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 ■11・28 岩国

  
反戦・反基地を掲げさまざまな取り組み


岩国・労働者反戦交流集会(11・28)

 ●愛宕山フィールドワーク

 〝おかしいことはおかしいと言っていくことが大切〟


 十一月二十八日愛宕山事業開発跡地フィールドワークは、全国から百五十人を超す参加者が集まりの跡地近隣に住む方の案内で行われた。百合丘団地入り口には「米軍住宅建設反対」の横断幕があり、団地の家家には「愛宕山に米軍住宅はいりません」ののぼり旗がはためいている。海抜五十メートル、愛宕神社のそばのかつては百二十三メートルの愛宕山の中腹―台形になった地点で、その方が経験したことを振り返りながら話し始めた。

 愛宕山開発事業跡地は瓢箪の形をしており、二キロメートル先には米軍岩国基地がある。十五年前市内に住んでいたマンションでは騒音がひどく、周りの人は気にしないというが、子供は慣れない。それで愛宕山に引っ越してきた。愛宕山開発工事で家はゆれ地震と思った。工事は十二時と十四時に十発ずつの爆発があり、家は振動し犬はほえる毎日だった。愛宕山には固い岩盤がありダイナマイトが使用された。市の説明会では工事は法律の範囲内、人体に影響ない受忍限度との説明をうけた。自治会の役員になりアンケートをとると、ドアが閉まらない不快など数々あった。体感的に振動が何デシベルかわかるようになった。沖合に滑走路が移転し騒音が軽減されると思った。跡地開発事業の工事が許せなくなり、その軽減を求めて運動を始めた。

 ところが愛宕山開発事業地が売れるめどがなくなった、赤字になり国に買ってもらうと県は言い始めた。新聞は厚木の艦載機米軍部隊六~八千人の移転を報道し、移転反対であった議会も賛成に回った。住民投票では50%以上の投票率で80%以上の反対があった。愛宕山米軍住宅反対の裁判の原告になり、家の振動の問題で、自分がかんでいたのは米軍という象の爪であることに気づいた。愛宕山をまもる連絡協議会は米軍住宅はいらないとがんばっている。米軍基地の騒音の軽減と愛宕山のニュータウン開発のために百七十人の地主が土地を売ったが、その人たちも米軍住宅になるんだったら売るんじゃなかったと思っている。跡地百ヘクタールの半分四十五ヘクタールでは足りなくなり、野球場の計画地も米軍の施設として確保しようとしている。愛宕山米軍住宅反対署名の際、推進派は日本人も使用できる共同の米軍施設(スポーツ施設)が建設されるといって署名運動をしたが、そんなもの使えるわけがない。岩国市民はこれ以上勘弁してほしいと思っている。国や県は住民をだましてきた。おかしいことはおかしいといっていくことが大切だ」と、訴えた。

 合間にタクシー労働者の岩国支援の取り組みの報告や、また韓国の反基地運動を進めるゲストからの質問などを受けた。また地元AWC山口の仲間は東・西工区百ヘクタールの開発跡地に県や岩国市が民間住宅を作らず、国に売り米軍住宅に転用する計画を進めていることを明らかにし、一時間のフィールドワークを終えた。



 ●岩国市民との交流会

 4訴訟の原告団から報告受ける



 最初にAWC日本連白松共同代表より開会挨拶が行なわれたあと、四訴訟原告団事務局の大月さんが、岩国住民が提訴している四つの裁判の概要について報告した。

 大月さんは次のように述べた。市長選の結果(推進派の福田市長の当選)だけを見て民意が変わったと思う人がいるかもしれないが、岩国の民意は艦載機移転に反対だ。それを示したいという思いで、岩国ではじめての四つの訴訟をおこした。一九九七年から行われている基地沖合移設事業により戦闘機の墜落回避と騒音の軽減を住民は期待したが、そこには空母艦載機部隊が移駐され騒音がさらにひどくなることがはっきりした。岩国基地の米軍再編に関連した岩国基地沖合移設事業の公有水面埋め立て法に基づく埋め立て承認処分の取り消しを求める「海」の裁判、この後に続いた「空・爆音」訴訟は原告数が六百五十四名にのぼり、全国五つの爆音訴訟と連絡を取りながら進めている。また、「山」の訴訟というのは愛宕山地域開発事業として、住民の憩いの場であった愛宕山を崩してその土砂を沖合埋め立て事業につかい、土砂の搬出が終わったとたんに、知事と市長は愛宕山地域土地開発事業認可取り消し処分をして、広大な土地を国に売り、米軍住宅を作る策動をしており、これに対して、開発事業取り消しを、取り消すことを求める訴訟である。「テーブルの訴訟」というのは、知事と市長が民間空港再開と引き換えに愛宕山を米軍住宅として売る手はずを記した記録「愛宕山開発等にかかる市長協議報告書」の情報公開をめぐる裁判である。

 最後に大月さんは参加者に対して、岩国の住民が反対し続けていることを全国に伝えてほしいと訴えた。

 次に各個別の裁判の原告団長がそれぞれ思いをこめて訴えた。

 「海の裁判」の原告である田村さんは、「私は四十年前から、基地の被害を問題にしてきたが、沖合移設事業が出てきた十三年前も、米軍基地の拡大強化であると主張してきた。それが現実になったのがマスタープランで、沖縄の空中給油機部隊と厚木の艦載機部隊が移駐することになり、提訴することになった」と支援を訴えた。

 「空の裁判」については津田さんが次のように発言した。「平成十二年」まで夜間発着訓練が行われていた頃はものすごい騒音だった。「平成九年」に厚木から空母艦載機が来ることについて説明会があった。飛行機の数が二倍になるというのになぜ騒音が軽減するのか、住民には納得できなかった。厚木の騒音は違法なものだと資料にも載っているのに、それがくるということも納得できない。住民の犠牲は受け入れられない、静かな岩国を子孫のために残したいという思いで提訴することになった。

 次に「山の裁判」の岡村さんは、「県がすばらしい住宅環境を作るといって愛宕山の住民の土地を買収しておきながら、米軍ロードマップが出たとたんに、計画をやめるといった。金のために住民の安全を危険にさらすのでは次の世代に禍根を残す。風はわれわれの方に向いている。愛宕山を守るために支援をお願いします」と訴えた。

 続いて「テーブルの裁判」の原告に代わって発言した南部さんは、「愛宕山米軍住宅化をめぐる『内部協議文書』について岩国市が『部分開示妥当』とした情報公開条例・個人情報保護審査会の答申を無視して行なった公文書非開示決定の処分を維持しているが、その取り消しを求めている。愛宕山に新しい住宅ができると喜んでいたら米軍住宅をつくるという。国民の知る権利をまもるために岩国のオンブズマンとなってがんばっていく」と訴えた。

 その後、韓国クンサン(群山)米軍基地の基地被害とたたかう住民団体の代表や、沖縄から参加した労働者からそれぞれ質問などが出された。

 交流会の最後に、主催者の労働者反戦交流集会実行委員会の挨拶が自立労連の田中さんより行われ、交流集会実行委員会とAWC日本連よりそれぞれカンパの贈呈があり交流会を終えた。



 ●前夜祭を学生団体「あすじゃ」が開催

 本番に備え、大いに盛り上がる


 戦争と差別、貧困とたたかう学生団体あすじゃは、岩国国際連帯集会のプレイベントのひとつである「前夜祭」を主催した。地元山口をはじめ、京都・大阪、東京から約四十人が集まった。メインスローガンは「岩国住民と連帯し、『米軍再編完全撤回』を民主党政権に突きつける学生のたたかいをつくりだそう!」。前夜祭には、韓国の反基地団体「平和と統一を開く人々(ピョントンサ)」、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、被爆二世の会、ASA(アジア太平洋学生青年協会)など、あすじゃがともにたたかっている諸団体・個人などから連帯メッセージが寄せられ、代読された。

 前夜祭のはじめに、新たにあすじゃ運動に加わった学生たちが一言ずつアピールした。「昨晩、高校時代の友人と米軍基地問題について夜中まで話し合ったが、うまく説得できなかった。今回岩国からたくさんのことを学びたい」「母子家庭の友人がいる。もし大学が無償なら、彼も進学できただろう。軍事費にカネが注がれる社会に反対の声をあげたい」「この夏、フィリピンの学生運動に触れた。日本でもフィリピンのような学生運動をつくりたい」など、岩国現地に来たそれぞれの思いが語られた。

 続いて岩国現地行動をたたかうにあたり、三つの視点から発言があった。女性部会のメンバーは、「岩国基地周辺の歓楽街では、これまで生きるために性を売るしかない女性たちがたくさんいた。これまで判明しているだけでも八人の女性がレイプされ殺害された。性暴力に終止符を打つためにも、基地の撤去を」と発言した。コリア班のメンバーは、「岩国基地は朝鮮半島に最も近い米軍基地。日米韓で合同軍事演習がおこなわれると、岩国は後方基地となる」「来年は韓国併合百年という節目。『在特会』なる右翼排外主義が登場しているが、いまこそ歴史に学び、排外主義とたたかおう」と訴えた。そして、若者の貧困と軍事の関係について、あるメンバーは「学費が払えない学生、まともな仕事がない青年が増えている一方で、『中国や北朝鮮の脅威』が叫ばれ、軍事費に予算が注ぎ込まれている。戦争と貧困を生み出す仕組みとたたかおう」と述べた。

 山口の学生が介護に関わっている「障害者」は、「私たちは障害者に対する差別と、戦争とは一体のものだととらえている。私たちも岩国で反戦の声を上げるが、これは私たちも生きているという意思表示でもある」と発言した。

 前夜祭も中盤にはいり、各地域からの活動が報告された。東京のメンバーは、十一月八日の沖縄「県民大会」に呼応して銀座デモをおこなったり、「天皇在位二十年奉祝」やオバマ大統領来日に抗議するデモに参加してきたことを生き生きと伝えた。京都のメンバーは、ガザ空爆に抗議する集会にはじまり、争議中の労組支援、学生自治を求める活動、岩国基地問題の講演会など、息つく暇もない活動を紹介した。大阪からの報告では、地道なサークル活動とフィリピンツアーなどを通じて仲間が増えたことが語られた。山口のメンバーは、上関原発の阻止闘争や、キャンパスで反戦を訴えていることなどを報告。「上関原発にしても岩国基地にしても、山口県知事が〝第一の敵〟であることがはっきりしてきた」という。

 活動報告に続き、労働者大会にあわせて韓国を訪問したメンバーが発言に立った。「現場に行くまで、双龍自動車のたたかいは終わったと思っていたが、そうではなかった」と双龍自動車の労働者のたたかいを報告し、今もなお拘束されている労働者や解雇者へ手紙を送ろうと提案した。

 前夜祭の締めくくりは、翌日に向けたシュプレヒコールや歌などの練習だ。シュプレヒコールは、フィリピンやアメリカや韓国の運動現場で使われているものもあれば、今回はじめて開発されたものもある。参加者は時折、爆笑の渦に包まれながらも、デモの成功に向けて真剣な〝特訓〟を繰り返し、翌日に備えた。



 ●ワークショップ「軍事基地と女性」

 岩国―広島湾地方の米軍性暴力を考える



 十一月二十八日午後七時から岩国市民会館第三研修室では、ワークショップ「軍事基地と女性」 「岩国―広島湾地方の米軍性暴力を考える」が、「軍事基地と女性」ネットワークの主催で開かれ二十数名が参加しました。

 このワークショップでは最初に主催者から、第一回岩国国際集会で女性分科会をもって以降、三年ぶりに今回のワークショップを開くに至った経緯や、その間に起きた岩国米兵による広島での集団レイプ事件(広島事件)を通じて、被害者がバッシングされ、加害米兵が免罪される構造についての批判などを中心に問題提起が行われました。

 つづいて参加者の自己紹介のあと、広島、呉、岩国という広島湾地方の米軍性暴力問題について、三人の提起者から報告が行われました。

 まず広島からの報告では、国際平和都市広島といわれるが、広島は呉、岩国という軍事基地が集中する地域の一部であり、そのような視点から岩国基地所属米兵が広島で起こした集団レイプ事件(広島事件)をとらえ返していく必要があるということや、当時の広島県知事の被害者バッシング発言が記録もされず記憶の中から消されていくことに対して危機感を持ち「広島で性暴力を考える」シンポジウムを開いていった経過などが報告されました。

 続いて静岡からの報告では、あまり知られていない事実としての敗戦後の呉を占領した英連邦軍の存在、そのもとで呉が朝鮮戦争の兵站基地となっていったこと、また呉においても日本政府が占領軍のための「慰安」施設を提供し強制性病検査を実施し、英連邦占領軍の犯罪が多発したことについての調査を踏まえた報告が行われました。

 さらに地元山口からの報告では、岩国についての調査のなかで一九五三年に起こった山口日記帳事件が基地容認を岩国市民に強制していく土台となったであろうことや、一九七七年のはなちゃん惨殺事件を通じて、米軍の性暴力と日本の女性の貧困問題を結びつけてとらえる必要があることなどが問題提起されました。

 これら「広島―呉―岩国」からの報告を受けて、再度主催者側から、「貧困と差別、軍事化、性暴力は結びついているのではないか。米軍性暴力の被害者は女性差別や民族差別、部落差別等に基づく激しいバッシングにあってきた。そのような差別社会を利用して基地が拡大強化されてきたのではないか。われわれは日米安保体制を支えてきた複合差別についてもっと考えていかねば闘いきれないのではないか」という問題提起がおこなわれ、そのあとディスカッションに入りました。ディスカッションのなかでは、いまだ被害者が名乗り出ることのできない状況に置かれている日本人「慰安婦」問題に注目して活動している京都からの参加者の報告をはじめ、各地から「慰安婦」問題やDVについてのさまざまな活動報告や、意見提起が時間いっぱい行われました。

 この日のワークショップは、大人数の集会ではなく、また非常に重い主題ではあったけれど、今後の岩国市民の闘いとの連帯のための重要な視点と内容を共有しあう場になったと思います。なお参加者たちは、今回のワークショップの記録をパンフレットにすることを確認しあって解散しました。


 

 

 

 

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