共産主義者同盟(統一委員会)


1560号(2019年12月5日)






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  教育の利権化―萩生田弾劾

 今こそ安倍政権を倒そう

 12・14三里塚闘争&団結いも煮会へ



 
 経産相菅原一秀、法相河井克行があいついで辞任した。九月に行われた内閣改造から二ヶ月も経たないうちの、そして一週間も空かない間での辞任だ。今また「大学の入試改革」の名の下に教育の民営化が利権によって強引に推し進められようとしている。自らと「お友達」の私腹を肥やすことにのみ奔走し、法律も憲法さえもないがしろにする安倍政権を許すことはできない。
 安倍は、このようなでたらめな政権運営に対し高まる不満や怒りの矛先をそらすため、排外主義を煽り続けている。これまでの日韓の歴史的経緯の一切を捻じ曲げ、一方的に韓国の非をなじり行われる経済制裁を今すぐ止めさせていかなければならない。
 中東の原油輸送の要衝ホルムズ海峡への米軍主導による有志連合の作戦が一一月七日、正式に始動した。日本はこの有志連合には参加せず、自衛隊を「独自派遣」するとしている。憲法九条の形骸化はますます進められていくことだろう。自衛隊の海外派兵の常態化を許してはならない。

 ●第1章 大学入試民営化弾劾! 安倍政権打倒

 文科相萩生田光一の大学入試への民間試験導入をめぐる「身の丈」発言に批判が集中している。萩生田は自らの責任が問われることを恐れ、批判をかわすため英語の民間試験導入を先送りとした。
 この問題のことの経緯はこうである。
 大学入試への民間試験導入は、安倍政権が一貫して推し進めてきた。二〇一二年の野党時代、総裁である安倍直属で「教育再生実行本部」が設立され、政権に返り咲いた後の一三年四月に英語の民間試験の一定以上の成績を受験資格とするという提言をまとめた。これを受け、首相となった安倍が設置した私的諮問機関「教育再生実行会議」でも外部検定試験の活用が提言され、民間試験導入の道筋が作られていった。一四年一二月には文科相の諮問機関「中央教育審議会」が大学入試で英語の四技能(読む・書く・聞く・話す)を評価することを提言し、二〇年度の実施とされた。
 しかし、この民間試験導入は都市と地方、あるいは家庭の経済力などによる格差を著しく生み、憲法や教育基本法で保障された教育の機会の確保と機会均等の原則に反するとして、具体化が進むにつれ、教育現場の教員や実際に受験する生徒たちからも批判が高まっていた。
 このような指摘に対し、萩生田は一〇月二四日にテレビの討論番組で「裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈に合わせて、二回をきちんと選んで、勝負してがんばってもらえば」と発言。機会均等に反する制度を強いておきながら、それを棚上げにし、自己責任の問題にすり替える萩生田の発言に、さらなる批判が集まった。
 その後の様々な報道等で明らかにされてきている通り、この大学入試の民営化は、ようするに一部の教育関係の企業と政治家の利権によって画策されているということである。英語入試、国語・数学の記述問題採点などを民間企業ベネッセなどに委託するとしている。民間試験を導入すれば、その対策として塾や予備校などの企業や団体も潤う。
 この民間導入の動きに当初から深く関与し、とりまとめを行ってきたのが元文科相の下村博文と現文科相の萩生田光一であるが、この下村が支部長を務める自民党東京都第一一選挙区支部は〇五~一一年の七年間で教育関係の企業や団体から総額一二八九万円の、そして一四~一七年の四年間には総額一一六〇万円の献金を受けている。民間試験導入を主導しつつ、教育関係者からどっさり金をもらっていたのだ。
 民間試験導入が決まった会議は非公開で、議事録すら出てきていない。議論の中で導入を裏付ける根拠やデータを諮ったかどうかは甚だ疑問である。
 この他、大学入試の民営化は学生アルバイトによる採点が想定されていることや、自己採点による二次試験への出願で実際の点数との誤差が生じかねない点など、今回延期の決まった英語に限らず問題は山積している。しかし萩生田は、この期に及んでも民間試験の導入を「二四年度に実施したい」とし、何としても強行しようとしている。
 大学入試への民間導入は、加計事件以上の規模で、全国の学生・青年に直接関わる問題だ。教育の無償化・保育の無償化からの朝鮮学校・幼稚園の排除といい、今回の問題といい、私たちの保障されるべき教育機会の確保や機会均等の権利はますます削り取られている。彼らにとって、教育の機会均等の原則は、羽毛のごとき軽さでしか考えられていないのだ。そればかりか安倍政権が進める規制緩和、民営化は政治家と結びついた一部の資本が利権を独占することしか生みだしていない。学生、青年の怒りを萩生田と文科省に集中しよう。利権にまみれた安倍政権を打倒しよう。

 ●第2章 米軍の事件・事故を許さない 米軍基地撤去!

 岩国基地所属の米軍戦闘機部隊では規律違反が横行し、戦闘機と空中給油機の接触事故が続発している。二〇一八年一一月一二日、FA18スーパーホーネットが那覇市沖の海上に墜落。続いて一二月六日には、空中給油の夜間飛行訓練中にFA18とKC130空中給油機が接触事故を起こし高知県沖に墜落した。今年五月にはF35Bが離陸時にバードストライク(鳥が衝突する事故)でクラスAの大事故を起こした。
 さらに、昨秋以来、岩国基地では滑走路の時間外運用を巡る岩国市への通知方法を変更した。米軍は滑走路を共用する海上自衛隊の時間外運用を海自に代わって通知するようになったのだ。これにより時間外に飛ぶのが米軍なのか海自なのかが明かされなくなったのである。市民の不安の声にも関わらず、米軍の飛行計画や実績、事故報告さえなされていないなど、基地周辺の自治体住民等の安全は脅かされ、一顧だにもされていない現状だ。
 また、厚木基地からの空母艦載機の移駐から一年以上が経ち、爆音被害がますますひどくなっている。二〇一八年四月から一九年三月までの一年間に岩国市に寄せられた騒音への苦情は六五〇九件にのぼる。騒音件数は艦載機の移駐前に比べて格段に増えており、過去最多だった前年度に比べても一・八倍に急増している。
 加えて。米軍岩国基地所属の戦闘機部隊において、飛行中にパイロットが読書や「自撮り」など、極めて危険な行為をくり返していたことが明らかになっている。

 ▼2章―1節 全国で反基地闘争を闘おう

 日本帝国主義が、アメリカ帝国主義の軍事戦略と一体化し、現行九条を改憲して実際に「戦える自衛隊」を合法化することに邁進する中、全国で反基地闘争が粘り強く闘われている。
 辺野古への新基地建設が強行される沖縄・名護では、これまでのキャンプ・シュワブゲート前の座り込みに加え、海上からの土砂搬入を止める闘いが取り組まれている。
 岩国においても、騒音をはじめとする生活破壊に、「米軍機による爆音被害をなくすことを求める請願署名」が集められ、今年八月に二万六五九四筆の署名が提出された。「一の日」ごとに行われてきた「愛宕山見守りの集い」も継続して取り組まれている。
 イージス・アショアの配備が目論まれている山口県・阿武町、萩市の配備反対闘争、京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去闘争、オスプレイ配備阻止・日米航空統合司令部反対を闘う横田反基地闘争など、全国で闘われる反戦・反基地の闘いを横につなげ、アジア太平洋の民衆とも連帯して、東アジアの平和のためにともに闘おう。

 ▼2章―2節 自衛隊中東派兵阻止に立ち上がろう

 一〇月安倍政権は中東情勢の「情報収集」を名目に、ジブチに加え、中東の海域へのさらなる自衛隊派兵の方針を固めた。イランとの友好関係の建前上米軍が主導する有志連合への参加は見送ったものの、自衛隊をホルムズ海峡東側のオマーン湾などに独自に派遣するというのだ。
 今回の派兵の法的根拠は国会承認も不要な防衛省設置法の「調査・研究」である。これによって、期間、地理的制約、方法、装備などがいずれも白紙で、法的にまったく野放し状態のままで自衛隊を派遣することが可能となる。しかし、すぐ近くで有志連合の作戦が展開しているのであり、米軍の今後の意向や現場の状況の推移によって、容易に武力衝突に発展しかねない海域への派遣である。自衛隊の米軍との一体化が進む現状で、安保法制下での自衛隊の武力行使に帰結しかねない。
 武力衝突の事態となれば後付け的な法解釈の捻じ曲げや事後承認などによって自衛隊の武力行使はやすやすと実現されてしまうかもしれない。私たちは、陸自の度重なる「日報」隠しなど、自衛隊・防衛省の隠ぺい体質を忘れてはいない。
 政府は「中東地域の平和と安定」のためなどとしているが、昨今の中東情勢の緊迫のそもそもの原因は、トランプ大統領が自身の再選にむけてオバマ政権時のイラン核合意を一方的に反故にしたことにある。有志連合の作戦と歩調を合わせた今回の自衛隊派兵が「平和と安定」のためになるはずもない。
 自衛隊の海外派兵は違憲なのであり、これが常態化されてしまっていること自体許されない。これらの憲法九条の形骸化は改憲攻撃の一端としても行われている。自衛隊の海外派兵を止めさせよう。安倍政権を打倒し、改憲を阻止しよう。



 

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