共産主義者同盟(統一委員会)


1570号(2020年5月20日)






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 人民の命・生活より基地と改憲を

   優先する安倍政権を打倒しよう

 検察庁法改悪案の採決強行を許すな


 


 安倍政権は緊急事態宣言の発令を継続するなか、五月三日の憲法記念日には「緊急事態」に便乗して改憲をやりぬくと宣言した。感染対策の失政をごまかした上に、この事態を戦争国家化に利用しようというのだ。断じて許してはならない。安倍政権を打倒し、労働者民衆の命と権利を守り抜こう!

 ●第1章 辺野古新基地建設に固執する日帝―防衛省弾劾!

 ▼1章―1節 辺野古新基地建設設計変更申請弾劾


 防衛省は四月二一日、辺野古沿岸部の埋め立て海域東側にある軟弱地盤の改良工事のため、公有水面埋立法に基づく設計変更を沖縄「県」に申請した。河野太郎防衛相はこの申請について「十分検討された内容だ。移設工事を着実に進めることが、普天間飛行場の一日も早い返還の実現につながる」等と述べたが、「工期」は当初想定の五年から約九年三カ月に延ばすことになり、事業完了に必要な期間は約一二年となる。これだけみても「一日も早い返還」どころの話ではない。
 「十分検討された」というのもデタラメで、粘土層が最も深い海面下九〇メートルまで達している沖合の「B27」地点では、防衛省自身の調査によって「軟弱」であることを示す実測データが検出されていた。このまま工事を続ければ「護岸が崩壊する」と専門家も警告している。
 さらに河野は「技術検討会からもお墨付きをもらった」というが、技術検討会の八人の「識者」の半数は政府系出身で、うち三人は辺野古工事を受注した建設業者から計五七〇万円の資金提供を受けている。まったくもって「中立」でも「公正」でもない技術検討会なのだ。
 設計変更の申請に対し、玉城デニー知事は「県民に十分な説明をしないまま埋め立て工事の手続きを一方的に進め、到底納得できない」と強く批判し、「県」として承認しない方針を鮮明にした。当然の対応である。しかも安倍政権が「緊急事態宣言」を発令し、沖縄でもコロナ感染が拡大し人々が厳しい生活を強いられている状況下で、この申請に一体何の緊急性、必要性があるというのか!
 設計変更申請に限らず、コロナ事態においてもなお、安倍政権は何が何でも辺野古新基地建設を強行している。
 三月二六日、辺野古埋立承認撤回を取り消した国交相の裁決取り消しを求める「関与取消」訴訟で、最高裁は国側の主張を追認し、上告取り消しの判決を打ち下ろした。コロナ事態でほとんどの裁判が延期となった最中のことである。
 辺野古の埋め立て工事そのものも、四月一六日に現場の工事業者から感染者が出るまで中止にならなかった。一七日に河野は「受注者が工事中止の意向があるなら中止するが、今のところ示されていない」と工事を続行しようとした。玉城知事をはじめ批判の声があがり、ようやく二〇日に沖縄防衛局は「工事を引き続き中断する」と発表した。しかし、中断の期間は明らかにせず、いつでも再開する態勢でいる。
 一方、四月一〇~一一日、普天間基地から泡消火剤(ドラム缶七〇〇本分以上)が住宅街に流出する事件が発生した。この泡消火剤には有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)が含まれている。PFOSは免疫異常を引き起こし、発がん性も指摘されている物質であり、各国で使用・製造が禁止されているものだ。宜野湾市によれば、流出が明らかになった一一日午後、米軍は流出除去作業には加わらず、基地内での対応を優先していると言い残して立ち去ったという。有害物質を垂れ流しても何の責任も対応もとらない米軍の態度に、沖縄の現実が凝縮されている。

▼1章―2節 コロナ対策の重大な抜け穴―在日・在沖米軍の移動を停止せよ

 そして、米軍内部でも感染が拡大している。海軍の原子力空母ロナルド・レーガンで感染爆発が起こり、事実上の母港である横須賀基地で複数の兵士・家族の感染が公表された。また沖縄の米空軍・嘉手納基地でも三月末、三例目の感染者(兵士の家族)が公表されている。ところが三月末に国防総省が米軍内における感染の詳細を非公表としたため、これ以後どれくらい感染が拡大したのか、まったく知ることができない。
 そもそも米軍は地位協定により、日本の入国審査や検疫を受けることがない。感染した米軍が基地内にいるのか、基地外に居住しているのかも知ることができない。基地周辺で暮らす住民にとって、命と健康に関わる。米軍基地がひしめく沖縄の住民にとってはなおさら重大事だ。
 いま日本政府は、米国をはじめ七三カ国の出入国を制限している。そのなかで米軍兵士や軍属だけがこの出入国の制限をうけないことは、コロナ対策の最大の抜け穴である。「安全保障」を理由とした米軍例外措置こそが、人民を感染の危険にさらしている。人民の命・生活よりも軍事基地建設を優先する米軍と安倍政権を、絶対に許してはならない。
 百年前、世界でおよそ三千万人が死亡したと言われるインフルエンザの大流行は、アメリカの米軍キャンプで発生し、第一世界大戦でヨーロッパに派遣された兵士を介して世界に拡大したと言われている。米軍が世界中に展開しているのは現代も同じである。日本政府は在沖・在日米軍基地を閉鎖し、兵士の移動を停止させるべきである。

 ●第2章 安倍の暴走を許さず人民の命と生活、権利を守り抜こう

 ▼2章―1節 「緊急事態」に便乗した改憲攻撃を許すな


 安倍首相は五月四日、緊急事態宣言を五月三一日まで延長することを決定した。その前日の三日(憲法記念日)には、改憲派(日本会議)のオンライン会合にビデオメッセージを寄せ、コロナ事態に便乗して改憲を訴えるという許しがたい発言をおこなった。
 「緊急事態において、国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるのか」、「国会の憲法審査会の場でじっくりと論議を進めていくべきだ」とナショナリズムを煽動しつつ、緊急事態条項を含めた改憲の「必要性」を訴えたのだ。
 しかし、そもそも感染拡大は安倍政権の初動対応の遅れに大きな原因がある。五輪開催に固執し、検査を極めて制限したことが日本における感染爆発の始まりとなった。だが安倍首相はみずからの政治責任を不問に付した上で緊急事態宣言を発令し、社会不安を高め、「緊急事態」下の生活に民衆を慣らすことに躍起になってきた。そして今や、現憲法では「緊急事態」に対応できないとばかりに、このみずから招いた事態に便乗して改憲を訴えるという恥知らずにもほどがある政治手法へ乗り出している。
 そもそも緊急事態宣言は人々の命と健康を守るために必要なのか。感染を止めるには人と人の接触を減らす必要があることはもちろんだが、しかしそのためには仕事を休んでもある程度の収入が得られる必要がある。それが無く、あっても「一律一〇万円」といった極めて不十分なものでは、感染のリスクを冒して通勤し、労働せざるを得ない。逆に言えば、十分な補償があり、コロナ対策についての正確な知識が行きわたれば、人々は自律的に外出を自制するだろう。緊急事態宣言など必要ないのである。
 にもかかわらず安倍ら改憲派は、「より強力な外出制限を課すためにも憲法に緊急事態条項を加える必要がある」と、みずからの失策を逆に利用して改憲に世論誘導しようとしている。
 安倍はまたメッセージにおいて、新型コロナ対応に自衛隊員が携わっていることをあえて引き合いに出し、「自衛隊は違憲というおかしな議論に終止符を打つ」と九条に自衛隊を明記して実質的に九条を破壊する意図を明け透けにした。そして「憲法改正への挑戦は決してたやすい道ではないが、必ずや皆さんと共に成し遂げていく」と結んで、戦時体制づくりに向けた決意を示している。コロナ事態に便乗した改憲を許してはならない。

 ▼2章―2節 政府はコロナ対策でなすべきことをせよ

 何よりも感染検査が圧倒的に不足している。他国と比べても、検査の数が少なすぎる。四月二九日までの国内検査数は人口一〇万人当たり一八八件で、韓国の六分の一、米国の九分の一にとどまる。韓国や台湾では、外出禁止の政策を採らずに、感染の封じ込めに成功している。徹底的な検査をおこない、感染者や濃厚接触者を隔離・治療しているからだ。
 「三七・五度以上の高熱が四日間以上続く」という厳しい検査基準を作ったために、すでに多くの命が失われた。この期に及んでも安倍政権は検査体制を抜本的に強化していない。政府に対する不信、不満はますます高まっている。
 英国の世論調査会社によれば、政府のコロナ対策についての満足度は日本の場合、39%と最低レベルの数値であり、多数の死者が出ているフランス(38%)と同水準だ(三月中旬の調査結果)。
 政府として必要な対策をとらずに、民衆の行動制限を「自粛」という形で強制する安倍政権に怒りが高まるのは当然だ。
 政府は今すぐ検査体制を強化し、マスクや体温計、薬品、医療設備など必要な物資を総力を挙げて供給すべきだ。
 同時に、労働者人民の正当な権利として、休業補償を断固要求しよう。緊急事態宣言の発令後、企業の倒産・休業、労働者の失業が急激に増大している。緊急事態宣言自体、政府権力による不当な民衆規制だが、それを強制するならば最低でも「自粛と補償はセット」でなければならない。安倍は憤激の声に押されて「一律給付一〇万円」を決めたが、遅すぎる対応であり、十分な金額でもない。
 「不要不急」の防衛予算をカットさせよう。労働者を搾取して貯めた大企業の内部留保を放出させよう。そしてすべての労働者人民が安心して生きられる補償を、今すぐ要求しよう。

 ▼2章―3節 差別・分断を乗り越え、国際連帯運動の強化を

 トランプ政権や右翼ジャーナリズムは「武漢ウイルス」なる用語で、コロナ感染爆発の責任が中国にあるようなデマ言説をばらまいている。トランプは証拠も示さずに「武漢の感染研究所からウイルスが流出した」と吹聴している。みずからの感染対策の失敗で死者が五万人以上にのぼったことを覆い隠し、中国政府への憎悪を煽って、責任を逃れようというのだ。
 こうした排外主義の主張、煽動と対決し、今こそ国際連帯運動を進めなければならない。アジア共同行動を推進しているフィリピン、韓国、台湾の民衆団体はそれぞれ労働者人民の命と健康を守るために奮闘している。このパンデミック情勢について、新自由主義により脆弱となっていた医療体制が危機を一層深刻化させていること、大資本の救済が優先され、民衆の生存権がないがしろにされていることに共通認識を持っている。そして資本のではなく、民衆の国際連帯でコロナ危機を乗り越え、資本主義に代わる新たな社会建設を訴えている。
 今こそ各国政府による排外主義と差別・分断を乗り越え、労働者民衆の国際連帯が必要だ。アジア共同行動が呼びかける六月国際連帯集会を支持し、支援しよう。外出制限、出入国禁止が続き、国際連帯の闘いも困難を強いられるが、創意工夫を凝らして成功させよう!



 

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