに集約され、その牽引軸として形成していくということである。同時に、この闘いは現実的な労組としての力ぬきには空論であり、われわれの労組づくりにおいては、現実のこの全国構造との関係での力を活用しながら拠点形成をすすめていく。 第三は、労働運動活動家の統一戦線を形成していくことである。現在の労働運動の分散性を止揚していくために活動家の統一戦線を形成していくことが必要である。同時にこうした活動をとおしてわれわれは、現実に労働運動の指導をになっている労組活動家や幹部のなかに蓄積されている経験や問題意識に積極的に学んでいく。またそうできる能力を獲得していく。 第四は、労働組合の位置づけについてである。労働組合は、労働者の賃金をはじめとする経済的要求にもとづいて、労働条件全般の要求を資本に対して実現するための労働者の自主的な、開かれた組織である。経済的要求の実現のために、闘いの経験によって団結し、自らの階級としての自覚を形成するものである。あくまでこの点の確認が必要である。だが、歴史的な経験を背景に、みずからの社会的生活全版にかかわる政治的要求も掲げて闘う。時には、反政府の闘いも実現するのである。 したがって、労働組合を単なる経済的要求のための組織とすることはできないし、逆に政治闘争からのみ位置づけることきできない。あくまで労働者の経験(もちろん指導部の指導という観点はある)にもとづくものである。無用な意味付与はいらない。労働組合は革命の組織になるものではないし、労働組合の延長に労働者の解放があるわけではない。われわれは、サンディカリストでも、左翼反対派でもない。労働組合は労働組合なのである。労働組合における団結は労働組合としての団結なのである。その経験のなかから意識的部分が共産主義者として自己形成することはあっても、労働組合自体はそのための組織ではない。その意味で「学校」なのである。新左翼運動は不断に問題を混同し、階級闘争指導をせばめてきたのである。 労働組合が、自らの要求の実現のために政党をつくったり、支持することは普通である。世界的に存在する(ヨーロッパの社民政党と労組、日本の社会党と総評、韓国の民主労働党と民主労総等)。だが、それは労働組合の社会的要求の全般を実現するためであり、労働者を支配階級として形成していくためのものではない。ブルジョア民主主義の枠内のものである。であるが故に、労働組合は支配階級の階級支配のための道具として「買収された上層」によって利用されたりもするのである。 同時に、労働組合はコミューンでもソビエトでもないし単純にそれに転化するものでもない。ソビエトは革命的な危機の時代に、プロレタリアが危機のなかで驚くべき能力を発揮し自主的に造り上げる自らの権力なのであって、予定調和的に形成されるものではない。 われわれは、あくまで労働者階級の現実的な存在と、現実的な要求に立脚し、労働者階級の実践的な経験に立脚して階級闘争の全体的な前進を推進するものである。革命的労働者党の任務はそこにある。あくまで労働者階級の支配階級としての形成の必要を提起する。不必要な意味付与は現実の労働者を混乱させるだけである。 第四は、当面する労働運動の課題のひとつに、とりわけ中小・未組織、非正規の組織化という実践的課題との関係で、「企業内本工主義」を打破する労働組合運動の新たな形質を獲得するという問題である。これは、戦後労働運動の総括としてもある。全自日産分会の解体等、GHQや支配階級は、産別型労組を解体し、企業内労組を育成し、階級支配の重要な根拠とした。それは上層と下層への分裂の根拠ともなった。この点の打破が必要である。今だ実践的な回答はでていないが、基本的に産別労組と地域労組の結合した構造が必要である。単なる産別は大労組の支配となる。全国的組織と地域組織の結合した形質をつくりだすことが必要である。 ●3 労働運動の今後の方針 現在の労働運動は、総体として戦後的な支配構造、階級支配からの転換に残念ながら対応しえていない。「戦後政治の総決算」から「新時代の日本的経営」という国家・総資本的レベルにおける再編と転換という歴史的段階において、課題的には問題としつつも、まだ実践的な闘いとしては対応しえてない。敵の転換に伴う自らの転換と路線的対決において旧来の構造からの脱却はいまだ課題である。 支配階級がいきづまっているがゆえに、資本の利益を全面化し徹底的に搾取と収奪を激化し生き残らんとする時代においては、労働運動、労働組合の社会的位置と役割も戦後的なものから変化せざるをえない。本来、その役割は拡大せざるをえない。労働者の社会的な要求と団結を実現するものとして労組の必要は拡大している。だが、組織率は下落している。このことに対する実践的な回答をだすことが問われており、党派は先進的な労働運動の指導部と活動家と共に、このことに挑戦しなければ意味をもたないのである。 これこそが階級闘争を規定するものである。このためにどういう方針をもって活動するのかがとわれている。すでに、多くの党派や労組が現実的にこのことを放棄し、自らの利益の体系のうちにとじこもっている。その現実をみすえながら突破していくしかないのである。 われわれは、階級的労働運動の再建を「新たな階級闘争構造」の創造のなかに位置づけ、体系的な実践をおこなってきた。それは、現在の階級闘争・労働運動の要請に応えるものであり、どの党派やサークルに比しても前進的であると確信しうる。同時に、現状の実践の単なる継続だけでは、新たな階級情勢と階級の要求に応えうるものでもないことを自覚している。三回大会をひとつの転換として現在の課題の解決にむけて更に前進しなければならない。 @今後の労働運動の課題 今後の労働運動においては、八〇年代末の連合結成以降の構造からの転換が、より深刻に問われるであろう。現在の帝国主義の危機の深化と、階級支配の変化、労働者の生活と権利をめぐる状態の一層の悪化と固定化という情勢。このなかで労働者階級が不可避に要求する新たな展望をつくりだせるかどうかということである。今までの延長上にはいかなくなるのである。このなかで国鉄闘争以降の再編やこの間の労働運動を牽引してきた指導部の世代交代のなかで、労働戦線の再編が必然化している。一層の分散化にむかうのか、新たな労働運動の展望をきりひらきうるかが本格的に問われる。 われわれは、この間のわれわれの実践が、この課題に応えうる実践であることを自覚し、その拡大と普遍化にむけて努力しなければならない。 そのために必要な闘いの第一は、青年労働者の全国的な組織化である。これは、階級闘争・労働運動における第一級の課題である。そもそも、青年労働者の階級的なエネルギーが階級闘争の前進には不可欠であるが、今日ほど、このことが要求されている時はない。すくなとも三十年以上階級闘争の「高揚期」といわれるものはない。このなかで、権力の戦後的な階級支配からの転換のなかで、価値観的にも「戦後民主主義」は解体されてきた。それに基づく「共同体意識」の解体もなされ、青年層は自らがかかえる矛盾に対する異議を表現できる運動を模索してきたといえるのではないか。 また青年たちは、新自由主義・「新時代の日本的経営」のなかで「労働力の流動化」の中心におかれ、低賃金構造のなかにおかれ、将来的な生活の展望をうばわれている。就職難や賃金のフラット化のなかで社会的・生活的な展望がうばわれているのである。戦後成長期の青年とは決定的に異なる状態におかれている。 ある意味、階級矛盾の凝縮した下層におかれている。これは、支配層にとっても危機の根拠でもあり、早晩、支配層が下層の青年たちを反動的に組織化しようとすることは不可避である。この青年層の組織化をめぐる攻防は絶対的な階級的な闘いである。生活的、価値観的、共同性的展望を階級闘争と労働運動のなかにみいだすように青年たちを組織化しなければならない。 そのためには、青年による青年層の独自の運動が必要である。老人の教訓的な説教では決して組織化できない。自由な結合と運動を独自につくりだすことがめざされねばならない。それは、たまり場的なものかもしれない。政治的な課題や労働運動的な課題に固定化されるものではないかもしれない。非正規の青年労働者や学生の独自の運動体が必要であり、これは全国的に組織化されることが必要である。 同時に、重要なことは、確実にわれわれの労働運動の路線とあせらず結合させていくことである。党の路線と結合することによって、青年は労働者としての自覚と自らの階級闘争における存在位置を獲得しうるのである。現在的に青年の運動であればどこもひきうけるものとなっている。しかし、個々の労組では極めて手工業的にしかできない。党派としての全国的な組織化の位置はある。 非正規の職場への学生の計画的な配置もふくめて組織化に早急にとりくまなければならない。 第二は、現在までの地平を根拠に、労働運動の階級的再建にむけた闘いを強化することである。今後、世代交代もふくめて大きな再編にはいっていくことになるだろう。われわれは労働運動の現在までの地平を防衛するに留まらず、激化する階級矛盾のなかで労働者の階級としての統一・統合を「プロレタリア下層」の利益のもとで実現する労働運動の新たな構造を創造するために全力をあげねばならない。 その(イ)は、民間中小・零細、非正規の労働運動の全国的拡大を実現していくことである。全国的な組織と運動に責任をとることである。 そのためには、われわれの地域的な労組を強化することに全力をあげると同時に、既存の労組を強化するための政策も必要である。全国組織のなかにヘゲモニーを維持していくことは是非とも必要である。 (ロ)産別や業種別共闘を推進していくことである。 (ハ)は、労組を中心とする課題をめぐる地域共闘を拡大していくことである。 第三は、労働運動の活動家・労組の全国的な結合を推進し、統一戦線(ネットワーク)を形成することである。 第四は、組織的な課題である。労働運動の指導内容は、実践を総括することを通じて組織の経験として蓄積される。それを全党的に普遍化することによって、綱領的(実践的部分を中心として)深化と実態としての革命的労働者党は建設は前進していくのである。 中央労対をその指導機関として前進させるためには、労働運動の実践的経験をもった体制が必要であり、そのような体制へと充実させていくこと、また労働者革命家の建設という内容も対象化できるようにしなければならない。 そのためには@労働運動の経験をもった指導体制の充実。A労働運動の現場に計画的に党員を配置することが決定的に重要である。われわれの拠点的な労組や、非正規の職場という戦略的に必要な場所に党員を配置する計画が必要である。Bそして最も重要なのは、青年労働者の組織化の体制を整備し、実践化することである。 第五は、当面する労働運動指導における理論的課題の実現である。この間は戦後の労働運動の総括についての作業がおこなわれてきたが、こんごの課題としては、(イ)戦後の賃金闘争の総括と、現在の新自由主義的な賃金体系の批判等の新たな賃金闘争論、「同一価値労働同一賃金」の評価等、最低賃金論(ロ)企業内労組に代わる産別・地域という労働組合の形質についてのまとめ(ハ)実践的な現実をふまえた労働組合論等ということが実践的にとわれているといえる。 現在のわれわれは、革命的労働者党建設のまだ入口の段階にいる。戦後「新左翼」の歴史的な限界をこえる新たな労働者党の建設を前進させるために、さらに奮闘しよう。 |
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