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                                                                2016年1月
天皇フィリピン訪問に対する声明
BAYAN、
ILPSコミッション



   
 
▼フィリピン・BAYANの天皇訪問反対の公式声明

 バヤンは、日本の天皇アキヒトと皇后ミチコの訪問に関して、本日の抗議に参加するさまざまな団体と合流し、行動しています。私たちは、第二次大戦で日本軍の占領時代に関与した残虐行為にたいする真の徹底的な正義をもとめる、フィリピンの元日本軍「慰安婦女性」と彼女らの家族の要求を完全に支援します。本日の抗議は、天皇とフィリピン大統領ベニグノ・アキノ三世との会見にたいし、同時に立ち上がったものです。
 日本の天皇訪問は、フィリピンの日本軍占領によって引き起こされた大量の死者への償いの形態として、メディアに演出された番組となっています。戦後、数十年、二国間の当局者は二国間の関係が大いに改善したとして、メディアによって歓迎されています。
 アキノ政権の天皇夫妻にたいする賛辞をはるかに超えて、フィリピン人の元「慰安婦」女性がその正義を確認することなく死んでいる悲しい現実があります。これは、日本政府によっていまだに満足な解決にむけた努力が行われない、日本占領からの顕著な課題です。アキヒトの反省の曖昧な発言以上に、日本帝国主義の犠牲者たちは、私たちの歴史教科書のこの暗黒の章を含むだけでなく、犠牲者たちにたいする正当な賠償、関与した残虐行為にたいする完全な謝罪とその十分な承認を求めています。
 天皇は日本の支配階級をいまなお代表しています。彼の国家元首としての訪問は、また日本の経済的、政治軍事的な政策を推進することに用いられます。これは、政府開発援助(ODA)の利用や不平等な日本との経済連携協定を含みます。
 今日、憂慮すべきことでは、日本軍国主義を復活させ日本軍を海外派兵できるようにする安倍晋三の攻撃があります。制定された新法は、米国のアジア基軸戦略を支援することにおいて、日本の軍事的威嚇力を高めるものとなります。日本軍隊の海外派兵は、日本の平和憲法で明確に認められないし、フィリピンと日本の駐留軍隊協定の起草に導くことになります。これは、日本の軍隊がフィリピンでの共同の戦争演習に参加するのを許可するものです。わたしたちは、日本軍国主義の高まりと日米安保条約に抗議している日本の数万人規模の闘いに加わります。
 日本もフィリピンも両方ともが米国の同盟国として、米国のアジア重点戦略の構成部分として利用されています。日本は米軍基地を長期に提供していますが、フィリピンではEDCA(防衛協力協定強化)のもとで米軍基地の回帰を目撃することになるでしょう。第二次大戦時、日本に占領された国家として、わたしたちは、以前の植民者たちといかがわしい軍事協定を含む、日本軍国主義の復活に反対する義務があります。
 わたしたちは、平和と公正、帝国主義の終結をもとめる共通の闘いにおいて、日本の被抑圧人民との連帯を拡大していきます。
                    二〇一六年一月二十七日



 
▼ILPSコミッション

 ILPSコミッション(帝国主義とすべての反動に反対する民族的社会的解放の大義)

 われわれILPSコミッション1は二〇一六年一月二十六日から三十日にかけて予定される天皇アキヒトと皇后ミチコのフィリピン訪問に抗議する。
 これは第二次世界大戦後、日本の現天皇がフィリピンを訪問する初めての機会だ。
 フィリピン滞在中、彼らはマラカニアン宮殿でのアキノ・フィリピン大統領との会談やマニラ首都圏近郊にあるラグナ州での日比の戦没者の慰霊碑への訪問などを予定している。フィリピンの支配階級である大買弁資本家と大地主たち、とりわけ祖父をはじめとする親類縁者が第二次世界大戦中に日本のファシストの協力者であったアキノ大統領は、この訪問を「歴史的」な出来事として祝っている。しかし、われわれは民衆、とりわけフィリピンとアジア太平洋地域の民衆にとっては、それは決して歓迎できるものではない。
 日本帝国主義はアジア太平洋侵略戦争の最中、一九四一年から四五年までフィリピンを占領した。フィリピン民衆は抗日人民軍(フクバラハップ)を組織し、日本軍の支配に対して武装闘争その他の形態での抵抗闘争を展開した。日本帝国陸軍はこのフィリピン民衆の反抗を過酷に弾圧し、百万人にのぼるフィリピン人を殺害した。
 四年間の占領期間中、フィリピン民衆は日本軍の手ですさまじい苦難を強制された。日本軍に抵抗していると疑われた者は―とりわけ一九四五年の日本のマニラからの撤退のなかで−手当たり次第に投獄され、あるいは虐殺された。多くの民衆が殺害され、あるいは戦争がもたらす飢えや病気で命を失い、生計手段を喪失した。
 さらに、数え切れないほどの女性たちが日本兵によって強制的に連行され、性奴隷―いわ ゆる「慰安婦」―とされた。
 しかしまた、日本の撤退の過程で、社会インフラや占領者を庇護するものとみなされた民間家屋を破壊したのが米国であったことも指摘されねばならない。
 フィリピンおよびアジア太平洋地域の民衆は日本軍が犯した犯罪や残虐行為を決して忘れていない。しかし、日本政府は今日まで「慰安婦」とされた女性たちをはじめとする戦争被害者に対して、明確で公式な謝罪と法的責任にもとづく賠償を行っていない。
 アキヒトの父である前天皇ヒロヒトは、かつて日本帝国主義がアジア太平洋を舞台に遂行した侵略戦争の最高責任者であった。天皇制は日本の民衆を侵略戦争へと動員していくための要であった。しかし、天皇ヒロヒトと天皇制の戦争責任は、極東軍事裁判においても、追及されることはなかった。
 一九四五年の日本の敗戦後も、天皇制は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされ、形を変えて生き延びた。
 今回の天皇アキヒトのフィリピン訪問は、安倍政権と日本の支配階級―独占資本―の意志を反映した政治行為である。日比当局は、日本の戦争責任に関わるアキヒトの曖昧な言葉によってかつての日本の占領に対するフィリピン民衆の怒りを「和らげる」ために、今回の天皇のフィリピン訪問を利用しようとしている。彼らはまた、被害者への真の謝罪と国家補償を抜きにしたまま、日本の戦争責任問題を「解決」することを望んでいる。
 米帝国主義と米国のアジアへの軍事的回帰の下で、日本の支配階級は、日本とフィリピンの軍事協力を拡大・発展させようとしている。日本は現在、「集団的自衛権の行使」を口実に海外での自衛隊の戦争行為を可能にする昨年九月の新安保法制の制定など、軍国主義を加速させている。日本もフィリピンも米国と条約を結んだ同盟国であり、米国のアジアにおける再均衡および支配を支持するために動員されている。日本は膨大な米軍基地を受け入れており、フィリピンは−米比防衛協力強化協定を通して―近くその国土に米軍基地を舞い戻らせようとしている。
 その軍事的策動の一環として、日本政府はフィリピン政府と共に、日本軍のフィリピン駐留およびフィリピン国軍との軍事演習への参加を認めるための―米比訪問軍協定と同様の−日比訪問軍協定の締結を策動している。
 それゆえILPSコミッション1は、アジア太平洋地域における自らの支配を強化しようとする日本帝国主義の策動と結びついた今回の天皇アキヒトのフィリピン訪問に反対する。われわれは日本の侵略戦争、占領、植民地支配によるすべての戦争被害者への日本政府の明確で公式な謝罪と法的責任にもとづく賠償を要求する。
 すべての戦争被害者に正義を! 日本軍国主義の復活反対! アジア太平洋での日米軍事同盟強化反対! 米日帝国主義を打倒しよう! 日比民衆の反帝国主義にもとづく連帯万歳!

                     二〇一六年一月二十六日