1604号(2021年12月5日) |
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玉城知事の不承認 断固支持! 沖縄の決断に応え共に闘おう 沖縄の玉城デニー知事は一一月二五日、辺野古新基地建設の設計変更申請に対して、不承認を決定した。 設計変更の承認は知事の権限である。この重大な決定に、岸田政権―防衛省は従わなくてはならない。政府の強権発動で、知事決定を「執行停止」にするようなことを絶対に許してはならない。 不承認決定をうけ、翌二六日には沖縄、東京・国会前をはじめ全国各地で不承認支持の声が続々とあがっている。不承認支持、埋立て中止、工事中止の闘いを進めよう! 辺野古新基地建設阻止をかちとろう。 ●第一章 自公の反動政治をうち破ろう 一〇月三一日に投票が行われた衆議院選挙で自民党は二六一議席を獲得して絶対過半数を確保した。一方立憲民主党と共産党は、改選前よりも議席を減らした。 だが小選挙区で自民党が独占した県は、前回二〇一七年の衆院選から四県減少した。大阪府の小選挙区の自民党の議席は、全て維新が占めた。野党共闘が成立した小選挙区では、僅差で勝った自民党候補者が多かった。戦後三番目の投票率の低さにも助けられた。投票率が低ければ、組織票が多い自民・公明に有利だからだ。 一方、福岡五、一〇区、佐賀一、二区は野党共闘が勝利した。東京都の小選挙区では、立民が議席を四から八に倍増させた。岸田文雄首相が幹事長に据えた甘利明や大臣経験者が小選挙区で落選したことは、自民党への不信を示すものだ。比例区で復活当選した甘利は、幹事長を辞任せざるを得なくなった。野党共闘は、ある程度の効果を上げたといえる。 議員数で多数を制しても、岸田政権は安定しているわけではない。 一方、一一議席から四一議席に躍進した「維新」は要注意だ。同党の馬場伸幸幹事長は「われわれはニュー野党だ」と豪語した。だが維新の本質は自民・公明の補完勢力であり、改憲勢力だ。自己責任を賛美し、新自由主義を奉じる右翼ポピュリズム政党だ。それが松井一郎代表の次の暴言に表れている。「(障害者の中には)支援を受けずに働いている人もいる。公的補助を受けずに電車通勤している全盲(ママ)の職員もいた。危険だが、努力で克服していた」(二〇一九年八月一日東京新聞)。 今回の選挙の結果、衆院では改憲勢力が三分の二以上を占めた。改憲発議が現実味を帯びてきた。われわれは街頭活動を一層強化して、改憲勢力と闘わなくてはならない。 二〇年以上にわたって小泉、安倍、菅が行ってきた新自由主義政策によって、貧富の格差は拡大した。「一億総中流社会」の幻想は、完全に消えた。労働者階級の貧困は深刻化する一方だ。それに追い打ちをかけたのが二〇二〇年の新型コロナウィルス感染拡大状況下での自公政権の労働者人民の命とくらしの破壊だ。大資本には莫大な資金を投入し、労働者人民には適切な検査と医療を保障することなく、失業と生活難を強要した。 非正規労働者が多く働く飲食業や小売業は営業自粛や休業を強制された。そのため非正規労働者は収入減に苦しめられた。特に非正規労働者が多い女性が受けた影響は深刻だった。それは、二〇二〇年の職に就いている女性の自殺者数が、一九年までの五年間の平均と比べて三割近く増加したことに表れている(二〇二一年版『自殺対策白書』)。 一方、今年一月の日経平均株価は、一九八〇年代末期のバブル景気時の水準に回復した。この株価高騰によって富裕層は、資産を増やした。 新型コロナウィルス感染対策から逃げ出した菅前首相から政権を受け継いだ岸田首相は、「新しい資本主義」なるものを打ち出した。だが、一一月八日の『新しい資本主義実現会議』の緊急提言で馬脚を現した。柱とされた同一労働同一賃金の徹底や看護・介護・保育人材の賃上げは、安倍前政権下の二〇一六年の「骨太の方針」の丸写しだ。一〇兆円規模の大学ファンドの設置は、菅前政権が今年六月に発表した『成長戦略実行計画』そのままだ。結局「新しい資本主義」は、アベノミクスの継承でしかないことが明らかになった。 岸田政権は安倍・菅の「インド太平洋戦略」を継承し、戦争準備を進めている。防衛省は岸田首相の指示により一一月一二日、「国家安全保障戦略」や「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画(中期防)」の戦略三文書の改定に向け『防衛力強化加速会議』を設置した。同会議は、敵基地攻撃能力の保有も含めて議論するとした。岸田首相は「あらゆる選択肢を検討する」と説明した。敵基地攻撃能力、自民党選挙公約で明らかにした防衛費GDP比2%、一〇兆円の軍拡予算の検討など断じて許すことはできない。 今年九月から陸上自衛隊一〇万人が参加する二八年ぶりの大演習が行われた。この演習は、迅速な部隊移動や物資輸送に主眼を置いた大演習だ。これには一〇社の民間運送会社やフェリー、航空会社一社、JR貨物が使われた。有事の際には、これらの民間企業を戦争に動員するのは明らかだ。さらに宮古島にミサイル弾薬が一一月中旬搬入された。粘り強く闘う住民と連帯し、琉球弧の対中国最前線基地化に反対しよう。 労働者に血を流させて利益を得ようとする日帝ブルジョアジーの姿勢は、大日本帝国時代から変わらない。日帝ブルジョアジーは、「経済安全保障」を要求している。 新自由主義グローバリゼーションの下でのサプライチェーンの海外展開ゆえに、日帝資本の生産体制が国際的な危機に弱いことが鮮明になっている。半導体不足がその例だ。「戦争ができる国」以前に、有事に経済活動が出来るのか、ということがブルジョアジーの危機感になっている。岸田政権は、この危機感を受けて経済安全保障相を新設した。経済安全保障推進法の制定に本格的に乗り出している。 これは、外資による重要企業への1%以上の出資を事前審査する外為法を基盤とする法案だ。放送や通信、銀行などへの外資の出資やシステム整備を、経済安全保障の視点で監督できる仕組みを整えるようとしている。そして半導体と電気自動車用先端電池、レアアース(希土類)、医薬品の四品目を重要物資として指定し、同盟・友好国からの調達強化を支援する措置を検討する。軍事転用可能な高度技術の特許出願を一定期間非公開にできる「秘密特許」制度も盛り込むともしている。つまり経済に対する国家統制を、官民合同で強化するというものだ。 労働者人民の生命よりも日帝大資本の利益を優先する岸田政権は、打倒するしかない。 ●第二章 反戦・反基地推進し岸田政権を打倒しよう 中国包囲網のための実践的訓練である陸上自衛隊大演習反対運動や、『2012岩国行動』を受けて、さらに反戦・反基地闘争を進めよう。岸田政権打倒を闘おう。 沖縄の辺野古新基地建設と、自衛隊の琉球弧配備強化を阻止しよう。 今年一〇月から、毎月第一土曜日の「県民大行動」をリモートを利用して各地とつなぐ運動=「ブルーアクション」が取り組まれている。参加者は、青色の鉢巻きやシャツを身に着けて辺野古新基地建設阻止の意思を表明する運動だ。この沖縄現地の行動に呼応して「ブルーアクション」が東京・新宿で開始されている。 全国で沖縄現地に呼応した闘いを進めよう。 米中対立が進行する中で、在日米軍基地の強化が進められている。自衛隊と在日米軍の一体化が加速している。 その一例が、京都府京丹後市に設置された在日米軍のXバンドレーダー基地だ。健康被害をもたらす可能性がある強力な電磁波を発するこのレーダー基地は、既に騒音や米軍人の事故などで住民に被害を与えている。テロ対策と称し、銃器を使う演習で住民を威圧している。戦争になればレーダー基地は真っ先に攻撃目標になるため、住民は攻撃に巻き込まれると懸念している。レーダー基地を撤去して、静かな安心できる生活を取り戻したいと願う住民の闘いを支援しよう。 新型コロナウィルス感染拡大により、航空需要は世界的に落ち込んだ。成田空港も旅客便は激減した。にも関わらず成田空港会社(NAA)は、第三滑走路を建設するために市東さんの農地を強奪しようとしている。司法もこの攻撃に加担した。今年六月八日に最高裁は、市東さんの農地の強制執行をめぐる請求異議裁判で、NAAによる強制執行を認める反動判決を下した。全国総決起集会には、各地から強制執行を阻止すべく多くの人々が結集した。 現地での闘いと裁判闘争継続によって、市東さんの農地を守り抜こう。 岸田首相は元外相の経験を生かすと意気込んで一一月二日、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に出席した。岸田はクリーンエネルギーへの移行を演説しておきながら、石炭火力廃止声明には賛同しなかった。石炭火力維持の経産省の意向があったからだ。「気候変動ネットワーク(CAN)」は、『化石賞』を贈った。岸田は、大量の二酸化炭素を排出する石炭火力廃止に消極的であると認定されたのだ。 その岸田政権は、地球温暖化防止のための二酸化炭素放出ゼロ達成と称して原発推進を継続している。「原発は二酸化炭素を出さないから、温暖化防止の切り札になる」との嘘を言い立て、老朽化が著しい福井県の関西電力美浜原発三号機と高浜原発一、二号機、そして茨城県の日本原電東海第二原発の再稼働を強行しようとしている。これを阻止するために、一一月二四日から二七日にかけて「高浜~美浜リレーデモ」、一二月五日に「老朽原発そのまま廃炉! 大集会イン大阪」が開催された。この反原発の闘いを受けて、全国の老朽原発再稼働阻止の闘いをさらに拡大させよう。全ての原発を廃炉に追い込もう。 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部やユニオン北九州など、階級的労働運動を闘う労働組合に対する権力と資本の弾圧が行われている。「弾圧をはねのけろ12・12全国同時アクション」に結集しよう! 全国の労働者は団結して闘おう! |
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