1653号(2024年3月5日) |
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労働運動の前進で24春闘に勝利しよう 戦争・排外主義と対決する春闘を 米韓合同軍事演習をただちに中止せよ 24春闘が開始された。二月、民間大企業の春闘要求提出を前にして、連合会長と経団連会長は足並みをそろえて「賃上げへ労使『協力』春闘」を表明した。 しかし、その直後に発表された厚労省「毎月勤労統計調査」によれば、二三年の実質賃金は2・5%減だった。マイナスは二年連続。賃上げが物価上昇に追いつかない事実こそが現実だ。 利益と生産性向上のためには、労働者を使い捨てにする経団連をはじめとしたブルジョアジーとその下僕である岸田政権、そして労働者を沼地に引きずり込む連合を許さない24春闘の取り組みを進め、勝利に向けて邁進しよう。 格差拡大・固定化を許さない闘いを 今春闘は、一昨年からのウクライナ戦争が続き、パレスチナ人民の皆殺しさえも辞さないイスラエルのパレスチナ攻撃が行われ、台湾・朝鮮を巡る東アジアの戦争の危機が日帝によって喧伝される中で、闘われる。 日本では、労働者の賃金水準は下がり続け、G7諸国で最下位、アメリカの約半分、OECD平均を下回る現状だ。内閣府が二月一五日に発表した二三年一〇月~一二月期の国内総生産は、物価変動を除いた実質で前期比0・1%減となり2四半期連続でマイナス成長だった。 こうした中でも、政府・日銀の大規模金融緩和と財政政策による恩恵によって平均株価は、バブル期後の最高値を記録し続けている。この恩恵を受けているのは、株主と一握りの大企業の労働者だけだ。ため込んだ大企業の内部留保金は昨年度、一一年連続で過去最高を更新し、五五〇兆円を大きく超える天文学的水準となっている。 一方、中小企業の倒産が増え、二三年の企業倒産は、前年比35%増の八六一九件。このうち負債総額が一億円未満の飲食店を含む中小零細企業が約七割を占めている(東京商工リサーチ調べ)。 これは、原材料費の高騰、人手不足に加え、コロナ禍対応で行われた無利子・無担保融資の返済が始まり、返せない結果の倒産が増えているのである。また、賃金については、二三年に賃上げが進んだが、中小企業が集中する医療・福祉(0・4%)、卸売り・小売り(0・3%)、建設業(0・1%)というように物価高に追い付いていない。 しかし、日帝は、労働者市民の生活苦や能登半島被災地支援に税金を使おうとはしていない。それどころか、ウクライナ戦争やパレスチナへのイスラエルの攻撃により、労働者人民が戦争への危機意識を持っていることを利用して、「台湾有事」を煽り、琉球弧での自衛隊基地強化、敵基地攻撃能力の保有、更には武器輸出に踏み込んでいる。そのために軍事費を二七年までに四三兆円に増額するために増税を目論み、改憲と戦争の道に進もうとしている。 貧困と格差の拡大、自民党の裏金問題などの政治不信や不満のはけ口を、差別と排外主義と戦争へと向かわせてはならない。今春闘の第一の課題は、物価高を超える大幅賃上げを勝ち取ると同時に、戦争のための増税反対、差別・排外主義反対、改憲反対の声と闘いを組織することである。 労働組合つぶしを許すな 第二の課題は、労働組合破壊を許さず、階級的労働運動の前進を勝ち取ることである。 政府―厚労省は、現在、「新しい時代の働き方に関する研究会報告書」を発表している。この報告は「新しい働き方」と称して、労働法による統一的保護・規制を緩和・廃止する危険性をはらんでいる。現にこの報告に合わせ、経団連は「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」(二四年一月一六日)を発表している。この提言は、「現行労働基準法は、工場労働のような、一箇所に集まり始・終業時刻が固定的かつ労働時間と成果が比例する労働を前提とした画一的規制」と決めつけ、労使自治を口実に労働時間の法規制を外すものであり、 厚労省報告と同じ内容となっている。 しかも、労使自治の要である労働組合による集団的規制を緩め「新しい労使交渉の場を選択的に設ける『労使協創協議制』創設」を求めている。これは「若年、中堅層を中心に、キャリア意識が向上すると共に働く時間や場所の自由を指向」していると分析し、「論議するテーマに応じて特定の職種の労働者から過半数代表等を選出し、職種ごとの意見聴収や労使協定の締結等を可能とする」ものである。つまり、日本の労働運動の弱点である、企業毎の労働組合さえ、個々バラバラにして、団結権を基礎にした労使交渉を否定する内容である。 また、「働き方の多様化や企業を取り巻く変化などを踏まえ、時代に合った制度の見直しを」として、労働法制を改悪し、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の対象の拡大を狙っている。 今こそ、政府・経団連の一体となった労働法改悪を許さない闘いの強化が必要である。また、企業組合の枠を突破して闘う関西生コン支部への弾圧を許さず闘おう。 経団連の「構造的な賃上げ」論は労働者の使い捨てだ 第三の課題は、政府と経団連との労働者支配政策を許さず闘うことである。 経団連は、二〇二四年一月一六日「経営労働政策特別委員会報告」(以下、経労委報告)を発表した。この報告は、「成長と分配の好循環」としてあたかも経団連が先頭に立って賃上げを行うかのように書かれているが、実は、「成長」とは経団連に集まる大企業の「成長」であり「好循環」とは、大企業に都合の良い「好循環」である。以下批判点と闘いの課題を明らかにする。 一つには、に「経労委報告」では、「日本は二〇二二年OECD加盟国三八カ国中、労働生産性は三一位(平均約116・5USドル、日本は約85・4USドル)、時間当たりの労働生産性は三〇位という現実の中で、この労働生産性の向上が急務となっている。このために『労働力投入の効率化』と『付加価値の最大化』を図る」。「女性や若者、高齢者、障害者、有期雇用等労働者など多様な人材の『労働参加率』を高め『量』を確保すると共に能力開発・スキルアップによって『質』を担保し量・質の両面から充足する」。そして、この結果として「構造的な賃上げ」を実現するとしている。つまり、真の目的は「賃上げ」ではなく「労働生産性」の向上なのである。したがって労働生産性の低い現場は切り捨てられ、統廃合によって労働力を絞り出すことが行われている。 例えば、ヤマト運輸が取り扱っているクロネコDM便や「ネコポス」を廃止し、日本郵便が取り扱う「ゆうメール」「ゆうパケット」を活用した新サービスの展開が開始された。これは、ヤマト運輸は配送せず、引き受けたメール便や小型荷物を郵便局が配達する、といった内容だ。関連してヤマト運輸は一月末で、委託契約で配達業務を担当してきたクロネコメイトの約二万五〇〇〇人を契約解除、仕分け作業に従事するパート社員数千人に解雇通知を出した。 また、郵便局が配達することになる「ネコポス」は日本郵便が取り扱う同様のサービス「ゆうパケット」とほぼ同数の取扱量がある。郵便局では現状でも要員が不足している状況で、このままでは職場が混乱することは明らかであり、大幅な増員が必須である。 しかし、大量の首切りと受け入れ側の人員増がない「同業他社との連携」は強行された。クロネコヤマトの労働者は、困難な中で労働組合を結成して闘い抜いている。また郵政ユニオンもヤマト運輸のリストラに反対する運動を支援し、職場労働条件改善の取り組みを進めていく闘いを開始している。効率化や切り捨てを許さない闘いを組織しよう。 二つには、「経労委報告」は、「外国人材の受け入れ拡大と環境整備」を行うべきとしている。これを受けて岸田政権は今国会に「技能実習制度」に代わる「育成就労制度」の新設のための法案を提出しようとしている。 この制度は、現代版奴隷労働制度と言われた「技能実習制度」の看板をすげ替えたものに過ぎない。過酷な労働の中で別の職場に変わりたいという願いを「二年間我慢しろ」「日本語を覚えろ」と踏みにじるものである。こうした「入管法の改悪」を許さず、「技能実習制度」の廃止をめざそう。 三つには、中小企業の数は三五八万社で全体の99・7%、従事者数は全従事者四六九七万人のうち三二二〇万人で68・8%である。この中小企業に対して人件費・労務費も含めた増加分のために「適正な価格転嫁とアップ」を行うとしているが、望ましい取引慣行の実行を「パートナー宣言」として代表者が宣言すれば事足れりとしている。 「また、消費者は無償でうけているサービスのうち、費用等が本来発生しているものを含めて適正な単価を支払う意識改革」というように、物価高も容認せよと言っているのである。今こそ、二〇二二年度に五五四兆八〇〇〇億円、前年比7・4%増加(一一年連続)となった。この膨大な内部留保金を中小企業への下請け単価の増額や賃上げの原資として吐き出させよう。 四つには、この「経労委報告」においては、「円滑な労働移動の推進」による生産性の改善を、「人材を企業の資本ととらえ、その価値を最大限に高めていくことで、中長期的な企業価値の向上につながる」として、労働者自身が適正・能力・スキルに基づいて社内移動、社外への転職、副業・兼業や出向等を時には起業などを取り組むとしている。また企業側は、自社内の仕事や役割等の要件の明確化したジョブ型雇用の導入、仕事・役割・貢献度を基軸とした人事・賃金制度への移行を行うとしている。リストラ首切りを、労働者の「主体的なキャリア形成」と言い方を変えて行おうとしているのだ。 そして、雇用保険制度などを「失業予防機能は残しつつ『労働移動推進型セーフティネット』へ移行し『三位一体の労働市場改革』(リ・スキリングによる能力向上支援)、「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動の円滑化」)「『解雇無効時の金銭救済制度』については、制度の創設の検討を急ぐべき」というように労働法制の改悪を政府に要請している。これを受けて、厚労省は「労働基準法制研究会」を発足させた。労働法制の改悪を許さない闘いを取り組もう。 五つには、この「経労委報告」では、「雇用者の四割近くを占める有期雇用等労働者の賃金引上げ・処遇改善に今後も取り組んでいく」としている。しかし、その取り組みについて、「自社の均等・均衡待遇をそれぞれの趣旨と目的を確認したうえで必要に応じて見直す」としている。 例えば、郵政の職場では、労契法二〇条裁判の二〇二〇年一〇月に最高裁判決で勝利したが、郵政会社は、裁判で比較対象になった 正社員の住居手当を廃止し、扶養手当制度の変更、さらには正社員に各三日あった夏期冬期休暇を各二日に引き下げて非正規社員も夏期冬期休暇を付与するなど、基本的に正社員の労働条件を引き下げての『均等待遇』を行ってきた。これが、「必要に応じて見直す」という言葉の真意なのである。真の均等待遇を求めて更に闘い抜こう。 また、地域別最賃については、中小企業の支払い能力論を持ち出して牽制している。更に、他国に比べて圧倒的に低い最低賃金という事実は無視して「他国では、最低賃金の除外規定を持っている」などと、最賃以下で働く労働者の存在すら容認しようとしている。われわれは、全国一律一五〇〇円の最低賃金の早期実現を目指して闘い抜こう。 六つには、「経労委報告」では「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」とし、政府も二二年「ビジネスと人権に関するガイドライン」を策定したとして、この人権に関する記述が数多くあることだ。 しかし、実態としては、外国人労働者や性的少数者、女性に対する職場内での差別事例は数多くあることだ。しかし、何ら有効な改善を行っておらず「人権の尊重」が「多様な人材の活用」のための方便となっている。 また、韓国オプティカルハイテックでは、親会社の日東電工は、火事で焼けた工場がある会社を清算し、別会社に仕事を移し、労働者を解雇した。これのどこが「人権を尊重した経営」なのであろうか。われわれは、労働者として差別と排外主義を許さず、また進出企業の悪行を許さない闘いを、韓国労働者と連帯し闘い抜こう。 全ての労働者人民の闘いと連帯しよう 今、日帝の労働者人民に対する攻撃に反撃する闘いが行われている。三里塚では、侵略反革命の拠点三里塚空港の拡張工事を許さない闘いが反対同盟を先頭に闘われている。 原発の再稼働と汚染水放出に対する闘いが地元の労働者人民の粘り強い闘いで行われている。 沖縄・琉球弧では、辺野古新基地建設粉砕の闘いや軍事基地反対の闘いが行われている。また、全国各地で反基地の闘いが繰り広げられている。 狭山差別裁判の再審勝利を目指す闘いも、部落解放同盟と共に連帯する闘いが行われている。また、差別排外主義に抗した闘いがあらゆる被差別者と連帯しながら闘われている。 そして、日帝の改憲と侵略戦争に向けた動きを阻止する闘いやパレスチナ人民と連帯する闘いなども全国各地で闘われている。 こうした闘いには、労働組合の旗がなびき、多くの労働者が参加している。われわれは、この闘いを更に推し進め、日帝打倒・労働者階級解放を目指して闘い抜こう。共に闘わん。 |
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