共産主義者同盟(統一委員会)


1601号(2021年10月20日)






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労働者が反戦闘争の先頭に立とう
 2021岩国行動に結集しよう



 岸田文雄政権が発足した。この政権は何を目指すのか? 党三役や組閣の顔ぶれを見ただけでその正体が透けて見える。それは安倍晋三や麻生太郎らが強い影響力を持ち、そうであるがゆえに内政でも外交でも「表紙が変わっただけ」の政権だろうということである。
 今秋、反戦反基地、反貧困、反差別のたたかいの現場から労働者人民は立ち上がり、岸田政権の正体を暴き出し、打倒しよう!

●第1章 安倍・麻生・甘利と一体の岸田政権打倒

 九月二九日の自民党総裁選で、岸田文雄が選出された。そして一〇月四日の臨時国会で、第一〇〇代首相となり、自民、公明による連立政権が発足した。岸田は組閣と同時に、衆院選の日程を一〇月一九日告示、同月三一日投票と発表した。これは、コロナ感染者が減少した今のうちに、そして「ご祝儀」の支持率が下がる前に、さらには野党の候補者調整が整う前に、選挙をやってしまおうという打算である。
 だが、党三役や組閣人事が明らかになるにつれ、すでに岸田政権の性格が明らかになり、支持率は最初から低迷している。
 この政権は第一に、安倍晋三や高市早苗など極右や甘利明、麻生太郎ら利権にまみれた議員たちの強い影響力のもとにある政権であり、「生まれ変わる」どころか従来の安倍・菅政権を引き継ぐ政権であるということだ。
 総裁選で安倍は高市を自らの後継者として支援しつつ、決選投票において、高市の票を岸田に上乗せさせ、石破茂の支援を受け議員票でも優勢だった河野太郎を追い落とした。その結果、森友・加計、桜を見る会など安倍政権の疑獄事件は封印された。安倍の盟友である麻生は副総理に就任、さらに麻生派の甘利が幹事長に就任した。甘利は、二〇一六年のUR(都市整備機構)をめぐる現金授受疑惑で経済再生相を辞任した人物だが、その疑惑も晴らしていない。
 第二に、経済政策では「新しい資本主義の実現」「成長と分配の好循環」をうたっている。これはアベノミクスが株価を押し上げ、富裕層がますます富む一方で、圧倒的な労働者は生活苦に喘ぐ「格差社会」をもたらしたという批判に対し、「格差是正」を強調する。具体的には子育て世帯の支援や医療や介護、保育に関わる労働者の賃金底上げを掲げる。だが安倍や麻生の強い影響下でアベノミクスに対抗する経済政策を打てるのか。財源はどこにあるのか。財源を大企業や富裕層ではなく、消費税など大衆増税に求める可能性もある。要するに総選挙に勝利するための、バラマキ政策の宣伝である。
 第三に外交、安保に関わる領域では、安倍・菅政権の継承がもっとはっきりしている。外務大臣に茂木敏充、防衛大臣に岸信夫をそれぞれ再任した。再任はこの二名だけである。茂木外務大臣のもとで、「自由で開かれたインド太平洋」という名の中国包囲網の形成や環太平洋経済連携協定(TPP)といった外交政策が推進されてきた。岸防衛大臣もまた、辺野古新基地建設や琉球弧への自衛隊配備を強行してきた人物だ。米軍のアフガニスタン撤退にあたり、自衛隊機の派遣に積極的に動き、邦人救出を名目にした海外派兵に先鞭をつけた。
 組閣では経済安全保障担当相というポストが新設された。技術やデータの流出といった「経済安保」を課題とするという。中国等に奪われた日本の半導体のシェアを取り戻し、中国に対抗して生産を分け合うという。これもまた軍事同盟強化とならぶ、米中対立の反映にほかならない。
 組閣に先立ち、自民党の政策の責任者である政調会長に、高市が就任した。高市は安倍を引継ぎ、総裁選でも敵基地先制攻撃論や中国敵視、そして改憲を訴えている。
 最後に岸田首相自身はどうか。池田勇人が創設した一派閥である宏池会の会長だ。宏池会は一般には「ハト派」とか「保守のリベラル」などと呼ばれてきたが、少なくとも今回の総裁選で明らかなように安倍の細田派や麻生派の支援を受け、見返りに党三役や大臣ポストを提供するなど、宏池会の「ポリシー」はどこにも認められない。現時点で明らかなのは、岸田は「人の話を聞くのが特技」と言いつつ、真っ先に安倍の言うことをよく聞いているということだ。
 「被爆地・広島」の出身で、「核兵器のない世界に向けて全力を尽くす」と言うが、核兵器禁止条約の批准に触れることすらない。まったく被爆者の願いとかけ離れている。
 そして岸田は、二〇一五年、外務大臣として「日韓慰安婦合意」を締結した当事者である。慰安婦問題は「最終かつ不可逆的に解決」したと当時の朴槿恵大統領に認めさせた。これによって日本国家としての謝罪と賠償を求める元「慰安婦」の声を封じ込め、日本大使館前の「少女像」の撤去を迫ったのだ。
 こうした態度を見てもわかる通り、岸田は「丁寧で寛容な政治を進める」等と安倍や菅の「強権、腐敗、忖度」政治を一新するかのようなイメージを装いつつ、実際には内政でも外交でも従来の路線を踏襲していくであろう。
 これに対し、間近に迫った衆院選で岸田政権に痛打を浴びせることが必要だ。新自由主義政策とコロナ禍で打撃を受け、明日の生活にも事欠く民衆にとって、自公政権の継続は災厄以外の何物でもない。また、沖縄をはじめとした反基地闘争、原発推進政策の転換、気候危機対策にとって有利となる候補者を当選させよう。しかし選挙よりもっと重要なことは、労働者人民が自ら立ち上がり、団結し、岸田政権を追い詰め打倒する具体的なたたかいだ。

●第2章 軍事演習反対! 11月岩国行動へ

▼全国で、陸自大演習反対の反戦闘争に立ち上がろう


 陸上自衛隊の大規模な実動演習(陸自大演習)が九月から実施されている。陸自の全部隊から一〇万人が参加する、二八年ぶりの大演習だ。
 「海洋進出を強める中国を念頭に、運用の実効性や抑止・対処力を高め、南西地域の防衛力強化を図る」(南日本新聞)と報道されている。北海道などからも部隊を動員し、九州の霧島演習場、福山演習場などで演習をおこなう。航空機が約一二〇機、車両約八〇〇台が展開し、予備自衛官まで動員するという。
 自衛隊の戦闘部隊の演習は、これまで何度も実施されている。昨年一〇月の日米共同統合実動演習「キーン・ソード21」では、陸上自衛隊水陸機動団約一〇〇人と、在沖縄米海兵隊約四〇人が上陸、戦闘訓練をおこなった。今回の演習は作戦準備を焦点とした演習であり、陸自全体としての補給、支援体制の実動的な確認が目的とみられるが、米軍も参加した日米一体の対中国戦争訓練にほかならない。
 演習の背景には、バイデン政権の安保戦略がある。「国家安全保障戦略の暫定的な指針」(三月三日)の米軍戦略と、日米同盟の強化のもとで、自衛隊の役割もまた変貌しつつある。「第一列島線」に近づく艦船や航空機への攻撃、安保法制にもとづく米艦・航空機防護、米軍出撃拠点の提供、米軍機への給油などの物資提供を自衛隊が担うことである。さらに「台湾有事」の際には、自衛隊が全面的に紛争に介入する道を開くことになる。
 このような狙いをもった陸自大演習に対して、今秋期、全国各地で反戦、反基地闘争に立ち上がろう。その主体的な力は、基地の周辺住民の闘いであり、これに連帯する反戦派労働者の団結だ。

▼2021岩国行動に全国から結集しよう

 アジア共同行動日本連と岩国・労働者反戦交流集会実は、今年も岩国基地の全面撤去と米軍・自衛隊の基地強化反対を掲げた2021岩国行動(一一月二〇日~二一日)を呼びかけている。
 コロナ下でも機能強化が続く岩国基地は、厚木基地から移転した空母艦載機が周辺住民に爆音被害をもたらし続けているばかりか、ステルス戦闘機F35Bの追加配備が強行されている。しかもこのF35Bを使って、事実上の空母化が進む海上自衛隊の護衛艦「いずも」で自衛隊が発着訓練をおこなおうとしている。いずもは一〇月二日に岩国基地を出港した。日米軍事一体化を露骨に示す訓練が、岩国を拠点におこなわれている。
 中国包囲網づくりと陸自大演習が強行され、日米軍事同盟の強化と改憲攻撃が差し迫る中で、反基地闘争の様々な現場で闘うこと、その連帯を強め抵抗と反撃に立ち上がることこそが岸田政権に痛打を浴びせることになる。岩国行動には闘う岩国市民や、沖縄、佐世保、京丹後、宮古の反基地闘争の現場で闘う人々が結集するほか、米軍THAAD配備と闘い続ける韓国・ソソン里ともオンラインで繋がっていく。この闘いに全国から結集しよう!


▼市東さんの農地を守り抜こう

 「反戦の砦」三里塚闘争は、市東孝雄さんの農地を守り抜く決戦局面を迎えている。
 一〇月三日、成田市栗山公園で開かれた全国総決起集会で、三里塚芝山連合空港反対同盟は「倒産の危機に立つ空港会社に、市東さんの農地を奪い生活を破壊する権利など一切ない。絶対に強制執行を許してはならない。現地での強制執行実力阻止態勢をより強固に、『農地死守・実力闘争』で迎え撃とう!」とアピールした(集会宣言)。実際、新型コロナのパンデミックにより航空需要が激減し、航空会社、空港会社が破綻の淵にあるなかで、市東さんの農地を奪うことに何の必要性もなければ経営的な合理性もないのだ。ただひたすら反対同盟への憎しみから市東さんの農地を奪って、空港反対運動を弱体化させることを狙っているのである。
 空港会社は、コロナの収束後に航空需要は激増するだろうとの願望にもとづいて、二四時間空港化や第3滑走路建設など空港機能強化を進めようとする。しかしそのためには、反対同盟の存在が立ちふさがっているし、反対同盟の闘いが周辺住民の新たな決起につながることもかれらにとって不安材料なのだ。
 「沖縄、福島とともに闘う」と宣言し、日々、営農を続ける市東さんの決意に応え、市東さんの農地を守り抜こう。強制執行を阻止しよう!










 


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