1541号(2019年2月5日) |
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不正統計―偽装アベノミクス弾劾 民族排外主義強める安倍政権打倒 老朽原発うごかすな!全原発を停止せよ 一月二二日、モスクワを訪問した安倍首相はプーチン大統領と会談した。自らの支持基盤である右派の懸念を抑え込み、北方諸島交渉であえて安倍は「二島返還」を打ち出したものの、それすらプーチンから足蹴にされ、「外交的成果」は何も得られない結果となった。 こうした時、支持率回復のために排外主義とナショナリズムに訴えるのは安倍の見え透いた手口だ。「北朝鮮の脅威」論が利用できないため、「レーダー照射」事件で大騒ぎして韓国・文在寅(ムンジェイン)政権を挑発し、「韓国は危険で非常識」と排外主義を盛んに煽っている。 憲法を改悪し、米軍と共に侵略戦争のできる軍隊へ自衛隊を作り変えるために、昨年、安倍政権は辺野古への土砂投入を強行して沖縄人民を屈服させようとしてきた。また様々な反動諸政策を強めてきた。これらの攻撃を粉砕し、今年こそ安倍政権打倒の反転攻勢を切り拓こう! ●第1章 12・20判決弾劾! 市東さんの農地を守りぬけ 昨年一二月二〇日、千葉地裁民事第五部裁判長・高瀬順久は、市東孝雄さんの請求をすべて棄却するとともに、強制執行の停止決定を取り消す、という極反動判決を打ち下ろしてきた。 二年に及ぶ請求異議裁判で明らかにされてきた、反対同盟側の証人、証拠、論拠の一切を否定して、成田空港会社側に全面的に与する判決であり、断じて許せない。 高瀬裁判長は、「二度と強制的手段はとらない」と空港会社が公言したことについて「強制執行権の放棄ないし不執行の合意は認められない」と切り捨てた。 裁判の証人尋問では、一九七一年、あの大木よねさんの自宅と敷地・田畑が機動隊の暴力によって強制収用された時の様子が証言された。公団は後に強制収用を謝罪して、「今後は強制手段をとらない」と表明したのだった。それをまるで無かったことにして、市東さんの命である農地を、空港建設にとって必須ではなく、緊急性もないのに、強制的に奪うことを高瀬裁判長は追認したのだ。まさに司法権力と空港資本が一体となった「国策」判決だ。 これに対して市東さんは即日控訴し、弁護団が千葉地裁と交渉して、翌二一日には改めて執行停止決定をかちとっている。 反対同盟は、二〇日当日から天神峰現地での座り込み態勢を決定した。二〇日夜から二一日午後に執行停止が決まるまで座り込みの決戦態勢をとり、「強制執行攻撃を体を張って阻止する」ことを明確にした。 そして一月一三日に成田市内で開かれた団結旗開きにおいて、市東さんは「腹の底から怒っています」「親父の跡を継いで二〇年になりました」「何事があっても天神峰で生きていく」、「去年のように『やりきった』と言える一年にしたいと思います」と、怒りと決意を語っている。この市東さんの決意に応えなければならない。 また反対同盟は、同日発した「闘争宣言」において、「二年にわたる裁判の中で、裁判官たちは一体何を聞いてきたのか。小泉(大木)よねさんに対する国家権力による非道な強制代執行の生々しい証言、そして代々守り育ててきた農地への市東さんの思いと農業を続ける揺るぎない決意を、一万八五八三筆の署名と一三九七通の要望書にこめられた人々の真剣な思いを、すべて切り捨てたのだ」と判決を徹底弾劾した。その上で、控訴審裁判闘争と強制執行阻止決戦に向けて「四〇〇万円カンパ運動」と「天神峰結集運動、現地行動強化」を打ち出した。 半世紀を超える三里塚の闘いでは、司法は「中立」ではなく、常に空港会社と国家権力の側に立つことを、農民と支援者は思い知らされてきた。だからこそ反対同盟は実力闘争で闘い、そのことによって広範な民衆の共感や連帯を集め、農地を死守し、空港建設を阻んできた。いま改めてその原点に立ち返り、三里塚・天神峰現地に結集し、身体を張って市東さんの畑を守り抜く時だ。 沖縄・辺野古でも沖縄民衆の意志を踏みにじって、安倍政権が土砂投入を開始した。だがゲート前の座り込み闘争や海上における阻止行動が毎日、頑強に続くことによって、基地建設を遅らせている。埋立は開始したものの、軟弱地盤など問題は山積しており、工事の展望はまるでない。まさに沖縄民衆の体を張ったたたかいが安倍政権を追い詰めてきた。三里塚と沖縄のたたかいを一体のものとして闘おう。 三里塚に触れたことのない青年労働者や学生には、月一回開かれる「天神峰カフェ」への結集を呼びかけたい。市東さんの農地を実際に見て、反対同盟と交流して、日々の営農や生活がいかに空港会社と警察権力によって脅かされているかを知ってほしい。そして、農地強奪を阻止する現場攻防を共に闘おう。 三月三一日には、成田市内で全国総決起集会が反対同盟によって開催される。ここに全国から結集して、「市東さんの農地を奪うな!」の声を上げることだ。また成田市民に対しても「第3滑走路計画」や夜間離着陸時間の延長という、地域住民に対する生活破壊に対してともに闘おうと訴えよう。 ●第2章 安倍政権の排外主義と反動の激化を打ち破れ 安倍晋三は年頭の記者会見で、「新しい時代の幕開けに当たり、(改憲)議論を深めるべき時にきている」と語り、天皇代替わりと一体に改憲攻撃に踏み出す反動的意図を鮮明にした。 さらに「具体的な改正案を示し、国会の活発な議論を通じて国民的な理解を深める努力を重ねていくことが国会議員の責務だ」と語っている。改憲発議を企図しているのだ。 そして、改憲攻撃と一体に、安倍政権はその反動政治を急速に強めている。 第一には、昨年一二月臨時国会において入管難民法の改悪を強行したことだ。これは差別的な外国人実習制度を存続させ、その改悪・拡張を狙うものである。日帝資本の都合に合わせて外国人を「労働力」としてのみ動員しようとするものだ。 外国人実習制度のもとで外国人労働者は過酷な労働・生活環境に置かれてきた。法務省は昨年末、二〇一〇~一七年の八年間で実習生が計一七四人死亡していたと明らかにしたが、これには労災認定された作業中の事故だけでなく、自殺や過労死も含まれる。しかしこうした実態は隠蔽され、国会審議も意図的に歪められたデータを元に進められた。最悪の人権侵害がまかり通っている外国人実習制度はそのまま残された。 移民の権利を認めない「移民制度」ともいうべき改悪入管法の下で、「人手不足」に応じて外国人労働者を導入し、都合の悪い場合には外国人から雇い止めにするという、権利も生活も無視した差別的労働政策がさらに進められていく。昨年一二月にはシャープ亀山工場で、下請け企業に有期雇用されて働いていた日系外国人労働者約二九〇〇人が雇い止めされた。アイフォン用部品などの減産が影響しているという。まさにこうした「使い捨て」が改悪入管法施行後、ますます増大するだろう。 日本の労働者・労働組合は、外国人労働者の生活と権利を守り、労働者の国際連帯を断固推し進めよう。外国人技能実習制度を廃止しよう。 第二に、安倍政権は一二月一四日、辺野古への土砂投入を強行した。玉城デニー知事の中断要請を無視し、違法に違法を重ねて、辺野古崎の浅瀬部分にダンプカーで次々と土砂を投入した。沖縄人民がいくら反対・抗議しようとも、力づくで埋立を行うという国家暴力そのものである。これを既成事実として沖縄人民を屈服させることが安倍政権の狙いである。 だが、沖縄人民は怒りも新たに闘いに立ち上がっている。辺野古ゲート前での座り込み、海上でのカヌーチームの奮闘が毎日おこなわれている。「本土」においても埋立反対の世論が高まってきた。国際的な支援も、署名運動などを通じて拡散してきた。あせりにかられた安倍政権はいま、二月「県民投票」への妨害工作を強めている。 立ち上がる沖縄人民と連帯し、現地における阻止闘争の陣形を強化しなければならない。「本土」においてもあらゆるやり方で阻止闘争をこれまで以上に活性化させ、沖縄人民の闘いに応えていこう。 第三に安倍政権―警察権力は、昨年八月の滋賀県警による「恐喝未遂」容疑のでっちあげ逮捕を皮切りに、全日建運輸連帯労組関西生コン支部に対する弾圧を開始した。一連の弾圧ですでに四〇名以上が逮捕されている。 すでに明らかなようにこの弾圧は、正当な申し入れや団体交渉の要求といった労働組合の正当な権利に対するゼネコンと差別排外主義者一体となった攻撃であり、国家権力によるあからさまな政治弾圧である。関西生コン支部は、辺野古新基地建設阻止闘争や岩国基地の拡大強化に反対する闘い、原発再稼働阻止など様々な課題の先頭に立って闘ってきた。戦争のできる国家づくりをめざす安倍政権にとって脅威であるからこそ、共謀罪型の組織破壊弾圧に踏み込んできたのだ。 しかし、様々なたたかいを担ってきた関西生コン支部であるからこそ、多くの人々がこの弾圧に注目し、労働者や市民の支援の輪が関西から首都圏、全国へ急速に拡大している。フィリピン、韓国からも連帯メッセージが寄せられてきた。弾圧を跳ね返し、勝利するまでともに闘おう。 第四に、安倍政権はこの間、中国や朝鮮民主主義人民共和国への敵対のみならず、徴用工問題や日本軍性奴隷制度問題の韓国の対応に反発し、さらには自衛隊艦船に対する「レーダー照射」問題などを持ち出して、文在寅政権を批判し、対立を煽る排外主義煽動を強めている。 昨年一〇月三〇日、韓国の大法院が新日鉄住金に韓国人の元徴用工四人への損害賠償を命じると、安倍はただちに「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に入れて毅然と対応していく」と韓国側を恫喝。これにマスコミも同調し、「日韓請求権協定で補償問題はすべて解決済み」とする日本政府の立場を何ら検証することなく鵜呑みにして、韓国バッシングにやっきになった。 大法院の判決は、朝鮮植民地支配によって与えた損害に対する韓国およびその国民の損害賠償請求権は日韓請求権協定によって放棄も消滅もしていないとしている。なぜならば、請求権協定は「日本の不法な植民支配に対する賠償を請求するための取り決め」ではなかったからだ(判決文)。安倍がいくら「国際裁判」をもちだしすごんで見せても、国際的には安倍極右政権が孤立している。そもそも、六五年の日韓条約が不平等条約であることを問題にしなければならない。 安倍は徴用工問題を逆手にとって、南北和解に向かう文在寅政権に打撃を与えようとした。国内では差別排外主義感情を煽り立て、政権の支持率を高めようとしてきた。 そこへきて昨年一二月二〇日、海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国海軍の駆逐艦から射撃用の火器管制レーダーを照射されたとされる「事件」が発生した。照射が事実であったかどうかで日韓政府間で応酬が繰り広げられているが、そもそもそれが大騒ぎするほどの一触即発の危険行為であったのかと言えば、そんなことはない。「ミサイルが発射されるには艦艇内の複数部署で同時に安全装置を外す必要がある。だから火器管制レーダーの電波照射が即危険だということにはならない」とは元航空幕僚長の田母神敏雄の弁である。しかも当時、韓国艦艇が漁船の救難活動をしていたところをわざわざ哨戒機が低空飛行をしていた。挑発したのはむしろ哨戒機の方だ。安倍政権は現場の映像を公開させ、ここぞとばかりに「韓国は非常識で危険な国」と排外主義キャンペーンを展開した。一月二一日には「これ以上、協議を継続しても真実の究明に至らない」と韓国側の主張を聞かずに一方的に協議を打ち切った。このキャンペーンによって野党やマスコミ、そしてリベラル文化人・知識人までも「韓国バッシング」に取り込むことに成功したので、これでもう良いと判断したのだろう。 戦争国家への衝動を強め、反動政策を進めてきた安倍政権に対し、二〇一九年、労働者民衆の怒りを集中していかなければならない。また同時に、韓国をはじめ東アジア民衆に対し排外主義を煽る安倍政権の意図を徹底的に暴露しつつ、東アジア民衆の国際連帯をさらに強め、共同闘争を実践していく必要がある。天皇代替わりによる「祝賀」強制と、予想される国家権力の弾圧を打ち破って、安倍政権を打倒しよう! |
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