共産主義者同盟(統一委員会)
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組織テーゼ
私たちは過去のブントが組織論を明確に確立していなかったために、十分な組織活動を生み出せず、また党内論争を組織化できずに無用な混乱をもたらし、組織の分散化と混乱におちいっていったことをしっかりとふまえ、これを越えていく決意をもって統一党の組織論をつくりあげていかねばならなない。 私たちがめざすプロレタリア革命党の組織論の基本的べースは、何よりもマルクス主義の革命的労働者党論にある。このマルクス組織論を踏まえない一切の組織論は本来の労働者階級の党たりえない。私たちの党組織建設は、まず綱領・思想的にはマルクスの革命的労働者党論にしっかりとふまえつつ、実践の体系としてはレーニン主義の組織、ボリシエビキ組織を継承していくものでなければならない。 1 マルクス革命的労働者党論 ブントの党建設の立ち遅れは、党組織論を革命論の重要部分として組み込み、これを革命的活動の基礎におくことができなかったという弱さに大きく起因している。党建設のブント的限界を越えていくために私たちは、マルクスを指針とし、党とはプロレタリア自己解放の綱領に基礎づけられた組織的結集体であり、かつプロレタリアを現実に支配階級へと形成していく任務を推進する組織的結集体であるということを、党建設の前提として明確にする。すなわち、プロレタリア解放綱領を基礎にして、プロレタリアの階級形成を実践的におし進める共産主義者・革命家の組織的結集体が、私たちが建設すべき革命的労働者党なのである。 共産主義者―革命的労働者党の活動は、労働者階級の解放にとってきわめて重要な位置をもっている。マルクスは共産主義者の党の活動なくしては、プロレタリアの解放―共産主義社会の建設は困難であることを『党宣言』で打ち出し、党の綱領的立場とした。プロレタリアは革命的労働者党の存在と活動を前提にして、はじめて、もっともよく自己を解放していくことができる。党とはプロレタリア自己解放の手段であり、そのきわめて重要な媒体である。 マルクスによれば「労働者階級の解放は労働者階級自身の事業である」(第一インター規約)という基本思想・綱領的立場のうえに革命的労働者党は成立するとされている。『党宣言』では労働者階級の自己解放運動は労働者階級の階級としての形成を一方では進めるが、他方では「政党としての組織化」を生み出すという立場が明確に打ち出されている。労働者階級が党を生みだしていくという思想・綱領的立場の確立がぜひとも必要である。ここが党建設にさいして、あらゆる小ブルジョア的傾向とたたかう拠点となるのである。そしてこれにふまえるならば、私たちの党、すなわち革命的労働者党は、当然にも労働者党の「部分」として成立するということになるのである。 私たちはマルクスが、革命的労働者党の存在の根拠が労働者階級の現実の運動のなかにあること、そして革命的労働者党は労働者が生み出す労働者党と同一の基盤において成立している、ということを展開した立場をしっかりとおさえておかねばならない。とくに観念的な「思想」と「党」を、また労働者階級の基盤とは切れた「思想」「党」をデッチあげるあらゆる宗派・思想集団の腐敗とたたかいぬいて労働者党を建設していかなければならない。 マルクスは、革命的労働者党の成立のこの根拠にふまえて、この党の内容と存在意義について明らかにしている。革命的労働者党は次の諸点において、他の労働者政党とは異なる革命性・党派性をもっているということである。第一に、革命的労働者党はプロレタリアの自己解放運動のなかにあって、このプロレタリアの自己解放運動を実践的に、確固として「絶えず推進していく」ということである。党とは現実の労働者の運動を実践的に牽引し発展させていく存在である。第二に、革命的労働者党は理論的にプロレタリア解放の条件・進路・一般的結果を理解する点で労働者大衆よりまさっているということである。すなわち党はプロレタリア自己解放運動の前進が必然的に資本主義社会を止揚し、共産主義社会を建設していくこと、プロレタリアの自己解放が共産主義社会の建設によって実現されていくということを理解しているのであって、『党宣言』で展開されているように「資本主義批判―プロレタリア措定―党建設―共産主義」の立場を思想・綱領にしているということである。第三に、種々の民族的な闘争において国籍に左右されない全プロレタリアートの共通の利益を強調し、そのための活動をおしつらぬくということである。革命的労働者党は他の労働者政党とは区別されてあくまでプロレタリアートの国際的利益を強調する、すなわち、プロレタリア国際主義をつらぬき、プロレタリアの階級形成を国際主義につらぬかれた活動によっておし進めるのである。第四は、党は階級的な闘争が経過するさまざまな発展段階においてつねに運動全体を代表する存在であり、そのように活動するということである。共産主義者の活動はつねに階級闘争の発展段階に対応して、その段階でのプロレタリア全体の利益を代表する活動であるべきである。そうでない活動、たとえば革命の結果を「型論」として当てはめたり、主観的な革命の戦術を急進主義的に提起する左翼共産主義、また逆に、階級情勢とは無関係な右翼的活動に埋没する部分は批判されねばならない。革命的労働者党は、プロレタリアの一部の運動に一面的にのめり込んで活動の内容を設定してしまうのではなく、つねに現実のプロレタリア全体の利益を実現するために努力する。 2 レーニン・ボルシェビキ党の組織原則 二一世紀のプロレタリア革命をめざす私たちが、革命的労働者党をつくりだしていくうえにおいて重要な課題は、レーニンの革命党組織・組織論への反発・全面否定の傾向と対決し、あくまでもレーニン組織論の精神を現代的に継承していくことである。中央集権主義をかかげるレーニンの党組織論を、命令の体系―指令の体系の党組織というスターリンの組織論と同一視し、レーニン組織論を清算しようとする動きとはたたかわねばならない。そして、スターリン主義組織論を乗り越える革命的労働者党の組織論を、私たち自身が主体的につくりだしていかねばならない。それはあくまでも革命党・労働者党としての私たちの組織的実践においてはじめて可能である。マルクスやレーニンの組織論を踏まえて、現代の私たちが党の運営、組織的団結―規律の規定内容、組織の原則をみずからつくりだしていくという決意が重要である。 スターリン主義組織に対する反発・告発というレベルでは、党組織の現代的な中身は決して創造できない。「個人の自由」から出発し、スターリン主義組織を抑圧の体系ととらえて、組織を個人の自由な連合のもとに解体しようとするネットワーク型組織論、あるいは「イストの主体性」と「思想的同一化」から出発してスターリン主義組織論を批判し、階級形成の活動と組織としての結束を無関係に分離する宗派的組織論、このような二つの反スターリン主義の安易な傾向と対決して革命的労働者党を建設していくのがわがブントの党建設の道である。さらに、私たちブントが党建設を語る場合、綱領や戦術の内容については強い関心をもったとしても、組織それ自身の団結、規律、規約の内容をつくりあげていくことには積極的でないという歴史的限界をしっかりと見つめ直すことが重要である。組織の維持・強化の原則を軽視する過去のブントのあり方を根本的に反省していく姿勢が私たちには不可欠である。 3 革命党建設の組織原則 私たちはレーニン・ボリシエビキ党建設に学び、次のような組織論・組織原則に立って革命党建設をおし進めていく。 第一は、あくまでも、帝国主義国家権力―政治警察とのたたかいを前提として組織をつくりだしていかなければならないという原則である。レーニンは政治警察との闘争や、弾圧・組織破壊にうちかつ組織建設・革命党建設をぬきにして労働者階級の解放は決して実現できないということを強調している。私たちの現在の党建設は現在の政治的自由をふまえたものでなくてはならないにしても、しかし、あくまで革命党としてその組織論のうちには政治警察とたたかいぬくことのできる組織原則が貫徹されていなければならない。 第二は、労働者階級の現実的な解放運動をおし進める組織として革命党はつくられなければならないという原則である。思想サークル・綱領サークルなど、労働者階級の解放運動とは無関係に組織一般は存在することができる。革命党建設にとって重要な問題は、労働者階級の内部での活動がみずからの生死に関わっているということにある。その活動は、たんなる運動の推進に終始・埋没するものであってはならない。 「現在の利益のための活動」「未来の利益のための活動」とマルクスが提起した「二重の活動」の内容をレーニンは「計画としての戦術」というかたちでおさえながら、全国党による統一した路線の実現、そのための党活動としてまとめていった。共産主義者は階級の現実の運動内部にあったとしても、つねに革命党の綱領・路線にもとづき活動することが基本なのである。この点をふまえつつ、党は労働者階級の解放をどこまでもおし進める組織であるということが、党の組織原則に明示されなければならない。 第三は、革命党・労働者党とは、党の特定の組織に所属する党員によって成立させなければならないという、いわゆる「規約第一条」に関わる組織原則である。この原則は、政治警察とたたかい、階級闘争を指導し、組織活動を展開して団結をつくりだしていく党組織にとって、もっとも基礎的な原則である。実際、党員が組織に所属して活動を行なうのでないかぎり、組織としての内容確認はできない。また組織に所属し、政治警察との闘争、綱領の物質化、路線の貫徹を通じてこそ、同志的な信頼関係を形成していくことも可能となる。ある特定の党組織に所属することを党員資格の条件とするかどうかという点は、かつてレーニンとマルトフらとの組織の分裂をかけた組織原則上の決定的対立であった。これは現代の革命的労働者党建設にとっても非常に重要な原則である。組織への所属―組織としての実践という原則を確立しつつ、私たちは組織構成員の実際上の「所属と実践」を通した党づくりをねばり強く追求していかなければならない。 第四は中央集権制の組織原則である。この原則を中身において確立していくことである。ここにおいては次の点を確認しておくことが必要である。まず、統一された国家権力の攻撃に対しては、全国で統一した戦術をもって反撃していかなければならないということである。個々分散的な反撃では個別撃破されるのは必然である。国家権力の統一性に対して、革命党は全国の党組織を有効にたばね、計画的に反撃に向かわせねばならない。それは当然にも全国的な指導部・指導組織を中心にして党全体が展開していくことを意味している。政府の攻撃に革命党として総路線を対置し、これを実現する指導部体制―全国体制を確立することが中央集権制を実現していくということである。 この中央集権制を指導部からの命令と執行の体系・体制とみなすスターリン主義型の組織論(ベルト型組織論)が存在するが、これは誤りである。このような考えに対してレーニンは、「指導の中央集権」と「責任の地方分散」を組織の原則として提起している。中央指導部は綱領・路線の強化・発展に責任をもち、全体を見渡しながら党の路線総体の実現に対して責任を負う。この意味で党の指導は中央集権的な性格をもつ。他方、党の綱領・路線にもとづいて、階級闘争の日常的な指導を行なうのは各地方委員会である。実状にあった細やかな指導や点検の権限と責任は中央ではなく、地方組織や各級機関がもつべきである。執行体制における地方組織や機関の独立性・自立性が、レーニンの組織論においては「責任の分散」として位置づけられている。私たちの党においては、ネットワーク型組織論にもとづく一般的な地方分権ではなく、ボルシェビキ党型の「指導の中央集権と責任の地方分散」の原則が実現されていくべきである。 第五は、政治警察との闘争によって制限されるものではあっても、「できるだけの公開性と選挙制」の原則を軸にして民主主義的党運営をはかるという党内民主主義の組織原則である。党大会を最高の決定機関として、そこで綱領・路線を採択し、指導部を選出するという民主的原則がつらぬかれねばならない。単一の意志の決定、その執行体制の確立という党の最重要事項の確定は、党大会で公明正大におこなわれなければならない。党の指導部は党大会の定期的開催に責任をもつ。大会の遅延は組織原則の後退を意味する。 公開性の原則とは、党の主要な活動の総括がつねに党の内部に公開され討議されていなければならないことを意味する。ある一部のセクションで活動内容が独占され、隠ぺいされてはならない。また綱領・路線をめぐる組織内の論争も党内に公開されねばならない。選挙制の原則とは、大会や中央委員会で指導部を党員の自由な意志によって選出していくことであり、ここでは一切の不正をなくした選挙を実現していくということである。公開性や選挙制は決して党を弱めるものではない。これにより組織成員の党への主体的参加がより促進され、組織の団結と同志間の信頼をより強めることができる。 また党員の権利が重視されねばならない。党員は党大会に参加する権利をもち、党内の討論・論争に参加して意見を言うことができる。指導部と異なる見解をもっている場合、それを最大、党大会において意見書として提出することができるし、機関紙や党内通達に指導部の見解に対する批判を含む見解を掲載することもできる。あくまで党員は、綱領・路線に対する意見を広く党全体に示す権利を持つのである。 しかし党は、反対派が分派として固定的・恒常的に、あるいは特定の人脈・地縁にもとづいて形成されることを容認するものではない。恒常的ではない流動性をもった反対派は党内につねに形成されるが、これは党の民主主義的原則の貫徹によって、党そのものに包摂されていく。 第六は、組織的結束・団結を実現し強化していくための「同志的信頼関係の形成」という原則である。規約にもとづく組織の民主主義的運営と同時に、同盟員各自の主体的参加と献身的な組織活動こそが、その「同志的信頼関係」を創造するのである。具体的には規約前文において、「同盟員は革命に向けた困難な党生活のなかにおいて相互に助け合い、同志的な連帯と批判を行ない、同盟を共に前進させていかなければならない」とした内容である。そして同時に、現在の革命党の「同志的信頼関係」の形成においては、権力からの組織の防衛を意識的にやりぬくことを重要点としつつも、労働者階級の内部において党の路線を実現し、階級内部で影響力を拡大していくことが重視されるべきである。党の路線を階級闘争のなかに実現していく党員の活動のねばり強さ、その成果・経験の蓄積のうちに、まさに「同志的信頼関係」はもっともよく形成されていくのだ。 私たちはブントとして、現代における革命的労働者党の建設をめざし、ボルシェビキ的組織原則をしっかりと確立してたたかいぬく。 4 革命党の階級指導論 『共産党宣言』では共産主義者の活動に関して、「プロレタリア階級への形成、ブルジョア支配の転覆、支配階級としての組織化」と並んで、共産主義者の活動が「当面する利益の実現」と同時に「未来の利益の実現」のためにあると規定されている。共産主義者はプロレタリアートの「直接的利益のためにたたかう」が、同時にプロレタリアートの「未来の利益を代表する」という一個二重の内容において活動するのである。この内容は、マルクスが『党宣言』および『哲学の貧困』において提起したプロレタリアの団結論(存在論としてもある)をふまえた階級に対する革命的労働党の指導のあり方を規定しているのである。すなわちプロレタリアは直接の利益を実現するために団結し、このたたかいのくり返しのなかで「資本に対する労働者」から「労働者に対する労働者」という立場をつかみとって新たな団結を生み出していく。プロレタリアは「直接的な団結」から「恒常的な団結」へ自分たちの団結を発展させていく。だが、この団結は革命が実現するまでは常に資本家の攻撃および自分たち自身の利害の対立によって不断に崩壊する。階級形成の過程はこのくり返しであり、団結と再団結の永続的な展開なのである。労働者党はこの団結の発展の推進者として「恒常的な団結」をより自覚的に形成できるように労働者の内部において活動する。革命的労働者党の階級指導とは、このプロレタリアの団結と再団結の過程の総体を意識的・積極的に推進するものである。私たちはここをふまえなくてはならない。 またレーニンは党による労働者階級への階級指導の重要性をマルクスとは別の角度から提起している。すなわち彼の『左翼共産主義批判』においては、党の規律の根拠について解明するというかたちで、党が労働者階級・大衆と交通形態を確立していくために、階級・大衆に接近し溶け合う能力を獲得していかないかぎり、党の指導はできないし、また歴史的にもその党は敗北・消滅していく以外にはないことを明示した。労働者階級の現実の要求、現実の団結とその発展について常に労働者党の全力をあげて考察し、運動を推進していくこと、このようにレーニンの階級指導の内容はマルクスと同一の場面においてもあると理解できる。 また、レーニンの『なにをなすべきか』の階級指導に関しては、政治闘争や共産主義的意識の重要性を確認するという点において重要な意味をもつが、これが経済闘争や社会的課題の闘争について意味がない、より低いものでしかないという内容において理解されるのであるならば、それは誤りである。労働者階級は政治的・社会的・経済的領域のすべてにおいて階級形成されていく。また革命的労働者党はそのようにしていかなければならないのである。 |
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