共産主義者同盟(統一委員会)


1580号(2020年11月5日






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  11・28―29岩国行動へ

 菅政権の独裁的強権打ち破る
 労働者階級人民の反戦闘争を


 


 「安倍政治の継承」を掲げる菅政権は、発足の直後からその反動的・強権的な性格をあらわにしてきた。日本学術会議に関する任命拒否問題は、それを実に分かりやすく示すものである。
 菅政権は同時に、自衛隊による「敵基地攻撃能力」の保有に向けて突き進もうとしている。それは実質的な改憲攻撃に他ならない。
 労働者人民にとって、菅政権はただちに打倒すべき存在でしかない。この一一月、反戦・反基地闘争を推進しつつ、菅政権を打倒する闘いの陣形を全国各地で強固につくりあげていくために闘おう。

 ●第1章 日帝―菅政権の強権政治を許すな

 日本学術会議が推薦した新たな会員候補一〇五人のうち六人の任命を菅政権が拒否したことが大きな問題になっている。この六人の研究者は、いずれも安倍政権下で強行制定された戦争法や秘密保護法、共謀罪新設に反対する意見を表明しており、それが今回の任命拒否の理由であることは明白だ。
 しかしながら菅政権は、当初はその判断理由を説明することをまったく拒否し、その姿勢に対する批判が拡大するなかでも「俯瞰的・総合的な活動を確保する観点から判断した」などという抽象的な言辞でごまかし続けようとしている。人々からの批判と疑問にまともに向き合おうとしない、政治の劣化を示す見本のような言辞だ。
 菅はさらに、「一〇五人全員の推薦名簿は見ていない」などと言い放った。では、誰が六人を推薦名簿から削ったのかを明らかにすべきだろう。その場かぎりの言い逃れに終始しているために、次から次へとつじつまのあわないことが出てくる。このようなでたらめな答弁で事態を乗り切ろうとする菅政権を許してはならず、徹底的に追及していかなくてはならない。
 菅政権は事態を乗り切るために、「学術会議には国から一〇億円も予算が出ている」などと煽情的に言うことで、任命拒否を正当化しようとしている。しかし、それはあからさまな論点ずらしだ。日本学術会議に関する首相の「任命権」が形式的なものであることは歴代の内閣が答弁してきたことである。
 考えてもみよう。防衛省が辺野古新基地建設工事のために必要な費用としている額は約九三〇〇億円だ。さらに、来年度の防衛予算の概算請求は実に約五兆五〇〇億円超だ。このような軍事予算や事業の必要性は検討することなく、学術会議の予算だけを問題にするのは詭弁であり、ためにする議論としか言いようがない。
 菅政権はまた、「この機会に学術会議のあり方を検討すべき」などとも発言している。学術会議の存在やあり方それ自体は、労働者人民にとっても検討に値すべきものであろう。しかしながら、いま菅政権が問題にしていることは、学術会議の人事に政府が介入することを通して、「学問」・「研究」のあり様を時の政府の意図に従わせることなのである。
 この点で、菅政権と日帝ブルジョアジーにとって最大の問題となっていることは、「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という理念を日本学術会議が保持し続けていることである。今回の任命拒否問題は六人の研究者だけを狙ったものではなく、それを通してこの日本学術会議の理念を解体し、軍学共同をさらに推し進めんとする意図を持ったものである。この点を確認し、今回の事態を徹底的に批判・追及していかなくてはならない。

 ●第2章 「敵基地攻撃能力」保有の目論見粉砕せよ

 菅は、安倍のように明文改憲を声高に叫ぶわけではないが、侵略反革命戦争出動体制の構築に向けた動きを着実に進めていこうとしている。
 一〇月八日には、衛藤征士郎を委員長とする自民党の憲法改正推進本部の役員会が開かれ、安倍政権下の二〇一八年に示された自民党の改憲四項目を具体的な条文案としてまとめる方針を確認した。それを受けて一三日には起草委員会の初会合が開催されている。
 自民党の改憲四項目は、①自衛隊の明記、②緊急事態条項の創設、③参議院の合区の解消、④教育の充実、を内容としているが、二〇一八年の時点では「イメージ案」とされてきたものだった。これを成文化することで、改憲に向けた動きをさらに一歩進めていこうというのである。起草委員会は二週間に一度のペースで議論を重ね、年内に条文案としてまとめるとしている。
 同時に、菅政権の下で、実質的な改憲攻撃というべき自衛隊の「敵基地攻撃能力」=先制攻撃能力の保有に向けた動きが進められようとしている。
 さる六月のイージス・アショア配備撤回という事態を捉えて、自民党の国防族などから噴出してきたこの議論は、日本の安保・防衛政策の一大転換につながるものであり、実質的な改憲攻撃に他ならない。そこには生き残りをかけた日本帝国主義の野望が存在する。
 自民党はすでに今年八月、「相手領域内でもミサイル等を阻止する能力」という表現で「敵基地攻撃能力」の保有を当時の安倍政権に提言している。安倍もまた、「迎撃能力を向上させるだけで国民の命を守り抜くことができるのか」、「ミサイル攻撃の可能性を低下させることが必要ではないか」なる談話を残して政権を去った。
 菅政権は現在、撤回した陸上配備用のイージス・アショアを洋上で運用する代替案の調査・策定を進めており、これと並行して「敵基地攻撃能力」の保有についても、年内に結論を出す予定だ。
 自衛隊による「敵基地攻撃能力」の保有は、まさに朝鮮人民、アジア人民を標的にして、日本の侵略反革命戦争出動体制を飛躍的に強化していこうとするものだ。このようなことを決して許してはならない。全国で反戦闘争に立ち上がり、日本帝国主義の野望を粉砕しよう。

 ●第3章 全国で反戦・反基地闘争に立ち上がろう

 菅政権はその発足直後から、「自助」を強調することで、自らの新自由主義的性格をむき出しにした。また、日本学術会議の任命拒否問題によって、その強権的・独裁的性格を示している。さらに今、「敵基地攻撃能力」の保有に向けた策動を通して、実質的な憲法改悪を図り、日本の戦争国家化を推し進めていこうとしている。このような政権は労働者人民の手によって一刻も早く打倒されねばならない。菅政権を打倒する全人民的政治闘争を強力につくりだしていくための闘いの一環として、とりわけこの一一月、全国で反戦・反基地闘争に立ち上がっていこう。
 第一に、沖縄での辺野古新基地建設の阻止に向け、全国からさらなる連帯を集中していくことである。
 沖縄防衛局が「県」に対して提出した辺野古での埋め立て工事に関する「設計変更申請」に対しては、三週間の縦覧期間中に実に、一万八九〇四通の意見書が沖縄と「本土」から提出された。これは、二〇一三年に国が初めて埋め立て承認申請を行なった際に提出された意見書数の約六倍にあたり、辺野古新基地建設に反対する民意の拡大を示している。
 他方、周知のように、軟弱地盤の改良工事を含むこの設計変更申請によって、防衛省の甘い見積もりでも、工期は当初予定の二倍の一二年、工費は三倍の九三〇〇億円に膨れあがっており、しかも専門家からは技術的見地からその実現不可能性が指摘されている。菅政権がなすべきことは、民意を尊重し、一刻も早く辺野古新基地建設を中止することだ。
 しかしながら、菅政権は沖縄振興予算と基地建設のリンクをちらつかせることで、沖縄人民の闘いを締め上げていこうとしている。コロナ禍の中にあって強行されようとしている菅の狡猾な手法を許さず、沖縄と「本土」を貫く闘いをさらに前進させていこう。
 第二に、沖縄人民の闘いと連帯し、京丹後の米軍Xバンドレーダー基地に対する闘いなど、日米軍事同盟と対決し、全国各地で反戦・反基地闘争を推進していくことである。
 京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去闘争をめぐっては、一一月八日に「米軍基地いらんちゃフェスタ」が開催される。毎年秋に京丹後市内で超党派の結集で開催されてきたこの取り組みは、今年はコロナ禍の影響で京丹後市内での取り組みは規模を縮小して開催されるが、それに呼応する集会・デモが米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会の主催で京都市内で開催される。
 東アジアにおける日米の「ミサイル防衛」体制の一角を形成するこの基地は年を追うごとに強化されており、また、米軍関係者による頻発する交通事故やレーダーの発電機による低周波騒音問題など、地元の住民に深刻な影響を与えてきた。さらに、基地所属の米軍人・軍属による新型コロナウイルスの集団感染は、日米地位協定の抜本改正の必要性をあらためて突き出した。
 日米の東アジアにおける「ミサイル防衛」体制を突き崩す、この闘いを是非とも成功させよう。
 第三に、アジア共同行動日本連絡会議および岩国・労働者反戦交流集会実行委員会が呼びかける「2020岩国行動」の成功を、全国からの結集で勝ち取っていくことである。
 厚木基地からの空母艦載機の移転に伴う騒音被害の圧倒的な拡大に加えて、岩国基地にF35Bステルス戦闘機の追加配備など、岩国基地は東アジア最大規模の米軍基地としてますます強化されようとしている。
 岩国基地はまた、朝鮮半島に最も近い米海兵隊の基地として、米帝にとっての戦略的重要性を高めており、そのことがさらなる基地強化と住民への被害を拡大している。
 「岩国行動」は、このような現実と真っ向から対決しつつ、沖縄人民と連帯する「本土」における反基地・反安保闘争の前進、全国各地の反基地闘争の現場からの連帯と結合、労働者反戦闘争の推進という重要な闘いを担ってきた。その闘いの地平をさらに前進させていこう。粘り強く闘う岩国住民と結合し、日米軍事同盟と対決してアジアから米軍基地を総撤収させる闘いに全力で立ち上がろう。



 


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