共産主義者同盟(統一委員会)
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■9・25 東京 戦争動員訓練に反対し四地区実が講演集会 九月二十五日、すみだ生涯学習センターにて、荒川・墨田・山谷&足立実行委(四地区実)呼びかけによる「9・25講演集会」が開催された。石原都知事の差別暴言―2000年ビッグレスキュー以来毎年、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に対する闘いを地道に取り組んできた四地区実が、十周年の節目に当たり、また「在特会」を始めとする排外主義集団の跋扈(ばっこ)に対して、地域での取り組みを改めて行なうべきだとの思いから開催したものだ。講師にはナチズムやファシズム、天皇制の歴史とそれらに対する抵抗の歴史などを研究されている、ドイツ文学者の池田浩士氏が京都より招かれた。 四地区実を代表した司会者から、「十年前に石原が発した『三国人が災害時に騒擾を起こす』との差別発言は、いわばヘイトスピーチのはしりであった」とふり返り、「高校無償化」からの朝鮮学校除外をはじめ様々な出来事に年々危機感を強めてきたこと、しかしこの地域での運動や出会った仲間たちに勇気も得たこと、などが述べられ開会。 まず最初に、八月二十九日に行なわれた東京都総合防災訓練(文京区)に対する監視と抗議集会・デモの報告が、当日の映像を交えながら行なわれた。この十年間の「防災」訓練をふり返りながら、今年の訓練を分析。石原は、文京区―と言えば後楽園・東京ドーム―を使って大規模な都市型対テロ訓練をやりたがったはず。しかし、双方から使用を断られる。転じて、東大や東洋大、高校などの敷地を利用し生徒・学生を動員した。大いに問題あるが一見地味な訓練となった。この訓練で見落としてはいけないポイントとして、①登場したのは派手な軍用ヘリではなく警察や消防のヘリコプターであっても、その航空管制を完全に取り仕きっているのが空自であること、②白山通りを封鎖して自衛隊・警察主導の訓練が行なわれ、並行する本郷通りで町会などによる避難訓練が行なわれたのは、災害時もしくは「有事」の際、軍が政経中枢を防衛するために侵攻、その妨げにならないよう市民を誘導するという「国民保護訓練」そのものであったこと、③様々な言語の語学ボランティアをそろえ、人権にも配慮しているかに見えるが、かつての「一円五十銭と言ってみろ」にも通じる欺瞞に満ちたものであること、などがあげられ、「軍隊は人助けをしない!」「軍隊は敵対する勢力に対して、政経中枢を護るためにある。その『敵対勢力』に、かつて『朝鮮人』が指定されたことを忘れてはいけない」ことが訴えられた。 つづいて、講師である池田浩士さんが登壇。「危機感はどこへ向かうか?―排外主義右翼の跋扈を問う」と題して講演をおこなった。はじめに、池田さんが実際に「You Tube 右翼」の自己宣伝をつぶさに見学した―と、彼らの主張のひとつ一つを紹介した。在日韓国・朝鮮人、中国人に対する差別的な発言はここで紹介するまでもないが、池田さんが特に注目したのは、車椅子で移動する高齢の障がい者を映しながら「弱者の思い上がった人権を許さないぞ!」と桜井某が叫ぶシーンだった。「ただただ、残忍な人たちなんだな」と思ったと言う。かつてのいわゆる右翼とは明らかに違う彼らを動かしているのは、「未来がない」という巨大な危機感と絶望感。社会主義・共産主義という「敵」を見失い、しかし全人民の敵である米帝には決して向かおうとせず、ひたすら「弱者」に対して残忍な暴力を振るっているのが彼らだと分析。そして、「事実」は「現実」ではない、「危機感」と「危機意識」は違う、と二つのことが提起された。戦前・戦中、貧しさと危機感の中で懸命に生きた人たちの体験がそうであったように、はけ口として用意された「仮想敵」や合理化された「事実」は見えても、「現実」は見えなくなっていく。 そして、池田さんの専門分野であるドイツ―ヒトラーとナチスについて、日本の過去現在、防災訓練に見られるボランティア動員にも引き付けた、非常に解りやすい話であった。メディアを大いに活用し、街頭を制圧するというナチスの手法が、在特会と大変似通っていること。そこで「ユダヤ人が職を奪っている!」とアジり排外主義を煽ったわけだが、現実には当時ドイツにおけるユダヤ人の人口比率は1%にも満たなかったこと。ボランティア運動を徹底して呼びかけ、良いことをしているつもりの市民から徴収した資金や労働力を、全て戦争のためにプールしたこと。大失業状況を一気に回復させ、支持を集めて政権掌握した巧妙なカラクリ。ドイツ人は決してやむを得ずナチスに従ったわけではなく、それは99%の民意であったことがアンケート結果に表れていること。そのもとで1%の「生きるに値しない」とされたユダヤ人・ロマ人・ジプシーや「障害者」・同性愛者がいたこと。それらのことは、ネオナチの出現に疑問を抱いたギムナジウムの一教師と高校生たちが、調査しなおし発信したことで明らかになったと語った。我々がすべきこととして、危機感ではなく「危機意識」を持たなければならない、ドイツの高校生たちがしたような歴史を生かす作業が何より必要である、と最後に強く訴えた。 つづいて、地域諸団体からのアピール。墨田の在日の仲間からは、関東大震災時に虐殺された朝鮮人の追悼事業を長く取り組んできて、昨年ついに追悼碑建立が叶った報告。荒川の仲間からは、高校無償化からの朝鮮学校除外に憤り、7・22下町集会を開催した報告。そして翌日に控えた「9・26全国集会」への結集が呼びかけられた。山谷の仲間からは、墨田区で施行された「資源ゴミ(アルミ缶・古紙)持ち去り禁止条例」が野宿労働者の最後の命の砦である仕事を奪おうとしていることが明らかにされ、条例を撤回・無効化する運動への協力が呼びかけられた。足立からはアイヌラマット実行委の仲間から、「アイヌ民族がいないことにされ、植民地支配もジェノサイドもなかったことにされてきた」「アイヌの遺骨が集められ研究材料にされている」と怒りの発言。特別アピールとして、部落解放同盟墨田支部から、大きな山場を迎えている狭山闘争の報告と、渋谷のじれんから、行政代執行の奇襲を受けて緊迫している宮下公園ナイキ化阻止闘争の報告を受けた。 わかりやすく心を打つ池田浩士氏の講演と、諸団体の力強いアピールを受け、参加者は明日からの闘いと団結の必要性を新たに感じながら会場をあとにした。地域から差別・排外主義と戦争動員を撃ち、共に闘おう! |
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