共産主義者同盟(統一委員会)


1663号(2024年8月5日)







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 腐敗し改憲に突き進む岸田政権打倒
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排外主義と治安出動許すな 8・31練馬駐屯地デモへ





 米帝を筆頭とする帝国主義は、没落へ向かう己の歩みを止める術を見いだせずにいながらも、自国ブルジョアジーの欲望を満たし、その利益を増やすためにのみ侵略反革命戦争を遂行し、軍事政策を実行し、米軍兵士による性暴力などの許しがたい暴挙を絶え間なく引き起こし、原発による汚染ともども環境を回復不可能な水準にまで破壊している。「個人の自由」「人権」「民主主義」「法による支配」などなど、およそ帝国主義としての己の本性と真逆の「価値」を自分たち固有のものであるかのようにほざいて民衆を騙し篭絡しながらだ。
 帝国主義者は今、ウクライナ、パレスチナをはじめ世界の至る所で民衆を殺し、その暮らしを壊し、人権と尊厳を踏み躙っている。もうたくさんだ! 私たちは、前世紀よろしく血塗られた二一世紀を、自らの生きる時代のこうした悲惨な状況を世界規模で根底的に変革し、労働者解放-全人民解放という希望の未来を切り拓いていくのでなければならない。


米軍性暴力事件弾劾 日米政府の隠蔽弾劾

 昨年一二月に起き、今年三月に起訴され、「県」議会選挙と6・23慰霊の日が終わった六月下旬に初めて公になった、米軍兵士の性暴力事件の初公判が七月一二日に那覇地裁で開かれた。被告の米空軍嘉手納基地所属の兵長ブレノン・ワシントンは、誘拐と性的暴行を否認して無実を主張した。許されない。罪は贖われなければならない。この事件が報道された後、在沖米軍兵士による性暴力事件が昨年一月から今年五月末までに他に四件起こっていたことが判明した。隠蔽されていたのだ。七月に入ってからも性的暴行事件で米海兵隊員が逮捕された。さらに、この数年間に青森・神奈川・山口・長崎の各県でも米軍性暴力事件が引き起こされていながら発表されていなかった。
 これは、性暴力に国家権力の隠蔽が加わったおぞましい権力犯罪だ。冒頭の事件について、米軍は沖縄防衛局に事件を伝えず、事件を把握した沖縄「県」警も外務省には伝えたが、「県」と沖縄防衛局には伝えず、発表もしなかった。外務省は防衛省に伝えなかったので、沖縄防衛局から「県」にも伝わらなかった。そのため、沖縄人民はこの事件を発生から半年間知ることができなかった。米軍・外務省・沖縄「県」警は、「プライバシーの保護」なる言い訳をうそぶきつつ、日米政府間の合意と日本政府内の規定を自ら蹂躙した。組織としてのタガが完全に外れている。
 沖縄差別・女性差別・権力犯罪に対する民衆の怒りの声が沖縄・琉球弧-「本土」を貫いて湧き上がっている。また、沖縄「県」議会は全会一致で、日本政府に対する「相次ぐ米軍構成員等による女性への性的暴行事件に関する意見書」を、米国の政府と軍に対する同名の「抗議決議」を採択した。
 凄惨な軍事基地被害がここまで露わになったにもかかわらず、沖縄防衛局は辺野古新基地建設のための杭打ち試験を大浦湾で始めた。大浦湾の本格工事を許すな! 辺野古新基地建設と琉球弧の軍事要塞化を阻止しよう! 岸田政権を打倒しよう! 


腐朽した自衛隊を解体せよ

 自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化が進むとともに「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)」が始まった(既報)。この状況の中で、海上自衛隊の腐臭漂う組織体質がまた暴露された。特定秘密の不適切運用、内部部局幹部のパワハラ、海自の潜水手当不正受給、自衛隊施設での不正飲食で、防衛省が二一八人を処分したのだ。海自トップの海上幕僚長酒井が退職に追い込まれるなど激震の重大事態だ。報道によれば、潜水艦を受注する川崎重工業が売り上げ(元は税金だ!)から捻出した裏金で海自の乗組員を飲食接待し金品を渡していた。潜水艦救難艦二隻に所属するダイバーが深海作業訓練の手当を計約四三〇〇万円水増し受給した。自衛隊施設の食堂で代金を払わず食事をしていた。
 防衛省職員・自衛隊員は血税を直接・間接に貪り食っていたということだ。こやつらは公務とは裏腹の文字通りの税金泥棒、私利私欲至上集団だったのだ。天下り先の民間大企業と軍隊の癒着が相互寄生状態に至るまで奥深く進行していたわけだ。
 だが、それ以上に深刻なのは、特定秘密の漏えいや取り扱いの瑕疵計五八件だ。うち、無資格の自衛隊員がそれを知りうる環境にいた事案は三五件で、残り二三件については詳らかでない。日本の軍事外交政策の手引きともいえる戦略国際問題研究所の「二〇二四年の日米同盟――統合された同盟に向けて」(いわゆる「アミテージ・ナイ・レポート」)は、日本の軍事面での弱点として「脆弱な統治、および、貧弱な透明性と説明責任のせいで中国は〔日本の政治〕エリートを捕獲できる」とずばり指摘している。官民問わず幹部が他国の間諜に篭絡され、特定秘密が海外流出する危険性が日本は大、ということだ。腐朽せる帝国主義軍隊なのだ。
 自衛隊を即刻解体しよう。


条約なき準軍事同盟 日米韓統合軍事演習

 七月下旬に史上初の日米韓の統合軍事演習フリーダム・エッジが三日間行われた(既報)。この名称は、韓米合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダム」と日米合同演習「キーンエッジ」から取っている。日米同盟と米韓同盟を合わせて結び付けた訓練、ということだ。これまで積み重ねてきた日米・米韓・日米韓間の地上・空中・海上・水中・宇宙・サイバーの各領域での訓練を同時一体的に行って、各国間および各領域間の網の目のような相互運用を試験し、その水準を上げるための演習だ。「台湾有事」と「朝鮮有事」即ち中国と朝鮮民主主義人民共和国に対する侵略戦争を想定した実戦直前の総稽古が遂に始まり、今後数年間強行されようとしているのだ。これは、根拠となる条約なき日米韓三角軍事同盟の前段階への到達を意味する。条約が今後結ばれれば同盟となる。私たちはこの軍事訓練を強く非難・弾劾する。
 これまでの経過は次の通りだ。韓国で尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が発足した二〇二二年の秋・冬に日米韓はインド太平洋戦略――中国に対する軍事的経済的包囲網の構築と「台湾有事」時の軍事介入即ち中国侵略戦争――で意思一致し、それに基づく協力を強めることで合意した。米国政府の国家安全保障戦略及び米国防総省の国家防衛戦略(ともに二二年一〇月)、日米首脳会談プノンペン声明(一一月)、日本の安保三文書閣議決定、韓国の「自由・平和・繁栄のインド太平洋戦略」(ともに一二月)がそれだ。翌年八月の日米韓首脳共同声明「キャンプ・デービッドの精神」は「毎年、名称を付した、複数領域に及ぶ三カ国共同訓練を定期的に実施する意図を有することを発表」し、今年六月二日の日米韓防衛相会談共同声明は「複数領域における新たな三カ国共同訓練『フリーダム・エッジ』を初めて今夏に実施することで一致した」とした。ところが日米韓三カ国はそれから一月も経たぬ同月末に同訓練を強行した。
 ロシアと朝鮮の軍事的関係の緊密化がその要因になった。朝露首脳会談が平壌で開かれ、「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦との間の包括的な戦略的同伴者関係〔=パートナーシップ〕に関する条約」が六月一九日に締結されたのだ。同条約第三条は、「双方のうち一方が個別的な国家または数カ国から武力侵攻されて戦争状態に直面することになる場合、他方は国連憲章第五一条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて、遅滞なく自らが保有するあらゆる手段で軍事的およびその他の援助を提供する」と規定している。これは、一九六一年にソ連と朝鮮が結んだ協定の条文のほとんどそのままの復活だが、それにとどまらず、二国間の経済協力、国際的な軍事外交での協力を加えた強化版だ。軍事を軸とした包括的同盟関係の樹立だ。東アジア情勢は新たな局面に入った。
 三辺の一つである日韓間の法的な根拠を欠いたまま協力から同盟へ転換する途上にある日米韓の準同盟的な軍事関係を、各政府は今後次のように進めると思われる。
 第一に、日韓間で結ばれている軍事協定は現在、朝鮮のミサイル情報共有化のための秘密軍事情報保護協定のみだが、今後、物品役務相互提供協定の締結を両国政府は進めるだろう。他国との同盟関係は条約に基づいていなければならず、条約は国会の批准が必要だ。だが日本政府は、国会での「国民的論議」を回避して行政府の判断だけで「国家の存亡」に直結する戦争に関する他国との取り決めを結んできたし、これからもそうしようとしている。行政権力の暴走だ。
 第二に、日米韓防衛相会談共同声明は、三カ国机上演習(TTX)の実施、三カ国の安全保障協力の枠組みの年内構築、「ハイレベル政策協議、情報共有、三カ国訓練及び防衛交流を含む三カ国の安全保障協力」の制度化に言及している。米英豪のAUKUSや、インドの協力を欠いて実質開店休業中ではある日米豪印のクアッドのように名称を付けて恒常機関として立ち上げる狙いだ。これに関連する文書が今年一一月に発表されると韓国で報道された。
 第三に、前出の「レポート」は、日米とオーストラリア・フィリピン・韓国・台湾との連携強化、日豪安全保障協力共同宣言(〇七年)を手本とした日韓の共同安保宣言、日米韓の「作戦レベルでの正式な関係構築」(各司令部間での連絡将校の交換、二国間演習へのオブザーバー受け入れ、三国間有事計画室の設置など)、G7との協力--その本質はNATOとの協力――を提言している。
 さらに、日本とフィリピンの軍事協力関係の強化も加速している。今年四月一一日の日米比首脳会談で三カ国間の軍事協力強化が確認された。これを受け、日本とフィリピンは七月七-八日にフィリピンで、二年前に次ぐ二回目の外務・防衛閣僚会合「2+2」を開いた。そして両国は、自衛隊がフィリピン軍との合同軍事演習の際にフィリピンに一時駐留するための法的根拠としての円滑化協定=外国軍一時駐留協定を締結したのだ。南中国海でのフィリピンと中国の領海紛争に日本が今後軍事的に介入することをこれは意図したものだ。


アジア版NATO 日米韓準軍事同盟と国連軍司令部

 日米両政府は、上記の内容の延長線上に、①日米韓の常設軍事機関を核とし、②オーストラリア・フィリピン・台湾を加え、NATOとも連携し、③それらを、形式的には一五カ国の軍隊で構成されてはいるが、現在は南北休戦の維持と休戦協定の管理のみ担っている国連軍司令部を、実動多国籍軍司令部に作り替えたうえで総括する、という形式で、中国を軍事的に封じ込めるためのアジア版NATOを創設しようと狙っている。
 米国で国連軍司令部の再活性化が論議され始めたのはオバマ政権下の一四年だが、翌年には公式目標になった。しかし実際はその数年前から、国連軍司令部を構成する国々の兵士が米韓合同軍事演習に毎回参加していた。この再活性化の特徴は、①有事に際して指揮する軍隊を実質的に作る、②国連軍司令部を複数の国家の軍隊が参加する多国籍軍にする、③「戦闘指揮機能」を回復させ、そのために多国籍軍の兵力が参加する連合訓練を通じてこの機能を検証・強化することだ(シン・ウィチョル)。
 韓国大統領・尹錫悦(ユン・ソギョル)は昨年の光復節七八周年慶祝の辞で、「日本が国連軍司令部に提供している七カ所の後方基地の役割は、北朝鮮(直訳は「北韓」)の南侵を遮断する最大の抑制要因」、「北朝鮮が南侵する場合、国連司令部の自動的で即刻の介入と反撃が相次ぐことになるが、日本の国連軍司令部の後方基地はそれに必要な国連軍の陸海空戦略が十分に備蓄されている場所」と述べた(ハンギョレ新聞)。
 また、昨年九月に米国で開かれた米韓戦略フォーラムで元在韓米軍司令官ブルックスは、在韓米軍と在日米軍を統合して「極東司令部」を創設すべきだ、それが無理なら国連軍司令部を合同指揮機構として活用しうる、と述べている。
 そして、今年七月上旬に米国で開かれたNATO首脳会議に同志国として参加した尹錫悦はドイツ首相ショルツと会談し、「ドイツの国連軍司令部加入申請を歓迎する」と述べた。
 加えて、同首脳会議が採択した「ワシントン首脳会議宣言」は、「中国は、いわゆるロシアとの『無制限の』協力関係とロシア防衛産業の基盤に対する大規模な支援を通じて、ロシアがウクライナに対する戦争を可能にする決定的な要因になっている。」「中国は欧米の安保にとって、宇宙・サイバーなど体系的な懸案となり続けている」とした上で、「インド太平洋地域はNATOにとって重要だ。なぜなら、同地域での展開が欧州の安全保障に直接影響するからだ。アジア太平洋地域の同志国が欧米の安全保障に貢献し続けていることをわれわれは歓迎する」としている。中国はNATOにとって脅威なので、それを抑えるためにインド太平洋で軍事展開する、という意味だ。実際、今年に入って加盟国単位のインド太平洋戦略が続々と公表されている(キム・ジョンデ)。ソ連と対峙する軍事同盟として出発したNATOが、北大西洋の範囲を超えて対中国を筆頭に世界の安保に関与する帝国主義の侵略反革命同盟へ拡大する方針を加速させているのだ。
 以上から、米帝の総指揮の下で、基軸である日米韓準軍事同盟に英仏独などNATO加盟国を加えて実戦部隊とした多国籍軍司令部として国連軍司令部を再活性化し、それをアジア版NATOとして位置づけ強化しよう、というのが帝国主義者どもの狙いであることが分かる。闘って打ち砕くのみだ。


パレスチナ解放! 国際連帯の力で帝国主義を打倒しよう

 「ガザという檻の中に閉じ込められたパレスチナ人が、その檻を突き破って、占領された故郷に向かう」、「占領からの解放という大義ある闘い」としての昨年一〇月七日の「越境攻撃」(岡真理)から一〇カ月が過ぎた今も、ガザ地区とヨルダン川西岸地区でイスラエル軍の国際法無視の無差別攻撃が続き、四万人近くの犠牲者が出ているが、パレスチナ人民の抵抗闘争は継続している。「当初イスラエル政府が『ハマースのテロ』と喧伝したものの多くが嘘偽りであったことが明らかになってい」(同)る中、イスラエル軍がハマス活動家の析出に人工知能を使用し、活動家一人の殺害に際して一般市民の死亡が一五人(一般)~一〇〇人(司令官級)の範囲で許容されていることが、その析出に従事していた複数の元イスラエル軍兵士の証言で明らかになった(英ガーディアン紙)。米国防総省の推定によればハマス活動家の数は二万五〇〇〇~三万人だったが、人工知能による根拠不明の析出活動の「ラベンダー作戦」は三万七〇〇〇人を「割り出した」。その中には警察官や消防士なども多く含まれていたが、兵士たちは人工知能の判断を検証することなく、ところてん式に承認した。
 「ゴスペル作戦」と名付けられた殺害は、「ハマス活動家」と目された人が自宅に戻った時に主に行われた。家族もろとも確実に殺せるからだ。高精度な爆弾は高価で負担になるので避けられ、ほとんどの場合、精度の低い安価な物が使用されているので、標的に当たるまで何度も爆撃が繰り返される。その結果、周辺の建物を含めて無差別爆撃となった。
 ウクライナ軍も部分的に行っている人工知能の軍事利用をイスラエル軍は史上初めて本格的に導入し展開しているが、それがもたらしている凄惨な現実を私たちは目撃している。イスラエル軍は虐殺戦争と不当な占領を直ちにやめろ! パレスチナ人民の解放闘争を支持し連帯しよう! パレスチナに自由を!
 六月二一~二四日にマレーシアで国際民衆闘争同盟(ILPS)の第七回総会が開かれた。「帝国主義の略奪・戦争・ファシズムと闘う民衆の統一戦線を建設しよう。人類と地球のための社会主義の未来を争取する闘いの中で国際民衆闘争同盟の組織と運動を前進させよう」という主題で、パレスチナ・クルド・フィリピン・米国、アジア・欧州・中南米・アフリカなど全大陸から反帝国主義・社会主義勢力約五〇〇人が結集し、闘いの内容を共有し、今後の方針を論議した。全世界の労働者人民との連帯をさらにつよめ、その団結と闘争で帝国主義の侵略反革命を阻み、革命の勝利に突き進んでいこう。
 同総会で採択された「全体宣言」のスローガンは次の通りだ。
 「帝国主義と全ての反動を打倒しよう!
 民衆の民主主義的熱望を前進させ、社会主義の未来を勝ち取ろう!
 国際連帯万歳!」
   

 


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