共産主義者同盟(統一委員会)


1572号(2020年6月20日)






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 排外主義煽り、利権をむさぼる

 安倍右翼反動政権を打ち倒そう


 

 
 ●第1章 コロナ感染が露わにした新自由主義の破綻

 現在進行中である新型コロナウイルス感染の世界的大流行は資本主義体制の構造的な矛盾を、特に新自由主義政策の根本的諸問題を一挙に噴出させた。六月四日現在の世界の感染者数は六五二万八五四四人、死者は三八万六三九二人に達した。
 国別の感染者数、死者数は順に、米国一八五万人、一〇万人、ブラジル五八万人、三万人、ロシア四四万人、五千人、英国二八万人、四万人だ。いずれも国家主義を煽っている権威主義的政権だ。共通しているのは、新自由主義的政策により公的分野である医療体制の脆弱化に加えてコロナ事態に対する権力者の根拠なき楽観主義が感染拡大を招いた点で、救えたはずの多くの命を死に至らしめた。これは国家犯罪だ。同じブルジョア政権でも、〇九年のSARSへの対応が失敗して大量の犠牲者が出たことを踏まえて準備を整え感染防止を最優先して死者数を抑えたドイツ、および、同じ総括の上に立ち、非常事態宣言を出さずに防疫関連法に基づく施策だけで犠牲者の増大を押しとどめている韓国と、極めて対照的だ。
 日本はどうか。前者に属するのは明らかだ。人の命よりも東京五輪開催を優先して対応がぶれて遅れた日本政府・東京都・大阪府の大失政のために被害が拡大し、その結果、一万七七四〇人が感染し、九二五人もが亡くなった(六月四日現在)。安倍の「ほぼ収束した」発言とは裏腹に市中感染は広がり、感染者・死亡者が今も連日出ている。経済活動に大きな制動がかかる中でかつてないほど多くの労働者人民が生きていけない、死の淵に追いやられる「非常事態」が起きているにも関わらず、それに対応する能力および意志が帝国主義者どもにはそもそも欠けていることが露わになったのだ。

 ●第2章 激化する失業と貧困、民族排外主義、改憲=戦争攻撃

 第一に、コロナ事態で最も危機的な状況を強いられているのが下層・非正規の労働者だ。総務省の統計では三月から四月にかけてのひと月で非正規雇用労働者数が一三一万人減った。四月の休業者数は前年同月比で四二〇万人増えた。だがこの数に手当の出ない休業者は含まれていない。「雇用の安全弁」という屈辱的な存在として正規職に先立って解雇される。手当なしの休業を強要される。
 「休業手当六割」と言われてはいるが、現実には給与の半分以下しか支払われていない。例えば月給二〇万円の場合、計算上約八万円にしかならず、さらに社会保険料などが引かれて手取り五万円での生活を強いられる。ひとり親家庭では子どもに十分に食べさせるために親が食事を一日一回に減らす。困窮して宿泊場所にしていたネットカフェが自粛で使えなくなり、さらに斡旋されたホテルを地方自治体によって叩きだされる……など、何百万人もの労働者が「最低限の文化的生活」どころか、生存の危機に直面しているのが日本の今の現実だ。安倍自民党にとって民主党政権が「悪夢の政権」であったとすれば、現政権は、夢どころではない、生き地獄政権だ。
 第二に、民族排外主義の嵐が吹き荒れている。文部科学省は困窮する学生に現金給付すると発表したが、外国人留学生は成績上位25~30%に限るという要件を付けた。各種学校の朝鮮大学校はそもそも給付対象から外された。露骨な民族差別・国籍差別だ。
 また、毎年九月一日に行われている関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典について、実行委員会が提出した今年の追悼式の申請受理を東京都が昨年九月に拒否した。その上、同一二月には誓約書を書くように実行委に要求したのだ。誓約書は、「公園管理上支障となる行為」を行った場合は中止を含む都の指示に従い、次年度以降に不許可になっても受け入れるというとんでもない内容だ。東京都はいつから都民に対する絶対的主人になったのだ? 小池都政においては「国民主権」や「基本的人権」という現行憲法の基本理念すらすでに焚書処分を食らって存在しないも同然だ。式典を中止に追い込み歴史を改竄しようと企む日本会議会員・小池による悪辣な歴史修正主義的所業を許すな。
 第三に、憲法改悪=戦争攻撃だ。五月二八日には衆院憲法審査会が今国会で初めて開かれたが、自民党議員は緊急事態条項に関する議論を進めるべきと言い放った。コロナ事態で安倍政権に危機管理能力のかけらもないことがはっきり証明されたが、それにもかかわらず、緊急事態宣言を緊急事態条項の憲法への盛り込みに結び付けようとしているのだ。
 また、改憲と根が同じ戦争体制づくりの一環として、千葉県の自衛隊木更津基地が格納庫を新設するなどオスプレイの拠点として強化され、事故の絶えない危険な同機の飛行訓練を関東一円で増やそうとしている。工事業者に感染者が出て中断している米軍辺野古新基地建設は、防衛省が地盤問題の存在をこっそり認めながらも、工事再開を眈々と狙っている。
 第四に、現政権の不正・腐敗は留まるところを知らない。森友、加計、桜を見る会、黒川賭博麻雀常習、元法務相河井夫婦買収選挙につづきコロナ関連で持続化給付金委託・再委託問題が明らかになった。
 この持続化給付金問題は、まず管轄官庁の経産省が、電通・パソナ・トランスコスモスなどにより設立された「サービスデザイン推進協議会」に七六九億円で業務委託。次に、同協議会が3%の二〇億円を中抜きして電通に再委託。続いて電通が三八億円抜いて電通子会社五社に外注し、その一部がパソナとトランスコスモスに回る――という仕組みだ。持続化給付金は本来コロナ禍で事業継続すら困難になっている中小零細個人事業者に渡るべき財政だ。それを悪徳企業と政治家・官僚が天下りを含め癒着・結託して食い物にする典型的なハイエナ的所業だ。断罪すべきだ。

 ●第3章 国際連帯の力で安倍政権を打倒しよう

 私たちはコロナ事態の中で感染対策をしっかりとって、迫り来る未曽有の大失業と貧困の時代を生き抜き、世界の労働者人民と連帯して立ち上がろう。日本帝国主義・安倍の生き地獄政権を打倒して、労働者人民解放の未来を切り拓いていこう。
 米国ではコロナ事態による経済的打撃がことのほか大きく、四月の失業者数が前月より一五九三万八千人増えて失業率が14・7%に達した。三月の緊急事態宣言から五月末までの新規失業保険申請件数は全労働者の四分の一に当たる四千万件を超えた。
 そうした中で、四人の白人警察官による黒人労働者ジョージ・フロイド氏殺害事件が五月二五日に起きた。これに対する労働者民衆の抗議行動が全国に拡大し、世界各国での連帯行動も起きている。この闘いは米帝国主義が人民支配の柱の一つである人種差別、つまり社会的構造的な差別構造と公権力と民間反革命による黒人労働者民衆に対する拉致・リンチ・レイプ・殺害及びそれを正当化し扇動するイデオロギーに対する怒りの爆発だ。さらに、コロナ事態の中での際立った感染率・死亡率の根底にある差別問題に対する総反撃だ。リーマンショック後の「99%の占拠運動」をはるかに上回る広さと深さで全米三〇〇都市以上(六月三日現在)に拡大し続けている。
 抗議行動の大部分は平和的に進められているにもかかわらず、警察の暴力的弾圧が頻発している。加えて米帝トランプは抗議行動を「国内テロ」と決めつけ、各州知事に州兵による軍事的制圧を要請するとともに、連邦軍の出動にまで言及した。その後、陸軍の複数部隊計一六〇〇人が首都ワシントン近郊に展開しており、また、ホワイトハウス近くのデモの頭上には陸軍ヘリが出動した。警察・州兵の発砲による死者も各地で発生し、少なくとも一二人が死亡、九千人が逮捕された(六月三日現在)。
 だが他方で、警官と州兵の中にはジョージ・フロイド殺しに抗議して片膝をつく者、マイクで演説してデモに合流する者もあらわれている。また、トランプの軍出動発言に対しては野党民主党のみならず国防長官エスパーが公式に反対を表明した。前国防長官マティスも公然とトランプを批判している。権力の中枢および暴力装置の内部で分岐が起きているのだ。「ジョージ・フロイドに正義を!」「正義なくして平和はない!」と叫びながら行進し続ける米国労働者人民と連帯していこう。
 韓国の労働者民衆の闘いも続いている。コロナ事態の中で集会・デモを十分に行うことができない困難に直面しながらも、被解雇者全員の現場復帰をついに勝ち取った双竜自動車労組と、会社の謝罪をついに勝ち取ったサムソン解雇撤回籠城闘争とに代表される労働者の生活と権利を守る闘い。未明に強行されたTHAADミサイル強襲搬入に抗して闘う地域住民と支援の粘り強い闘い。内部問題の解決を目指しつつ弛みなく取り組まれている日本軍性奴隷制犠牲者ハルモニをはじめとする戦争・植民地被害者に対する日本政府の謝罪と賠償を勝ち取るための闘い。ハルモニたちの要求を実現するためにさらに闘っていこう。
 フィリピンではドゥテルテ政権の下での国軍・警察による活動家の殺害・拉致・リンチ・不当逮捕が今も続いている非常事態だ。そのなかでもフィリピン労働者民衆は帝国主義に反対し真の民主主義の確立を目指して闘いの歩みを続けている。こうしたアジア労働者民衆とも固く連帯してたちあがろう。
 全世界の人々と力を合わせて、日本政府による憲法改悪、民族排外主義、労働者民衆の生活を破壊する策動と対決し、安倍政権を打倒する闘いをさらに進めよう。六月に各地で取り組まれるアジア共同行動の集会を支持し参加しよう。



 

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