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■3・9 東京・国立市
「なぜあるの?学校の『日の丸・君が代』」
卒・入学式前に反「日の丸・君が代」の集会
三月九日、東京都国立市において「なぜあるの?学校の『日の丸・君が代』」と題した集会が開催された。主催は同集会実行委員会である。国立で「日の丸・君が代」問題を主要テーマにした集会は久しぶりであり、その意味でも意義深い集会であった。
集会開会前に国立の小・中学校の卒業式を記録したビデオ上映が行われた。かつて多摩教組が作成したものである。「日の丸・君が代」が強制される前の国立の卒業式は、教職員、子どもと保護者たちが自主的に作り上げていったことがよくわかる内容である。対面形式と呼ばれる会場設営、紅白幕もなくいわゆる「式」としての外観よりも、卒業生を心から送り出したいという思いを重視した卒業式だった。
はじめに、実行委員会代表から集会の趣旨説明が行われ集会が開始された。
東京都教育委員会と民間右翼が一体となって介入してきた二〇〇〇年の卒業式以来、国立の卒業式は様変わりしてしまったこと。それまでの国立の卒業式は、それほどまでに尋常なものではなかったのかという疑問。そして今、新しく国立市民となった新入学生の保護者は自らがどのように行動すべきなのかということで悩んでいること。その意味でも、国立の反「日の丸・君が代」運動を捉え返すべきではないのか、という問題意識の上で本集会が企画されたことなどが説明された。
次に司会の遠藤良子さんが発言した。「二〇〇〇年の国立で起きたことを捉え返して、改めて私たちが今後の『日の丸・君が代』とどう向き合っていくのかということをみんなで考えていく集会にしたいと思います」と挨拶した。
続いて元多摩教組委員長の見城氏が自らの経験を踏まえて運動の歴史を報告した。
「私が国立に赴任した時は小・中学校に『日の丸』は一本もありませんでした。それは学校現場で『日の丸』がなくても何も問題が生じなかったということでもあります。同時に、当時は教員も非常にのびのびしていました。少なくとも、教育の現場からは『日の丸』掲揚の要望は一つもありませんでした」「八九年に連合ができて、その十年後に国旗・国歌法が成立しました。労働運動の右翼的再編と『日の丸・君が代』強制は深い関係があります」と、国立での教組活動の経験と「日の丸・君が代」強制の社会的・時代的背景を提起した。
次に、市民運動家であり、国立の教育委員会をチェックしてきた方からの報告があった。
「私はひとりの市民として国立の教育委員会を見てきました。そして今言えることは、石井さん(二〇〇〇年当時の国立教育長)が国立の教育を大きく曲げたと思っています。石井さんは『市民の意見を聞く』と言っていました。確かに初めのうちは教育長室の扉も常時開いていました。しかし、二〇〇〇年の国立二小問題(生徒を無視して『日の丸』を掲揚した校長に生徒自らが真意を質した問題。産経新聞は『児童、校長に土下座要求』と事実をねじ曲げて報道。これを契機に全国の民間右翼が国立に集結した)が出てきて、教育長室はピタッと閉じてしまった。ある意味、これがもっとも象徴的な出来事だと思います。以降、石井さんは市民と決して会おうとはしなかった」「今の教育委員会は委員会室で議論しているだけのように見えます。教育基本法と教育三法の改悪が教育委員会の活動に対して大きな制約になっていくことは間違いないと思います」と報告した。
これを受けて遠藤さんが、「国立には教育委員会宣言というのがあります。しかし教育基本法が改悪されて、この宣言が別のものになろうとしています。かつて石原都知事は『国立の教育を変えることで日本の教育を変える』と豪語しました。少なくとも権力からすれば、国立の問題は全国の問題だったということです。だから、今、私たちがここで『日の丸・君が代』強制反対の声を出し続けることが重要なのではないでしょうか」と述べた。
続いて会場討論が行なわれた。
「私はかつての『普通』じゃない国立の教育を理想としていました」という教員や、保護者・市民から発言が相次いだ。国立ばかりからでなく、墨田からの報告もあった。そして討論の最後に、新一年生の保護者が発言した。
「近所の親御さんたちと話しても、こういうことが国立であったというのを知らない人がほとんどです。知っていても変な形で知っている。今日の話を聞いて、やっぱり伝えたいなあ、と思います。卒業式・入学式には悩みます。でも、できるだけの勇気を持ってこの問題と向き合いたいと思っています」と述べた。
集会の最後に集会宣言が提起された。
「二〇〇〇年の卒業式に、国立の小中学校の屋上にいっせいに『日の丸』が掲げられて八年が経つ。それまではなかった『日の丸』が掲げられたことに対し、国立二小の屋上で校長に質問した卒業生たちも、今年成人式を迎えた」「戦争と侵略と結びついた旗をなぜ掲げるのか。天皇制と差別を身体化させる歌をなぜ歌うのか。歴史を一瞥すればすぐに湧く疑問だ。自然な疑問を口にすることがどんな仕打ちをうけるのか。二〇〇〇年以降、国立で起きたできごとが証明している」「いすに座ったり、リボンをつけたり、できないことをできないと言ったり、そんな些細な行為が、まるで重罪であるかのようにこちらが感じてしまうほどに、『日の丸・君が代』の強制は私達の感覚を蝕んでいく」「もう一度ここで私たちは確認したい。おかしいことはおかしいと言ってよくて、そのことは学校でもそしてどこでも保障されるべきなのだと。そしてそのことと、『日の丸・君が代』の強制は対極にあるということを」という宣言を全体の拍手で確認し、集会を終えた。
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