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■三つの韓国社会主義革命綱領草案の 紹介と比較検討(上) 国際部 目次 はじめに 1、草案の概要 (一)解放連帯 (二)労革推(以上、本号) (三)社労委 2、三つの草案の比較検討 ●はじめに 韓国における社会主義労働者政党建設運動は、〇七年十二月大統領選挙における李明博(イ・ミョンバク)の勝利と翌二月の就任、同選挙の敗北と国家保安法弾圧への対応をめぐる党内対立が激化した結果としての〇八年三月の民主労働党の分裂と進歩新党の結成という状況の中で、革命党結成を志向する左翼政治諸サークルの統合と再編を伴いながら民衆の前に姿を現した。同年二月に社会主義労働者連合(以下「社労連」)、九月には社会主義労働者政党建設準備会(以下「社労準」)が結成された。米牛肉輸入反対行動から李明博退陣要求闘争へ発展したローソク集会への参加を口実に韓国政府は社労連に国家保安法の弾圧をかけて数人を不当逮捕した。十年五月、社労連の一部、社労準、労闘連、個人の社会主義者が個人加盟で社会主義労働者政党建設共同実践委員会(以下「社労委」)を結成し、一年以内に綱領草案を作ると決議した。その後、現場実践を共有しながら綱領草案作成のための討議を積み重ねた。 だが、草案の内容をめぐる意見の対立は持続し、一年の期日を過ぎた十一年六月の第三回総会でも綱領草案を決定できなかった。それを受けて少数派(旧社労連中心)は社労委の解散を宣言して脱退し、社労委は分裂した(注一)。多数派(旧社労準中心)だけになった社労委は九月に第四回総会を開いて綱領草案を決定。続いて十二月の第五回総会で、十二年二月に社労委を推進委員会に組織改編することを決めた。推進委で綱領草案と規約草案を検討・決定し、党結成に到るはずだったが、十二年六月初旬時点でもまだ社労委のままだ。分裂以降ホームページは実質的に止まっているが、隔週刊政治新聞「社労委」は発刊され、活動報告や情勢分析が載っている。他方、少数派は十一年八月に労働者革命党(推進会)(以下「労革推」)名で情勢誌「革命」創刊準備一号を発行し、社会主義労働者政党建設運動の継続を宣言。同年十二月には労革推としての綱領草案を発表した。 以上の動きとは別に、労働解放実践連帯(準)(〇五年結成の左翼政治サークル。以下「解放連帯」)が「(仮称)韓国社会主義労働者党綱領草案」を〇九年五月に発表している。解放連帯は民主労働党へ加入する戦術を取り、同党内で一意見グループとして活動を続けていたが、民主労働党の分裂を機に脱退した。社労委に対しては、いわゆる民闘委問題(注二)を挙げて一線を画した。 つまり、解放連帯・社労委・労革推の三つの韓国社会主義革命綱領草案が現時点で韓国の労働者民衆および世界の社会主義者・共産主義者に提起されているのだ。三つの綱領草案各々とわれわれの綱領との間には、特に階級形成、革命主体、反帝・反戦闘争、帝国主義の軍事政策、「労働者国家」、民族解放闘争、南北統一問題への評価について大きな違いがある。しかし、同時に、資本主義の下で苦しみ、そこではこれ以上生きていくことができない、資本主義を倒すしかないという韓国労働者民衆の血叫びの凝縮された表現がこの三つの草案である。さらに言えば、今はなくなった民主労働党の「社会主義」を明記した綱領であるのだ。今年五月には解放連帯会員四名が国家保安法容疑で不当逮捕された。韓国の支配階級は社会主義思想が労働者民衆の憤激及び実践と結びつくことを心の底から恐れている。 社会主義者・共産主義者に国境はない。学ぶところはしっかり学び、批判すべきところは徹底的に批判する。そういう構えで、本稿では三つの草案の概要を目次とともに紹介し、比較検討する。 ●一章 草案の概要 ▼(一)解放連帯 目次 T 一、資本主義と社会主義革命 二、資本主義の帝国主義的段階とプロレタリア社会主義革命の時代の到来、革命と反革命 三、現代資本主義の危機と資本の反動的な新自由主義攻勢 四、社会主義運動は新たに高揚している U V 概要 草案は三章からなる。第一章で資本主義を批判し、社会主義革命の必要性を説く。第二章で社会主義革命に勝利した後の諸政策を掲げ、第三章で大枠の方針を改めて確認している。 第一章は「人間は、誰もが人間として尊重され、人間らしく生きようという要求を持っており、この正当な要求は社会が保障しなければならない」と、人間を主語とする文で始まり、草案の骨格が次のように示される。資本主義社会ではしかしその要求が実現されず、むしろ貧富の格差と社会的不平等がひどくなっている。その原因は賃金労働制だ。労働者民衆の労働条件と生活条件は悪化し、階級対立は深まっている。そうした資本主義を倒す社会主義革命は労働者階級の自己解放闘争であり、社会主義者はその実現のために革命的な階級政党を組織化すべきだ。「韓国の社会主義者と社会主義労働者政党は自らを労働者階級の世界軍隊の一部隊、国際的な社会主義者の一部分とみなし」、インターナショナルを新たに創立する必要がある……。 次に、帝国主義段階にある世界資本主義の歴史的過程と現状への批判が行われ、そして、ロシア十月革命の意義が語られる。「ロシア十月社会主義革命は……全世界の労働者階級と被抑圧民衆、被抑圧民族に搾取と抑圧からの解放に対する希望と熱情を呼び起こし、資本主義諸国、特にドイツなど先進資本主義国における労働者階級の革命的闘争と、朝鮮、中国など植民地、半植民地諸国における民族解放闘争の一大高揚をもたらした」(民族解放闘争について評価しているのは解放連帯だけだ)。 しかし、ロシア革命は挫折する。その要因について草案は次のように指摘する。@他国での革命の失敗と内戦、Aロシア労働者階級の解体という主客観的条件の中でソビエトが形骸化するとともに共産党の代理主義的実践が強まり、党内分派禁止措置をはじめとして党内民主主義が制限された、Bその結果、党が自立化して社会全体に君臨する社会、「官僚が支配する共同生産体制」が出現し、労働者民衆は支配と抑圧の対象になった、Cまた、一国社会主義論により世界革命戦略が放棄され、第三インターがソ連外交の下部機関に転落した。 続いて、第二次大戦後の世界資本主義の歴史が述べられ、現代資本主義批判に到る。二〇〇八年の米国発大恐慌が全世界的恐慌へ拡大している、現代資本主義が貧困・戦争・環境破壊を生み出し、それはひどくなっている、と草案は指摘する。そして、二〇世紀後半の「現実社会主義」の崩壊はロシア十月革命の変質に根本原因があるとした上で、二〇世紀前半に形成された「資本主義から社会主義への移行時代、社会主義革命の時代」という規定は現在も変わらない、労働者民衆の抵抗闘争は再び高揚し始めている、とする。具体的には「一九九五年フランス公共部門労働者スト、一九九六―一九九七年韓国労働者の総スト、一九九九年シアトルでの闘争、米帝のアフガニスタン侵略以後展開されている反戦闘争の急速な高揚、帝国主義と新自由主義に反対する南米での相次ぐ左派政権の登場」だ。 資本主義と社会主義の歴史を総括し、草案は、これからの社会主義運動について次のように語る。社会主義運動が前進するためには自らの革新と現代化が必要だ。その核心は「現実社会主義の失敗から教訓を引き出してそれを自分のものとすること、生態〔「環境」とほぼ同義だが、対象の範囲がより広い。韓国で広く使われる――注〕、女性、少数者問題など現代社会で新たに提起されている、新しい生活の様式に対する問題意識を能動的に受容すること、スターリン主義によって歪曲されたマルクス主義を甦らせることだ」。社会主義は人間解放運動であり、民主主義の進化発展だ。人間解放運動とは、階級的抑圧、民族的抑圧、性的抑圧など全ての抑圧に反対してこれを無くすことだ。「労働者民主主義の発展と変質の防止のためには、コミューンとソビエトの経験で部分的に現れた労働者統制を全面的に発展させなければならず、労働者の直接的な参加を絶えず拡大していかなければならない」「これが民主主義の進化発展だ。社会主義は、経済的には、労働者自主管理体が民主的な計画を通して結合することによって生産と流通を意識的に統制することだ。加えて、労働者国際主義は社会主義革命の死活的問題だ……。 第二章は革命勝利後の諸政策が次のように述べられている。 (1)公職者の選出・召還制 (2)公職者と民間労働者の給与の均衡 (3)民兵制導入 (4)労働者民衆が国家運営に直接参加する (5)民衆が立法権と刑事訴追権を直接行使する (6)徹底した地方自治制の実施 (7)基本的人権の保障 (8)性・信条・人種・国籍による差別の撤廃 (9)銀行および独占資本の没収・社会化と労働者統制の実施 (10)公共部門での労働者統制と社会的統制 (11)全間接税の廃止と累進税の確立 (12)全土地の国有化 (13)大規模農業生産単位を模範国営農場へ転換 (14)小農と中農を協同組合へ組織する (15)食糧自給率向上 (16)無償教育 (17)地方自治機関による公教育の管理 (18)無償医療 (19)一世帯一住宅を超えて所有する住宅の没収 (20)米帝国主義の支配と干渉を排除し、民族自決権を完全確保する」 (21)過渡的な連邦制による南北統一の実現 (22)女性差別撤廃 (23)青少年への抑圧撤廃 (24)老年層の社会的保護と老人力の活用 (25)障害者差別一掃 (26)人間と自然の共存関係の実現。そのための生産様式の再組織化。二酸化炭素排出量大幅削減。 統一問題については以下のように主張する。「労働者、民衆を搾取抑圧する南韓〔韓国を指す――注〕資本主義と、労働者、民衆を資本主義とは異なる形態で搾取抑圧するスターリン主義的北韓〔朝鮮民主主義人民共和国(以下、「共和国」)を指す――注〕体制に反対して民主的な社会主義体制への統一を実現する。このために、南北社会の変革を遂行する過程で両体制の変化発展と接近を前提に民主的な社会主義体制への発展志向性を持つ連邦制を過渡的に実施する」。 労働者政策は以下の通りだ。 @一日六時間労働 A障害者・青少年・妊産婦、幼児のいる女性は一日四時間労働 B健康に有害で危険な労働は一日四時間労働 C週当たり連続三日休日、年間四十五日以上の有休 D残業・休日労働・夜間労働・連続的交替勤務制の廃止 E一八歳未満の労働の禁止。障害者・青少年・妊産婦、幼児のいる女性は危険で有害な労働の禁止 F同一労働同一賃金 G非正規職雇用を禁止し完全雇用を実施 H出産前三ヶ月および出産後三ヶ月の有休化、父母合算二年の育児休職の有休化 I女性の働く全職場に授乳施設・託児施設と人員を置く J労働者だけでなく全社会構成員に社会保障制度を実施 K労災防止制度の拡充 L労働条件・労働環境・労働衛生のための労働監督官を労働組織が選出する M労働者の健康のための機構を全職場に置く N全ての移住労働者は韓国労働者と同一の権利を持つ O労働裁判所の設置 第三章はまとめだ。韓国社会主義労働者党は、@資本主義の野蛮を終わらせる、A「甲午(カボ)農民戦争、民族解放闘争、独裁政権に抗する民主主義闘争の革命的伝統を継承し、これを社会主義のための闘争課題で発展させていく」、B国際的な社会主義運動と労働者階級解放運動の成果を継承し、その中で生まれた誤りとは断固断絶する、C新しいインターナショナル創立のために闘う。 ▼(二)労革推 目次 T章 共産主義革命のために 一、資本主義と共産主義革命 (一)資本主義とその矛盾 (二)資本主義の衰退 (三)共産主義の土台 二、プロレタリア独裁と共産主義への移行 (一)労働者階級の権力掌握とプロレタリア独裁 (二)プロレタリア独裁と共産主義への移行 U章 われわれが建設すべき共産主義 一、いわゆる「社会主義」諸国家とわれわれが建設すべき共産主義 (一)いわゆる「社会主義」諸国家 (二)ソ連の教訓とわれわれが建設すべき共産主義 二、韓国での共産主義革命 (一)韓国での共産主義労働者革命 (二)労働者国際主義と世界革命 V章 労働者階級の権力掌握のための移行要求 一、非正規職撤廃 二、賃金・労働条件の低下のない労働時間短縮を通した仕事の分かち合い 三、民主的諸権利 四、女性抑圧をはじめとする全ての社会的抑圧に抗する闘争 (一)女性解放 (二)性少数者・青少年・障害者・移住労働者に対する抑圧・差別の撤廃 五、環境破壊に抗する労働者統制闘争 六、労働組合の戦闘的再編/平組合員運動の建設 (一)労働組合を大衆闘争機関として正しく打ち建てよう! (二)労働官僚主義に抗する平組合員運動の建設! 七、労働者生産統制 (一)革命的権力闘争へ進んでいく架け橋としての労働者統制 (二)「労働者生産統制!」を通して現場闘争に展望を開こう 八、没収・国有化 九、帝国主義戦争反対! 資本家国家の軍事主義反対! 一〇、労働者正当防衛隊・労働者民兵隊 一一、労働者政府 一二、労働者評議会と蜂起 (一)労働者評議会 (二)総ストライキと蜂起 概要 第一章ではまず資本主義批判が『資本論』に基づいて次のように述べられる。「資本主義は労働力を含む生産力と生産物自体が商品の形態をとる生産様式だ」。資本主義社会は階級社会であり、資本主義国家はブルジョア独裁だ。資本主義の停滞・衰退傾向は利潤率低下傾向(注:『資本論』の和訳では通常「利潤率の傾向的低下」と訳される)に起因している。過剰生産の一方で飢餓が世界中で起きている。資本主義は衰退の時代に入った、それゆえ共産主義が現実の日程に上っている。利潤率低下傾向および支払可能な市場の不足問題が資本主義の危機を深化させている……。 続いて、プロレタリア独裁に関する記述が『国家と革命』を基にして展開される。すなわち、全世界にわたって労働者階級が権力を掌握してはじめて資本主義社会を革命的に変革できる。労働者評議会体制という形式を取るプロレタリア独裁によって搾取階級の所有権を没収し、他階級の武装を解除する。労働者評議会が権力と生産手段を掌握し、ブルジョア国家暴力装置を解体する。革命党は労働者評議会内部で活動し、権力を握る主体ではない。革命党の役割はプロレタリアの意識を共産主義意識に至らせることだ……。さらに、『ゴータ綱領批判』を基に、共産主義の低い段階と高い段階の違いが述べられる。 第二章では、第一に、「いわゆる『社会主義』諸国家」が次のように批判される。一九一七年ロシア革命後、二〇年代後半までは労働者権力が存在したが、二〇年代中葉には官僚主義的に歪曲された労働者国家になった。二〇年代末から三〇年代初めを起点する「スターリン主義反革命を経た以後、一九三〇年代からは」労働者権力が存在しなくなり、資本主義へ回帰し始め、「労働者階級に対するもう一つの搾取体制に」なった。「革命後のソ連は資本主義と社会主義の間の過渡的社会、移行期社会」だったので、資本主義の残滓を背負わざるを得なかった。他国での革命の敗北による孤立を強いられた。 共和国と中国への批判は以下の通りだ。「第二次世界大戦以後に東欧と北韓で樹立した体制はソ連により移植されたスターリン主義衛星国家だった。ロシアと異なり、東欧・北韓ではいかなる労働者革命もなかったのであり、従って初めから労働者国家ではない、労働者に対する搾取・抑圧体制だった」。中国革命はプロレタリア社会主義革命ではない民族民主革命だった。それゆえ労働者階級の解放とは何の関係もない。したがって、中国・共和国などの「スターリン主義体制は」「労働者革命によって打倒されるべき体制だ」。 そして、「いわゆる『社会主義』諸国家」の教訓として次の三点が指摘される。@ソ連は一国社会主義の不可能性を示した。A労働者が排除された命令経済は共産主義ではない。B共和国・キューバは労働者に対する搾取・抑圧体制であるから労働者革命によって打倒されるべきだ。加えて、共産主義経済体制は生産手段の社会化なのだから没収・国有化にとどまってはならず、またその社会化を世界規模に広げていくべきだ、と草案は指摘している。 第二に、韓国階級闘争について次のように展開される。韓国階級闘争の転換点は一九八七年の労働者大闘争だ。韓国資本主義は一九六〇年代から九〇年代初めまで急激に成長した。しかし九〇年代後半から「『衰退する資本主義』という世界資本主義の普遍的性格をそのまま現すようになった」。韓国社会の当面する革命は共産主義労働者革命だ。韓国革命は全世界労働者階級解放闘争の一部であり、世界革命の一部だ。韓国革命の主体は労働者階級だ。労働者階級の武装力と武装蜂起によって資本家国家を打倒する。 続いて、現代革命の一般的な命題が以下の通り語られる。すなわち、現在は「帝国主義時代」だ。「資本主義世界支配の普遍的性格は普遍的革命戦略を要求する」。革命党が、労働者評議会として表現された「労働者階級とともに資本家国家を打倒して労働者権力・労働者階級の独裁を打ち立てるだろう」。世界革命は世界革命党(インターナショナル)の存在を前提とするので、世界革命が進む前に世界革命党を絶対に建設しなければならない。革命勝利後、資本主義的な政治・軍事・経済的条約・協定をすべて直ちに破棄する。 第三章は「移行要求」、つまり、現時点から革命勝利に至るまでの広範囲の要求課題だ。以下はその要旨。 〈非正規職撤廃〉同一労働同一賃金。全ての正規職化。元請の使用者責任認定。不法派遣の正規職化。特殊雇用労働者性認定。労働三権保障。期間制法撤廃。派遣法撤廃。移住労働者の取り締まり・追放中断と労働許可制の争取。 〈仕事の分かち合い〉あらゆる種類の解雇禁止、整理解雇制撤廃。一日六時間、週三〇時間労働制導入。夜間労働撤廃。生活賃金争取、無償医療・無償教育・無償住居。公共事業を通じた失業解消。 〈民主的諸権利〉集会・デモ・結社・表現の自由。完全なストライキ権争取。労働悪法撤廃。国家保安法撤廃。国情院など暴圧機構解体。 〈女性解放〉女性に対する一切の法的差別廃止。労働権・教育権など女性の同等な権利。全ての公的社会的活動に対する平等権。同一労働同一賃金。年令に関係なく本人の意思による避妊と堕胎の権利。妊娠・出産・堕胎の無償医療。全ての形態の性暴力に抗する闘争。家事労働の社会化を通じた女性の二重負担の終息。二十四時間無償保育導入。公共食堂設立。 〈性少数者解放〉個人の性的志向と合意による一切の性活動の認定。同性愛者をはじめとする性少数者に対する一切の差別の禁止。同性愛者の結婚の合法化など完全な法的権利保障。労働権・住居権・医療および公共サービス接近権保障。同性愛者カップルの養育権認定。 〈青少年解放〉全ての青少年に既存の労働者と同等な賃金と労働条件を保障しろ。青少年の職業訓練期間の完全な給与と履修後の正規職就業を保障しろ。無償教育。大学教育期間に生活費支給。「入試地獄」に象徴される競争教育撤廃。教育予算削減反対、学校「法人化」反対、私立学校の国立化。 〈障害者解放〉障害者等級制の廃止、障害者活動支援法の個人負担金廃止、障害者活動補助サービス拡大。障害者の移動権・住居権・労働権の保障。非障害者(注:直訳。健全者を指す)と同じ一般学校で教育を受ける権利の保障。国民基礎生活保障法の義務扶養制廃止、家族障害者支援法制定。社会主義の中での障害者解放。 〈労働者統制による環境保護〉エネルギー産業に対する労働者統制下の国有化。原発など核施設に対する労働者統制、核施設閉鎖。エネルギー及び運送システムの体系的かつ地球的な再編。帝国主義国とその企業が「第三世界」諸国で起きている環境破壊に対する費用を負担する。都市と農村の不均衡撤廃のための都市と農村の環境の合理的再建。 〈官僚主義と闘うために平組合員運動を建設する〉工場委員会を全国的に建設して現場における二重権力状態「労働者生産統制」を作り出し、これを通じて革命的権力闘争へ進む。前例は、ドイツの工場委員会/レーテ(評議会)、イタリア工場評議会、イギリス単位事業所委員会、六八年フランスとイタリアの工場委員会運動、七〇年代のチリの産業統制委員会、イラン革命時の評議会、最近のベネズエラの企業没収・国有化運動。 〈没収・国有化〉民営化反対。財閥大企業の没収・国有化。銀行をはじめとする金融企業の国有化と単一国営銀行への統合。国家基幹産業の国有化。民主的計画経済。 〈帝国主義反対〉帝国主義戦争・侵略反対。アフガニスタン・イラク占領反対。イラン・共和国に対する米国の挑発阻止。朝鮮半島をはじめとする全世界の帝国主義基地閉鎖。韓米相互防衛条約をはじめとする全ての帝国主義的防衛条約および軍事同盟撤廃。資本家軍隊のためには一銭も、一人も出すことはできない。議会内労働者代表者は資本家政府による一切の軍事費支出に反対しろ。労働者運動の工場統制の下で全ての労働者民衆のための軍事訓練を組織しよう。兵士の完全な民主的権利保障。兵士委員会と兵士労組設立。 〈労働者正当防衛隊/労働者民兵隊〉 〈労働者政府〉民主労働党と進歩新党は議会改良主義。労働者政党なら資本家政党と断絶し、資本家政治勢力からの厳格な独立性を維持すべき。総選挙と大統領選挙、地方選挙で資本家政党との連立政府を推進してはならない。労働者政府を樹立し、労働者統制下で財閥・銀行・国家基幹産業を没収し国有化する。労働者政府は労働者評議会と労働者民兵隊、そしてすべての闘う労働者民衆組織に基盤を置き、この闘争機構及び組織に責任を取らなければならない。労働者階級の完全な国家権力は資本家国家の武力(何よりその軍事・官僚機構)を解体し、それを労働者評議会と労働者民兵隊の支配に置き換えることを通して初めて完成し得る。 〈労働者評議会と蜂起〉労働者評議会により全国規模で二重権力状態が創出されるが、この二重権力状態は決戦へと突き進まざるを得ない。蜂起を通じて資本家政府を倒し、労働者階級独裁を打ち立てる。労働者評議会は労働者だけでなく、失業者・都市貧民・貧農・青年層・一般兵士によって構成される。総ストライキを蜂起に発展させる。そのためには労働者評議会の存在が必須。蜂起の直接の担い手は労働者民兵隊。蜂起のモデルは一八四八年フランス、一九一七年ロシアの二月革命と十月革命。(続く) ※(注一) 社労委の綱領草案の案として多数派・少数派・個人から計三つが提起され、綱領起草委員会の中で論争になった。脱退した少数派である「社労委政治的解散宣言者の会」の小冊子「党建設闘争をどのように行うべきか?」(十一年八月発行)は多数派を次のように批判する。@多数派はソ連・中国・共和国をある種の社会主義若しくは労働者国家と規定しているが、ソ連・中国・共和国・キューバ・ベネズエラは「国家資本主義搾取体制」だ。A多数派は「資本主義の上昇期/衰退期の概念なしに単純に周期的危機論、恐慌論程度で資本主義の危機状況を判断している」、資本主義批判が不十分だ。B多数派案は世界革命の観点が欠如した一国主義的内容だ。 ※(注二) 旧「労働者の力」系の現代自動車労組指導部が〇五年以降、同じ工場内の非正規職労働者の闘いとの連帯を悉く拒否し無視する「官僚主義的裏切り」を行ったとされる問題。解放連帯は、労働者の力及びそれが母体となって結成された社労準がこの問題を総括していないと厳しく批判し、社労委への合流提案を拒否した。 |
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