1595号(2021年7月5日) |
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命と生活と権利を奪うな! 東京オリンピックを中止せよ 菅政権の加藤官房長官は、六月一一日の記者会見で、「コロナ禍は改憲の好機だ」と発言した。この日、国会で国民投票法の改悪が成立。何としても改憲を果たしたい菅政権・自民党の、まさに本音が露呈したと言える。一六日には治安・戦争立法である「重要土地規制法」が、「せめて審議を尽くせ」との声さえ無視して強行成立された。あらゆる犠牲を人民にのみ押しつけ事態を悪化させながら、「国民の私権を制限しなければ」「政府の権限を強化しなければ」などとは、まぎれもない火事場泥棒である。労働者人民の生命と生活を犠牲にして目論まれる改憲と戦争体制構築の攻撃を許さず闘おう! 六月一一日~一三日G7コーンウォール・サミットが、続く一四日にはNATO会合が行われた。中国への対抗姿勢が鮮明に示されたことが今回の一連の会合の大きな特徴だ。対中包囲を強める米帝バイデンが、トランプ前政権との違いを強調し米国の指導力がよみがえったことを印象づけ、西側諸国の再結束をアピールする場となった。帝国主義諸国の覇権合戦をやめさせ、国境を越えた労働者階級人民の共同の利害を突きつけよう! 反帝国際連帯闘争を前進させよう! ●第1章 対中包囲を強める米帝バイデン 「G7の再結束」をアピール コーンウォール・サミットと、NATO会合は、その中でさえ孤立していたトランプの時とは打って変わって、終始米帝バイデンが主導する形で進められた。 今回のサミットで合意に至った世界の低中所得国に数千億ドル規模のインフラ投資をする新しい取り組みは、バイデン政権がサミット以前から構想していたもの。新型コロナワクチンの世界への供給に関してもアメリカはいち早く五億回分の提供を申し出た。 「一帯一路」政策や独自の「ワクチン外交」によって存在感をますます増している中国への対抗と、途上国への影響力拡大阻止のため、バイデン政権は同盟関係を重視しながら、全般にわたって戦略的に中国包囲を強めようとしている。また、中国により厳しい認識を示し、G7が結束して対抗する姿勢を鮮明にするために、中国の海洋進出への「深刻な懸念」を確認した上で、新疆ウイグル自治区、香港の人権問題を利用し、さらに台湾問題に初めて言及した。 続くNATO会合での共同宣言においても、ロシアと共に「中国の影響力拡大と国際政策は、われわれが同盟機構として対処する必要のある課題を突き付けうる」として中国への対応を強化すると明記した。 このように、中国への強硬姿勢が目立つ両会合であったが、一枚岩とは決して言えない。より強力な中国への対処を求める米国に対して、中国が最大の貿易相手国であるドイツやフランスなどは協力的な関係を目指すべきだとしている。だが米帝の「中国シフト」によって対立が深まれば、世界は分断され、どちらの側につくかの選択を強いられることになりかねない。 この他、コーンウォール・サミットでは地球温暖化―気候変動への対策や新型コロナウイルスへの対策に関しても話し合われ、一定の成果はあったものの、拘束力の伴う合意や具体的な目標期日などは盛り込まれない、依然としてあいまいで不十分なものであった。 新型コロナワクチンの一〇億回分提供についても、収束に必要とされる一一〇億回分を大きく下回る、まったく十分とは言えない内容であった。実際、世界人口のたった16%である富裕国がワクチンのグローバル供給の60%を買い占める一方で、「コバックス(COVAX=新型コロナウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的枠組み)」は予算の不足などで二〇二一年度末までの参加国の人口の二割に対してワクチン接種するという目標すら達成できるかが危うい状況だという。まさに、G7をはじめとする帝国主義国らの買い占め、独占状況である。十分なワクチンを手に入れることの出来ない中低所得国との格差を埋めるには今回の提供分では少なすぎるだろう。 今回のサミットとNATO会合は、トランプが大統領であった頃との違いが顕著であったがために、世界的な困難の下での西側諸国の再結束が好意的なものとして演出されているが、その本質は変わらない。サミットは新自由主義グローバリゼーションの推進とそのための帝国主義国間の調整が目的だ。われわれ労働者階級人民にとっては、資本主義・帝国主義下の搾取の強化、排外主義煽動、格差拡大を結果するものでしかない。これと対決し、反帝国際連帯闘争の前進を勝ち取ろう! ●第2章 菅政権は東京五輪を中止し、 コロナ対策に集中せよ 菅政権と国際オリンピック委員会(IOC)は、その利権護持を優先し、オリンピック強行―「有観客で開催」に突き進もうとしている。 もはや、「緊急事態宣言」も「まん延防止等重点措置」も科学的根拠ではなく、政治的判断によって発令されたり解除されたりを繰り返している。コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長のオリンピック開催に批判的ともとれる発言に対する菅政権・関係閣僚らの対応は、医師、科学者を都合の良いときだけ政府機関の中で発言させて、政権の利害に合わなければ排除する。学術会議と同じ対応である。こんな輩が、労働者人民の命と生活を守る判断を行なうことができるはずはない。 菅政権はコーンウォール・サミットで東京オリンピック・パラリンピック開催への支持を取り付けるため奔走したようだ。なんとか支持の文言を宣言最終二行に記させた。国内では「主催者ではない」となんら説明責任を果たさずにきたにも関わらず、他国の首脳に支持を取り付けることで強行しようというのだ。オリンピック招致の際の安倍もそうであったが、日本の首相の狡猾なダブルスタンダード外交は変わることがない。 もはや、多くの人民がオリンピック・パラリンピックに反対なのは単にコロナ禍にあるからというだけの理由ではなくなっている。招致の際の巨額なわいろ疑惑にはじまり、膨れ上がるオリンピック関連予算、竹中平蔵のパソナに見られるスポンサー企業の利権と驚異的な中抜きの実態、JOCの差別的・旧弊的体質、オリンピックにのみ適用される特別ルール、加えてIOC上級職員の私利私欲にまみれた言動に、人々はこれまでの「平和の祭典」という看板が単なる幻想であり、いまやまったく商業主義に染まりきっていることをいやというほど見せつけられてうんざりしているのだ。どれほど、一選手の努力や涙が美談として喧伝されようとも、子どもたちに夢を希望をと言われようとも、懐を肥やそうと群がる拝金主義者たちの姿が透けてみえてしまうのだ。 人民が要求しているのは、このようなオリンピック・パラリンピックが人民の犠牲によって強行されることではない。いまだ世界はパンデミックのただなかにある。世界規模でのスポーツ大会をやるぐらいなら、全世界の労働者人民の命と生活、権利を守るために世界規模ですべての資源、財源をコロナ対策に集中し、救える命を救うべきだ。東京オリンピック・パラリンピックは中止せよ! ●第3章 「国威発揚」を打ち破る、 反戦・反基地闘争、反帝闘争を 三里塚・請求異議裁判上告棄却弾劾! 市東孝雄さんの農地取り上げ強制執行を阻む請求異議裁判で、最高裁判所第三小法廷・長嶺安政裁判長は六月八日付で上告を棄却し、上告審として受理しないという決定を下した。この決定によって最高裁は、強制執行の違憲性・不当性を不問にふし、成田空港株式会社(NAA)の数々の違法・脱法、憲法違反にフタをして、「国策には黙って従え」という国・NAAにお墨付きを与えたのだ。 言うまでもなく、新型コロナウイルスの世界的蔓延によって航空需要は一変してしまっている。成田空港のターミナルは今なお開店休業状態だという。人々の生活を破壊し、農民の農地を強制的に取り上げる、強制執行の緊急性、必要性、正義性は微塵もない。 反対同盟は弾劾声明を発し、迫る強制執行に「農地死守・実力闘争」の原則を貫いて闘う決意を鮮明にしている。七月一一日には強制執行の対象となっている市東さんの農地において「樫の木祭り」の開催が決定している。市東さんの農地・営農を守るために三里塚現地に駆けつけよう! 国策に抗い、闘い続ける反対同盟農民とともに闘おう! Xバンドレーダー基地反対7・18集会へ 米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会は、きたる七月一八日に京都市内で総決起集会を開催する。 二〇一三年二月の日米首脳会談における京丹後での米軍Xバンドレーダー基地建設問題の浮上から八年半近く、一四年一二月のレーダー本格運用開始からは約六年半が経過する中で、住民の「安全・安心」を脅かす実にさまざまな問題が米軍によって起こされてきた。しかも米軍と防衛省は当初説明してきた地元住民に対する「約束」をいとも簡単に反故にして開き直っている。 米軍Xバンドレーダー基地と拡張された自衛隊基地が隣接して立ち並ぶ姿は、日米の軍事一体化の象徴であり、実際に「米軍のレーダーが捕捉した情報にもとづいて、自衛隊が迎撃ミサイルを発射する」という日本帝国主義による「集団的自衛権」行使の最前線の一つとなっている。 以前の素晴らしい景観を無残にも破壊し、周辺住民の命と生活を脅かし続ける米軍Xバンドレーダー基地の撤去を闘い取ろう! 東アジアの平和を阻害する日米軍事同盟の強化に反対していこう! |
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