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 ■日比谷〝年越し派遣村〟 12月-1月

  派遣切りに対する怒りと国への抗議の声

 国・自治体を突き動かす




年越し派遣村・開村式(12月31日)
 日比谷公園の「年越し派遣村」には、入村者五百人、ボランティア千六百人が集まり、ここに予想をはるかに超える膨大な食料・支援物資とカンパが、派遣切りに対する怒りと国への抗議の声とともに寄せられた。こうした怒りのエネルギーが霞ヶ関の一点に凝縮され、国・自治体を突き動かしていった。

 十二月三十一日の開村式では、名誉村長の多重債務者救援運動の宇都宮弁護士、村長の自立生活サポートセンターもやいの湯浅事務局長が紹介された。また、連合非正規センター龍井事務局長、全労連JMIU生熊委員長、全労協藤崎議長が並んで挨拶した。ナショナルセンターを超えたこの取り組みは、八万五千人といわれる派遣切りで職と食そして屋根を失い年末寒風の路上に放り出された仲間をどうするのか?!という現場の問いに突き動かされたものだ。

 本部テントでは、反貧困運動の市民活動家や、連合・全労連・全労協・独立系の労組員が所属を問わずボランティアとして生活保護申請、生活相談、医療相談、労働相談をおこなった。また、実に多くの飛び込みの個人がボランティアを担った(神戸から来た宝くじ売り場のアルバイト女性もいた)。入村受付には、さまざまな事情の労働者が訪れた。群馬から自転車で来た男性は、三カ月更新契約で寮費一日五千円を引かれ十二月分賃金四千九百円でいま二十数円しかない。二十歳代半ばの青年は、前日まで自殺を考えていた。四十歳代前半の男性は、静岡の自動車部品会社で十二月に派遣切りされ、地方で仕事もなく、子どもを実家に預けて東京で路上生活に。十二月に結核治療の病院を追い出され、東京駅で野宿生活していたという七十二歳の男性は、生活保護申請の後インフルエンザをこじらせ入院、などなど。

 しかし、派遣村の準備が具体的に始まったのはわずか二週間前、12・4派遣法の抜本改正をめざす共同行動の有志からのスタート。初日に用意したテントは二十張で宿泊三十人分でしかなかった。二日目からテントを三倍増しても追いつかない事態となる。村民集会を大衆的に開催し、厚生労働省への直談判で、一月二日に厚労省講堂を開放させ、宿泊二百五十人分を確保した。一月三日の派遣村実行委の要求に、厚労省は翌四日に各課題担当局長クラス会議をおこない、派遣切り等の法的規制と派遣法改正の要求を除き多くを受け入れた。一月五日、国会請願千人デモと院内集会をおこなわれた。これ以降、一月十二日まで、都内四カ所の体育館などに緊急シェルターが設置された。そして、都・区の職員が配置され相談活動を開始し、約二百人の生活保護申請の受付が異例の規模・スピードでおこなわれた(ちなみに山谷地域の台東区は去年より一人増しの十一人しか生活保護申請を受付けなかったという)。

 派遣村実行委は、共同炊事や寄り合いなどの実地研修を十二月二十八日山谷労働者福祉会館で受け入れてもらった。一月三日には山谷から十数名の激励連帯訪問を受けた。山谷の越冬闘争にも派遣切りの青年労働者が少なからず参加し、例年以上の支援物資カンパが寄せられ派遣村の良い影響が出たという。各シェルターには、日比谷に通っていた地元ボランティアがかけつけた。また派遣村最終日には台湾から仏教系ボランティア団体数十人が朝食作りを担ってくれるなどの心温まるエピソードがたくさんあった。

 その後、村民二百八十人が文京区の旅館に移動し、随時アパート転居先が決まった人から派遣村を離れ、求職活動に入っていった。村民は一月下旬に二十数人となり、きたる二月八日派遣村は最終的に解散の予定だ。

 派遣村事務局を担った全国一般全国協議会は、今後の課題を次のように提起している。①今後、年度末にむけ十数万人とも言われる派遣切り・雇い止めの発生に対して、寮からの退去規制、緊急避難所と総合相談窓口を全国につくること、そして中途解約に対する派遣先責任追及(損害賠償)、有期雇用雇い止めに対する雇用基金の創出などの取り組みが求められている(その後、経営法曹は中途解約の回避を助言するようになっている)。②派遣法の抜本改正の闘いを大きくつくりだすことだ。派遣労働者三百八十四万人(うち製造業派遣四十六万人)の現状に対して、製造業派遣禁止にとどまることなく、あくまで派遣法廃止を掲げて、当面一九九九年以前の業種規制、登録型派遣の禁止を中心とする原則的要求を貫く抜本改正をめざそう。③派遣労働者をはじめ非正規雇用労働者を労働組合に組織し、労働運動の力で企業・資本を規制する、その闘いに正規雇用労働者の組合も合流させていくことに全力を挙げよう。


 

 

 

 

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