共産主義者同盟(統一委員会)


1592号(2021年5月20日






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東京五輪を即刻中止せよ
 戦争と改憲の菅政権打倒

     

 菅政権は四月二五日から五月一一日まで二週間余りの「緊急事態宣言」でコロナ感染拡大を抑え込んで東京オリンピック・パラリンピック開催強行に進もうとした。しかし、検査体制や医療体制、ワクチン接種に至るまで抜本的な対策をとらぬままで、労働者人民の生活だけを規制しようとしてきたがゆえに、感染拡大は収束しなかった。五月一七日に予定していた国際オリンピック委員会会長バッハの来日を延期し、「緊急事態宣言」を五月三一日まで延長する事態になっている。
 オリンピック・パラリンピックを開催する状況ではない。人材も財政も可能なかぎり、コロナ感染対策に振り向けるべきである。この緊急事態の現実を最も理解していないのが、菅政権である。これ以上、人民の命と生活、権利を破壊するな!
 菅政権は、この事態の中で、改憲に向けた国民投票法の改悪、そして反動立法の強行に突き進んでいる。デジタル関連法案、入管法改悪案、重要土地規制法案の成立強行を絶対に許してはならない。国会行動、街頭行動に立ち上がり、菅政権打倒まで闘い抜こう。



●第1章 菅―安倍の改憲攻撃を打ち破れ

①国民投票法改悪案採決強行弾劾!

 五月六日の衆議院憲法審査会で、改憲のための国民投票法改悪案が採決され、賛成多数で可決された。自民党・公明党の強行採決ではなく、自公が立憲民主党の「修正案」を丸呑みすることで妥協が成立し採決が行われた。改悪原案と修正案とが採決にかけられ、自民、公明、立民、国民民主党が両案に賛成し、日本維新の会は改悪原案に賛成、修正案に反対した。
 自民と立民の妥協は六日の採決に関してだけではない。両党の幹事長の二階俊博と福山哲郎は六日朝、憲法審査会開会時間を遅らせて会談を設定し、衆院本会議、参院憲法審査会、参院本会議まで見通して国民投票法改悪案を今国会で成立させることまで合意したのだ。
 国民投票法は単なる手続法ではない。改憲のための法であり、「自由な意見表明」を口実にして改憲勢力が莫大な資金を投入して改憲の一大宣伝を行うための立法だ。立民の「修正案」は、「広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告」を「施行後三年を目途に」検討を加え、必要な措置を加えるという「付則」でしかない。問題視されてきたCM規制がなされないまま、この改悪案が押し通されていくことになる。三年後に「検討」をしても、法が改正される保証などない。
 自民、公明、維新が進めようとする改憲攻撃の流れに対して、立民が極めてわずかに抵抗した痕跡が付則として残るという以上ではない。安倍改憲に反対であるならば、憲法審査会の開催そのものを拒絶すればよいのだ。自・公の改憲攻撃を弾劾すると同時に、立民の妥協が改憲の流れを補強していることを厳しく問わなければならない。


②菅―安倍の改憲攻撃粉砕

 菅政権の支持率は急落しており、改憲の流れが弱まることを恐れた改憲勢力は、昨年追い詰められて政権を投げ捨てたはずの安倍晋三を担ぎ出し、改憲の流れをもう一度強めようとしている。
 自民党・憲法改正推進本部の四月二〇日の会合で、同本部長の衛藤征士郎は、安倍晋三が同本部最高顧問に就任したことを明らかにした。衛藤は、自民党総裁・菅が「憲法改正推進は挙党体制で」と言ったことを受けて、安倍に最高顧問就任を要請したと語った。
 安倍晋三は二二日夜、夕刊フジ主催のシンポジウムに出席して国民投票法改悪案採決に関して発言した。「かつてのソ連とか北朝鮮ではないから、全員一致にはなかなかならない。最後は多数決で決めるのが民主主義の原則だ」と述べ、憲法審査会での採決強行を主張した。
 菅義偉自身は五月三日の「憲法記念日」に行われた日本会議系の改憲集会「この憲法で国家の危機を乗り越えられるのか!」にビデオメッセージを寄せた。
 「新型コロナ対応で緊急事態への備えに関心が高まっている」として、「大地震等の緊急時に国民の命と安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たすか、憲法にどう位置づけるかは極めて重く、大切な課題だ」と主張した。さらに、「自衛隊は大規模災害や新型コロナへの対応で国民から大変感謝されているが、自衛隊を違憲とする声がある」と批判した。その上で、自民党の改憲四項目「自衛隊明記」「緊急事態条項創設」「参院選の合区解消」「教育の無償化」を強調した。
 菅と安倍は、自衛隊明記改憲、緊急事態条項新設などの自民党改憲案を、コロナ禍をも口実として強行しようと狙っているのだ。そのための現段階の攻撃として、国民投票法改悪案の今国会成立強行がある。これを絶対に許してはならない。さらなる国会行動、街頭行動をもって、国民投票法改悪強行阻止、改憲阻止を闘い抜いていこう。


●第2章 菅政権を拒否する人民の動き

①  菅政権初の国政選挙で自民党全敗

 四月二五日投開票の衆院北海道二区補選、衆院長野選挙区補選、参院広島選挙区再選挙の三選挙で、菅自民党が全敗した。
 参院長野選挙区補選は、立民の羽田雄一郎議員の急逝によるものであり、立民の羽田次郎と自民の小松裕の与野党対決となり、羽田次郎が制した。
 参院広島選挙区は、河井案里が公職選挙法違反で有罪、当選無効となった結果の再選挙であった。野党統一候補の宮口治子が、自民党の西川英範を破って当選した。
 衆院北海道二区補選は、収賄罪で在宅起訴された元農林水産相・吉川貴盛の議員辞職によるものであり、候補者を立てても惨敗が必至の自民党は、候補者擁立そのものを見送った。
 この選挙結果は、コロナ感染拡大やそれぞれの地方の事情によるものではない。安倍―菅政権の独裁的強権政治に対する怒り、その腐敗しきった金権体質に対する怒りが、自民党拒否を結果したのだ。さらに、自民党内における安倍、菅の批判も強烈に浮かび上がった。公職選挙法違反の河井案里は二階派であり、その立候補は安倍、菅が前面にたって進めたものだ。今回の広島再選挙では、自民党広島県連が菅と二階を拒絶し、自民党の総裁と幹事長が選挙応援に出向くことができないという事態になった。
 政権与党の三選挙区全敗は、菅義偉が思い描いてきた解散―総選挙をさらに困難にしている。


② 東京五輪を強行するな! 真剣なコロナ対策を

 腐敗と強権政治への批判が高まる中、菅政権は東京・大手町にコロナ・ワクチンの大規模接種センターを五月から三カ月間設置すると発表した。自衛隊医官、看護官を動員して、一日一万人の接種を行うというものだ。
 地方自治体との調整や東京駅までの移動方法も不明であり、本当に労働者人民を感染から守るための方策であるのか! コロナ対策での失政を繰り返しながら東京五輪を強行しようとする菅政権が、政治的危機に直面しているがゆえに、自衛隊を動員して大きく目立つ「コロナ対策」のパフォーマンスを打ち出したものとしか言い得ない。
 コロナ禍の深刻化の中で労働者人民の命と生活、権利を第一に位置づけた政策をとるべきだ。
東京オリンピック・パラリンピックは即刻中止せよ!


●第3章 入管法改悪阻止! 土地規制法案反対!

 菅政権は国民投票法改悪の今国会での成立強行を狙うと同時に、反動立法を強行しようとしている。
 デジタル庁設置法をはじめとするデジタル関連法案である。コロナ対策をも利用しながら、人民にマイナンバー登録を半ば強制し、個人情報を国家権力が把握するデジタル監視社会の構築をなそうとしている。国家と独占資本が情報を独占し、社会全体を監視、統制しようとする攻撃を許してはならない。
 入管法改悪案は四月一六日から衆議院法務委員会での審議が開始されている。この入管法改悪案は、長期収容を防止するためとしながら、その原因について送還を拒否する外国人がいるからだと歪曲した上で、「送還忌避罪」の導入などをもって現在よりも厳しく送還を進めようとするものだ。仮放免ではなく「管理措置」を創設して「管理人」による監視を強める、「補完的保護対象者」なる規定を創設する、としている。しかし、本来は難民認定すべきであるのに、これを回避するための弥縫策でしかない。菅政権は、この反動的で差別的な改悪を、今国会で強行しようとしている。
 日本の入管体制は、帝国主義・天皇制支配と侵略反革命の根幹であり、被抑圧民族人民への差別・抑圧・「同化」・追放の治安弾圧体制であり、その労働力使い捨てを事としている。入管法改悪を許してはならない。入管体制そのものの解体を闘おう。
 さらに、今国会で土地規制法案の審議もなされようとしている。自衛隊や米軍の基地周辺の土地の売買を規制し、土地所有者の個人情報や土地利用実態を調査できるようにするものだ。基地周辺を国家権力の監視下に置き、反基地闘争、反戦闘争を規制し、軍事施設周辺の私権制限を行うことを企図する法案だ。全国で反基地闘争を進めると同時に、この法案を粉砕していこう。
 コロナ禍の中にあっても、菅政権は辺野古新基地建設を強行しようとしている。批判を集中し、新基地建設を阻止しよう。設計変更申請不承認を決断する玉城知事を全国から支持し、大浦湾埋め立てを許さない全国運動を闘おう。
 菅右翼反動政権の改憲攻撃は、戦争体制構築と排外主義煽動と一体となって進められている。腐敗と強権ゆえのコロナ対策の失敗に対して、人民の怒りは沸点に達している。菅義偉、安倍晋三の改憲攻撃を打ち破るべく闘おう。





 


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