1634号(2023年4月20日) |
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被爆地でのG7開催許すな! 全世界の労働者人民と連帯し 広島サミット粉砕を闘おう! 琉球弧の軍事要塞化粉砕!5・15沖縄解放闘争に起て きたる五月一九日から二一日にかけて、広島市内の宇品島にあるグランドプリンスホテル広島を会場にG7広島サミットの開催が予定されている。岸田政権は過去最大規模の過剰な警備体制を敷いてそれに臨み、その「成功」を自らの政権浮揚の足がかりにしようとしている。 しかし、G7サミットは帝国主義の世界支配のための道具であり、とりわけ今回の広島サミットは、ロシアや中国と対抗し、世界と東アジア―アジア太平洋における米日欧帝国主義の軍事覇権をいっそう強化していこうとするものである。さらに、米帝―バイデンをはじめとする核大国首脳の謝罪と反省なき原爆資料館への訪問も計画されている。 アジア・全世界の労働者・民衆と連帯し、G7広島サミット粉砕闘争に立ち上がることは、反帝国主義・プロレタリア国際主義にもとづくわれわれのきわめて重要な任務である。 ●帝国主義の世界支配のためのG7サミット G7サミットは全世界の搾取され抑圧された労働者・民衆の批判と闘争、粉砕の対象であり、繰り返し大規模な抗議行動に直面してきた。昨年のエルマウ・サミット(於ドイツ)においても欧州諸国からの参加者を中心に大規模な闘争が組織された。われわれ自身もまた、過去に日本で開催されたG7サミットに対する抗議闘争に決起してきた。 世界の富を独占する少数の大国の支配階級を代表する首脳たちが、その内部の利害を調整しつつ、いかにその帝国主義的世界支配秩序を維持・強化するのかということが、一九七五年の発足当初からのG7サミットにおける議論の基本的な性格であった(第一回は六カ国で開催)。金・ドル兌換の停止によるそれまでの国際通貨体制(ブレトン・ウッズ体制)の瓦解、それに加えた石油危機による七四―七五年恐慌の勃発、ベトナム侵略戦争における米帝の最終的敗北など、帝国主義の世界支配の危機・動揺を背景にしたG7発足の経緯はそのことをよく示している。 ソ連・東欧スターリン主義政権の崩壊以降、米日欧の帝国主義諸国は一九九八年にはロシアを加えてG8を編成することで、その世界支配の安定を図ろうとしてきた。それは、新自由主義グローバリゼーションが全世界を席巻し、地球規模での貧困と格差、搾取と収奪が加速度的に拡大する過程と一体のものであった。同時にそれは、アフガニスタン侵略戦争をはじめとする「対テロ」戦争の一時代でもあった。二〇一四年のプーチン政権によるクリミア併合によってロシアは排除され再びG7となるが、新自由主義政策と侵略戦争策動を基調とする帝国主義による世界支配のあり方は何も変わっていない。 今日、資本主義の不均等発展のなかで、世界経済に占めるG7諸国の位置が相対的に低下し、この七カ国だけで世界経済を規定することができなくなってきたことは事実である。それが〇八年恐慌を契機としたG20の発足を導いた。しかしそれは、帝国主義諸国の支配階級にとって、G7サミットの位置づけを低めるものではまったくなかった。むしろ、世界の「多極化」とも表現される状況を背景にこれまでの世界秩序が不断に動揺するなかで、自らが主導する帝国主義的世界支配秩序の維持・強化という共通の目的をもつこれらの諸国の支配階級にとっては、G7サミットという場はその政治的な重要性をいっそう高めていると言える。 G7サミットは、帝国主義の世界支配秩序の維持・強化という共通の目的の下に、世界の富を誰がどれだけぶんどるのかをめぐる「強盗会談」であり、自らが主導する世界支配秩序を維持するための侵略戦争の発動、軍事支配体制の強化を相互承認する「戦争会談」に他ならない。それゆえにG7サミットは、その犠牲を強いられる全世界の労働者・民衆の批判と闘争、粉砕の対象となってきたのである。われわれは、そのようなG7サミットの基本的性格を踏まえ、G7広島サミット粉砕闘争に立ち上がっていかなくてはならない。 ●G7広島サミットの反人民的性格 G7広島サミットは、前章で触れたG7サミットの反人民性を今日の国際情勢のなかであらためて鮮明に示すものになっている。 G7広島サミットは第一に、ロシア・中国と対抗して米日欧の帝国主義諸国の結束を強め、その政治的・軍事的な世界支配を正当化しつつ、その下に世界各国の政府を編成していこうとするものである。 今回の広島サミットの「戦争会談」としての性格は鮮明である。三月の岸田によるウクライナ訪問の強行は、それを端的に示した。岸田は「殺傷能力のない装備品」という名目でウクライナへの軍事支援を約束しつつ、ゼレンスキーをG7広島サミットに招待した。それは世界の分断と対立を拡大し、戦争の火種を拡散するものである。 われわれはロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略戦争を弾劾し、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を要求している。しかしそれは、即応部隊の大幅増強などこのかんのNATO(北大西洋条約機構)の強化・拡大、それとも連動した日米軍事同盟の画段階的強化など、米日欧帝国主義による世界の軍事支配体制の強化をいささかも免罪するものではない。これら帝国主義諸国による歴史的な数々の侵略戦争と戦争犯罪、今日における軍事支配強化策動を徹底的に断罪しなくてはならない。 帝国主義はこのかん、「民主主義と専制主義との闘い」(バイデン)や「共通の価値観」といったスローガンを盛んに喧伝してきた。しかしそれは、ロシアや中国との対抗・対立関係が深まるなかで、自らが主導する世界支配秩序の下に世界各国の政府を組み入れていこうとするために打ち出されているものである。「グローバルサウスとの関係強化」(岸田)もまた同様である。しかしその世界支配秩序は、戦争、抑圧、搾取、収奪の上に成り立っている。全世界の労働者・民衆が求めてきたのはそのような構造そのものの変革であり、G7諸国政府が主導する帝国主義的世界秩序の転覆に他ならない。 G7広島サミットは第二に、「自由で開かれたインド太平洋」というスローガンの下、中国に対する政治的・軍事的包囲を強めることで、東アジア―アジア太平洋における軍事緊張を拡大し、戦争危機を煽り立てるものである。 米日欧帝国主義の東アジア―アジア太平洋地域における軍事展開、この地域における集団的な安全保障体制の構築に向けた動きがこのかん急速に拡大している。自衛隊の敵基地攻撃能力の保有による日米軍事同盟の画段階的強化、米英豪による新たな安保枠組みAUKUSの形成、日米豪印戦略対話(クアッド)などは、中国への軍事的包囲を目的としたものである。アジア太平洋における合同軍事演習が拡大し、欧州諸国軍による展開も進んでいる。日米帝国主義とフィリピンやベトナムなどASEAN諸国との軍事協力も進められてきた。同時に、このような中国包囲は軍事展開のみならず、半導体などの確保をめぐる経済安全保障としても発動されている。さらに朝鮮半島をめぐっては、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)を威嚇・圧迫する米韓合同軍事演習の拡大・強化、米日韓の三国の軍事協力体制の確立に向けた動きが進められている。それらはアジア太平洋、とりわけ東アジアの軍事緊張を帝国主義の側から拡大するものである。 G7首脳をはじめとする帝国主義諸国の支配階級は、中国や共和国の動きを既存の国際秩序を脅かすものとして非難している。しかし、戦争危機、軍事衝突の危機を煽り立てているのは米日欧帝国主義の側である。「既存の国際秩序」とは、帝国主義の世界支配体制を意味している。われわれは中国や共和国に対する排外主義煽動を打ち破り、帝国主義の世界支配体制の打破こそを問題にし、その東アジア―アジア太平洋における軍事支配の強化策動を粉砕していかなくてはならないのである。 G7広島サミットは第三に、自衛隊による敵基地攻撃態勢の構築をはじめ日帝―岸田政権の反人民的政策を支持し、それを後押ししていくものである。 周知のように岸田政権は、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と語り、とりわけ「台湾有事」を煽り立てることで、琉球弧を最前線にした侵略戦争体制の構築に突き進んでいる。それは日米軍事同盟をNATOに比肩しうる軍事同盟へと画段階的に再編しようとするものである。また、強制徴用問題に関する態度に示されるように、日帝の侵略戦争・植民地支配の責任を居直り、謝罪と賠償を拒否したうえで、日米韓の三国軍事協力の強化に向かおうとしている。 岸田政権はまた、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を口実にして、原発推進政策に明確に舵を切り、原発の新増設と建て替え、再稼働の推進、運転期間の延長をおし進めていこうとしている。福島原発事故の放射能汚染水の海洋放出をめぐっては、四月一五日・一六日のG7気候・エネルギー・環境相会合(於札幌)の共同声明に「放出に向けた透明性あるプロセスを歓迎する」という文言を含めることさえ画策している。 岸田政権は、これらをはじめとする反動的・反人民的政策へのG7諸国首脳の支持を取り付けることで、続出する閣僚らのスキャンダルを乗り切り、自らの政権浮揚の足がかりにしようしているのだ。 G7広島サミットは第四に、諸大国による核独占体制を承認し延命させることで、すべての核の廃絶を求める被爆者、被爆二世・三世の解放闘争に真っ向から敵対するものである。 G7首脳の原爆資料館の訪問が計画されている。米国を先頭に、フランス、イギリスも核兵器を多数保有している。これらの核大国の首脳による原爆資料館への訪問は、今日まで続く原爆被害に何ら向き合うものではなく、むしろそれを過去のものとして切り捨てようとするものである。 かつて米大統領として広島を訪問したオバマは、「雲一つない明るい朝、空から死が落ちてきて……」などと演説し、米国政府の責任に触れないことで原爆投下を正当化し、謝罪もしなかった。バイデンにも謝罪の意思などさらさらない。バイデンをはじめ米英仏の首脳にとって、原爆資料館訪問は単なるセレモニーにすぎず、「抑止力」を口実にした自国の核武装をやめるつもりもない。 そもそも岸田政権は、二〇二一年に発効した核兵器禁止条約にすら署名せず、日米軍事同盟における「核を含む拡大抑止」を積極的に推進している。岸田が語る「核兵器のない世界」の追求などまったくの欺まんにすぎない。 われわれはこのような欺まんの上に計画されているG7首脳の原爆資料館訪問に断固として反対・抗議しなくてはならない。 ●G7広島サミット粉砕! 現地闘争に決起しよう 現在、広島市民らが呼びかけて結成された「G7広島サミットを問うつどい実行委」によって、五月一三日・一四日の行動が呼びかけられている。さらに「G7広島サミット反対現地デモ実行委員会」は、サミット期間中の五月一九・二〇日に広島市内での二日間の連続行動を呼びかけている。これらの闘争、とりわけG7首脳に対する直接的な抗議行動としての五月一九・二〇日の闘いに全国から総結集し、G7広島サミット粉砕の現地闘争に立ち上がろう。 われわれの闘いの基調は鮮明である。 第一に、G7広島サミット粉砕闘争を、反戦・反核・反帝国主義闘争として闘い抜くことであり、それをG7首脳に対する広島現地での直接的な抗議行動として闘うことである。 G7広島サミットは、帝国主義による世界支配秩序の維持・強化のための会合であり、世界の分断と対立を拡大し、帝国主義的軍事同盟の強化をもって、戦争の火種を東アジアと全世界に拡散するものである。来日するG7諸国の首脳たち、反動的・反人民的政策を推進する岸田政権に対して、反戦・反核・反帝国主義を掲げた直接的な抗議行動として広島現地闘争を貫徹しよう。 第二に、アジア―全世界の労働者・民衆と連帯・結合した反帝国際共同闘争としてG7広島サミット粉砕闘争の成功を勝ち取ることである。 戦争、抑圧、搾取、収奪の上に成り立つG7の世界支配体制、帝国主義による世界支配秩序は、全世界の労働者・民衆にとって粉砕の対象である。解放を求めて闘うアジア・全世界の労働者人民と連帯し、帝国主義の世界支配に抗する国際共同闘争としてG7広島サミット粉砕闘争を勝ち取ろう。 第三に、G7広島サミット粉砕闘争を反帝国主義・反資本主義を掲げる左派勢力の総結集として実現することである。 帝国主義・資本主義の打倒という共通の立場・目的をもった左派勢力がこのような闘いを先頭に立って推進していくことが求められている。それは日本階級闘争、国際階級闘争が日本の左派勢力に要請する共通の任務だとわれわれは確信する。左派共闘を前進させ、G7広島サミット粉砕闘争の成功を共に勝ち取ろう。 全国の闘う仲間の皆さん、反帝国主義・プロレタリア国際主義の旗の下、G7広島サミット粉砕闘争に全力で立ち上がろう! |
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