1581号(2020年11月20日) |
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米国労働者人民はトランプ拒絶 プロレタリア国際主義に立脚し 菅右翼反動政権を打倒しよう 米大統領選で民主党バイデンの当選確実が報じられている。トランプは悪あがきを続けているが、大きな流れは変わらない。米国労働者人民は、差別と分断、そして利権にまみれたトランプを拒絶したのだ。 われわれはバイデンに何ものも期待しないが、差別主義をうちはらった米国労働者人民は、闘いをさらに継続するだろう。 今、われわれ日本のプロレタリアートには、安倍を継承する菅政権の強権的反動政治と対決し、これを打ち倒す闘いが厳しく問われているだろう。 菅義偉は首相就任早々、マスコミ各社の報道人を渋谷のレストランに招いてパンケーキを振る舞ったという(朝日新聞、東京新聞は不参加)。本来ならば緊張関係にあるはずの報道関係者となれ合うことにいそしむ菅にとっては、コロナ禍での「業績悪化」を理由に、企業から内定を取り消された大卒・高卒の若者や、解雇や雇い止めにされた非正規労働者の困窮する状態など眼中にないのだ。労働者階級人民がいかに困窮しようとも、一分一秒先の利潤を貪ることに邁進する日帝ブルジョアジーの利害に立脚するのが日帝―菅政権だ。 安倍政権を引き継ぎ、日米安保体制の強化、沖縄の辺野古新基地建設、岩国基地、京丹後Xバンドレーダー基地の強化など軍事強化を進める菅政権を許すな。 一一月二八~二九日、岩国現地で開催される二〇二〇岩国行動に全国から結集しよう。 ●1章 菅右翼反動政権の強権政治を許すな 一〇月二六日開会した第二〇三臨時国会で、菅義偉は首相就任最初の所信表明演説を行った。 「国民のために働く内閣」を掲げた菅は、コロナ対策をはじめ具体的政策を列挙した。 安倍政権がコロナ対策で失政を繰り返した状況を踏まえ、直近に必要な政策を列挙して対応してはいるが、菅の基本的考えは「自助」である。 ▼1章―1節 公的支援が不足したままのコロナ対策 菅は、秋冬のインフルエンザとコロナウイルスの流行が重なることへの対策として、「一日平均二〇万件の検査能力を確保」していると豪語しているが、コロナウイルス患者の専用病棟を持つ「重点医療機関」に交付される国の支援金について、二七道府県で交付が始められない状況になっている。都市部においては、保健所、医療関係の人材・財政が比較的余裕がある状態である。一転して地方においては、保健所の数と人員が圧倒的に少ない。また、病院はコロナ患者の治療を優先し、一般外来の受診が減少したことにより、経営が悪化している。専用病棟をつくる余裕すら無い。「自助」などと悠長なことを言っている場合ではない。公的に人材と財政の支援を優先しなければ、手遅れになる。 ▼1章―2節 さらなる新自由主義政策 さらに問題なのは、「両立」として、コロナ下において経済を回すことを優先していることだ。菅は「今後もアベノミクスを継承し、さらなる改革を進める」とし、「人口が減る中で、新たに働く人を四〇〇万人増やすことができました」とアベノミクスがさも成功したかのごとく述べたが、四〇〇万人労働者のうち40%はパートやアルバイトなど非正規労働者である。コロナ下において真っ先に非正規労働者が休職や、雇い止めなどの状況に叩き込まれているのが現状だ。 さらには、「二〇〇万円の持続化給付金や四〇〇〇万円の無利子・無担保融資などの対策」といっているが、さまざまな要因で困窮に苦しむ労働者階級人民には無関係な対策だ。安倍政権がおこなった一〇万円給付金にしても、「住民票が無い」「無戸籍」「DV夫から避難している女性」が受け取れないなど、本当に困っている人を救うことなど考えていない欠陥だらけだった。 また、「GoToキャンペーンが成功」と自画自賛しているが、一部の観光業者とIT関連事業者が利潤を享受し、コロナ禍で困窮する労働者人民は利用すらできない代物だ。 菅は、「行政手続き簡素化推進」と題してデジタル化―デジタル庁の設置、マイナンバーカード、サプライチェーンの再編など、コロナ禍を利用して社会政策、経済政策の新自由主義的全面再編を狙っている。 コロナ禍の本年五月二七日、国家戦略特区法の改定案としての「スーパーシティー構想」の実現をめざす「改正国家戦略特区法」が成立した。国家戦略特区法に続いて、「スーパーシティー構想」の中枢メンバーは竹中平蔵だ。竹中平蔵は、最近では「月七万円を給付し、年金と生活保護を廃止する」というとんでもない竹中流「ベーシックインカム」を唱えている。そもそも、国家戦略特区法は、新自由主義の推進であり、そこでは「公益」や「利害の調整」は無視してビジネス活動の利益の増大をひたすらに追求するものである。そのような歪んだ政策ゆえに加計疑獄が引き起こされたのである。労働者階級人民のためにおこなう政策では断じてないのだ。 菅のデジタル化と竹中の「スーパーシティー構想」は、新自由主義―デジタル資本主義へと政官財が一体となって一挙に突き進むというものだ。菅は「携帯電話の通信料金の値下げ」「印鑑の廃止」などと大衆受けする利便性を強調するが、本質は日帝ブルジョア資本が労働者階級人民をより効率よく搾取するシステム、日帝国家権力が人民を監視管理統制するシステムを構築しようとするものだ。われわれは、これを徹底批判し、対決していく必要がある。 ▼1章―3節 「脱炭素」を口実にした原発政策 菅は、「二〇五〇年温室効果ガス排出ゼロ」を掲げたが、G7の中で躊躇してきたのは米・日だけであり、産業技術として脱炭素で遅れをとってはならないという経済的要請に他ならない。 菅は、「再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進める」と、脱炭素とセットにして原発の維持と新増設を明言した。こんなまやかしを許してはならない。原発は全て廃炉にし、原発の新増設を阻止しよう。 ▼1章―4節 日米同盟強化と改憲攻撃 安倍政権を引き継ぐ菅政権は、外交戦略については、日米同盟を基軸にした「自由で開かれたインド太平洋の実現」を掲げている。このインド太平洋戦略に基づいて、一〇月一八日から二一日にかけて、菅は就任後初の外国訪問としてベトナム、インドネシアを訪問した。これに先立つ、一〇月六日に日本で、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの四カ国の外相会談が開かれた。対中国を念頭においた外交戦略であることは明らかだ。 そして、「辺野古移設の工事を着実に進める」ことを強調している。沖縄人民の基地建設反対の声を無視し、軟弱地盤で基地建設そのものが不可能な状態であるにも関わらず、あくまでも工事強行を明らかにした菅を徹底弾劾する。 「イージス・アショアの代替策、抑止力の強化」を打ち出しているが、これについても言語道断だ。そもそも、兵器などのハード(物)を中心に解決策が論議されていることこそが問題だ。「話し合い」「外交的努力」はそっちのけで、「強力な武器による武装が抑止力につながる」として、敵基地攻撃能力の保有をもくろんでいる。高額なアメリカ製の武器を爆買いするなど許せるはずがない。 核兵器禁止条約が、一〇月二四日に五〇カ国で批准が達成され、二〇二一年一月二二日に発効することが決定した。広島・長崎の被爆者をはじめ、世界各国地域の人民が核兵器廃絶に向けた歴史的な歩みを進めたのだ。このことに関連して、菅は一〇月五日の参院予算委員会で核兵器禁止条約に「署名する考えはない」とあくまでも核兵器を容認する立場を貫くと明言したのだ。圧倒的な「核兵器廃絶」の声を一顧だにしない菅政権の姿勢は、労働者階級人民とは相容れないことが明白だ。 改憲に関して、憲法審査会の議論から「国民的な議論」という言い方に変わっている。菅は一方で、自民党・憲法改正推進本部に対して、改憲原案の起草委員会設置を指示し、一〇月一三日に起草委員会の初会合が開かれている。自民党内部および公明党に異論はあるものの、起草委員会委員長衛藤征士郎は、安倍政権の改憲四項目を年内に成文化するとして、改憲に向けた準備を進めている。 ▼1章―5節 学術会議任命拒否問題を徹底追及しよう 日本学術会議任命拒否問題については所信表明演説で全く触れなかった。 安倍政権時代から、菅は閣僚、官僚人事に強い力を振るってきた。 「学術会議」を自らの政権の下で働く官僚組織の一部としか捉えることのできない菅は、人事に対する独裁的強権をもって批判を封殺しようとしている。 さらに「学術会議のあり方」に問題をすりかえようとしている。「任命拒否」の理由について国会で追及された菅は「総合的・俯瞰的観点」、「民間出身者や若手が少なく、出身大学に偏りがあり、多様性が大事」、「閉鎖的で既得権益がある」と支離滅裂な答弁に終始している。菅内閣の閣僚の顔ぶれをみれば、どこに多様性があるのか。ましてや自民党の議員は二世・三世議員が半数近くを占めていることからも、閉鎖的で既得権益があるのは菅政権そのものではないのか。 菅が学術会議で問題にしているのは、「戦争を目的とする科学研究は絶対にこれを行わない」という理念を日本学術会議が保持し続けていることだ。学術会議の人事に政府が介入することによって、「学問」「研究」のあり様を時の政府の意のままに従わせることが目的なのだ。菅政権と日帝ブルジョアジーにとって、日本学術会議の理念を解体し、軍学共同の体制を強化しようとしているのだ。このことを徹底批判し、追及していこう。 ●2章 2020岩国行動に全国から結集しよう 辺野古新基地建設強行に向けた設計変更申請を阻止しよう。 設計変更申請に対して、一万八九〇四通の意見書が提出されている。絶対不可能な工事を止めるために、沖縄―「本土」を貫いて闘おう。 菅は、安倍政権の下で自らが行ってきた、沖縄振興予算と基地建設の連動を強めることで、沖縄人民の闘いを締め上げていこうとしている。二〇二一年度末に期限を迎える沖縄振興計画について、菅政権は、「振興予算の無駄削減」、「沖縄振興特別措置法見直し」、「振興と米軍基地再編のリンク」というどう喝を沖縄の玉城知事にかけている。玉城知事は、一〇月七日首相官邸で「振興予算と基地問題をリンクすることがあってはならない」と記者団に語った。沖縄の地方自治の予算に対して、国が基地建設を取り引き材料にすることは沖縄人民の主権を踏みにじる行為だ。現在、米軍基地の存在が沖縄でのコロナ感染の拡大の大きな要因になっている。まずその対策をなすべきだ。辺野古新基地建設を進める菅政権を沖縄―「本土」を貫く闘いで打倒しよう。 京丹後の米軍Xバンドレーダー基地反対を掲げた「米軍基地いらんちゃフェスタ」が一一月八日に闘い取られた。米軍基地の強化とともに、自衛隊の基地強化と日米一体の軍事演習も強化されている。全国において、反戦・反基地闘争に立ち上がろう。 アジア共同行動日本連絡会議と岩国・労働者反戦交流集会実行委員会が呼びかける「2020岩国行動」に全国から結集しよう。一一月二八日から二九日にかけて「2020岩国行動」が開催される。岩国基地の強化と対峙する地元住民と反戦・反基地を闘う市民を支え、アジアから米軍基地を総撤収させる闘いを進めよう。 ●3章 市東さんの農地強制執行を許すな 一〇月二二日、市東さんの農地の強制執行を阻止するための裁判=請求異議裁判・控訴審の最終意見陳述、最終弁論が行われ、菅野裁判長はこの日で結審とした。 市東孝雄さんと弁護団は、法廷で農民が農地を耕作し続けることの正義を明確にした。市東さんは「いま成田空港はガラガラです。コロナ感染状況で一番変わらなくてはならないのは空港会社です」、「親父には、空港に反対するものは正直でなければならないと言われました。自分は精魂こめて安全でおいしい野菜を作りたいだけです」と空港会社を徹底糾弾し、市東さん自身が天神峰の地で農業を営む確信を力強く述べた。 コロナ禍で全日空も日本航空も過去最大の赤字となっている。全日空は、航空需要が復活しないことを見すえて「ビジネスモデルを変革する」としている。航空機を手放し、国際線を羽田中心に再編する方針だ。 成田空港会社こそがその経営体質を根底から見直すことが問われている。第3滑走路新設を軸とした機能強化策は、まずもって撤回すべきである。 市東さんの農地を強制執行する公共性も緊急性もない。空港会社の強制執行を認める理由などない。 判決は一二月一七日だ。市東さんの農地を守り抜き、空港廃港に向けた闘いを今こそ進めよう。 |
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