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■3・23 山口 愛宕山開発用地売却弾劾!岩国住民先頭に県庁抗議 三月二十三日、ついに山口県岩国市の愛宕山開発用地が、国へ売却されてしまった。厚木からの空母艦載機移駐に伴う米軍住宅建設用地として。日本中のほとんどの人が知らない間に、米軍基地が拡張されてしまったのだ。 岩国・山口の未来を米軍に売り渡した二井(にい)・山口県知事と福田・岩国市長を、徹底的に弾劾する。 今年二月、沖縄の海兵隊千五百名の岩国移転案が浮上し、「これ以上の負担増は容認できない」と、県は売却を留保していた。ただし県議会で知事は、①日米政府が「艦載機移転」以上の負担はさせないと保障する、②米軍再編は沖縄とのパッケージであり、普天間が動く前に岩国のみ艦載機の先行配備はしない、③国は県や市の意向を尊重する、の三条件がそろえば、「留保」を解除する、とも表明していた。そもそも、艦載機移転自体、二〇〇六年の市民投票で「反対」の意思が示されており、岩国市民はこれを受け入れた覚えは全くない。 しかし、三月十五日の愛宕山売却要請のための外務と防衛の政務官の山口訪問、二十二日の知事と市長の防衛相・外相との面会、売却の意思表示、二十三日の契約書交付と、一週間の間に、事はドンドン進められていった。体裁が整えばいつでも売却するという、形式だけの「留保」に、岩国市民が警戒を強めていた中、強行されたのだ。 契約前日の二十二日、突然、知事と市長は東京で防衛相・外相と面会し、土地売却に踏み切ると報道された。「米側が『(岩国への海兵隊移駐は困難という)日本政府の立場は理解した。厚木の艦載機移駐は重要である』と回答していることから、留保解除の条件が整ったと判断した」という理由にならない理由で、だ。日本政府の言い分に一つの変化もなく、「条件」がそろう何の保証もない。愛宕山買い取り予算が次年度に繰り越せない状況下、土地開発に伴う赤字解消のために、県が焦って事を進めたのだ。土地売却により、基地交付金の増額も予想される。 二月に米軍再編見直しが表面化して以降、現在、日米間での協議段階で、米軍再編は流動的な状況だ。地元の「愛宕山を守る会」も、五月の2+2で日米の正式文書が交わされるまで「留保」を維持すべきとの申し入れをした。現段階でのこの程度の国の対応を理由にした「留保解除」はあまりに軽率ではないか。 契約が交わされた二十三日当日には、知事との面会を求めて、県議三名を含む約四十名が県庁に集まった。人びとは知事からの直接の説明を求めて知事室に向かったが、通路の扉が閉められ、鍵までかけられた。定例記者会見があるというので会見場で待ち構えていると、突然会見を中止し、知事は何の説明責任も果たさず、逃げ続けるだけだった。そのどころか、集まった市民に対し「会見を妨害された。不快感を表す」(マスコミへのコメント)といった、ふざけきった態度に終始している。しかも、二井・山口県知事は、今年八月の任期満了に伴い、引退すると表明している。二井が岩国・山口の将来を決める重要案件を決定するのは無責任極まりない。 その後、県庁に集まった人たちは基地対策室の小松室長と面会したが、市長や市議会を通して地元の意見を尊重していると言い張るばかりだった。今回参加された直接の利害当事者である多くの元地主の方々を含む岩国市民を、無視しているにもかかわらずだ。しかも元地主から騙して土地を取り上げたという認識もなく、反省のかけらも見られない。愛宕山開発のために新たな住宅街や病院を建てるからと県に土地を売った元地主の方々も、米軍住宅建設など、一ミリたりとも同意していない。現在も、月三回の座り込みや裁判などに取り組み、反対の意思を鮮明にしている。 その後の県庁前の総括集会では、「将来に禍根を残した山口県を絶対に許さない。土地の名義が変わっても、愛宕山に簡単に米軍住宅を建てることは出来ない。今後は国を相手に闘いを続けよう」ということが全体で確認され、その日の行動を終えた。 「沖縄の負担軽減」の名目の影で、着々と岩国基地強化・拡大が進められている。滑走路・港湾・弾薬庫を網羅する岩国基地は、総合的な基地、東アジア最大の基地として米軍によって最重視されているからだ。それは、沖縄の海兵隊の岩国移転、オスプレイの配備と、何かにつけ、岩国の名が浮上していることからも明らかだ。 今回これらの案は一旦、引っ込められた。それだけ、艦載機移駐/愛宕山米軍住宅建設が重要案件であるということに他ならない。これまでも岩国は、なし崩し的に基地機能が強化されてきたが、愛宕山問題という知事や市長にとっての「切り札」を手放してしまえば、岩国は今後ますます国の言いなりになるしかない。海兵隊の岩国移駐案も、再浮上する可能性は大いにある。 3・11以降、反原発の闘いが盛り上がっているが、東アジア最大の核保有者は米軍だ。反核の取り組みの一環としても、東アジアから米軍を追い出そう。沖縄と共に岩国の闘いに注目しよう。 |
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