共産主義者同盟(統一委員会)


1638号(2023年6月20日)







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  入管法改悪弾劾! 大軍拡反対!
  岸田右翼反動政権を打倒しよう



 五月三一日、朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星の打ち上げに失敗したと発表した。打ち上げの予告以来、日帝は事態を排外主義の強化に利用し、Jアラートの発令を行った。今回の人工衛星は軍事偵察衛星であり、確かに民生用のものではない。しかし、この分野で世界のトップを行くのは米帝であり、極めて高性能なスパイ衛星を長年にわたって運用している。日帝も二〇〇三年以来、スパイ衛星を運用している。自分たちは敵対国の軍事機密をのぞき放題でも、相手のそれは許さないというわけだ。
 国内では入管法の改悪案が衆議院を通過し、参議院での審議が大詰め(六月一日現在)を迎えている。昨年、廃案になったものと問題点はほとんど改まっていないものだ。再びの廃案を目指し全国で抗議の声が上がっている。
 以上の事態に共通するのは、民衆の不満を排外主義煽動でそらし、戦争準備で生き残りを図ろうとする日帝資本とその代理人たる自公岸田政権の動きだ。その岸田政権が自らの政策に米帝をはじめとするG7諸国のお墨付きをつけ、また、G7が結束して世界の分断と支配を継続しようと開かれたのが、五月一九~二一日の首脳会議を頂点とする広島G7サミットであった。


●G7サミット粉砕 広島現地に全国から決起

 岸田はサミットの広島開催にこだわり、G7の首脳を平和記念公園と原爆資料館に招待した。米・英・仏の核保有国をはじめとして、その同盟国はその核兵器を重要な根拠として現代世界を支配し続けてきている。G7は核兵器禁止条約に敵対し、いずれも条約への批准を拒否している。日帝に至っては会議へのオブザーバー参加すら拒否している状態だ。G7は世界最大の核恫喝グループである。核兵器の廃絶ではなく、核兵器による支配のための核不拡散を主導する者たちが、広島に結集して、その世界支配のための会議を行なう。これは核なき世界を求めて闘ってきた被爆者に対する冒涜、敵対である。
 また、世界支配の継続と戦争準備のための結束、そのためのグローバルサウスと呼ばれる新興国、インドやブラジルといった諸国の取り込みも、この会議の重要な目的であった。それは民衆の側にとっては引き続き資本の利益のために生活困窮や差別排外主義を強制され、やがては戦争で命まで差し出す羽目になることを意味する。したがって、民衆の立場からはこの会議は粉砕あるのみだ。
 われわれは、新左翼諸党派、市民、労働組合に呼びかけ、G7首脳の被爆地ヒロシマ入り弾劾、国際連帯を掲げ五月一九~二〇日の抗議行動を闘った。一九日はG7首脳の平和記念公園訪問が予定されており、われわれは前述のとおり、被爆者に対する冒涜、敵対を許さないという立場から当日デモ行進を行った。広島は二万四〇〇〇人の警察官に文字通り占領されており、われわれのデモも首脳が居座る平和記念公園への接近はもちろん、出発時間まで遅らされた。しかし、国際連帯闘争に結集した海外ゲストを先頭に一三〇人の結集で闘い抜いた。
 一九日のデモ行進後は国際連帯集会を開催した。各国国内でも国際的にもそれぞれに分断と対立、排外主義の急激な高まりがある。こうした中でプロレタリア国際主義を実践するものとしてG7広島サミット現地において国際連帯闘争―国際連帯集会を実現したことは意義深い。大資本の支配を続けようとする勢力に対峙する労働者階級人民の実践的な国際交流を成し遂げた。
 翌二〇日はサミット会場を目指すデモ行進を行った。前日に引き続き市民の飛び入り参加が続き、一四〇人の結集で闘い抜かれた。規模は大きいとは言えないが、質的には帝国主義の戦争会議、世界支配会議に抗して、反帝闘争を対置し、街頭実力決起で闘いぬいた。
 また、今回の闘争は不当逮捕の権力弾圧をうち破って、全国決起で闘い抜いた。五月一一日、二月の三里塚強制執行に抗した闘いへの報復弾圧でわれわれの同志一名を含む六名が不当逮捕された。まずもって市東さんの農地取り上げ強制執行それ自体が許しがたい権力弾圧だが、その闘争時の抵抗を公務執行妨害として今回逮捕したのは、タイミングから見て反サミット闘争に力を集中することを妨害するのが目的だったのは明らかだ。事実、逮捕された同志は勾留期限いっぱいまで拘束され、G7広島現地闘争に結集することはかなわなかった。
 しかし、同志は獄中より声明を託し、それは広島現地闘争に参加する仲間たちによって確認された。政治的殺害が横行するフィリピンを含め、闘いのあるところ、世界各地で弾圧が打ち下ろされる。事前弾圧を打ち破り、獄中・獄外を貫いて反サミット闘争を闘いぬいたことを確認する。


●サミット弾劾! 大軍拡進める岸田政権を打倒しよう

 G7広島サミットそのものを批判し、弾劾する。広島サミットの特徴の第一は、主要議題の一つだったウクライナ戦争だ。これについてはウクライナ大統領ゼレンスキーの対面参加もあり、G7はロシア非難、ウクライナへの戦争支援、軍事同盟強化の煽動を達成した。G7首脳会議後、ウクライナへのF16戦闘機やミサイルの供与が進展している。また、中国への対抗を強め、分断と対立の政治が強調された。
 第二に「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の採択だ。岸田はこれを核なき世界への前進のように宣伝しているが、はっきり言ってペテンだ。「核軍縮」を掲げながら、文書の大半は核不拡散の強調である。具体的には朝鮮民主主義人民共和国とイランに対する批判、非難である。さらに、「ロシアによるウクライナの原子力施設を管理しようとする試み」に対する非難である。自分たちG7の核保有、核恫喝は不問に付して「敵」の核兵器のみを問題にする。「広島ビジョン」が目指すものは、核兵器禁止でも、核廃絶でもなく、帝国主義国とその同盟国による核独占である。これは被爆者たちが求めてきた核兵器の廃絶には結びつかないものだ。こんなもののためにヒロシマと被爆者が利用されたのである。
 ヒロシマの政治利用はほかにもある。オブザーバー参加の韓国大統領尹錫悦(ユン・ソギョル)は岸田とともに韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪問した。韓国の大統領が慰霊碑を訪問すること自体は当然だ。しかし、その主語が尹錫悦で同伴者が岸田であれば話は全然変わってくる。二人は徴用工問題などで日帝の植民地支配の責任追及を押しつぶした共犯者だ。広島では三菱などに動員された多くの徴用工が被爆した。また、ゼレンスキーは原爆で壊滅した広島を現在のウクライナになぞらえ、ヒロシマを戦争完遂の根拠とした。どちらもヒロシマと被爆者を愚弄するものだ。
 第三に新興国の取り込みだ。今回のサミットでは招待国としてオーストラリア、ブラジル、コモロ(アフリカ連合議長国)、クック諸島(太平洋諸島フォーラム議長国)、インド、インドネシア、韓国が呼ばれた。だが、このG7のもくろみは果たされなかった。帝国主義国として利害が大枠で一致するG7諸国と違い、彼らはG7の内容をそのまま受け入れた訳ではない。インドは単純にG7に従うのではなく、独自の存在感を見せた。ブラジルのルラ大統領はG7のウクライナ支援をストレートに非難、戦争終結はG7ではなく国連で議論すべきと語った。帝国主義国の世界支配力の低下を如実に示した。
 第四に金融安定の問題だ。今年三月アメリカ、スイスで相次いで銀行が破綻した。背景には金利の上昇(さらにその原因は世界同時インフレ)があるといわれている。さらに米政府の債務上限引き上げ問題が世界金融危機の引き金になるかという経済状況の中で、G7=帝国主義各国は「金融システムの強靭性維持」で協調せざるをえない事態の中にある。だが、世界同時インフレの原因はコロナ危機後の生産回復とウクライナ戦争だから、口先だけで全体の状況が変わるわけでもない。
 かつてリーマン・ショックの際はG7だけではどうにもできず、新興国の協力を仰いでG20が発足したわけだが、今や中国やロシアとの協力もできず、逆に中国をにらんだ経済安全保障の観点から「重要鉱物のサプライチェーンの構築の必要性」を確認しているありさまである。
 第五に、これはサミットそれ自体の問題というわけではないが、日本のブルジョアマスコミがほとんど報道機関として機能しなかったということである。われわれの抗議行動は、AP通信や新華社など海外の通信社は熱心に取材したが、日本のテレビ・新聞・通信社で取材に来たところは皆無。わずかに週刊誌一社が写真を撮っていっただけだった。一方で、連日の報道はサミット提灯記事ばかり。G7の首脳が原爆資料館に何分間滞在したかなど、報道する価値があるのだろうか? 前述の「広島ビジョン」や首脳の平和記念公園訪問もごく少数の批判意見を紹介するぐらいで、ほとんどは礼賛している。ルラ大統領の発言内容については、さも「非常識だ」という論調が目立つ。
 排外主義煽動とペテンくらいしか結果していないサミットを、さも大きな外交成果のように演出。徴用工問題での排外主義煽動に続き、これで岸田はまた支持率を伸ばしたという。政権とマスコミが一体となった宣伝を打ち破り、サミットの反人民性を暴露していかなければならない。


●サミット粉砕闘争の地平で闘いぬこう

 帝国主義者のサミットは世界の問題を何も解決せずに閉幕した。人民の利益を守り、戦争を終わらせ、地球環境を生物が生存可能な状態で維持できるのは全世界の労働者人民による国際連帯運動だ。アジア共同行動は、サミット闘争に引き続き、六月国際連帯集会を全国で展開している。コロナ危機下で長らく中断してきた海外ゲストの招聘も今回は実現する見込みだ。アジア共同行動を支えぬき、国際連帯運動を発展させよう。
 G7広島サミット直前の5・11弾圧と対決した地平をもって、七月三里塚闘争を闘い抜こう。農地強奪の強制執行をされた後も、市東さんと反対同盟は「闘魂ますます盛ん」である。これからも天神峰で農業を続けると、市東さんは破壊されたビニールハウスを建て直した。七月二日天神峰現地闘争&農楽まつりが行われる。三里塚に結集しよう。


   

 


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