共産主義者同盟(統一委員会)


1597号(2021年8月5日






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感染爆発第5波は菅政権の責任だ

 オリンピックを中断し退陣せよ!


 政府は五輪開催に向けた切り札として、二月からワクチン接種を始めた。医療従事者を最優先に、高齢者、基礎疾患をもつ人、高齢者施設等の従事者という優先順位を決め、接種をすすめた。
 介護労働者は医療従事者以上に高齢者・障害者と濃厚接触することもある。優先度は高いと考えられるが、その接種は各自治体の裁量にまかされた。小規模な高齢者施設の介護職員は五輪開会式の日に一回目のワクチン接種をようやく受けた。介護労働者は感染しない・させないためにN95マスクなど重装備で介護にあたっている。
 昨春、集団感染が起きてしまった都内の施設でも、行政から職員派遣も経済的支援もなされないなか、残った数名の職員が懸命に入居者の生活を支えた。
 求人難は増している。低賃金の介護労働者の公費による労働条件改善が必要だ。介護労働者がいなくなり介護事業所もなくなり、高齢者をみる人がいなくなるかもしれない。あらゆる職場でPCR検査を受けやすい体制、休業と補償が必要だ。

●1章 東京五輪即刻中断せよ 命と生活守るコロナ対策を

 新型コロナの感染拡大で過半数の人々が中止・延期を求める中、菅政権は緊急事態宣言を解除し有観客の五輪開催を決定した。しかし、七月に入ると東京都に緊急事態宣言を出さざるをえなくなり、無観客開催に変更した。沖縄「県」では緊急事態宣言を継続。福島県では二〇一一年以来、原子力緊急事態宣言が発令中である。
 「復興五輪」・「コロナに打ち勝った五輪」ではない。「スポーツの祭典」で明るい話題を作り、自民党のかかえる諸問題を後景化させ総選挙にもちこもうとするも、全く祭典ムードではない。五輪を中止し、コロナ対策に集中するべきだ。
 参加選手も大会関係者もコロナに感染し、海外からの関係者は街を自由に動き回っている。感染をおそれ選手村を避け、ホテルに滞在する選手団もいる。外部と接触させないとするバブル方式は完全に破綻している。
 二〇一三年招致活動で安倍首相(当時)は「復興五輪」と位置づけ、福島原発事故について「アンダーコントロール」と偽って東京を当選させた。しかし、今年四月、たまり続ける汚染水の海洋放出を決定した。
 開催費用は七三四〇億円としていたが増え続け三兆円を超えた。絶望的状況でも立ち止まらず突き進むことが、かつてのアジア太平洋戦争に向かう過程と重なる。悲劇を繰り返してはならない。都内や大阪など全国各地で開催反対のデモが闘われている。
 開催準備の過程で組織委員会会長などの辞任が相次いだ。前会長森はJOC臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」、「私共の組織委員会の女性委員はみんなわきまえておられる」との発言が批判され辞任に追い込まれた。開閉会式の演出の統括役に就いた佐々木宏氏はSNS(ライン)上で、出演予定の女性タレントの容姿を侮辱した発言をし、辞任した。さらに、開会式直前になって、小山田圭吾氏と小林賢太郎氏が、過去の差別的発言を問われて辞任した。
 オリンピック憲章に定める「オリンピズムの根本原則」には、「オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」とある。JOCの混乱はいかに矛盾しているか! 開会式直前にJOCの人事が入れかえられたとはいえ、この辞任した人々が推進してきた東京五輪であったのだ。差別を放置する人々による「祭典」など認めることはできない。
 一方、五輪は平和を建前としている。そうであるならば、五輪誘致国の日本は、核廃絶を進める義務がある。米国の核の傘に入っていて核廃絶できるのか! 福島原発の事故後も老朽原発の再稼動を強行し、新増設を狙っている。核兵器開発の可能性も捨ててはいない。原発を全廃し、核兵器禁止条約に加盟し、日米安保条約を破棄するべきだ。

●2章 人民を恫喝する強権政治

 西村経済再生相は七月九日の記者会見で、飲食店に対する「金融機関による働きかけ」を政府方針として発表した。コロナ禍で繰り返されてきた「緊急事態宣言」によって資金繰りが厳しい飲食店に対して、さらに融資の権限を握る銀行から圧力をかけさせようという脅迫的な政府方針だ。これに対しては、与党内からも反発が出るほど菅政権批判が強まり、西村自身が翌日に撤回せざるをえなくなった。
 金融機関からの圧力は撤回したものの、酒類販売事業者に対して「休業要請に応じない飲食店との取引停止」の政府方針を変えなかった。この政府方針は内閣官房と国税庁が七月八日、文書で通達していた。この通達に対しては飲食店も酒類販売事業者も反発。そして、業界団体を票田とする与党―自民党からの強い抗議が起こった。一三日に西村が記者会見し、政府として撤回した。
 西村が勝手に決めたことではない。オリンピック強行目前に緊急事態宣言を発出するにあたって、菅自身をはじめ政権の主要閣僚が七日に閣僚会議を開いて決定した政府方針だ。
 これらの方針が撤回されたとはいえ、この政治手法こそが問題である。菅政権の本性が如実に表われている。充分な休業補償を行なってコロナ対策の休業要請の協力を求めるのではなく、とにかく政府方針で統制しようとし、特措法に規定のない、金融や取引の停止という圧力を非合法に用いてでも従わせようとする。「コロナ対策」だと言いながら、人民を恫喝して従わせようとする強権的政治手法を絶対に許してはならない。菅政権発足時の学術会議任命拒否から一貫した政権の体質だ。怒りを集中して菅政権を打倒しよう。

●第3章 陸自大演習阻止に立ち上がろう

▼3章―1節 対中国を強調する防衛白書

 七月一三日政府は防衛白書を公表した。武器使用を想定した海警法を施行させ海洋進出をはかる中国への警戒感を表した。台湾情勢を日本の安全保障に重要だと初めて明記した。四月の日米首脳共同声明で出された内容「日米両国は、南シナ海(ママ)における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明するとともに、国際法により律せられ、国連海洋法条約に合致した形で航行及び上空飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海(ママ)における強固な共通の利益を再確認した。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」などを踏襲した。
 米国とは首脳会談や外務・防衛の閣僚協議、防衛相会談などの機会を通じて連携強化に取り組むとした。また多国間の防衛協力として、昨年、日米豪印四カ国のQUADと呼ばれる枠組みで実施した共同訓練を紹介し、「自由で開かれたインド太平洋」を維持・強化していくために四カ国の協力を今後も追求するとした。日本は独島、釣魚諸島への帝国主義的領土拡張策動をやめるべきだ。
 また気候変動と安全保障について言及。水や食料の不足が土地や資源を巡る争いにつながる。社会的・政治的な緊張や紛争を誘発するおそれがあるとした。異常気象は、大規模災害の増加や感染症の拡大を招き、軍に対する災害救援活動、人道復興支援活動、治安維持活動、医療支援などの任務に出動する機会の増大が見込まれるとした。災害を利用して自衛隊の派兵、増強を狙っているのだ。
 昨年、秋田と萩でのイージス・アショア配備は断念したが、「イージス・システム搭載艦」二隻の建造を決めたとし、今後、搭載艦に備える機能や具体的な設計を検討していくとした。また各国がレーダーやミサイルの性能を向上させる中、自衛隊員の安全を確保しつつ、敵の射程圏外から攻撃できる能力を向上させるため、長射程の巡航ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」の整備に取り組むとした。
 宇宙領域では、ミサイルの探知や追尾などの技術を高めるため「衛星コンステレーション」と呼ばれる小型衛星群の調査・研究を進めるとした。山口県山陽小野田の海自受信所跡地で宇宙監視レーダー基地建設を進めている。反対の声を強めていきたい。
 二〇二一年度防衛予算は五兆三四二二億円となり、七年連続で過去最大を更新した。増大する軍事費支出に反対しよう。

▼3章―2節 陸自大演習阻止、米韓合同軍事演習阻止
 陸上自衛隊は、今秋九月から一一月に全隊員一四万人を参加させる全国規模の演習を実施しようとしている。
 中国、朝鮮民主主義人民共和国を標的にした軍事演習を許してはならない。大演習阻止に立ち上がろう。
 辺野古新基地建設阻止をはじめとして反基地闘争を断固闘い抜こう。
 八月米韓合同軍事演習反対! 米大使館行動に立ち上がろう!



 


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