共産主義者同盟(統一委員会)


1603号(2021年11月20日)






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老朽原発を再稼働するな
  岸田自公政権を打ち倒せ



 岸田政権が九月に発足し、一〇月三一日に総選挙が行われた。その結果、自民党が絶対安定多数の議席を獲得し、衆議院では改憲勢力が三分の二以上を占めるにいたった。岸田内閣は、安倍・菅内閣の政策を継承し、格差と貧困を拡大すると同時に、改憲と戦争への道を突き進むきわめて危険なものだ。各地で反戦・反基地闘争を闘い抜き、岸田政権を打倒しよう。


●第1章 岸田自公政権打倒
▼1節 総選挙結果


 一〇月三一日に投開票された衆議院選挙では、自民党が一五議席減とはいえ絶対安定多数となる二六一議席を獲得、連立を組む公明党三二議席と合わせて二九三議席を獲得した。立憲民主党は九六議席(一三議席減)、共産党は一〇議席(二議席減)にとどまり、社民党、れいわ新選組と合わせた四党による野党共闘は合計で一三議席減の一一〇議席と低迷、政権交代には程遠い結果となった。一方、日本維新の会は三〇議席増の四一議席を獲得した。総じて、自民公明が政権を維持し、野党共闘が議席を減らし、維新が大幅に伸張するという結果となった。

▼2節 岸田自公政権は安倍・菅政権の継続
◆1項 安倍、麻生、高市と結託した政権


 岸田文雄は、自民党の総裁選決選投票において、安倍が担ぎ出した高市早苗の支持者や安倍が影響力を持つ細田派議員などの票を得て総裁の座についた。その後の人事では副総裁に麻生太郎、幹事長に同じ麻生派の甘利明、政調会長に高市を充てた。また、内閣官房長官には細田派の松野博一を起用し、外相茂木敏充と防衛相岸信夫は留任させた。総選挙後、甘利辞任によって茂木が幹事長となり、外相は岸田が兼任している。
 一方で原発推進に異を唱える河野太郎や小泉進次郎を閣外に追放し、原発の新増設や再稼働に道を開こうとしている。ちなみに甘利は、原発推進議連の顧問だ。
 こうした人事によって、当初主張していた新自由主義政策批判は弱まり、原発政策、「自衛隊明記」を含む改憲や「敵基地攻撃能力の保有」などの安倍・菅政権を全面的に引き継ぐ政策に転化していくことが鮮明になった。
 安倍政権の森友・加計疑獄、桜を見る会の疑惑、あるいは甘利の都市再生機構(UR)疑獄事件も、さらには参院選広島選挙区での大規模買収事件も、岸田は調査・追及を否定するに至った。総裁選で公約した「党の改革」はどこに行ったのか?
 岸田政権は、安倍・菅政権を引き継いだ、あるいはそれ以上に危険な軍備増強と戦争の推進、利権と腐敗にまみれた政権というほかない。加えて、大きく議席を伸ばした維新の代表・松井一郎は早くも「来年の参議院選挙に合わせて改憲の国民投票をするべき」と発言するなど、危険な動きが強まってくる可能性がある。これをなんとしても阻止しなければならない。

◆2項 抜本的なコロナ対策を行なわない政権

 岸田政権は、新型コロナ対策を選挙公約の重点項目の一つとした。しかしその中身は、三回目のワクチン接種を進めるなど、これまでの政策を継承するものでしかない。政府の無策によって感染拡大が「制御不能」(八月、専門家会議)の状態となり、医療崩壊が引き起こされた。多くの感染者が、入院することもできず、十分な治療を受けられないまま自宅で命の危険にさらされ、あるいは命を落とすなどした。現在、政府の発表する感染者数は減少してはいるが、新たな感染拡大や第六波を防ぐためには、これまでの医療体制を抜本的に改め、病院や保健所の削減を止め、病室や医療従事者の確保、検査体制の確立が必要だ。また、失業や貧困の危機の中で休職や休業もままならない労働者や中小零細企業への給付・補償の拡大などが必要だ。

◆3項 アベノミクス焼き直しの経済政策

 岸田は、従来の新自由主義的な政策が格差拡大を招いたとして、「新しい資本主義」を掲げ「成長と分配」を強調する。本当に「分配」を強化しようとするのなら、当初主張したように新自由主義政策を覆すような経済政策の変更が必要だが、これまでの政策の部分的な修正にとどまっている。いったん打ち出した金融所得課税の強化も、すぐに取り下げてしまった。岸田が六月に発足させた「新たな資本主義を創る議員連盟」は甘利が発起人に名を連ね、安倍と麻生が最高顧問に就いている。一〇月八日の所信表明演説では「金融緩和」「機動的な財政出動」「成長戦略」というアベノミクスの「三本の矢」がそのまま残り、文字通り安倍・菅政権の継承となった。これは、格差と貧困の拡大を継続するということだ。

◆4項 資本のための「経済安全保障」

 また、岸田の政策の一つの目玉となるのが「経済安全保障政策」という新しい分野の構築と推進だ。九月の自民党総裁選で「経済安全保障推進法」の策定を掲げ、一〇月四日の組閣では、経済安保相のポストを新設、ここに小林鷹之を充てた。この経済安全保障政策こそが、日帝ブルジョアジーの強い要求である。コロナ禍かつ米中対立という情勢の中にあって、新自由主義グローバリゼーションの下でサプライチェーンの海外展開が進んだがゆえに、日帝資本の生産体制が国際的な危機に非常に弱いことが鮮明になっている。「戦争のできる国」以前に、有事に経済活動ができるのか、ということが、ブルジョアジーの危機感になっているということだ。
 この政策の基本は、自民党が二〇年六月に立ち上げた「新国際秩序創造戦略本部」にあり、本部長が岸田、座長が甘利、小林が事務局長を努めている。彼らが自民党の経済安全保障政策を牽引してきたのである。そこには、資本の利益を確保するための視点しかない。

◆5項 軍備増強路線の継続

 外交・軍事面においても、「インド太平洋」戦略を掲げ、中国、朝鮮民主主義人民共和国を敵視しての軍事力強化など、安倍・菅政権をそのまま継承している。
 この九月から一一月にかけて、陸上自衛隊の大規模演習が実施されている。二八年ぶりというこの演習には、陸自の全部隊から一〇万人が、さらには民間の船舶や在日米軍も参加した。菅から岸田へと政権が移行しても、大演習はそのまま継続されてきた。岸田政権は、軍事費の倍増(GDP比2%=約一〇兆円)や敵基地攻撃能力の保持、改憲などを画策し、戦争国家化の道を突き進んでいる。これを絶対に許してはならない。


●第2章 反戦闘争、反基地闘争をさらに推進しよう
▼1節 岩国行動を取り組み、反戦・反基地闘争進めよう

 京都では、一〇月一七日に「変えよう! 日本と世界 新自由主義に代わる社会をめざそう」集会とデモが取り組まれ、三六〇人が参加、二三日には大阪で「とめよう戦争への道 めざそう! アジアの平和 2021関西のつどい」が四〇〇名の参加で闘われた。一〇月二四日には、東京で「南西諸島(琉球弧)での大軍事演習に反対する! 今こそ反戦・反改憲の声を! 10・24集会&防衛省デモ」が約七〇名の参加で取り組まれた。

▼2節 Xバンドレーダー基地撤去の闘いを推進しよう

 京都府京丹後市の米軍Xバンドレーダー基地では、今年五月に二期工事が完了し、当初説明のなかった防御壁が建設されるなど基地の要塞化がすすみ、同時に隣接する自衛隊基地も拡張された。今年六、七月に行なわれた日米共同軍事演習「オリエント・シールド21」の一環として「基地警護訓練」が米軍・自衛隊によって行なわれた。軍事演習の強度も年々増している。基地周辺の住民による闘いはもとより、関西の市民団体などによって、基地撤去の粘り強い闘いが続けられている。
 米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会は、一一月二八日に「東アジアでの日米『ミサイル防衛』体制の強化反対! 基地撤去!」などを求めて京都集会とデモを開催する。この闘いに参加しよう。

▼3節 市東さんの農地を守り抜こう

 三里塚では、市東孝雄さんの農地を守る闘いを反戦・反基地闘争と結合して闘う陣形が固められている。六月の最高裁の不当な上告棄却によって、成田空港会社による強制執行が可能な状況になってはいるが、コロナ禍で旅客便は激減し、市東さんの農地を取り上げる根拠は全くなくなっている。一〇月三日の全国総決起集会では、四九〇名の闘う労働者人民が結集し、強制執行阻止に向けた決意を新たにした。

●第3章 老朽原発再稼働を許さず、すべての原発を廃炉に
▼1節 美浜三号機、高浜一・二号機、東海第二の老朽原発再稼働を許すな

 今年六月に再稼働した関西電力美浜原発三号機は、「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置期限に間に合わず、一〇月二三日に運転を停止した。この三カ月の間に二度もトラブルを発生させている。来年一〇月の再稼働を目指すという。また、設置期限に間に合わなかった高浜一号機、二号機の再稼働は当面、断念しているが、二年後の再稼働を目指している。
 福井や関西の市民団体でつくる「老朽原発うごかすな! 実行委員会」は、一〇月二三日から一二月四日までを「老朽原発このまま廃炉! キャンペーン」期間として、集会やデモ、現地での抗議行動、「ヒトリデモ」(一人ないし数人で旗や幟を持って街頭を歩く)などを繰り広げている。
 その一つが、一一月二四日から二七日まで行われる「高浜~美浜リレーデモ」であり、一二月五日に大阪で行われる「老朽原発このまま廃炉! 大集会inおおさか」だ。
 岸田政権の原発推進策動を粉砕し、全原発廃炉に向けて闘いに立ち上がろう。

   

 


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