共産主義者同盟(統一委員会)


1590号(2021年4月20日






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アジア人民との連帯を強め

  日米帝の反動を打ち破ろう




 東アジアをとりまく情勢は、日米帝国主義がオーストラリアやインド、あるいはEU諸国の政府を巻き込みながら中国への圧力と対決姿勢を強めることで、政治的・軍事的な緊張を増大させている。四月一六日の菅訪米―日米首脳会談とこのかんの日米軍事同盟のさらなる強化に向けた動きは、そのような地域の緊張をさらにおし進めるものである。
 菅政権は、この訪米の「成果」をアピールすることで政権の腐敗を覆い隠すことを狙うと同時に、国会においてはデジタル改革関連法案、入管法改悪、土地規制法案などの反動立法の成立に向けた動きを強めている。
 われわれは日米軍事同盟と対決し、菅政権を打倒する闘いをさらに拡大していかなければならない。この春から夏にかけて、労働者人民の闘いの前進を共に勝ち取っていこう。

 ●第1章 菅訪米反対!日米軍事同盟強化を許すな

 菅首相が訪米し、四月一六日にワシントンで米大統領バイデンとの初めての日米首脳会談を行った。コロナ対応との関係で当初の予定より一週間遅れた開催となったが、内容としては当初の予定通りに「日米同盟」のさらなる強化や、「自由で開かれたインド太平洋」(FОIP)の実現などに向けた日米の緊密な連携を確認している。
 これに先立って三月一二日には日米豪印の四カ国(QUAD=クアッド)による初めての首脳会談がオンラインで行われた。また、三月一六日には米国務長官ブリンケンと国防長官オースティンが来日し、日本側の外相茂木、防衛相岸と共に、日米安全保障協議委員会(2+2)が開催されている。これらの会合の内容が菅―バイデンの日米首脳会談にも反映されている。
 これらの会合は、新たに発足した米国のバイデン政権が、中国に対する対決姿勢を鮮明にする中で開催された。
 QUAD首脳会談の主要議題は新型コロナウイルスワクチンの製造に関する共同計画であったが、この日米豪印の首脳会談が開かれたこと自体に意味がある。日米帝国主義にとっては、この四カ国が中国を包囲する「自由で開かれたインド太平洋」戦略の核を形成するが、これまでは首脳レベルでの会合を実現できてこなかったからである。オンラインではあれ初めて実現された四カ国首脳会合は、日米帝にとっては彼らの地域戦略の実現に向けた重要な一歩となった。
 この日米豪印首脳会談では、各国首脳は中国を直接的に名指しすることは避けている。しかし、「自由で開かれたインド太平洋」について繰り返し述べることで、中国をけん制した。そもそもコロナワクチンの増産に関する共同計画そのものが、アジア・アフリカ諸国をはじめ世界各国へのワクチン供給を進める中国に対抗するものなのである。
 この四カ国首脳会談を受けて開催された日米2+2は、日米帝の中国との対決姿勢をよりはっきりと示した。その共同発表は中国について多くの分量を割き、「既存の国際秩序と合致しない行動」、「ルールに基づく国際体制を損なう、地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動」をとっているとして、公然と批判した。具体的には、中国海警法、香港問題、ウイグル問題などを列挙して「深刻な懸念」を表明し、さらに「尖閣諸島」問題や「台湾海峡の平和と安定」にも言及することで、あらゆる領域を横断して中国との対決姿勢を強調した。
 同時に、米韓合同軍事演習が実施されている最中に行われたこの日米2+2は、「北朝鮮の軍備が国際の平和と安定に対する脅威である」として、日米韓の軍事協力の必要性を押し出している。
 このように中国への全面的な対決姿勢を強調し、朝鮮民主主義人民共和国をあらためて「脅威」と位置づけたうえで、そこから導かれる結論は「日米同盟を更に強化する」ことである。とりわけ「全ての領域を横断する防衛協力を深化」させること、「実践的な二国間及び多国間の演習及び訓練が必要である」ことなど、軍事態勢のさらなる強化が打ち出されている。
 その一環として、共同発表はまた、「普天間飛行場代替施設」について、沖縄の世論と怒りを無視して、辺野古での新基地建設が「唯一の解決策」だと再確認している。これを徹底的に弾劾しなければならない。
 このような策動は、東アジア情勢の不安定化を日米帝国主義の側からつくりだし、この地域における政治的・軍事的緊張を拡大させるものである。われわれは中国や朝鮮民主主義人民共和国に対する「脅威論」、排外主義煽動を許さず、日米軍事同盟粉砕の立場を鮮明にした闘いを前進させていかなくてはならない。
 菅訪米―日米首脳会談に対して、「戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会」は四月六日、それが地域の緊張激化、軍拡、基地強化を招くとして、首相官邸前での緊急抗議行動に取り組んだ。この闘いに続き、アジア・沖縄人民と連帯し、日米軍事同盟強化と対決する闘いを、全国各地でさらに推進していこう。

 ●第2章 反動諸立法阻止!菅政権を打倒しよう

 総務省の接待問題は自民党政治の腐敗をあらためて示した。政府・官僚と大手民間企業の癒着はひとつの構造的問題である。批判の高まりの声に、菅政権は内閣広報官の山田真貴子や総務審議官の谷脇康彦を辞職させざるを得なかった。それは菅政権に打撃を与え、コロナ対策の迷走ぶりと共に、労働者人民の政権への怒りと批判を拡大させている。
 にもかかわらず、今年度予算案を国会通過させた菅政権は、訪米―日米首脳会談をステップに、今国会における反動諸立法の制定に突き進もうとしている。それを許さず、菅政権とその反動諸政策を徹底的に批判し、政権打倒に向けた闘いの前進を勝ち取っていこう。とくに、菅政権が今国会で強行制定しようしているデジタル改革関連法案、入管法改悪、土地規制法案を徹底批判しなければならない。
 デジタル改革関連法案は、労働者人民に対する監視と管理をさらに強化し、同時に、行政がもつ個人情報を民間企業が活用できるようにするものだ。菅首相はそれを政権の目玉として位置づけている。
 デジタル庁設置法案やデジタル社会形成基本法案など多く法改訂を含むデジタル改革関連法案は、内閣総理大臣をトップに置くデジタル庁を創設したうえで、行政のデータを一元化しデジタル化して効率化するものとされている。
 この法案の核心のひとつは、そのようなデータ一元化の過程で、その要として、マイナンバー制度の「国民総背番号制」への転換をおし進めていくことだ。マイナンバーはこれまで税、社会保障、災害関係などとの連携に限定されてきが、これを一挙に拡大し、市民の幅広い個人情報を国家が掌握できるシステムをつくりだそうとしている。それはまさに、デジタル管理社会をつくりだそうとするものだ。
 また、このように行政に一元化された情報は、行政のみならず、民間企業も利用できることになる。その背景には、国際資本間競争に勝ち抜こうとする日帝ブルジョアジーの利害がある。
 そのようなことのために諸個人の権利が侵害されるようなことはあってはならず、この法案は粉砕するしかない。個人情報の漏洩への懸念は当然の大きな問題だが、それにとどまらず様々な個人情報を国家が一元的に管理し、かつそれを大手民間企業の金儲けのために提供できるようなシステムをつくろうとしていることが問題だ。
 さらにわれわれは、今国会における入管法改悪を阻止するために立ち上がっていかなくてはならない。
 日本社会における少子高齢化などを背景に、日帝ブルジョアジーは安価な労働力として「外国人人材」の導入を求めてきた。しかし、政府・資本は移民の権利についてはまったく顧みようとしていない。それどころか、入管体制のさらなる改悪を進めようとしている。
 二月一九日に閣議決定された入管法改悪案は、難民申請中の送還を禁じる規定に例外を設け、三回目以降の難民申請者については強制送還できるようにすること、送還を拒否する行為や仮放免中の逃亡に刑事罰を課すこと、などを内容としている。つまり強制送還の推進だ。
 菅政権は入管施設における「長期収容」の解消をその理由にあげているが、その論理はまったく転倒している。政府が言うように送還を拒む人がいるから「長期収容」が生じているのではなくて、出身国に帰ることができない事情を持つ移民・難民の在留資格を政府・入管庁が認めないことに問題があるのだ。
 このような法改悪を許さず、入管体制の解体に向けて闘おう。
 さらに、土地規制法案の問題である。法案は、自衛隊や米軍の基地、原発などの「重要施設」の周囲約一キロを「注視区域」とし、土地の利用状況などの調査権限を政府に与える。また、特別に重要な施設の周辺については「特別注視区域」に指定し、一定面積以上の土地売買に事前届け出を義務付けるものとなっている。
 いずれも施設周辺の土地や建物の所有者・貸借人らの氏名、住所、国籍、土地の利用状況などを調査する権限を政府に与えるものであり、個人情報が際限なく収集・蓄積される恐れがある。また、いったん法案が可決されれば、規制の範囲や調査対象が際限なく広がる可能性も否定できない。
 ドローン規正法の改定によって基地周辺の空域利用が規制されたが、この土地規制法案はそれに続いて陸地においても規制と国家による監視を強めるようとするものだ。
 腐敗がますます露呈するなかで、強権政治を強めようとする菅政権をのさばらせてはならない。反動諸法案を廃案に追い込み、菅政権の打倒に向けて闘おう。


 


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