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■6.18 市東さん耕作権強奪裁判

      不公平な訴訟指揮押し返す



 六月十八日千葉地裁で、市東さんの耕作権裁判第三回公判が行われた。約百名が傍聴にかけつけた。

 市東さんの耕作権裁判は、成田空港会社(NAA)による農地取り上げとたたかう裁判である。成田市の専業農家・市東孝雄さんのおじいさんが開墾してから、九十年間三代にわたって耕作してきた畑を空港会社は奪おうとしている。空港会社は十八年も前に畑の底地を旧地主から違法に買収したが、今になって突然、農地法を乱用した違法手続きで取り上げようとしている。畑の一部を「会社の同意なく占有している(不法耕作)」と決め付けて、不当に明け渡しを求め提訴してきた。

 この日の裁判では、市東さんの弁護士が、訴えの内容調べに入る前に「提訴そのものを取り下げよ」という主張をした。「空港建設自体が違法で、今の空港は違法の累積である」と訴えた。そして、「空港会社が明け渡しを求めている場所と、市東氏が耕作している場所が違う」「何を根拠にその区画が空港会社の土地であるというのか、資料を出しなさい」「土地の占有権限がどちらにあるかを争うことは、場所の特定がはっきりしてからだ」と主張した。

 前回の公判で裁判長は、「場所の特定は市東さんのほうではっきりさせなさい」「空港会社は、答える必要があると思えば答えなさい。無理に答えなくてもよい」と空港会社の肩を持つ訴訟指揮をしており、今回も市東さんの主張に耳を貸さず実質審理に入ろうとした。

 この横暴な訴訟指揮に対し、市東さん、弁護士、傍聴席全体、そして廊下で傍聴していた多くの人から抗議の声が上がった。裁判長は傍聴人の一人に即刻退廷を命じ、その男性と警備員との間でもみあいになった。「いきなり暴力的に排除するのは遺憾だ」と弁護士が裁判長に抗議した。

 市東さん側のこのような押し返しにより、ようやく裁判長は空港会社に「このような図面になった根拠を出せますか」と聞いた。空港会社は、「根拠を探して検討してから、一カ月以内に出します」と答えた。市東さん側は「今出せないとおかしい」「根拠があいまいでなぜ提訴するのか」と追及した。

 こうして、空港会社が七月十八日までに資料を出し、それに基づいて八月末までに市東さん側で反論を考えるということになり、次回の裁判は十月一日に行うことになった。

 場所を移して、裁判報告会がマスコミ記者も交えて行われた。

 市東さんは、「裁判長が国側の人間だということがよく分かった。弁護団とともに私も声を荒げたが、今日以上のたたかいをさらに今後やっていきたい」ときっぱりと発言した。北原事務局長は、「正義を追求するのが裁判のはずで、これは裁判ではない。一方的に裁判官が退廷を命じた。しかし、今日は弁護団・傍聴席一体となったたたかいで高揚してきた。弁護団に拍手を送りましょう」と弁護団の奮闘をたたえた。最後に萩原事務局次長が「今回は一歩押し返した。次回は、十月の全国集会の前段として、さらに多くの傍聴団で大きなたたかいをしよう。北延伸反対と一体のものとして、たたかっていこう」としめくくった。

 空港会社・政府は、空港作りの主要な手段として、裁判攻撃をかけている。国策訴訟ということで、千葉地裁は不公平な訴訟指揮をしている。市東さんの家と畑は、フェンスがせまり、ジェット機の騒音と排気ガスを浴びせられ、野菜作りを妨害されている。さらに裁判によって、時間をとられることも損害である。反対同盟から「このようなやり方でしか、空港を作ることができない。政府・空港会社は追い詰められている。空港廃港に向けてたたかっていこう」と発言があった。反対同盟、市東さんとともにたたかっていこう。

 

 

 

 

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