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                                                                2018年4月
米韓合同軍事演習反対!
日韓二つのメッセージ

  


  
 
軍事衝突から対話へと転回した朝鮮半島情勢は急激に変化している。四月末の南北首脳会談、五月中の朝米首脳会談のための準備が様々な領域と次元で速度を上げ進められている。米帝トランプは見解がことごとく衝突した国務長官(=外務大臣)を更迭し、腹心であり対北強硬派でありながらも機能不全の国務省に代わって朝鮮民主主義人民共和国との水面下での接触を重ねてきた現時点での「対北責任機関」といえるCIAの長官を後任に当てると発表した。朝米首脳会談に万全の体制で臨むと同時に、これが失敗した場合は軍事侵略もいとわないという米帝の狙いだ。三月中旬の韓米外相会談に続き、二〇〜ニ一日にはフィンランドの首都ヘルシンキで韓国(前駐日大使と学者)・共和国(対米担当責任者の外務省副局長)・米国(前駐韓大使と学者)三カ国の半官半民の対話が二日間行われ、両首脳会談が成功裏に行われるべきだという点で意見が一致した。四月初めには韓国の歌手・グループが大挙共和国入りし、平壌でコンサートがニ回行われる予定だ。
 その中で韓米当局は韓米合同軍事演習を四月一日から約一か月間行うと発表した。侵略反革命戦争突撃態勢を今後も維持するという世界最悪のテロリスト国家の意思表明だ。しかも同演習は日米合同軍事演習と連動している。(森友問題の蟻地獄にはまり対共和国政策と貿易戦争でトランプから突き放され打撃を食らった安倍も含めて)帝国主義者は血塗られた銃を共和国に向け続けているのだ。
 この韓米合同軍事演習に反対する闘いが三月に日韓双方で取り組まれた。東京の米大使館前で「米韓合同軍事演習反対三・一八緊急行動実行委員会」が、ソウルでは「三・二四平和ろうそく」集会・パレードが同推進委員会主催により「三・六南北合意、朝米首脳会談合意を歓迎」「朝鮮半島の非核化と平和協定の実現」「韓米軍事演習と北の核・ミサイル実験との同時中断」をスローガンとして行われた。前者の実行委の構成団体であるAWC日本連と後者の構成団体であるAWC韓国委員会が国際連帯メッセージを交換し、実質的に共同の闘いであることを確認した(三・一八行動には他に「平和と統一を開く人々」および「戦争反対平和実現国民行動」からもメッセージが寄せられた)。その二つのメッセージを紹介する。



 ●〈資料一〉
 三月一二日にソウル市光化門で行われた三・二四平和ロウソク大会の成功を訴える記者会見に
 AWC日本連が送った連帯メッセージ


 この場に集まられた皆さんの行動を支持し、連帯するメッセージを日本から送ります。
 年初の南北両首脳の新年の辞を契機に、平昌オリンピックとその後の相互の特使派遣を経て、今年四月末の南北首脳会談が正式に決定し、トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を受諾しました。日本のマスコミもこの二つのいわゆる「事件」をトップニュースで報道しました。この二つの首脳会談は、一九七ニ年のニクソン訪中と米中国交樹立に比する北東アジア情勢の激変をもたらしうるものです。朝鮮半島情勢は昨年の戦争勃発直前から対話による解決へと舳先が大きく転回しました。直接的には文在寅政権の外交の成果ですが、本質的には韓国労働者民衆のロウソク革命がもたらした出来事といえます。
 共和国は対話が続く間は核兵器とミサイルの発射実験を行わないと明言しました。行動には行動をもって応えるのが道理です。米国も共和国侵略を想定した全ての韓米及び日米の合同軍事演習を中止すべきです。朝鮮半島の非核化に向けた動きが始まるのであれば、米国自身もまた非核化を完全に検証可能で不可逆的に推進し、「国らしい国」になければなりません。開城工業団地と金剛山観光の再開、離散家族の再会など南北間そして米北間で政治・経済・社会・文化の全領域での交流の開始または再開と拡大、休戦協定の平和条約への転換、朝米国交樹立、国家保安法をはじめとする反動諸法の撤廃、駐韓米軍の撤退、そして南北の自主的平和統一へ向かう道は険しく多くの困難が待っているでしょうが、踏み出された歩みを誰も止めることはできません。甲午農民戦争、三・一運動、日帝植民地支配下の抗日闘争と労働運動、四・一九革命、光州民衆抗争、八七年民主化運動と労働者大闘争を行い、ロウソク革命で不正政権を打倒した韓国労働者民衆が国内外の反動右翼勢力の妨害をはねのけて朝鮮半島の平和と統一へ向かう道を力強く歩いていくものと私たちは確信し、その闘いを強く支持します。
 ところで日本政府は「北の脅威」論を扇動し、それを根拠として集団的自衛権行使を容認して戦争法を制定し、憲法改悪を通じて戦争のできる国を作ろうとし、朝鮮半島侵略の準備を進めてきました。安倍政権は、自衛隊を強化し日米軍事一体化をすすめるとともに、民衆の戦争動員の準備として共和国のミサイル落下を想定した避難訓練を全国各地で実施しました。また、共和国のみならず韓国に対する罵倒を繰り返すマスコミ報道、朝鮮総連本部への銃撃など右翼の跳梁、イルベ(注―韓国のネトウヨ)のような反共右翼の言辞が支配的となっているネット空間など、民族排外主義の空気が社会全体を覆い、日本は戦争前夜といえる段階に入っています。
 しかし、日本政府がしがみついていた「北の脅威」論が南北首脳会談開催とトランプの朝米首脳会談受諾で粉々に吹っ飛びました。「北の時間稼ぎに騙されるな」と自由韓国党と同じ主張をしていた安倍は最悪のシナリオの展開に茫然自失となり、ボスの真意を質しに四月訪米を決定しました。戒厳令と本質が同じである緊急事態条項の新設と第九条の改悪を柱とする改憲の必要性が霧散したのです。
 日本政府は共和国との対話を直ちに始めて、政治・経済・軍事の全領域における敵視政策を中断し、日朝平壌宣言を誠実に履行し、共和国との修交のために努力をすべきです。同時に、欺瞞的な一二・二八日韓合意を破棄し、戦時性奴隷制度被害者をはじめとする全ての戦争被害者にたいする謝罪と補償を行い、戦争責任と戦後責任を清算し、歪曲された歴史認識を改め、独島は日本の領土ではないと宣言し、在日の人権を保障して差別を撤廃すべきです。そうしてはじめて日本労働者民衆は南北民衆および在日と真の友人になれますし、そうすることが私たちの歴史的な責務です。
 戦争の火種はまだあちこちに残っています。その最大のものが韓米合同軍事演習であり、それと連動する日米合同軍事演習です。対話が始まっているのに軍事演習をするなどもってのほかです。韓米及び日米合同軍事演習に反対する行動が全国各地で行われます。その中の一つとして私たちは三月一八日に東京で他の諸団体とともに米大使館前緊急抗議行動を行います。連帯メッセージを送っていただければ幸いです。
 明けない夜はありません。その日が来るまで、私たちも皆さんと連帯しながら日本で努力します。平和で統一された朝鮮半島、平和で真の民主主義を争取した日本、戦争のない北東アジアを目指してともに闘いましょう。
 トゥジェン!

     二〇一八年三月一二日
      アジア共同行動日本連絡会議



 ●〈資料二〉三・一八韓米合同軍事演習中止を求める米大使館前緊急行動に
 送られたAWC韓国委員会の連帯メッセージ


 対話による平和定着のために戦争演習を中断せよ!

 朝鮮半島に対話と平和の雰囲気が醸し出されている。平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックで作り出された和解局面によって「三・六南北合意」が成立し、来たる四月に第三次南北首脳会談が開かれることになった。続いて五月には史上初の朝米首脳会談が予定されている。あまりにも急激に進行した状況なので戸惑いさえ覚えるほどだ。分断されて七三年の間続いてきた戦争と対立の歴史において初めて、平和に対する期待感が高まっている。
 しかし一方で米国は、朝鮮民主主義人民共和国(以下「共和国」)が非核化に対する具体的行動を見せるべきであるとして条件を提示するなど、不透明な姿勢を見せている。韓国と米国は共和国に対する制裁と圧迫を依然として継続しており、韓米軍事訓練を中断していない。共和国は、対話期間中は核実験及び弾道ミサイルの試験発射を中断すること、韓国に対する核と通常兵器使用の禁止を約束したが、これもまた韓米軍事演習と制裁・圧迫の強度によって流動的にならざるをえない。
 韓国の労働者民衆はロウソク抗争を通じて朴槿恵政権を引きずり下ろした。その結果成立した文在寅(ムン・ジェイン)政府は、南北対話を通じて共和国と米国を対話の場に出させた。しかし、過去の歴史から私たちが確認できるのは、状況はいつでも変化するという点だ。一九九四年ビル・クリントン米政権時に朝米間で締結されたジュネーブ合意はジョージ・ブッシュによって破棄された。その後も朝米間の関係改善が幾度か試みられたが、結果は朝鮮半島を中心にした対決・緊張と戦争の雰囲気の高まりだった。
 四月の南北首脳会談、五月の朝米首脳会談は、朝鮮半島の緊張を緩和し、平和を定着させられる絶好の機会だ。この機会を活かすために努力しなければならない。まず、対話の雰囲気づくりのために韓米および日米の合同軍事演習を中断しなければならない。共和国もこれに相応する措置を取るべきだ。特に日本の安倍政権は、平和憲法九条の改悪を通じて帝国主義的侵略を狙ってはならず、また、朝鮮半島の緊張を作ろうとするべきではない。
 韓国では来たる三月二四日に、ロウソク抗争が繰り広げられた光化門(クァンファムン)広場で諸団体が集まり平和ロウソク大会を開催する予定だ。文在寅政府に任せるだけでなく、労働者民衆が立ち上がって平和を作り上げようと決議している。これに先立ち、三月一八日に東京の米大使館前で開かれる緊急抗議行動に連帯と支持を送る。朝鮮半島と東アジアの平和、さらには全世界の平和のために、韓国と日本の労働者民衆が団結して行動しよう。
 闘争(トゥジェン)!

     二〇一八年三月一八日(日)
      AWC韓国委員会