十月五日、秋空のもと成田市東峰の萩原進さん宅の畑において、「暫定滑走路北延伸阻止／市東さんの農地を守ろう／憲法改悪絶対反対／成田を軍事基地にするな／10・５全国総決起集会」が、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催でたたかいとられた。会場には、全国から労働者・市民・学生など広範な闘う人民千四百二十名が結集した。
本集会に先立ち、午前十一時から二期阻止全国共闘と共産主義者同盟（統一委員会）による、独自集会が開かれ、行動隊、二期阻止全国共闘、障青同、首都圏労共闘、学班協それぞれから、闘いの報告と三里塚闘争を闘う決意表明がおこなわれ、本集会へとのぞんだ。
正午すぎ、本集会が婦人行動隊の鈴木加代子さんの司会で開始された。
開会宣言を、関西から千葉の佐倉に移り住み、反対同盟に加わった森田恒一さんがおこなった。
つづいて、主催者あいさつに立った北原鉱治事務局長は、「四十三年にわたって、成田空港絶対反対を闘ってきた。金や物のために四十三年も闘うはずがない」と前国交相中山の「ゴネ徳」発言を徹底糾弾した。そして、「今、どちらを向いてもいい政治状況ではない。自らが決起しなければ、なにも変わらない。世の中を変え、未来を切り開くために闘いに決起しよう」と力強く訴えた。
基調報告に立った事務局次長の萩原進さんは、「暫定滑走路北延伸の狙いは、北に伸ばすだけじゃない。頭上四十メートルに大型ジェット機を飛ばし、その重圧で東峰の住民を追い出し、滑走路を南側に伸ばして四千メートルにし、そして三里塚闘争をつぶす。これが真の狙いだ」「だがわれわれは今こうして『空港内』予定地の真ん中で集会をやっている。市東さんも胸をはって空港反対を唱えている。結局、空港は完成していないのだ。農民と全国の労働者が主導権を握っているのだ」と三里塚闘争勝利の確信を明らかにした。そして「われわれは、来春三月二十九日に全国集会を開催する。現地攻防を闘いつつ、裁判闘争支援を大衆的に拡大しよう。３・29に一人でも多くの結集をかちとろう」と呼びかけた。
伊藤信晴さんが、萩原さんの著書『農地収奪を阻む―三里塚農民怒りの43年』が十月二十四日に発刊されることを紹介した。
動労千葉や地元千葉県の農民などの発言に続いて、鈴木謙太郎さんが反対同盟の「農民アピール」を読み上げ、さらに、秋田県農民のメッセージが紹介された。
沖縄から集会に結集した知花盛康さんは、「沖縄の反基地闘争が示したように、民衆が体をはって闘えば巨大な敵を倒して勝利できる」と発言した。
つぎに、「用地内」天神峰の市東孝雄さんが登壇し発言した。「空港会社が契約解除を通告してきたのが一昨年の七月。それから二年間、二つの裁判を闘ってきました。ひとつは空港会社が私を『不法耕作』として訴えた民事訴訟、もうひつとは千葉県の解除許可決定取り消しの行政訴訟です。また新たに十月十二日をもって農地取り上げの裁判が起こされようとしています。私はこれを法廷だけの闘いだとは思っていません。三里塚四十三年の歴史は、力による農地強奪の歴史。法律も正義もありません。うそとだましの土地買収、そして力ずくの工事。これが国と空港会社のやり方です。だから私は一歩も引きません。畑をつくることが実力闘争です。向こうが畑に手をかけた時点で、私は実力阻止の闘いをします」と不屈の決意を明らかにし、参加者全員が万雷の拍手でこれにこたえた。
市東さんとともに登壇した「市東さんの農地取り上げに反対する会」「群馬・市東さんの農地を守る会」の発言に続いて、九月二十五日の現闘本部裁判の前に、公務執行妨害で不当逮捕され奪還された太郎良陽一さんが弾圧粉砕の報告をおこなった。
裁判報告に、反対同盟顧問弁護団の五人が登壇し、葉山さん、一ノ瀬さん、大口さん、遠藤さん、浅野さんそれぞれから裁判闘争の報告と決意が表明された。
婦人行動隊の宮本麻子さんがカンパアピールを行い、住民団体の発言に続いて、共闘団体が発言に立った、共産同（統一委員会）の同志は、「市東さんの『一歩も引かない』という決意に徹底連帯して闘いぬく」と三里塚闘争の決意を明らかにした。さらに、９・25ジョージ・ワシントン入港阻止横須賀闘争を闘い抜いた報告をおこない、きたる十一月岩国闘争への決起を力強く訴えた。
集会の最後に、野平聰一さんが「集会宣言」を読み上げ、伊藤信晴さんによる団結ガンバロー三唱で、集会は締めくくられた。いよいよデモ行進だ。
デモコースは、集会場を出て、東峰地区に入り、小見川県道を通り、団結街道を北上し、封鎖されている天神峰現闘本部前を通り、市東さんの耕作地前までだ。反対同盟を先頭に、国家権力機動隊の不当なデモ規制をはねかえし、戦闘的なデモ行進を貫徹した。