共産主義者同盟(統一委員会)
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■3・28 京都 排外主義を許すな!円山野音に900人が結集 昨年十二月四日の在特会や主権回復を目指す会による京都朝鮮第一初級学校への襲撃以降、京都においてはこれに反撃するたたかいが断固として推進されてきた。昨年十二月二十二日の緊急集会に引きつづいて、今年の二月には京都の十六人の知識人・弁護士・宗教者らの呼びかけによって、「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピール運動が開始され、京都から関西・全国へと発信されていった。そして、この共同アピール運動の最初の集約点という意味を含めて、三月二十八日(日)午後二時から京都市円山公園野外音楽堂において、「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への襲撃をゆるさない!3・28集会」(主催・同集会実行委員会)が開催された。 この四カ月間に在特会らは、十二月二十日のウトロ街づくりプランに反対するウトロでのデモ、一月十四日の再度の朝鮮学校への攻撃、三月六日の在日コリアン生活センター・エルファおよび在日無年金問題の解決をめざす会への攻撃、三月九日の朝鮮総聯京都府本部が存在する朝鮮会館への攻撃などを行った。このように在特会らは、京都において全国的にも例を見ないほどに在日への直接的な襲撃をくり返してきたのである。三月二十八日の円山集会は、このような在特会らによる相次ぐ襲撃、そして鳩山政権による高校無償化制度からの朝鮮学校排除の動きに対する怒りを結集し、日本人と在日の双方から九百人が参加して開催された。それは、在特会らが登場して以降、在特会らとたたかう集会・デモとしては、全国でも最大規模のものとなった。この日、在特会らは在日のコミュニティーが存在する東九条において三度目の朝鮮学校への攻撃をくわだて、また京都市内中心部においても3・28集会とデモに対する「抗議行動」を組織しようとし、京都市内中心部と東九条の双方において緊迫したたたかいが組織された。 ●在特会らとたたかう最大規模の集会 3・28円山集会は午後二時に、司会の開会あいさつから開始された。最初に二月から開始された共同アピール運動について、呼びかけ人を代表して仲尾宏さん(朝鮮学校を支える会・京滋)と山根実紀さん(フェイスプロジェクト)からのあいさつと報告が行われた。共同アピールの賛同人はすでに千百一人、賛同団体は二百十一団体に達し、北海道から鹿児島までまさに全国から賛同が寄せられていることが報告された。そして、この共同アピール運動の最終集約の五月二十日に向けて、ざらに賛同人・賛同団体を拡大し、在特会らを大きく社会的に包囲し、封じ込めていこうという呼びかけが行われた。 続いて、京都民族教育対策委員会の柴松枝(シ・ソンジ)さんが発言に立った。十二月四日の最初の襲撃時に朝鮮学校にいた柴松枝さんは、次のように訴えた。「あの日朝鮮学校の内部で、子供たちがどんなに怯えていたことか。怯えて火がついたように泣き叫ぶ子どもたち、恐怖感が全校に広がりました。あの日だけじゃなく、今もその恐怖に子供たちは怯えながら毎日を過ごしており、先生も保護者もあの日以来ずっと特別警戒態勢を解くことが出来ません。かつてのチマチョゴリを切り裂かれた事件は、それが犯罪であることを知りながら人目をしのんで行われたものでした。しかし、在特会らの輩(やから)は、白昼堂々と自分たちが正義だとして学校を襲撃したのです。輩は、一月十四日には予告して朝鮮学校を再び攻撃しました。学校は授業を二時間で打ち切り、校外学習に切り替えざるをえませんでした。そして、今日もまた輩は学校を攻撃しようとしています。こんなことが許されてよいのでしょうか。なぜ私たちは、こんなつらい思いをしなければならないのでしょうか。なぜこんなに多くの朝鮮人が日本に住んでいるのか、正しい歴史認識を形成し、民族差別や外国人排斥が許されない犯罪であるということを広め、日本社会の排外主義的土壌を変えていかなくては、このようなことがくり返されていきます。 もうひとつの重要な問題として、高校無償化制度から朝鮮学校を排除しようとする動きがあります。このことは、国連の人種差別撤廃委員会でも輩の問題とともに深い危惧や批判が表明されました。在特会らの襲撃が民間の民族差別・排外主義であるならば、高校無償化制度からの排除は国家ぐるみの国家権力を使った民族差別・排外主義だと言ったら言いすぎでしょうか。もしこのまま朝鮮学校の排除が決まってしまうならば、子どもたちの『私たちの学ぶ権利を保障してください、朝鮮学校を学校と認めてください』という声に、私たち大人たちは何と答えることができるでしょうか。私たちは、四月から高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するように粘り強く要求していきます。 民族教育は、在日朝鮮人の宝であり、誇りです。一世の同胞が命をかけて守ってきた民族教育を、私たち二世・三世もまた命をかけて守るためにたたかいます。ともにたたかいましょう」と。 この胸を打つ訴えにつづいて、北九州からかけつけたグループからの発言が行われた。そして、前田朗さん(東京造形大学教授)が、二月から三月にかけてジュネーブで開催された国連人種差別撤廃委員会のロビー活動に参加した報告を中心に、次のように講演を行った。「一九六五年に人種差別撤廃条約が制定され、日本は一九九五年にこれを批准した。しかし、日本政府は『日本には深刻な人種差別は無い』と主張している。十二月四日の在特会らによる襲撃事件のビデオを上映したところ、『あれは非合法団体か』という質問を英国人の委員から受けた。在特会らが、合法的な団体として活動していることが信じられないというようであった。委員会において、朝鮮学校の関連では京都の襲撃事件と無償化制度からの排除問題が議論された。二月二十四日・二十五日に審査が行われ、三月十六日には日本政府への勧告がだされた。この勧告は、日本政府に対して人種差別禁止法を制定すること、人権委員会を設置することなどを求め、また朝鮮学校への差別、アイヌの先住民族としての権利を認めていないこと、沖縄に基地が集中していることなどへの批判を提起するものであった。しかし、日本政府はこのような勧告に従おうとしない。人種差別撤廃委員会の勧告を活用して政府の姿勢を変えさせていくたたかいをつくりだそう。在特会らに反対する声をさらに広げていき、私たちの社会をただしていこう」と。 司会からの会場カンパの呼びかけにつづいて、さまざまな団体・個人からのアピールに移った。まず、十二月四日の襲撃事件以降、一貫して在特会らに対する法的措置に取り組んできた豊福誠二弁護士からの発言が行われた。豊福弁護士は、十二月四日の襲撃事件について、威力業務妨害や名誉毀損などで在特会らを告訴したこと、最初は数人の弁護士で取り組んでいたが、京都弁護士会に広く呼びかけたところ、所属する約四百人の弁護士のうち実に九十五人が弁護団に参加してくれたと報告した。そして、三月二十四日には京都地裁において、京都朝鮮第一初級学校から半径二百メートル以内で、在特会らが旗やのぼりをもって朝鮮学校を非難することや学校側に面談を強要することなどを禁止する仮処分決定がなされたことを報告した。 次に、「水曜デモ」から田中ひろみさんが発言に立った。「水曜デモ」は、韓国の元「慰安婦」のオモニたちの毎週水曜日の日本大使館前での行動に連帯して、毎月第一水曜日に大阪・梅田陸橋、第二水曜日に西宮北口、第三水曜日に神戸・長田で取り組まれてきた行動であり、この間在特会らによる集中的な攻撃を受けてきた。田中さんは、次のように訴えた。朝日新聞は三月二十六日に在特会についての記事を掲載したが、それは、在特会らの主張を無批判にたれ流しただけではなく、第一水曜日の梅田での行動の場所を変更したとデマ情報まで流したもので許せない。水曜デモは、第一水曜日の行動の場所を変えていない。三月の大阪の水曜デモは、午後六時前から在特会や警察が陸橋のところに来ていて、警察によって私たちは一人ずつ陸橋の下におしこめられた。そこにまた在特会がやってきてひどい状況になった。これを教訓にして、四月七日の梅田陸橋での行動では、午後七時から八時の間、私たちは絶対に陸橋から降りず、横断幕を持って水曜デモの歌を歌う。ぜひ来てほしい。一月十三日の西宮北口での行動は、韓国での被害女性の日本大使館前での九百回目の行動に連帯するものだったが、在特会らが終了直前にやって来て、その中で一人の青年がケガをした。これを「劇団水曜日」で劇にして昨日上演した。各地において水曜デモに取り組んでほしいと。 続いて全国同時証言集会京都実行委員会の浅井桐子さんが、次のように発言した。京都でも水曜行動に取り組んできたが、幸い在特会らの攻撃はない。しかし、昨年十一月二十八日に大阪で、二十九日に京都で開催した証言集会は妨害予告をされ、防衛行動をおこなった。集会に参加した被害女性のハルモニに在特会らの姿を見ずに帰っていただいたことが何よりも良かった。在特会らは、京田辺市や長岡京市や向日市などでの「慰安婦」問題の解決を求める議会決議に対して攻撃をくり返し、ひどいことになってきた。日本政府が、かつての植民地支配や侵略戦争の謝罪、被害者への戦後補償を行っていないことが、在特会らのような排外主義の跋扈を生みだしてきた。ともに頑張っていきたいと。 次ににっこりネット(東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット)の瀧川順朗さんが発言に立ち、次のように訴えた。在特会らによる朝鮮学校への襲撃などこの間の事態を見て、私は日本社会とは何なんだと思った。かつての侵略戦争と植民地支配に対する謝罪と賠償を行えていないこと、そのことが排外主義を生みだしてきた。いま、鳩山政権は普天間基地の県内移設、米軍再編と日米軍事一体化を推進し、戦争態勢がつくられている。排外主義は、戦争を正当化するために生みだされる。高校無償化制度からの朝鮮学校の排除も、このような中から生まれてきた。朝鮮学校への攻撃をゆるさない共同アピールに、全国から多くの人たちが賛同している。戦争のない、差別のない多民族共生社会をつくりだすためにともにたたかおうと。 続いて、排外主義とたたかうネットワーク・関西から、内山悠さんが発言を行った。内山さんは、在特会らと対抗してきたネットワーク・関西のたたかいを紹介し、在特会らを大きく社会的に包囲し、封じ込めていくことを訴えた。そして、発言の最後に排外主義を許さない5・30関西集会実行委員会を代表して南守さんが、在特会らに対する社会的包囲を形成していくたたかいの一環として、五月三十日に大阪で関西集会を開催すること、最大で三百人を動員するところにまできた在特会らを圧倒するような大結集をぜひつくりだしていきたいと呼びかけた。そして、集会宣言をあすじゃの学生が提起し、シュプレヒコールを行ったあと京都市役所前までのデモに出発した。 ●在特会らを圧倒するデモを貫徹! 京都府警は近隣の府県からの応援を含めて、機動隊の装甲バスを二十台近く動員し、京都市内中心部をすさまじい厳戒体制のもとにおいた。デモ隊は、最近の京都では例がないことなのだが、野音を出たところから楯を持ち完全武装した機動隊に左右から完全に包囲された。円山野音を出発したデモ隊は、在日のチャング隊を先頭に、各団体の旗や虹の旗を林立させ、一人ひとりが「民族差別をなくそう」「多民族の共生社会をつくりだそう」という赤・青のプラカードを持ち、祇園石段下から京都市内中心部に向かった。 この日、在特会や主権回復を目指す会は、部隊を二つに分けて展開した。その一隊約三十人は、午後三時から在日のコミュニティーが存在する東九条の真ん中にある北岩本児童公園で集会を行い、京都朝鮮第一初級学校前の勧進橋児童公園までデモを行なおうとした。これに対して京都地裁は三月二十四日、朝鮮学校の申し立てにもとづき、在特会らに朝鮮学校から半径二百メートル以内での学校を非難する街宣活動を禁止するという仮処分を決定した。この仮処分決定は、民事上のものなので、それに違反したとしてもただちに在特会らが逮捕されるわけではない。しかし、この仮処分決定は朝鮮学校側に在特会らの街頭宣伝などを禁止する権利を認め、それに違反した場合には制裁金を課すことを認めるものであった。また、東九条の住民有志は、前日に在特会らを批判する五千枚のビラを各戸配布し、挑発に乗らず、毅然たる態度をとろうと呼びかけた。このような状況のなかで開始された在特会らの集会・デモは、集会時から抗議する地元の青年たちとの間で騒然とした状態で始まり、学校から半径二百メートルの範囲に入ったところで地元住民や在日の青年たちによる激しい抗議に直面し、解散地点にまで行きつけないままに解散せざるをえなかった。 在特会らのもう一隊の四十人ほどは、3・28集会とデモに抗議するために、午後三時ごろに四条河原町高島屋前に登場した。彼らはデモ隊の通過時に何度も交差点に突入しようとしたが、機動隊によって阻止された。その後、在特会らはデモ隊を追走し、デモ解散地点の京都市役所前に登場した。これに対してデモ隊は、ネットワーク・関西を中心とした防衛隊を先頭に在特会らと断固として大衆的に対峙し、「在特会は帰れ」「朝鮮学校への攻撃を許さないぞ」などのシュプレヒコールを何度も浴びせかけ、在特会らを圧倒した。在特会らはさらに、地下道を通ってデモ隊の前に駈けあがり攻撃を加えようとしたが、これもまた防衛隊によって阻止された。 こうして3・28集会は、大きな成功をおさめた。在特会らは、東九条においてはデモを途中で解散せざるをえず、京都市内中心部においても圧倒された。3・28集会が大成功したのは、何よりも朝鮮学校への襲撃をはじめとした在特会らによる在日へのくり返される直接的な襲撃、そして水曜デモへの攻撃などさまざまな民衆のたたかいへの襲撃に対する燃え上がる怒りを結集し、在特会らを生み出した日本社会の排外主義的土壌を変革していきたいという広範な人々の意思を結集することができたからだと言える。関西においては、五月三十日に大阪で「排外主義を許さない5・30関西集会」が開催される。3・28集会の成功を5・30集会の成功へと結実させていかねばならない。そして、水曜デモへの襲撃など、在特会らによる攻撃と断固として対峙し、かれらを大きく社会的に包囲し、封じこめていくたたかいをさらに推進していこう。 ●共同アピール運動をさらに拡大しよう 3・28集会の成功をもたらした大きな根拠は、3・28集会の組織化とリンクして取り組まれてきた共同アピール運動であった。この運動によって、在特会らによる朝鮮学校への襲撃をゆるさないという課題が広く社会的な課題へとおしあげられ、3・28集会の成功へと結実していったのだと言える。共同アピールへの賛同の最終締め切りは五月二十日(木)となっており、5・30集会の場で最終的な賛同人・賛同団体が公表される予定である。さらに共同アピールへの賛同をおし広げ、在特会らに対する社会的包囲を大きくつくりだしていこう。 |
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