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                                                                               2008年5月1日
KMU(5月1日労働センター)メーデー・メッセージ
 フィリピンの左派労働組合のナショナルセンターであるKMU(5月1日労働センター)が、メーデーにさいして全世界の労働者に向けて発した連帯のメッセージを、『戦旗』編集局の責任で全文を掲載します。
 


  ●KMU(5月1日労働センター)     2008年5月1日


 労働者階級の闘争がきびしい試練を受けているさなか、新たな気力と闘志に満ちて121回目の国際労働者デーを祝う全世界の労働者人民のみなさんに、フィリピンのKMU労働センターは深い敬意を表したいと思います。

米国の労働者が全米の主要都市で、8時間労働制を要求して立ち上がった最初のメーデーいらい、帝国主義によるあらゆる形態の搾取・抑圧の鎖を打ち破り、解放をめざして闘争をおし進めてきた労働者には、メーデーは永遠のシンボルでありつづけてきました。

過剰生産恐慌という性格を内包する世界的な帝国主義の危機は、すでに世界不況の一歩手前という世界的な景気後退をもたらしています。数十億人の労働者とその家族が、人間性を破壊する貧困、賃金低下や失業に苦しめられており、また、基本的な労働組合の権利や市民的・政治的諸権利を奪われています。

今日、貧困国・被抑圧国に大半が集中している貧しい人々の圧倒的多数は、一日2ドル以下での生活を余儀なくされています。国連・世界開発経済研究所(WIDER)は、世界の富の85%はもっとも富裕な世界の10%の成人によって所有されており、他方、世界の成人人口の半数は世界の富のわずか1%しか所有していないと報告しています。現在、世界で最も裕福な金持ち3人の資産の総計は、48カ国の貧困国(すなわち世界の国々の4分の1)の国内総生産(GDP)の合計を上回っています。

世界の人口の20%を占めるもっとも豊かな層に属する人たちは帝国主義国に住んでおり、また世界の人口の20%を占めるもっとも貧しい層の人たちは第三世界や被抑圧国に暮らしています。2006年に第三世界の借金は、3.2兆ドルにも達しました。帝国主義の略奪によって、アジア、アフリカ、ラテンアメリカでは急速に貧困が広がり、債務が膨れ上がってきました。帝国主義国の富裕層が株式を支配・保有している世界のトップ500社の多国籍企業は、合計で67.75兆ドルの資産を所有しており、また2005年には9295.3億ドルにのぼる利益を上げています。その稼ぎ頭は、石油カルテル(エクソン・モービル、ロイヤル・ダッチ・シェルグループ、ブリティッシュ・ペトロリアム、シェブロン、トータル)であり、グローバル金融大企業(シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、HSBCホールディング)です。

「新自由主義」グローバリゼーションの政策や対テロ世界戦争を進めてきた責任は、おもに米国にあります。米国を筆頭とする帝国主義国は、「自由市場」グローバリゼーションの名のもとで、勤労者、女性、子供たち、そして環境に大きな被害をあたえながら、発展途上国・貧困国から巨大な利益をしぼりとり、債務の返済から巨額を得ています。

フィリピンでは全世帯の80%が一日2ドルで暮らしています。貧困の暴力、虐待、抑圧をフィリピンの民衆に日常的に加えてきた腐敗した体制によって、労働者はかつてないほどの大きな打撃を受けています。

現在、マニラ首都圏の一日あたりの最低賃金は362ペソです。それは6人家族の一日の生活費858ペソの半分にも満たない額です。先月、フィリピンでは主食である米の価格が、1キロあたり40ペソまで値上がりしました。労働者が家族を養うことのできる経済力をはるかに超える事態です。

破産したアロヨ大統領のもとで、年間の平均失業率は11.3%に達しています。約410万人のフィリピン人が失業中であり、750万人が不完全雇用状態にあります。ドル安、継続する物価上昇、激しい競争などを背景にして、企業の人員削減や大規模な一時解雇(レイ・オフ)が進んでおり、状況はいっそう悪くなっています。

仕事がないために、また米国―アロヨ体制の労働力輸出政策のために、毎日、4000人のフィリピン人が海外で働くために国を離れています。800万人以上のフィリピン人が200近くの国々で働いています。そればかりでなく彼・彼女らは、人種差別、非人間的な労働条件に苦しめられ、時には死の危険にさえ直面するという大きな社会的犠牲を払いながらも、フィリピンに年140億ドル以上のお金を送金し、破たんした経済のツケを払う「調節弁」の役割を果たしているのです。

人々にいっそう大きな負担となっているのは、食料・医薬品・水・電気などの基本的な物品・サービスの値上がりをもたらした石油価格の急騰です。

より多くの金と権力を求めるアロヨ体制の強欲のせいで、現在の先例のない経済・政治危機はいっそう悪化しています。フィリピン政府と中国のZTE社のあいだの3億2900万ドルにのぼる国営ブロードバンド・ネットワークをめぐる不正取引は、一連のスキャンダルのなかでの最新の例です。アロヨの汚職の歴史にもうひとつスキャンダルが加えられました。

加えてアロヨ大統領はまた、すでに深刻化していた国内の人権状況をいっそう悪化させたことで世界的に有名になりました。「テロリズム」との戦いとの名目で行われてきたアロヨ政権の残酷な反乱鎮圧の軍事作戦、オプラン・バンタイ・ラヤ(自由の防衛作戦)のために、900人以上が何の法的根拠もなく殺害され、200人近くが拉致され行方不明になり、そして100万人以上の人々が強制退去―難民化させられています。

労組活動家にとって、フィリピンは世界で二番目に危険な国です。2007年の一年間だけで161件の人権侵害事件が起き、これにより1万6466人の労働者が被害にあっています。2001年以降、87人の労働組合のオルグ、指導者、労働者が殺害され、5人の労組指導者がいまだに行方不明のままとなっています。

この国に広がりつづける耐えがたい状況のゆえに、アロヨ追放の民衆運動が成長しつづけています。カイライ的・欺まん的で残忍な大統領を追放する状況が熟すにつれて、広範で力づよい反アロヨ運動は、かつてない重大な局面を迎えています。貧困が深刻化し、抑圧が強化され、汚職隠しの工作がつづくなか、これらが結びつくことで、フィリピンにおいては社会不安が拡大し人々の抗議の声が強まっています。

帝国主義のむきだしの蛮行と破壊行為は世界中で人々の怒りを強め、より多くの労働者人民を真の社会変革をめざす運動に立ち上がらせています。私たちはこれまで以上に固く団結し、労働者・被搾取人民の新しい、より良い世界をつくりだしていくためにたたかうことを必要としています。それゆえ私たちKMUは、基本的権利を求めて決起する帝国主義国の民衆のうねりと結びつきながら、民主主義、社会的公正、民族解放をめざしてたたかう被抑圧諸国の民衆と労働者階級の連帯が重要であることを訴えているのです。国際労働者デーを祝うとともに、いっさいの搾取・抑圧のない社会をつくりあげていくという、労働者階級の歴史的任務について思いを新たにしましょう。労働者の全面的な解放をめざす、わたしたちの闘争を前進させていきましょう。

フィリピンの労働者は、民族民主主義と社会主義をめざすフィリピン人民の長大な闘争(長征)をおし進めていくことに力をつくすことを固く誓います。それは、帝国主義の鎖を打ち破る世界的な労働者の運動に私たちが貢献する道だからです。

メーデー精神、万歳!
全世界の労働者・被抑圧人民の闘争、万歳!
国際連帯、万歳!