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 ■2・21 山口

 中国電力の上関原発工事強行弾劾

 民衆の力で上関原発建設計画を白紙撤回させよう!



 
二〇一一年二月二十一日深夜二時、同じ格好をした男性数百人が無言で山道を歩く。場所は山口県上関町長島。上関原発建設予定地田ノ浦の海を埋め立てるため、中国電力が海と陸から作業を開始しようとしているのだ。
 二井関成山口県知事は地元祝島島民を始め多くの人が上関原発建設に反対しているにもかかわらず二〇〇八年十月二十二日田ノ浦の公有水面埋立免許の許可を出した。埋立免許の許可後、一年以内に工事に着工しなくてはならない。中国電力は二〇〇九年九月より、田ノ浦を埋め立てるための工事を強引に推し進めようとしたが、祝島島民や原発に反対する人々、海を愛する若者達の抗議行動により一ヵ月近く何もできなかった。しかし台風が来ている最中の同年十月七日未明、ブイを海に浮かべた。そして早朝、着手届を県に提出した。
 それから一年半の間、中国電力は何度も田ノ浦にやってきたが、その度に祝島島民などに抗議され何もできなかった。今年二月、中国電力は上関原子力立地プロジェクトを社長直属の組織とした。その二十日後、作業を強行したのだ。二十一日の深夜の行進の様子は既にインターネットで流れている。数百人の男性が一列になり無言で山道を歩く姿は異様である。田ノ浦の浜では情報をキャッチしていた祝島島民や原発に反対する人々、海を愛する若者達百数十人が抗議をした。抗議をする人々を二重、三重に中国電力の作業員が取り囲む。足を蹴ってくる作業員もおり、抗議する人は「アザができた」と言っていた。しかし「県外からバスで連れてこられた。柵の付け替え作業と聞いただけだ」と話す作業員や、現地のことは何も知らされておらず、戸惑い、涙を流す作業員もいたようだ。二十三日には浜に座り込んで抗議していた祝島の女性に、複数の中国電力の警備員がパイプを持って倒れ込んだ。そのため女性は一時意識レベルが低下した。他にも抗議をしていた二名の男性がケガをした。
 海ではどうだろう。二十一日、中国電力は海上に三十隻以上の台船などを田ノ浦に向かわせた。この台船の中にはおとりがおり、抗議する祝島の漁船を引き寄せている間に、別の台船を予定地に進入させたという。そして海に岩石を投入した。海でも大変緊迫した状態が続いている。
 その上、中国電力は二〇〇九年から立て続けにスラップ訴訟(経済的に力のある団体が対抗勢力へのいやがらせを主目的として起こす訴訟)を起こしている。二十一日には埋め立て海域以外での「妨害」行為を禁止する仮処分申請を申し立てた。山口地裁はスラップ訴訟に手を貸す判決を繰り返している。
 こうした状況は全国のテレビや新聞ではほとんど報道されていない。地元でさえ二十三日頃までは報道が行なわれていたが、今ではほどんどなくなった。しかし、若者達の手によってインターネットを通じ現地の状況がライブ中継されている。ブログやツイッター、ミクシィにも情報が流れており、様々な取り組みが行われている。一月末には五人の若者が上関原発建設計画の中止を求め、二百四十時間のハンガーストライキを県庁前で行った。
 被爆二世の会、憲法を活かす市民の会・やまぐちやアジア共同行動山口実行委員会、全国一般労働組合全国協議会山口連帯労働組合、戦争・差別・貧困とたたかう学生グループあすじゃ山口は中国電力と山口県に抗議文を送っている。他にも日本自然保護協会が「上関原子力発電所の強引な工事に抗議し、建設中止を求める緊急声明」を出し、中国電力・経済産業省・環境省・山口県・国会議員などに送付した。祝島島民らが中心となり集めている「上関原発建設中止を求める署名」も九十万筆以上集まっている。この署名は三月末までに百万筆集める予定だ。四月十日には「長島の自然を守る会」などの自然保護団体が広島で長島の素晴らしさを知らせる国際シンポジウムを開く。
 民衆の力で上関原発建設計画を白紙撤回させる日は近い!

                 (被爆二世の会会員より)


 

 

 

 

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