■４・３ けんり春闘
非正規雇用労働者との熱い連帯の下に闘われた総行動
四月三日の闘争は、郵政労働者ユニオンの全国十拠点四十二名の指名一時間ストライキから始まった。郵便局でストが打たれるのは実に三十三年ぶりだ。朝七時、東京のスト拠点麻布郵便局には早朝から約五十名の支援者が集まった。これに対し会社は三十名以上の職制を動員して威嚇したが、この歴史的ストライキは、整然と打ち抜かれた。郵政ユニオンは、今春闘を格差是正の春闘として位置づけてたたかった。しかし、郵政会社では、今春闘の賃上げ要求に対して正社員は六百円引き上げ、月給制契約社員には、四百円の引き上げの回答があったが、肝心の非正規職員に対してはゼロ回答だった。これではますます格差拡大になると、民営化後初のスト突入となった。全国に十六万人いるといわれている郵政会社の非正規職員の労働条件の改善を目指したこのたたかいは、今春闘の「格差と貧困と闘いぬく」という戦闘的労働運動を共にたたかう多くの労働者の共感の中で勝ち取られた。麻布郵便局前のストライキ集会では藤崎全労協議長、郵産労東京地本からの連帯の挨拶などの後、ストライキ突入の各組合員が、この歴史的なたたかいに決起したことの誇りに満ちた決意表明をおこなった。
また、この日、統一行動日として電通労組や東京労組などの組合がそれぞれの要求をかかげてストライキがたたかいぬかれた。
その後、ストライキ闘争をたたかった郵政ユニオンを先頭に郵政会社への申し入れ行動が取り組まれ、非正規労働者の労働条件改善に向けた粘り強いたたかいを今後もおこなうことを会社側に突きつけた。
その後部隊は、ＮＴＴ持ち株会社前に結集し、ＮＴＴの五十歳以上の労働者への広域配転や労働組合を敵視した不当な成果主義賃金の問題などについての要求を突きつけた。そして、フィリピンからフィリピン長距離電話会社（ＰＬＤＴ社）が二〇〇七年九月におこなった労働者五百七十五名の大量解雇に対するたたかいのために来日した労働組合（ＭＫＰ）も、ともにＮＴＴ持ち株会社への申し入れをおこなった。ＮＴＴグループはＰＬＤＴ社の株式の20％以上を保有し、役員三名を派遣している。「正規労働者を契約労働者に置き換える」「下請け・業務委託に置き換える」やり方は、ＮＴＴの十一万人合理化のやり方とまるっきりおなじだ。海をこえた労働者の連帯したたたかいが取り組まれた。
続いて、全都の各ブロックでの行動をたたかった労働者がつぎつぎと合流し、日本経団連前に結集した。そして労働者を貧困と格差の中に追い込んでいる元凶への怒りの集会がおこなわれた。集会では、申し入れに対して日本経団連は「回答できる人がいない」なる不誠実極まりない対応をしていることを中岡全労協事務局長が、怒りをもって明らかにした。全港湾の労働者は、違法派遣がおこなわれている労働現場での実態を暴露しながらたたかいへの決意表明をおこなった。ストライキをたたかった郵政ユニオンをはじめとする労働者は口々に、格差と貧困を広げ株主の利益しか守らない日本経団連への怒りのアピールを突きつけ、経団連前を揺るがす大シュプレヒコールが挙がった。
次は道路公団へのたたかいだ。道路公団前には、三十本以上のムシロ旗が林立し、集会がおこなわれた。道路公団は、民営化以降、賃下げをおこない、またＥＴＣレーンによる死亡事故も含む労災の多発などに対して無責任な態度に終始していた。道路公団で働く労働者はハィウェー共闘を組織し、こうした労働現場に対してストライキを含むたたかいをおこなってきた。「農民一揆の象徴のムシロ旗は、今労働者一揆の象徴だ。生活できない賃金や死をも強制する労働現場の実態に対してたたかい抜こう」とアピールした。東水労の労働者は、石原都政がおこなった民営化は、委託したとされる会社が、実は再委託をしていたという実態を暴露し、天下り会社に儲けさせるための民営化に対して、その不正の是正を求めて三月十九日ストライキでたたかい、現在も闘争中であることを明らかにした。まさに金儲けのための公共サービス民営化に対するたたかいが粘り強くたたかわれているのだ。京都からは、自立労連の田中委員長が、郵政ユニオンのストライキ支援のたたかいが関西でもおこなわれ、全日建連帯労組関生支部のストライキ闘争がおこなわれたことや、旧タカラブネの資本を買い取ったプレシアによる労災隠しなどに対して抗議行動を開始したことを明らかにした。
いよいよ日比谷公園からのデモに出発だ。全都、全国から集まった七百名の労働者は、それぞれの要求を掲げデモ行進をおこなった。ムシロ旗や組合旗が林立するデモ行進は、春闘がたたかいぬかれていることを明らかにしながら突き進み、今後も中小企業での賃上げや労働条件改善、貧困と格差が広がる社会の変革に向けた春闘がたたかわれつづけることを道行く人々にアピールした。