市東孝雄さんの農地法裁判控訴審において、六月十二日、東京高裁小林昭彦裁判長は「控訴棄却」という農地強奪の不当判決を下した。われわれはこの控訴審判決を満身の怒りを込めて弾劾する。
そもそも小林裁判長はこの判決期日を一週間前に突然指定してきた。市東さん、顧問弁護団、反対同盟、支援者の都合を一切無視したどころか、市東さんの産直出荷日にわざとぶつけるとともに、たたかいの猶予さえ与えないという悪らつさである。
なぜ小林はこのような悪らつな攻撃にでてきたのか。その狙いは、六月十五日から再開した千葉地裁での耕作権裁判にたいする圧力である。文書提出命令に追いつめられた空港会社を援護し、千葉地裁に対して「国策裁判はこうあるべし」と強引に判決をねじ込んだのである。
追いつめられているのは敵の側だ。三月四日の結審強行以来三カ月、農地取り上げ反対署名が三万人に届かんとする人民の怒りの声に恐れをなし、耳をふさぎ、押しつぶそうとするがゆえの不当判決の強行である。そしてそれは国家暴力そのものだ。
市東さんは「農民である私への死刑判決だと受けとめている。私は絶対に認めない。最高裁でこの判決をくつがえす」と宣言した。判決文は、一から百まで「国策」=成田空港建設の追認であり、まさに`農民殺しa判決だ。
旧空港公団が市東さんの底地を買収しておきながら十五年間も登記をせず、秘密にしてきたことに対して判決文は「空港反対闘争があったから仕方なかった」などと、空港会社を全面擁護している。
では、なぜ反対同盟農民を先頭に歴史上にもまれな抵抗闘争が起きたのか、今もなお続いているのか、こうした空港問題の根本に関する検討はゼロだ。その結果、土地収用法の失効という前代未聞の事態についても一言の検討もないどころか、自ら収用委員会の代役を買ってで、農民圧殺の首謀者になり果てたのが小林裁判長ではないか。
さらに、農民を保護すべき農地法への理解は皆無であり、三代百年も耕し続け、さらに農民として生きたいという市東さんの生きがい、生きる権利への言及も一切なく「社会通念上相当の離作補償があるから農地を明け渡せ」というのが判決の論理だ。3・11の原発事故以来批判されてきた「命より金」、この発想が一切なのだ。
戦争・改憲攻撃を強める安倍政権は、最高裁寺田体制の下、沖縄をはじめ闘う人民を圧殺する司法反動を強めている。市東農地裁判は安倍政権と激突する闘いだ。
反対同盟は以前を倍する決意で市東さんを支え、上告審で高裁判決を粉砕する。成田空港の二十四時間化による騒音被害の拡大を許さず、第三滑走路計画に怒る周辺住民と結び、勝利へ向けた新たな闘いを開始する。
二〇一五年六月十六日
三里塚芝山連合空港反対同盟
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