|
■11月29-30日 山口 岩国行動2014が成功 海外の代表とともに米軍基地に抗議 ■岩国反基地国際連帯集会 海外ゲスト、労働組合、各地の反基地運動が結集 安倍右翼反動政権が党利党略のために打って出た衆議院解散・総選挙に対する選挙闘争をはじめ安倍政権打倒のたたかいとして、名護新基地建設阻止闘争や京都Xバンドレーダー基地建設阻止闘争がたたかわれている。まさに連帯するたたかいとして、十一月二十九、三十日に、岩国において「「岩国行動二〇一四」がかちとられた。 その二日間を通して「アジアにおける米軍基地に反対し、日本の集団的自衛権に反対する国際連帯集会~報告と討論の集い~」が岩国市の福祉会館で開催された。主催は岩国反基地国際連帯集会実行委員会で、呼びかけはアジア共同行動(AWC)日本連絡会議、14岩国・労働者反戦交流集会実行委員会、「岩国☆希望の祭」実行委員会だ。 ●一日目(11月29日) 闘い前進する岩国と各地の反基地闘争報告 集会の会場には、韓国やフィリピン、初参加のオーストラリアの横断幕が演壇の前に並び、周りにも参加団体の旗や横断幕があって、各国と日本のたたかいを結合させる場がつくられた。台湾からもビデオメッセージが届き、力強い映像に拍手が巻き起こった。 集会の基調提起では、米国のアジア重視政策と、安倍政権がそれに結合するかたちで独自の軍事出動を新たに開始させていくために集団的自衛権の行使や基地新設・強化を推し進めていること、労働者にますます貧困と無権利を強制しようとしていることを批判。「アジア太平洋地域から米軍と米軍基地を一掃していく国際的な連帯と共同闘争を作り上げていきましょう」などと結び、参加者の拍手で確認された。 発言では岩国と各地の反基地運動が報告され、まさに全国の反基地闘争を代表するたたかいが集結する内容となった。 岩国からは、連帯発言で住民投票の成果を生かす岩国市民の会の大川清さん、報告では岩国市議でリムピース共同代表の田村順玄さん、愛宕山を守る会代表世話人の岡村寛さんが登壇した。 大川さんは、「戦争の被害者にも、加害者にもならない。沖縄の知事選に大きな、大きな希望を与えられた。あきらめず、粘り強く取り組んでいきたい」などと述べた。田村さんは、「海兵隊航空計画二〇一五」で記載されている最新鋭戦闘機F35の岩国への新たな配備計画を批判し、地べたから学習して運動につなげていければと、岩国に関連する本を紹介した。岡村さんは、「子孫に向かってわれわれは反対していることを伝え、子孫にツケをまわしたくない。政治がどこに向かってやっているのかわからない。(運動を)続けることが大事。幸いにも沖縄が頑張っている。私たちも頑張っていきましょう」と地道に一歩一歩踏み固めてきた確信で述べた。 各地からの反基地運動からの報告では、沖縄から名護市議の川野純治さん、京都から米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表であり、同時に近畿連絡会代表世話人である大湾宗則さん、広島・呉からピースリンク広島・呉・岩国世話人の新田秀樹さん、東京から労働組合を軸に米軍横田基地への抗議行動を開始している東京労組委員長の大森進さん、そして砂川裁判元被告であり、再審請求中である武藤軍一郎さんがそれぞれ登壇した。基地撤去をめざす県央共闘会議副代表の檜鼻達美さんと、福岡の空自築城基地の撤去を求め長年座り込みを続けている、平和といのちをみつめる会代表の渡辺ひろ子さんからは、連帯メッセージが寄せられた。 集会は、岩国をはじめ全国、アジア太平洋でのたたかいと結合してたたかいぬくことで展望をつくり出していくことを確認し合う「岩国行動」のスタートの内容となった。 ●二日目(11月30日) 日米の戦争政策を批判した海外ゲストの報告 前日にひきつづき、岩国福祉会館にて国際連帯集会が行われた。三十日は、韓国・フィリピン・オーストラリアから招かれた海外ゲストによる報告を中心に、集会が取り組まれた。それぞれが事前に準備した資料とスライドを使って、各国の状況が分かりやすく報告された。 まず韓国ゲストである、群山平和と統一を開く人々の共同代表であるキム・ヨンテさんによる報告だ。キムさんは、①駐韓米軍の再配置の状況、②日本の集団的自衛権に対する韓国の立場、③岩国国際集会に対する態度、という三点にわたって話した。①については、韓国が米国のミサイル防衛システムに全面参加しようとしていることや、群山米軍基地をめぐる状況が報告された。②については、韓国政府が日本の集団的自衛権を傍観している一方、韓国民衆は日本の安保政策の大転換だと注目していることが話された。朝鮮半島有事の際に日本軍の侵入を決定するのは、韓国軍の戦時作戦統制権を握っているアメリカ政府である。米日の動向は、北東アジアの平和と安定を破壊し、朝鮮半島を常時の戦場に変えることになると弾劾した。そして、日本の再武装と日米韓の軍事同盟の強化を許さず、北東アジアの平和を志向する平和諸勢力による、国際的な団結と闘争が強く求められていると訴えた。 つづいて、フィリピンからのゲストとして、BAYAN日本支部のブッチ・ポンゴスさんが報告した。ブッチさんは、今年四月に行政協定として調印された比米防衛協力強化協定(EDCA)の問題を中心に報告した。一九九一年にすべての米軍基地を撤去させたフィリピンでは、米軍のアジア回帰に合わせ、九九年の訪問軍協定と〇二年の相互兵站支援協定が結ばれ、さらに今回EDCAが調印された。ブッチさんは、EDCAは米国に有利な一方的協定であり、フィリピン人民の主権を破壊し、その生活を危険にさらすものだと批判した。そして、米軍にさまざまな特権を認めるEDCAは、米帝の象徴であり、アジア太平洋での米国の覇権を強めるための道具だと弾劾した。 最後にオーストラリアからのゲストとして、オーストラリア反基地キャンペーン連合のデニス・ドーティーさんが報告した。オーストラリアでは、六七年から増えつづけた米軍基地が現在五十カ所に上るという実情があり、さらに日米豪三カ国による軍事協定が強化されていることが報告された。そのうえ、オーストラリア政府が日本から十二隻もの潜水艦を購入しようとしていることを明らかにし、弾劾した。そして、アジア太平洋地域を貫く反基地行動の取り組みが必要だとして、国際連帯の重要性を訴えた。 各国ゲストによる報告が終わり、質疑応答が行われた。参加者からは、フィリピンでは米兵犯罪が処罰されているのかどうかについて、韓国の群山基地での有害物質汚染について、中国による南沙諸島などへの進出についてなど、多岐にわたる質問が出され、活発な議論が行われた。 そして最後に、集会宣言が読み上げられた。集会宣言は参加者全体の拍手をもって採択され、国際連帯集会は終わった。 ■基地に向けデモ行進 二日間にわたる14岩国行動の締めくくりとして、集会参加者はデモ行進に出発した。デモコースは、岩国市街を通って、岩国基地のゲート前を目指すコースだ。 参加者は、「いらない米軍住宅、愛宕山地域住民の願いに応えよ」などとかかれたプラカードや海外ゲストが持ってきた横断幕をかかげ、打楽器を鳴らし、労働者反戦交流集会実行委を構成する労組の組合旗などをはためかせて、デモに出発した。デモ隊は、「基地はいらない!」という岩国市民を激励するシュプレヒコールをあげながら、岩国市街を行進していった。 そして米海兵隊岩国基地が目前に迫ると、デモ隊のシュプレヒコールに一層力がこもる。基地ゲート前には、山口県警の部隊が立ちはだかっている。デモ隊は、基地ゲートに肉薄して「米軍は出て行け!ここから手を引け!」と、岩国基地に対して弾劾の声をたたきつけた。 最後までデモを貫徹した参加者は、基地に隣接する公園に結集した。そして、今年の岩国行動の成功を全体で確認して、二日間にわたる岩国行動の取り組みを終えていった。 ■感動と元気を呼び起こした〝岩国☆希望の祭〟 歌・演奏と参加者が一体に 十一月二十九日、「二〇一四岩国☆希望の祭」が開催された。岩国市民会館小ホールを、岩国市民、全国から結集した労働組合や青年、そして沖縄や横田・広島呉・京都さらには韓国・フィリピン・オーストラリアの反基地活動家たちが埋め尽くし、「岩国を戦争のための基地じゃなく、平和の発信基地にしたい!」と熱いひとときを実現した。 二〇〇六年、岩国住民投票において基地強化NO!の民意が示されて以降、これに連帯し、ともに反戦・反基地・反安保・国際連帯の流れを生み出していこうと岩国行動が行なわれてきた。毎年十一月には、アジアからの米軍基地総撤収を掲げた国際連帯集会と並び、労働組合が組織的力を発揮し反戦・反基地闘争を担っていこうと、岩国・労働者反戦交流集会が行なわれてきた。今年は一歩踏み出し、反戦反基地闘争を作り出していく労働組合の相互報告・交流にとどまらず、労働組合以外の青年たちやミュージシャンたちと力を合わせ、「岩国は負けない!基地も戦争も要らない!」というメッセージを、音楽や映像とともに伝えていく場として、岩国☆希望の祭は準備されたのである。 いくつかの特徴を報告すると、一つは、ミュージシャンたちの感動的なメッセージ力である。希望の祭は、単なる音楽イベントとしてではなく、反戦や反基地、あるいは福島への連帯、世界を変えていこうというメッセージを、それぞれの豊かな音楽性で表現するものであった。 二つは、労働者集会としての性格の堅持である。司会は東京・南部全労協のメンバーが担い、14岩国・労働者反戦交流集会の基調映像が流れ、門司地区労の発言、全港湾大阪支部の発言が行なわれた。まとめは全日建近畿地本がおこなった。少し慣れないながらも、希望の祭の柱の一つとして、ミュージシャンたちのメッセージ性とは異なるものであるが、労働組合としての役割を押し出す新たな試みを切り拓いた。 三つは、青年たちの奮闘である。希望の祭のコンセプトを練り、ホームページやフェイスブックなどで発信し、希望の祭の骨格を作り上げたのは、IYA(Iwakuni Youth Action)や労働組合青年部などの青年たちの粘り強い活動であった。司会を担い、海外ゲストの紹介を担当し、多くが裏方となって希望の祭を成功させた。 四つは、岩国の反基地住民たちの参加である。「愛宕山をまもる会」からのメッセージ、毎月一の日に行なわれている「見守りの集い」で歌われている守ろう愛宕山の合唱が、この希望の祭が実現しようとする方向性を明確に示すものとなった。 この四つの柱が、渾然一体となることで、第一回目の岩国☆希望の祭は、参加者の中に感動と元気を呼び起こした。自民党・安倍のお膝元である山口県、防衛省や県・市当局によって民意を踏みにじられた基地の街・岩国に、「新しい風を吹かしていくために頑張ろう!やればできる!」という希望の灯りをともしたのではないか、と思う。 ■11・29、30 岩国基地現地見学 愛宕山住民の話しを聞く 間近で見る工事に怒り 岩国国際連帯集会関連企画として十一月二十九、三十日の両日に岩国基地現地見学が行なわれた。現地見学会は例年取組まれており今年は、オーストラリア、韓国などの海外ゲストをはじめとして初めて岩国国際連帯集会に参加する労組、市民運動活動家など三十数名が参加した。 二十九日の現地見学会では、愛宕山神社下広場において地元愛宕山で長年反対運動を続けておられる住民の方からの説明を受けることができた。 説明会では、滑走路を沖合に一キロ移設するために税金が二千四百億円もかけられこと。沖合移設工事は、騒音軽減と安全対策という岩国市民の悲願に応える形で進められたが、その沖合移設工事のための土砂を愛宕山を削って埋立てに使ったこと。そのために標高百二十メートルあった愛宕山は、標高六十メートルの高さとなり、百二ヘクタールの更地にされ、切り開かれた愛宕山には当初、県が主導して二十一世紀型の住宅、学校やスポーツ施設など総合的な宅地開発を進める計画であったこと。地元地権者の方々は岩国の街が発展するのならと土地を手放したのだが、一転二○○六年に持ち上がった米軍再編計画にもとづき、米軍用の住宅、施設用地として国が買い上げるとういうだまし討ちが行なわれてきたことなどが詳しく語られた。そして今、一棟一億円、総額二百六十億円といわれる巨費を投じて米軍人用の高級住宅が国民の税金を使っておこなわれようとしていることが怒りをもって説明された。 さらに、両日とも天候にも恵まれ、通称「安保の見える丘」や沖合移設された滑走路端からは、オスプレイや今年移駐がおこなわれたKC―130などの関連施設の建設工事が大規模に行なわれている様子を伺うことができた。 今後、岩国基地は、厚木基地からの「空母艦載機部隊」(五十九機)の移駐も目論まれており、航空機百三十機、米軍関係者一万人を擁する極東一の米軍基地に変貌しようとしている。 住民をだまし、米軍住宅建設の強行着工へと踏み込んだ安倍政権と対決し、岩国基地の再編・強化と闘おう。地元岩国住民と固く連帯し、沖縄をはじめとする全国の反米軍、反基地闘争と連携を強め、米軍基地の総撤去をかちとっていこう。 |
当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.