共産主義者同盟(統一委員会)


1616号(2022年6月20日)







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 日帝―岸田の軍事外交弾劾!
 
国際反戦闘争に立ち上がろう
 
                         

 
第五回天神峰樫の木まつり 7・3三里塚に結集しよう


 米大統領バイデンが、五月二一日から二四日にかけ、韓国と日本を訪問した。まず米韓首脳会談、次に日米首脳会談、そしてクアッド(日米豪印四カ国戦略対話)首脳会議が行なわれた。
 バイデンは昨年一月の大統領就任以来、「民主主義と専制主義の対決」なるスローガンを掲げて、世界の分断と対立を深めてきた。ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、その停戦に向けた外交努力を行うのではなく、ウクライナへの武器供与を推進してきた。バイデン政権は、戦争そのものをアメリカを中心とするNATO(北大西洋条約機構)対ロシアの争いに転化させようとしている。
 こうしたなかでのバイデンの東アジア歴訪は、「民主主義と専制主義の対決」を東アジアで宣伝し、日本、韓国さらにはオーストラリアやインドを自らの同盟国として引き付け、アジア太平洋地域における覇権を握りなおすことを狙うものとなった。


対立を激化させるバイデンの東アジア歴訪
▼1 日米韓・三角軍事同盟に向けた動き


 日本より先に韓国を訪問したバイデンは五月二一日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と初めて会談した。会談の内容を一言で言えば、「北朝鮮の脅威」に対して、アメリカが「拡大抑止」を韓国側に提供することであり、韓国はアメリカ主導の対中国戦略に協力することを明確にするものだった。
 「拡大抑止」の意味することは、この場合、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)に対して圧倒的な軍事力を誇示することである。これまで縮小してきた米韓合同軍事演習を拡大し、アメリカが戦略爆撃機を韓国に配備することも確認された。
 これは米韓のトランプ、文在寅前政権の対共和国政策の大転換だ。つまり南北が対話を重ねて平和的な統一へ向かう方向とは真逆に、対共和国侵略戦争を恒常的に準備し、南北の分断と対立をますます激化させる。「朝鮮半島の非核化」を言いながら、アメリカが韓国に核兵器を配備することは許されない。
 またバイデンは、米韓首脳会談後の記者会見で「(日米韓)三カ国が、経済・軍事的に緊密な関係をもつことは極めて重要だ」と述べた。米韓日の三角軍事同盟の強化だ。
 しかし日韓には、徴用工訴訟や日本軍性奴隷制度問題が棘となって突き刺さっている。日本政府が朝鮮植民地支配の謝罪と賠償を誠実に行ってこなかったことが原因だ。にもかかわらずバイデンはこの先、三角軍事同盟の形成にとって妨げとなるこれら諸問題の「解決」に向け、圧力をかけてくるだろう。

▼2 日米首脳会談で「台湾有事」と沖縄の出撃拠点化へ

 韓国に次いで日本を訪問したバイデンと岸田は五月二三日、日米首脳会談を行なった。岸田は、バイデンの日韓訪問の狙いを受け止め、まずは共和国をにらんだ「日米、日米韓の一層緊密な連携」を第一に確認した。
 そのためにバイデンが韓国との間ですでに交わした「拡大抑止」と並んで、岸田はさらに「対処力」を強化することをバイデンに約束した。
 「拡大抑止」もそうだが、「対処力」という言葉についても、政治権力者の使う言葉には警戒する必要がある。あたかも「敵国」が一方的に自国や同盟国に侵略してくるという事態を前提に、それを防衛するためと称して、敵国を圧倒する核を含む軍事力を持つことを正当化する。しかし「敵国」側から見れば、これは自国への侵略戦争の脅威にほかならない。そのことを理由に「敵国」もまた軍事力を高めるだろう。ましてアメリカ帝国主義は、これまで「独裁国家だ」「テロリストを匿っている」「大量破壊兵器を持っている」等と様々な口実を設けて侵略戦争を行なってきた国なのだ。
 岸田首相は、「対処力」を高めるために「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と述べ、バイデンに支持された。防衛予算の二倍化(一二兆円)をもってバイデン政権と共同歩調をとる。さらに岸田は、「ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」とも語っている。これらは、四月の自民党安全保障調査会の提言を具体化したものだが、重大なことは、これらは国会審議も経ず、予算編成前であるにもかかわらず、日米首脳会談でアメリカへの「公約」にしたことだ。これでどうして独立した「民主主義」国と言えるのか。
 第二に重大なことは、バイデンが「台湾有事」に対して武力介入をおこなうことを誓約として明言したことだ。これは「台湾防衛」についてその意志を明らかにしないこれまでの「あいまい戦略の転換」と報道された。中国との武力衝突、全面的な侵略戦争へ乗り出す意志を、バイデンが表明したのだ。
 バイデンはウクライナに侵攻したロシアに対し、直接の軍事対決は今のところ避けているが、その理由について「NATOとロシアが直接対立すれば、第三次世界大戦となる。われわれはそれを防がねばならない」と説明している。ならば、東アジアでも軍事介入を避けるのが道理ではないか。
 台湾をめぐる問題は、中国の内政に属することであると同時に、台湾民衆の自己決定権に関わることである。当事者同士が平和的に解決すべき問題だ。ここに他国が武力介入すべきではない。ところがバイデン政権は、台頭する中国を軍事的・経済的に封じ込め、東アジアにおけるアメリカの覇権を握りしめるという目的のために、「台湾有事」を煽っている。
 中国外務省は「主権や領土など核心的利益に関わる問題で、譲歩の余地は一切ない。中国人民の強大な能力を過小評価してはならない」と強く反発している。戦争の危機を煽っているのは、中国ではなくアメリカだ。
 第三に、辺野古の新基地建設をあくまで進めることを確認した。共同声明で「両首脳は、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である辺野古への代替施設の建設を着実に実施することを確認した」という。日本政府が折につけ語る「沖縄の負担を減らす」といった言葉はまったく空疎だ。そればかりか辺野古に作られようとしているのは代替施設ではなく、軍港と弾薬施設を備えた新たな巨大基地だ。しかも、普天間が返還される確証はない。なにより、日米政府がそろって沖縄の意志を踏みにじり、基地建設を強行してしていることは許せない。徹底して弾劾しよう。
 日米首脳会談ではこうして、対中国包囲網のために日本が軍事的にも貢献すること、さらにアメリカが主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」にも参加する意志を明らかにしたことで、バイデンからその貢献を認められた。その見返りに、日本の国連安保理常任理事国入りの支持を、バイデンから取り付けることとなった。だがそれは現状、まったく実現可能性のないものだ。
 もうひとつの見返りは、来年二〇二三年のG7サミット首脳会合を広島で開催することをバイデンが支持したことだろう。
 対中国、対共和国の戦争準備を進め、防衛費の二倍化と改憲を進めようとする岸田政権が、「平和へのコミットメント」などと称して広島でG7会合開催を行なうことは断じて認められない。
 そもそもG7諸国は、核軍縮と全く異なる方向に動いてきた。とくにアメリカは新型の小型核弾頭(使える核兵器)の開発を進めている。日本は「唯一の被爆国」と言いながら、自民党や日本維新の会が「核共有」を声高に叫んでいる。そうした核兵器信仰論者たちが広島で「平和」について何か語る資格があるのか。内外の被爆者とその子孫を侮辱するものではないのか。二三年広島G7首脳会合反対に立ち上がろう。


アジアの軍事対立を高めたクアッド共同声明

 クアッドは、岸田首相(日)、バイデン大統領(米)、モディ首相(印)とモリソン首相(豪)によって推進されてきた。
 オーストラリアは、直前の総選挙で労働党が保守連合を破って九年ぶりの政権交代となった。二四日のクアッド首脳会合には労働党党首アルバニージーが首相として出席した。オーストラリアは近年、中国との対立を深めており、クアッド参加は新政権でも既定方針だった。
 ウクライナ侵略戦争で、ロシアへの制裁を進めてきた日本、アメリカに対して、インドはロシアと友好関係にあり制裁に積極的ではない。そのため、クアッドの共同声明では、ロシアのウクライナ侵略戦争について「ウクライナにおける紛争及び進行中の悲劇的な人道的危機」という表現で、ロシア非難の文言は回避された。
 それではなぜインドはクアッドに加わったのか。それはインドもまた中国との国境紛争等を抱えるため、中国包囲網づくりに加わることは得策となると判断したのだろう。いずれにしても、このクアッドの枠組みにインドを繋ぎとめていることを、岸田は外交成果として自画自賛している。
 クアッドの共同声明では、中国について名指しはしていない。しかし「現状を変更し、地域の緊張を高めようとするあらゆる威圧的、挑発的または一方的な行動に強く反対する」とあるように、明らかに中国を念頭において、既存秩序を乱す動きだと牽制している。共同声明は、中国と対決し、四カ国の経済、政治、軍事全般にわたる連携を強化するものとして確認された。このことが意味することは、アメリカと中国の覇権争いがアジア全体を巻き込み、分断と対立、そして戦争の危機をますます強めていく趨勢となったことだ。
 東アジアの労働者民衆にとって、この戦争危機は災厄でしかない。各国の搾取階級のナショナリズム煽動と闘い、戦争準備に抗して、労働者民衆の国際連帯の闘いを強めていく必要がある。


6月国際連帯運動を推進しよう

 この五月、われわれは反革命的統合五〇年粉砕の沖縄解放闘争を闘い、日米首脳会談―クアッド日本開催反対闘争を断固闘い抜いてきた。それはアメリカ帝国主義に伍して東アジアにおける軍事大国への道を歩み始めた岸田政権との闘いでもあった。
 クアッド開催に至る五月、岸田は東南アジアとヨーロッパを歴訪し、ロシアへの経済制裁や中国敵視政策を強めてきた。その反動外交の頂点として、バイデンの来日―日米首脳会談、そしてクアッド首脳会議の日本開催強行があった。
 この日米帝国主義を軸とした、アジア太平洋の軍事同盟関係強化を許してはならない。ロシアのウクライナ侵略戦争を弾劾し、国際反戦闘争を闘い抜こう。
 そして、五月の連続闘争の地平に立って、今こそアジア民衆の国際連帯を強めよう。アジア共同行動日本連絡会議は、5・15沖縄解放闘争を沖縄―「本土」を貫いて闘い、翌週には、クアッド日本開催反対闘争を韓国、フィリピン、台湾の民衆の国際共同闘争として闘った。この成果をもって、全国各地で六月国際連帯集会を開催しようとしている。東アジアにおける戦争の危機と対決し、それぞれの抑圧的な政府・資本に抵抗しよう。日本において反戦、反基地、反原発闘争を推進するアジア共同行動を支えて、国際連帯集会を成功させよう。


7・3三里塚樫の木まつりに結集しよう

 三里塚芝山連合空港反対同盟は七月三日、第五回天神峰樫の木まつりを開催する。
 東京高裁、最高裁の反動判決によって昨年四月一日以降、市東さんの農地の強制執行が可能となっている。反対同盟と支援連は強制執行実力阻止態勢をとって、農地強奪攻撃を阻止し続けてきている。
 樫の木まつりは、市東さんの農地で開催される。7・3三里塚現地に結集し、市東さんとともに闘い抜こう。
   

 


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