共産主義者同盟(統一委員会)


1574号(2020年7月20日)






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   コロナ危機下の混乱と反動

  打ち破る階級闘争の前進を

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 米国のジョージ・フロイドさん殺害事件に対する抗議から始まった「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」のデモは、米国全土、そしてイギリスやフランス、オランダ、スペインなど各国に拡大し、差別・排外主義を許さない闘いが世界規模で取り組まれている。日本においても在日韓国・朝鮮人や在日中国人、外国人労働者などへの差別・排外主義が跋扈している。コロナウィルス感染拡大の中であらゆる事柄がレイシズムの煽動へと結びつけられ、命の選別や特定の人々への差別の正当化が強まっている。最も弱い立場に置かれる人々、被抑圧人民・被差別大衆と連帯し、差別政策・排外主義攻撃を打ち破っていこう。
 コロナウイルスの世界的感染拡大という新たな状況の中で、労働者階級人民の利害――命と生活と権利を守ることの対極にある者たちの反人民的言動は際立っている。今こそ、安倍政権の腐敗、反動を打ち破っていこう。

 ●第1章 反人民性が露呈した安倍政権に怒りを集中しよう

 安倍政権は六月一七日、野党の会期延長要求を拒否して通常国会を閉会した。
 年頭からのコロナ感染拡大の中で、安倍政権の反人民性が鮮明になり、支持率が急落する中で、責任追及から逃れるように国会を閉会してしまった。労働者人民の不安、批判、怒りは日々増大している。

 ▼1章―1節 コロナ感染拡大への有効な対策の遅れ

 安倍政権は二月二七日の休校措置、四月七日の「緊急事態宣言」発令をもって「自粛」とは名ばかりの半強制的な移動の制限や休業などを労働者人民に強いてきたが、その間にも政府がなすべき感染症対策を怠ってきた。日本のPCR検査の回数はOECD諸国で下から二番目と少なく、検査態勢の不備は二月中旬から指摘されていた。
 PCR検査を本格的にやれば、感染者が大量に増えて、医療体制が追い付かない、医療体制を整備する時間を稼ぐ必要があるとして人民には「自粛」を強いてきた。それなのに、この間医療従事者用の装備や医療機器も含めて、大量の新型コロナ感染者を収容する医療施設の整備が進められた形跡はない。
 事実、「緊急事態宣言」以降、感染者数が急カーブを描いて増加し始めると、東京都や神奈川県、大阪府などの都道府県は急遽離用ベッド、集中治療室、軽症者用ホテルの確保に奔走する事態となり、「医療崩壊寸前の地域もあった」と専門家会議のメンバーも述べている。
 また、各国ですでに行われているPCR検査の自動化・機械化もなされず、日本では相も変わらず検査技師が手作業で当たっている。結果として、発熱等の症状があっても、検査は抑制され続けている。これらはすべて、献身的に対策に当たる医療現場への援助の決定的な不足がもたらした結果である。
 人民の命を救うことを第一にした政策ではなかったことは、誰の目にも明らかだ。

 ▼1章―2節 持続化給付金、政府と企業の癒着

 第一次補正予算、第二次補正予算の莫大な金額を安倍は誇っている。しかし、国債発行などによる財政支出によって賄われるのは一七兆円以下であり、それ以外は納税などの猶予や民間支出などまで含んだ総合金額でしかない。そして、失業した人々、営業継続が困難になっている零細事業者、個人事業者に届くべき給付金もいまだ届かず、倒産や廃業、失業の危機はなお高まっている。
 そのような現状の上に、その持続化給付金は政府とそれに近しい資本が癒着して利益を貪っている実態が明らかになってきた。電通、パソナなどが設立した「サービスデザイン推進協議会」がその業務を委託されながら、二〇億円を引き抜いた上で電通に再委託し、さらにその子会社に再々委託するという、まさに火事場泥棒か巧妙な詐欺の手法である。しかも政府は二次補正で予備費に一〇兆円も盛り込み、国会の議決なしに政府の判断だけで支出できるようにした。腐敗した実態が続出している安倍政権に、財政支出を白紙委任することなどできるだろうか。

 ▼1章―3節 露呈した安倍政権の腐敗

 森友事件で財務省職員を自死に至らしめた公文書改竄事件、頓挫した検察庁法改悪策動、安倍政権そのものの腐敗しきった実態が、コロナ禍の中でも次々に露呈してきた。
 そして、河井克行・案里両議員が六月一八日には、昨年七月の参院選で票の取りまとめを依頼する趣旨で現金を多数の地元議員らに配った公職選挙法違反の疑いで逮捕された。この前日、一六日の秘書有罪の判決を受けて両名は自民党を離党したが、それですむ話では到底ない。いまや次々と河井夫妻から現金を受領したと市長や県議らの〝自認〟が相次ぎ、その中で度々安倍の名前が出されているのだ。
 公職選挙法には「買収行為をさせる目的をもって金銭・物品の交付を行ったもの」は罪に問われるとする「買収目的交付罪」(公選法二二一条一項五号)がある。河井克行は安倍の側近であり、問題の参院選では党本部から河井案里に対して破格の一億五千万円の選挙資金が渡っていたのだから、自民党とその総裁安倍にもこの「買収目的交付罪」の疑いが濃厚である。今後も鋭く追及されなければならない。
 一億五千万円のうち一億二千万円の原資は税金などで賄われる政党交付金だったと判明している。自民党は政党交付金に関して、従来は「各支部に対し公認会計士による監査を行っているため、買収に使うことができないシステム」だとしていた。しかし河井夫妻の党支部からの政党交付金の使途等報告書は詳細を「不明」としたまま党本部へ提出されていたことも分かった。結局のところ、「ザル」だったわけだ。
 人民には苦しい生活を強いながら、そこから搾取した金を湯水のように好き勝手に使いまくる。腐敗しきった安倍政権、自民党政治を糾し、改めさせていかなければならない。

 ●第2章 イージス完全撤回!

 ▼2章―1節 際限なき軍事緑増強


 防衛相河野は六月一六日、山口県と秋田県に予定していたイージス・アショアの配備計画を停止することを突然発表し、二五日には全面撤回が報じられた。
 迎撃ミサイルのブースターを演習場内に確実に落下させることができず、その改修のためには莫大な費用と時間がかかることを「停止」の理由にしている。しかし、この問題点は配備計画の当初から指摘され、この指摘に対し防衛省はブースターを安全な場所に落下させられると強弁してきた。
 そもそも、こんな危険なシステムを配備することになったのは、トランプの強引な武器売り込みに安倍晋三が応じ、官邸主導で強行したからだ。突如トップダウンで押し付けられ、米国の意向を受けて秋田県、山口県に配備地点を決めたため、調査は著しく杜撰で、地元への説明などでも辻褄の合わない失態が次々と露呈した。今回の配備計画撤回を「英断だ」とほめそやす向きもあるが、これまで政府はイージス・アショア、F35、オスプレイと、米帝の言い値で次から次へと兵器を爆買いしてきた。その責任がまずは問われなければならないだろう。
 また、今回のイージス・アショア配備計画撤回をきっかけにして、またしても「敵基地攻撃能力の保有」の目論みが再燃してきている。自民党は二〇一七年三月にも、先制攻撃はしないとしながらも相手の領土まで届くような装備を持つことは必要だとする提言をまとめており、今回もこれに沿った提言が七月中にも政府に対し提出されるという。自民党内国防部会などの合同会議では「専守防衛」の概念の見直しも検討すべきだなどという意見まで出始めた。米帝は昨年INF(中距離核戦略)全廃条約から一方的に離脱し、さらに中距離新型ミサイルの開発、日本配備を狙ってきている。日・米帝の軍事戦略として、日本が「先制攻撃の出来る国」へと大転換することが目論まれているのだ。
 戦争の出来る国への転換、そのための改憲が引き続き狙われている。絶対に許してはいけない。

 ▼2章―2節 辺野古新基地建設を即刻中止し撤回せよ

 沖縄の玉城デニー知事はイージス・アショアの配備計画の停止が発表された同日、「イージス・アショアと同様に、相当なコストと期間を要する辺野古新基地計画を断念するよう強く要望します」とのコメントを出した。
 防衛省―沖縄防衛局は、四月二一日に埋め立て不可能な大浦湾に関して「設計変更」申請を強行し、沖縄「県」議会議員選挙にて、辺野古反対の議員が議席の半数以上を確保した数日後の六月一二日には、コロナ禍によって停止していた辺野古の工事再開を強行した。
 今回、「県」に提出された設計変更申請の最大の問題点は、軟弱地盤が最深九〇メートルに達するという指摘に対して、最長七五〇メートルも離れた三地点の調査から強度を推定し、七〇メートル以深は「非常に硬い」と強弁している点だ。しかし、七〇メートル以深の地盤改良の設備や実績など世界のどこにもない。また、大浦湾側の埋め立て予定地には活断層が存在しているとの指摘もある。辺野古新基地建設は完全に破綻しているのだ。
 地盤改良工事の安全性を検討する技術検討会は、政府機関関係者や受注企業から研究費の名目で金銭をもらっていた学者が多く占め、その公正性には疑いを持たざるを得ない。事実、調査データが 二〇カ所もの誤りを示していたにもかかわらず、問題ないと設計変更にお墨付きを与えるなどしているのだ。
 埋め立て不可能な工事にすでに莫大な税金が費やされ、貴重な自然環境と沖縄の人々の生活環境は大きく破壊されてしまっている。イージス・アショア以上の失政は、直ちに撤回されなければならない。
 辺野古への新基地建設を必ず阻止しよう! 軍拡―改憲攻撃を打ち破って、安倍右翼反動政権を打倒しよう!


 

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