1631号(2023年3月5日) |
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23春闘を全力で闘い抜こう 労働者階級解放の道切り拓け 中央労働運動指導委員会 全国の同志・友人の皆さん、とりわけ労働者の皆さん。春闘の只中にあって、労働者階級解放への道を切り拓くべく闘いぬくことを呼びかけます。 日帝―岸田政権は昨年一二月一六日、安保関連三文書を閣議決定し、軍事予算倍増と敵基地攻撃能力の保有、そのための兵器の爆買いを行おうとしている。さらに、二月一〇日には福島第一原子力発電所の事故などなかったかのように原子力政策の大転換を行い、老朽原発の運転延長と再稼働、新たな小型原発の開発、設置を行う方針を閣議決定した。 労働法制については年末の一二月二七日、労働政策・労働条件分科会を開催し「専門業務型裁量労働制」について対象業務の拡大を決定した。また、一月二三日から始まった通常国会では、これらについての関連法案を提出するとともに、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」改定案の再提出を行おうとしている。これらは、すべての労働者人民、被差別大衆を戦争と差別と貧困の沼地に引きずりこむものであり、絶対に許すことができない。 一方、資本の下僕となり果てた連合指導部は、一月五日の「新年交歓会」に岸田を招き入れ、一月二三日には経団連との会合を行った。「賃上げを行う」という言辞の前に屈服し、物価高には追い付かない5%の賃上げ要求でお茶を濁そうとしている。しかも芳野連合会長は「スト権の確立が難しい職場環境になっている……今年はだめでも来年は取り返すという気持ちで会社と交渉を」と最初からあきらめと後ろ向きの姿勢を露わにしている。 われわれは、今こそ「軍事費ではなく賃金を上げろ」「戦争への動きを打ち砕こう」「すべての労働者、被差別大衆は団結し、差別排外主義を粉砕しよう」という声と闘いを全国各地で組織し、労働者階級解放に向けて突き進もう。 労働者を過労死に追い込む日経連を許すな 経団連は一月一七日「二〇二三年版経営労働政策特別委員会報告」~「人への投資」促進を通じたイノベーション創出と生産性向上の実現~ を発表した。まるで悪徳経営者を騙す経営コンサルタントの文書のような英文字とカタカナがちりばめられたこの報告をわれわれは徹底して批判し、腹黒い意図を満天下にさらけださなければならない。 経団連会長十倉は、序文の中で次のように記している。 「二〇二三年版報告の大きなポイントは二つある。一つ目は『円滑な労働移動』である。わが国経済の持続的な成長には、DXとEXの推進による産業構造の転換と、それに伴う成長産業・分野への円滑な労働移動による労働生産性の向上が不可欠である。硬直的とされるわが国の労働市場を円滑な労働移動に適した形へと新たに作り上げるべく、社会全体で取り組む必要がある。政府には、雇用のマッチング機能強化とともに、現行の『雇用維持型』のセーフティーネットを『労働移動推進型』へと移行すべく、『フレキシキュリティ』という言葉もあるように、雇用のセーフティーネットとリスキングを組み合わせ、働き手が安心して自己啓発やスキルアップを図り、自身の希望と能力に応じた労働移動を可能とする政策の検討を求めたい。 働き手は主体的なキャリア形成や能力開発をはかるなどエンプロイアビリティ向上に励み、企業はその支援策を導入・拡充し、働き手のエンゲージメントを高める必要がある。企業が転職・転職者を経験やスキルを有する者と評価して採用・処遇することも重要である。 二つ目は『物価動向を重視した賃金引上げ』である。今回の物価上昇を契機に、デフレマインドを払拭し賃金引き上げの機運をさらに醸成して消費を喚起・拡大することが必要である。(中略)賃金引上げのモメンタムを維持・強化し、賃金と物価が適切に上昇する『賃金と物価の好循環』へとつなげていかなければ、日本経済再生は一層厳しくなるとの危機感を強く抱いている」。 DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル化によって、製品・サービス・業務プロセスや企業文化などを変革させ、他社よりも儲かる仕組みを作ることである。そして、そこに働く労働者のEX(エンプロイ・エクスペリエンス=働くことで得られるすべての経験・体験のこと)を生かすために「成長分野への労働の円滑な移動」を行うとしている。能力開発やキャリア形成に企業も投資すること、能力のある人材を獲得するために転職を積極的に位置づけている。また、労働者の意識を「エンゲージメントを高める」つまり企業や資本の要求に応じて行っている仕事は「組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を高める」行為であり、これによって自己実現が達成できると思わせようとしている。まさに労働者の働く意欲を搾り取る、やり甲斐搾取を公言しているのである。 こうした経団連の要望に応えて岸田は「産休・育休中を自己啓発の期間として活用したらどうか」と国会で発言し「子育ての大変さを理解していない」と集中砲火を浴びた。 企業においては、リストラの手段として「あなたの能力を生かす仕事はこの職場にはない」と転職サイトが運営する講座への履行が強制され、最悪の場合は隔離部屋に押し込められている。また、パワハラや「頑張ろう」という意欲につけ込み過剰な仕事が押し付けられ過労死や過労自死、精神疾患などに追い込められている労働者が多くいる。 コロナ禍での在宅勤務が増えたことにより、仕事時間の管理があいまいになるばかりではなく、家庭内暴力が増えている。経団連はこうした現実については、一切触れていない。 さらに「労働時間と成果が必ずしも比例しない仕事に従事する労働者が増えている」として、「裁量労働制における対象業務拡大の早期実現だけではなく、労働時間法制の見直しを不断に行う必要がある」としている。これを受けて労働政策審議会は暮れも押し詰まった時期に審議会を行い、業務拡大に舵を切ったのである。この「労働時間法制の見直し」こそが、経団連の「人への投資推進」の中心軸である。労働者の能力を最大限に引き出し使いまわすために様々な政策の実現を支配階級の政治委員会に要求しているのである。われわれは、労働者の時間と命さえも奪い取る「裁量労働制の業務拡大」「労働時間法制の見直し」に断固反対する闘いを今春闘の課題の一つとしよう。 「賃上げと物価の好循環」と言いながら、連合の「賃上げ分3%程度、定昇分含め5%程度」さえ「賃金交渉では、自社の経営状況を労使で正しく共有したうえで(中略)自社にとって最適な対応を労使で見出し」と例年と変わらず、「慎重な検討を」としている。 今や「慎重な検討」をしている時間はない。誰でもどこでも最低賃金時給一五〇〇円を勝ち取とろう。今、全国各地で最賃の再改定要求や物価高に見合った一時金支給を掲げた取り組みが行われている。また、二〇二一年の企業全体の利益剰余金は、一〇年連続で増加し五一六・五兆円もある。これを賃上げや中小企業への適正な下請け価格に回させよう。こうした闘いも23春闘の大きな課題である。 大軍拡に反対し命と生活を守ろう 通常国会において軍事拡張と敵基地攻撃能力の保有に向けた予算案が審議されている。浜田防衛相は、二三年度予算で米国製巡航ミサイル「トマホーク」五〇〇発を二一一三億円使って一括購入する契約を結ぶ予定を明らかにしている。トマホークは、他国領域のミサイル基地などを破壊する攻撃能力の高いミサイルである。アメリカ軍が中東湾岸戦争やイラク戦争で使用した破壊兵器である限りない軍拡競争の行きつく先は、死屍累々、破壊された世界である。アメリカが現在立てている「台湾危機」のシナリオは、琉球弧の島々を犠牲にする戦争である。アメリカ軍と死の商人たちは安全地帯に逃げ込みながら私腹を肥やすという筋書きである。 今、多くの労働者・市民は「軍事費に税金を使うのは反対だが、中国や北朝鮮を叩くのは賛成」という従来からあるアジア蔑視の差別排外主義の意識のままである。日帝はこうした労働者の意識を利用して大軍拡を行おうとしている。貧困から這い出る出口を戦争への加担にしてはならない。 23春闘の課題としてわれわれは、日帝に対して軍事力増強反対を強く要求しよう。そして、差別排外主義に基づくあらゆる言動を団結と連帯で粉砕しよう。戦争準備を許さず、反戦・反基地の闘いの先頭に労働者は立ち上がろう。また、侵略反革命の拠点三里塚空港建設と闘う反対同盟と連帯しよう。 こうした動きとも一体となって「入管法改悪」の再上程が行われようとしている。日帝は入管施設で多くの外国人を見殺しにし、外国人を無権利状態のまま放置し、迫害する国に追い返そうとしている。前回の「改悪法」を成立させなかったのはこの命と人権を無視した法案に怒りが集中したからだ。しかし、日帝はこうした怒りの声を無視してまたほとんど同じ内容で法案を上程した。入管法改悪反対、技能実習制度廃止に向けた闘いも23春闘の課題である。 今春闘を闘い抜き、労働者階級の闘う団結を強め、解放への道を切り拓こう。 |
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