共産主義者同盟(統一委員会)


1578号(2020年10月5日)






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 「敵基地攻撃能力」策動粉砕

 反戦・反基地闘争を闘おう

 新自由主義政策許すな!

 菅政権を打倒しよう!



 

 安倍は、八月二八日病気の再発を理由に辞任を表明し、七年八カ月に及ぶ首相の座から降りた。安倍自身が最重要課題としていた憲法改悪はできなかった。
 森友、加計、桜を見る会疑惑と不正の限りを尽くして居座り続けたが、労働者人民の怒りを前についに辞意を表明した。安倍を追いつめたということは、労働者人民の勝利に向かった大きな成果である。しかし、九月一七日に菅政権が発足した。菅自身が恫喝とウソとごまかしによって安倍政治を支えてきた張本人である。われわれは、安倍の下で菅がやってきたことを絶対に許さず、菅政権打倒に向けて邁進しよう。

 ●1章 安倍を引き継ぐ菅政権を許すな

 菅は安倍辞任以降、二階・麻生・細田・石原などの派閥の領袖が支持する中で政権の座についた。菅は、第一声において「安倍政権が進めてきた取り組みを継承し、前に進める。それが私に課せられた使命だ」と「安倍政治」の継続を明らかにした。
 菅は官房長官として数々の疑惑に対して労働者人民の声を切り捨ててきた。「全く問題ない」「その指摘は当たらない」「コメントを差し控える」等の答弁をくり返してきたのだ。そして首相としても「森・加計・桜」の疑惑に対しては、早くも再調査は行わないと表明している。
 安倍と菅は参議院選挙時の河合案里を支持し、陣営へ一億五〇〇〇万円を投下した。この金を使った買収で河合夫婦は公職選挙法違反で逮捕された。また、「桜を見る会」への参加を「広告塔」のように使い人々を信用させ二四〇〇億円を巻き上げ破たんした「ジャパンライフ」山口元会長らは「預託詐欺」容疑で九月一九日逮捕された。これらの事実が世の中に明らかになり、支持率がどん底になる前に安倍は官邸から逃げ出したのだ。
 続いて主となった菅は「秋田の農家出身、高卒で上京し苦労の上に大学を卒業して無派閥のまま首相となった」という立身出世物語を喧伝し「いい人」を装っている。支持率アップを狙い一時的には功を奏しているが、早晩化けの皮がはがれるのは明らかである。
 アベノミクスによって格差は拡大し、医療・福祉・教育・労働政策は徹底的にゆがめられてきた。安倍政権の新型コロナ感染拡大に対する対策は遅すぎるばかりか、あまりにも杜撰なものだった。
 マスク二枚を全世帯に配るということでさえ、実務能力に疑問がある会社に巨額の税金を投じていた。さらにコロナ禍に苦しむ多くの商店や中小企業が請求していた「持続化給付金」手続きは、七六九億円の委託費が一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に支払われたが、同法人は七四九億円で仕事の大半を電通に再委託し、電通は関連会社に更に委託するという「錬金術」を行っていた。
 多くの人々の命と仕事を奪うコロナ禍におけるこれらの事実を、労働者人民は決して忘れない。自分たちへの火の粉を振り払うために検察庁の人事までも捻じ曲げようとした安倍と菅の所業は、人民の指弾によって葬り去られた。今こそ労働者人民は、怒りの拳を突きつけ徹底的に責任を追及しよう。

 ●2章 「自助」を掲げる無責任政権

 菅首相は、就任時の記者会見において「私が目指す社会像は自助、共助、公助、そして絆だ」と表明した。これは政府が本来やらなければならない仕事の放棄である。「国民のために働く内閣」とあえて言わなければならないほど今までの政権が国民のために働いていなかったことは明らかである。そして、菅の表明の意図はこれからも「自分のことは自分でやれ、できなかったら家族に頼れ、それでもだめだったら助けてやる」ということだ。この発言は労働者人民を見捨て去る責任放棄の極みである。
 憲法一三条の「健康で文化的な最低限度の生活」を政府は国民に補償しなければならない。しかし、菅の発言の論理は、政府の責任であるセーフティーネットを捨て去るということだ。そして、持続化給付金で明らかになったように、政権の意のままに税金のばらまきが行われ、労働者人民にはそのおこぼれすら来ない棄民化政策なのである。
 菅はコロナ禍の中で日本のデジタル化の遅れが明らかになったとして「デジタル庁」を設置しようとしている。これは七月一七日、安倍内閣が閣議決定したIT(情報技術)戦略の指針を盛り込んだ「世界最先端デジタル国家創造宣言」の実施である。この「宣言」は新型コロナウイルスを踏まえた対面形式を前提としてきた生活様式を抜本的に見直し、オンライン化を進めるよう促した新しい生活様式に対応し「デジタル強靱(きょうじん)化社会の実現」を目標に掲げている。
 そして、すべての国民がマイナンバーカードを持ち、政府とIT企業に紐づけされる社会の早期実現を目指している。「マイナポイント」による利益誘導、健康保険証とマイナンバーカードとの一体化(二〇二一年四月~)、さらには運転免許証のマイナンバーへの取り込み等々と、この実現に進もうとしている。
 更に菅は「行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破って規制改革を全力で進める」ことを明らかにしている。これは、五月二七日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立したスーパーシティ法(改正国家戦略特区法)の実現に向けた動きである。人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した都市「スーパーシティ」は物流、医療、教育などあらゆる分野の先端技術を組み合わせ、その相乗効果で住みやすいまちをめざすとしている。
 スーパーシティ法によって今後行われようとしていることは、一定の地域を実験現場として、税金を原資として情報の集積・管理・運営を「競争力のある事業者」(トヨタや三菱系列、電通)などの大企業が行うというものである。つまり、分野間のデータ連携が行われ、「どこに、なにを、どうするのか」という課題を「企業体」が行うことになる。菅の言う「既得権益、縦割り行政の排除、規制緩和」とはこの「企業統治社会」の実現への布石である。
 このスーパーシティでは住民は地方自治の担い手ではなく、パーツの一つとして扱われるようになる。パーツの一つひとつはコンピューターで管理され、情報が集積される。そのために必要なものがマイナンバーカードである。われわれはこんな社会を望んでいない。菅の目論みを粉砕するために立ち上がろう。

 ●3章 侵略反革命戦争への道「敵基地攻撃」を粉砕せよ

 六月一五日秋田県、山口県に配備を計画していたイージス・アショアが、あまりに杜撰な計画であったために、地元住民を中心とした反対の結果断念に追い込まれた。安倍前首相も「コスト、期間を考えれば合理的でない」と語っていた。しかし、安倍首相は断念発表後の一八日に「イージス撤回に替わる処置」として、「敵基地攻撃能力を含む安全保障戦略の見直し」を語り、「国家安全保障会議」に向けた動きがスタートした。
 自民党国防族は、一貫して「先制攻撃される前に撃て」という考え方があったが、憲法上そうした能力は持てないとされてきた。しかし、二〇一五年の戦争法成立以降たがが外れてしまった。
 二〇一七年、後に防衛大臣となる小野寺五典を座長とする自民党内の検討チームは「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」を安倍前首相に提出している。そこには、①弾道ミサイル防衛のための新規アセット(イージス・アショア)導入、②わが国独自の敵基地反撃能力の保有、③排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処、が記されていた。安倍にとって、今回の断念は、①がダメだったら②に差し替えるということなのである。
 九月一一日に河野防衛大臣(当時)、菅官房長官(当時)が出席した国家安全保障会議を開催した。当日「敵基地攻撃能力」の保有を年頭においた新たな防衛システムと「イージスアショア」に替わる迎撃システムついて「今年年末まで」にあるべき方策を決めるとする談話を発表した。
 菅はこの安倍の付けた道筋に沿って侵略反革命戦争への道に進もうとしている。そして、この旗振り人に任命されたのが、岸信介の孫であり、安倍晋三の弟である岸信夫防衛大臣である。岸防衛相は、防衛大臣政務官の時に岩国基地拡張工事に向けて暗躍していた。菅もろとも岸を葬り去ろう。

 ●4章 反戦・反基地闘争を闘い抜こう

 安倍政権下アメリカから爆買いされたオスプレイ一七機は、陸上自衛隊木更津駐屯地に二機が先行配備され、整備後訓練飛行が開始されようとしている。また、横田には米軍のオスプレイが配備され、連日爆音をまき散らしながら訓練が行われている。防衛省は八月二六日岩国基地にF35Bを追加配備することを地元に伝えてきた。われわれは、こうした日米帝の軍事戦略と対決し、地元住民の闘いと連帯しながら反基地闘争を闘い抜こう。アジア共同行動日本連と岩国・労働者反戦交流集会実行委員会は「2020岩国行動」を呼びかけている。万難を排して結集しよう。
 また、防衛省は、辺野古新基地建設に向けて大浦湾埋め立て工事のための地盤改良工事を行う「変更承認申請」を四月一一日に提出した。沖縄「県」は九月八日から二八日に「公告縦覧」を行い、全国津々浦々から沖縄「県」に「変更承認は反対」の声が寄せられた。われわれは沖縄人民に連帯して辺野古新基地建設阻止の声を上げ続けよう。
 狭山再審闘争は、後藤裁判長が退任し、大野裁判長となり新たな段階を迎えている。石川さんの無実を闘い取るために更に創意工夫した闘いを地域において繰り広げよう。
 三里塚闘争は、コロナ対策で延期されていた市東さんの農地をめぐる請求異議裁判・控訴審が九月二日に再開され、一〇月二二日が最終弁論となった。天神峰決戦本部を軸として強制執行と対決する決戦に向けて立ち上がろう。
 闘いの秋はきた。コロナ禍の制動を打ち破り、創意工夫した闘いで労働者人民の生活と命を守る闘いに立ち上がろう。侵略反革命戦争への道を打ち砕き、米軍の総撤収を勝ち取ろう。ヘイトスピーチをまき散らす右翼反動勢力を許さず、被抑圧人民、被差別大衆と連帯して闘おう。全世界の人民と連帯して闘おう。



 

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