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■6・23 北九州 AWC集会 未来は私たちがつくる 韓国ゲストと議論深め交流 六月二十三日、北九州市内で「貧困、排外主義、基地、原発……それでも未来は私たちがつくる6・23アジア共同行動 九州・山口集会」が開催された。 韓国ゲストの発題を受け質疑をしていく従来の形式にとどまらず、日韓双方の状況を報告しながら、共通の課題や教訓を模索する試みとして、パネルディスカッションが取り組まれた。 パネルディスカッションの前に、第一部としてAWC九州・山口の総会が開催された。各地域での活動を充実させたこと、ニュース発行等の情報発信や岩国連帯を強化したことなどの報告があった。 第一部後半では、反原発、岩国、沖縄現地闘争、外国人労働者支援など、諸戦線からの報告や連帯アピールがあり、運動を前進させることで情勢を切り開いてきている状況が鮮明になった。 第二部のパネルディスカッションでは、まず日本側から、熊本の「つくる会教科書」採択反対運動の報告があった。特に日本軍性奴隷制度問題での右翼らの反動が激しくなる中で、県と姉妹提携関係にある韓国・忠清南道とともに反対運動を強力に推進し、採択を阻止しているとの報告は、示唆に富むものであった。 次に地域で労働運動に取り組む仲間から、「闘わない連合」の支配が続く中、職場生産点での闘いや平和運動に地域共闘として地道に取り組む中で、三十代四十代の若手組合員が運動に参加しだしていることなどの報告があった。 続いて韓国ゲストから左派労組の組織化の重要性、新自由主義・金融資本主義・帝国主義と全面対決する課題として国際連帯の強化や東アジア地域の軍事的緊張・非核化問題があること、非正規を中心とした青年労働者の組織化が大きな課題であることなど、韓国の全体状況が報告された。 最後に、韓国ゲストのアルバイト連帯の方から、世代を超えた非正規職労働者の団体としてアルバイト連帯を立ち上げたことや、最低賃金闘争、長時間労働問題、アルバイト労働者の組織化の問題など、写真を交えながら報告があった。そのフットワークの軽さに圧倒された。 パネラーからの発題の後、産業空洞化と産業の投機目的化の問題、TPPやFTAの韓国への影響など、パネラーと会場が一体となって論議を深めた。 理論問題も取り上げられた。日本ではマルクス主義の継承―世代間の断絶の問題、韓国ではそもそもマルクス主義の学者が圧倒的に少ない問題など、日韓間の違いも浮き彫りになった。 また日韓共に、青年層の非正規化に伴い貧困が拡大し、排外主義や競争・個人への分断の蔓延など、共通課題も明らかになった。また被差別者が差別者に容易に転化する問題も指摘され、基本的な人権を守ることが重要であるとの提起もあった。 韓国版の生活保護制度が支給対象者を制限している問題や、前イ・ミョンバク政権下で福祉予算をカットする一方で、大規模な河川改修工事を強行したことなど、日本と同様の福祉切り捨ての実態も報告された。 限られた時間の中ではあったが、日韓双方の苦闘、成果、共通課題などが浮き彫りになった。 集会後の交流会では、二人の韓国ゲストとは別に今回の訪日ツアーに参加された仁川人間連帯の方を中心に、ざっくばらんな質疑が交わされた。 メンタルヘルスの問題、教育現場での取り組み、青年層の組織化等々、様々な領域の質問にも丁寧な回答があった。障害者解放や女性解放を最重要課題としているという点も大きな共感を呼んだ。個別分断が進み、各年齢層で自死率が世界一位という深刻な状況の中で、地域共同体を作り出す闘いは、未来を自分たちの手に取り戻し、未来を作り出す具体的な闘いとして興味が尽きなかった。 今回のAWC九州・山口集会は、具体的に顔が見える関係の国際連帯を深めることで双方で運動を発展させることができる、人民の運動こそが未来を作り出すということを実感できる、充実したものだった。青年労働者の組織化は日韓双方の共通の課題だ。先行する韓国の運動に学びながら、現場での闘いを進めていこう。 |
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