1571号(2020年6月5日) |
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安倍独裁と排外主義に怒りを! 反帝国際共同行動を進めよう 米軍横田基地反対 6・6福生公園へ 全世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID19)のパンデミックによって、人々の生活は大きな影響を受けている。一年前はもちろん、年明けにおいてもこのような情況で二〇二〇年春夏期を迎えることを予想していた人はほとんどいないはずだ。「コロナ後の世界」といわれるように、この疫病の世界的な大流行は、この社会に大きな変化をもたらすことは間違いない。今夏期、画歴史的な事態が進行する中で、政府・資本が主導する「社会変革」の動きに対して、労働者人民の利害を強く掲げた運動を展開していくことが問われている。コロナ感染流行の第二波・第三波を警戒しながら、リーマン危機を超えた未曾有のコロナ経済危機に対抗していこう。 ●第1章 安倍政権に対して噴出する人民の怒り ▼1章―1節 湧き上がる反対運動で検察庁法改悪今国会断念 安倍政権は本年一月、黒川弘務東京高検検事長を定年後も役職に残した上で検事総長に起用するために、国家公務員法の規定を用いて定年延長を強行するという違法人事を閣議決定した。安倍政権は三月には、この問題を国会で追及された。この違法人事を隠蔽するために検察庁法改悪を国家公務員法の改定と抱き合わせで、国会に提出した。今国会中に押し通そうとすることに対して、労働者人民の怒りが噴出した。 戦争や自然災害、「テロ」などの非常時を前にして人々が茫然自失している時に、自らの政治的野望を貫徹しようとする政治手法を、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインは「ショック・ドクトリン」(惨事便乗型資本主義とも)と呼んだ。火事場泥棒的な安倍政権の手法はコロナ禍でますます明らかとなった。 安倍政権にはモリ・カケ疑獄や「桜を見る会」問題、あるいは広島県選出の河井夫妻の公選法違反など数々の未解決疑惑がある。汚職・不正、国政私物化などの権力犯罪を実行しても自分(たち)が捜査を受け、拘束されないように、検察権力を抑えようというのが、黒川定年延長―検察庁法改悪の本質だ。時の政治権力が検察人事に介入するということは独裁政治のはじまりだ。 これに対して、SNS上には「#検察庁法改正案に抗議します」「#検察庁法改正法案に抗議します」といったハッシュタグを付けた投稿が林立した(本紙読者の中にも発信した人は多くいることだろう)。その数は短期間で一〇〇〇万件を超えて、野党関係者、芸能人や著名人をふくめて大運動となった。検察幹部OB有志でさえも「首相は『朕は国家』のルイ一四世を彷彿とさせる」という意見書を提出する事態となった。また、コロナ対策をとりつつ、街頭での情宣行動なども全国で連続的に取り組まれた。 それらの声は、政権発足以降、安倍首相が立憲主義的な手続きを踏みにじり、自らのほしいままに政権を運営してきたこと、日頃は勇ましく「愛国者」を気取っているが、その実はコロナ禍で人々が苦しみ奮闘している最中であっても、自邸と思われる場所でくつろぎ「ステイホーム」を勧める姿をSNSで発信して恥じない「世襲貴族」のような権力者への怒りの鉄槌であった。 事態の流動化の中で、黒川検事長が産経新聞記者と朝日新聞元記者と賭けマージャンをしていたことが週刊誌に報じられた。黒川はおおむね事実を認め辞表を提出し、閣議決定で承認された(森法相による処分は訓告。人事院規定よりも軽い。過去には同様の件で逮捕されたり書類送検された著名人もいる)。 この報道はいわゆる「文春砲」で、権力の内部抗争の一環かもしれないが、問題となった当日の五月一日は官製「ステイホーム運動」のただ中であり、政府が人々に連休中の「外出自粛」や「休業」を要請していた時だった。この事件は安倍政権の腐敗ぶりを示してあまりある。森友疑獄における籠池逮捕のようなトカゲのしっぽ切りを断じてゆるさず、安倍政権による国政私物化責任を追及していこう。 安倍政権は、「批判を真摯に受け止める」などとして検察庁法改悪法案の今国会での強行採決は断念したが、秋の臨時国会にも提出しようとしている。さらに、今通常国会(会期は六月一七日までの予定)でも、改憲のための国民投票法案改定を行なおうとしている。第二次補正予算がどのように編成されるかもふくめて、労働者人民の側からの監視・注目を強めていこう。 ▼1章―2節 安倍は改憲論議・軍拡政策を「自粛」していない 安倍政権は、「緊急事態宣言」を延長して、人々を「自粛」で統制することに躍起になっている。しかし、人々に対して偉そうに説教している場合ではない。まず政府がなすべき対策をなさなければならないのではないか。PCR検査、抗原検査を徹底的に増やし、国内感染状況の真実を明らかにすることが必要だ。国家財政、独占資本の内部留保をはじめとして国家資源を動員して医療体制を建て直すことを要求していこう。 安倍政権は、労働者人民に「自粛要請」をしながら、軍事基地建設をはじめとする日米軍事同盟強化―軍事大国化の動きを「自粛」しようとはしていない。五月六日には、陸上自衛隊が購入する一七機のオスプレイのうち二機を輸送する船が那覇軍港に到着し、八日に山口県の岩国基地で陸揚げされた。岩国では二〇名の市民が抗議行動を行った。陸自オスプレイは佐賀空港への配備が地元の漁協・住民らの猛反発によって頓挫したことから、千葉県の木更津基地(米軍管理で米軍の常時駐留管理日米共同基地)に暫定配備され、島しょ部での作戦を担う「水陸機動団」の隊員を輸送する計画になっている。 また、秋田県・新屋演習場に代わるイージスアショア配備候補地選びも継続している。航空自衛隊は五月一八日、府中基地に宇宙作戦隊を新設した。辺野古新基地建設をめぐっては四月二一日に工事の設計変更を沖縄「県」に申請している。琉球弧への自衛隊ミサイル基地建設も進行している。人々の生命や生活よりも、軍事基地建設と米軍の自由な展開、日米軍事一体化、そして改憲を優先させる安倍政権を絶対にゆるしてはならない。 ●第2章 差別・排外主義と対決し、国際連帯運動を進めよう 厚労省によると、五月二一日現在で日本国内におけるコロナ感染者はクルーズ船乗船者をふくめて一万七二三〇人、死者は八一二人とされている。ジョンズ・ホプキンズ大学の調査では、全世界の感染者は五〇〇万人を超えた。米国が一五五万人と突出している。死者数は、米国(九万五〇〇〇人)、英国(三万六〇〇〇人)が圧倒的に多く、欧米以外では「南米のトランプ」と呼ばれる極右ボルソナーロ政権下のブラジル(二万人)と多くなっている。とりわけ、米英両国の死者の多さは、サッチャー・レーガン以来四〇年近く継続してきた新自由主義政策による医療や福祉の基本的な公共システムが破壊されてきた結果で、下層に置かれた人々に犠牲が集中していることを注視しておきたい。 ▼2章―1節 差別・排外主義を煽る日米反動政権 トランプ大統領は、自らのコロナ対策の失政を反省することをせず、一一月大統領選をにらんでコロナ感染拡大の全ての責任を中国に押し付けるデマをばらまき、労働者人民に排外主義を煽動している。「中国の無能さが世界規模の大量殺戮を引き起こしてきた」とツイートし、対中国戦略をまとめた報告書を連邦議会に提出した。そこには「中国は政治、経済、軍事力を拡張して、他国を服従させようとしている」とし、中国への圧力を強化して「米国の国益を守る」と記されている。台湾の蔡英文当局への武器売却もふくめた支援強化で「米中新冷戦」を演出している。 安倍政権は人々への「自粛」要請を通して、国家権力に忠実な「国民」を作り出そうと躍起になっている。コロナ対策での失態を、差別・排外主義煽動で乗り切ろうとする反動政権との対決が問われている。日本においては、「自粛警察」と呼ばれる自警団を気取った人たちが、休業要請に応じない商店や外出をしている人たちへのいやがらせを行っていることが問題となっている。医療や運輸、保育職場などの労働者と家族への差別、コロナ感染者への暴力行為、ネットリンチなども起きている。ゆがんだ「正義感」ゆえの行動なのかもしれないが「緊急事態宣言」下で、密告社会・戦時下の隣組組織のような同調圧力・人民相互監視がもたらされている。 ▼2章―2節 国境を越える運動を こうした困難な情況の中で、アジア共同行動(AWC)は六月国際連帯集会開催の方針を打ち出している。コロナ感染拡大で、国境は封鎖されている。アジア太平洋―全世界の闘う人々との直接対面の交流は今までにない困難を強いられる。しかし、韓国、フィリピン、台湾、香港をはじめ、各地で労働者人民の闘いは続いている。あらゆる手段を駆使して、労働者階級人民の結合、国際連帯活動を強化して、差別・排外主義煽動を打ち破っていこう。全世界的なコロナ経済危機による破局的な事態がさしせまっている。「帝国データバンク」は日本国内における倒産件数が今年は一万件を超える(自主的な休廃業は二万五〇〇〇件)と予想している。厚労省は、解雇・雇い止めで職を失った労働者が、三月は八三五人、四月は二六五四人、五月は七〇六四人と報告している。コロナ禍で「資本主義の地獄の釜」がフタを開けたといわざるをえない。国境を越えた運動を推し進めていくことが求められている。 |
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